Month: September 2011

WWP「BR52 in detail」

第二次世界大戦中にドイツ国鉄大型輸送機関車として開発され、戦後も東欧諸国を中心に使用されたBR52型蒸気機関車を隈なく撮影した写真集です。 原題に“Kriegslok”(戦時蒸気機関車)とあるように、この52型は戦時下での生産性を優先して設計されたいわゆる廉価版・省略型としての側面が強いのですが、1944年と大戦も末期の生産開始ながら、戦後になっても東欧圏で製造・使用が続けられていたのは基本設計の確かさ故でしょうか。戦時中に生産された個体がそのまま使われた訳ではないにしても、1970年代まで現役にあったとはちょっと驚きです。 冒頭に戦時中ドイツ国鉄で運行されているフォトも掲載がありますが、本書の中核をしめているのはヨーロッパ各地に残されたBR52とその派生型のクローズアップです。ドイツをはじめとする各国の鉄道博物館やプライベートコレクション(!)に保存された多くの車両は動態保存が成されていて現在でも尚生きたままの姿を見、当時の在り様を伺い知ることが出来ます。 こちらは戦後ソビエトで製造されたCSD555型機関車。ヘッドマークの赤い星が実におロシアしていますが、総じてヨーロッパ圏の機関車は塗装が派手ですね。黒一色の日本の旧国鉄やメタリックなアメリカ大陸横断鉄道とも違って、カラフルな外観を持つ機関車が少なからず見受けられる。 とはいえ、モデラーの視点が汚いところに向かってしまうのはもう習性と言うか性と言うかとにかく業だ。板バネサスペンションを始めとするグリスアップポイントの油染み、塗装の剥がれと下地の鉄色など興味深いところ。 最近では日本国内でも動いている蒸気機関車を見る機会は増えましたが、完全に整備が整った状態ではなくある程度レインマークや車体上部のサビ、傷などがついている実際的なウェザリングを見られるのは貴重です。 長年にわたって加熱/冷却が繰り返されるボイラー部分の劣化や鋳鉄と板金の違いによる金属疲労の差異など情報量の高い写真も数多く収録されています。 運転席周辺をはじめとする車内ディティールも多くページが割かれています。収録車両でも生産時期や運用国の違いから個体ごとに様々な違いがあり、その詳細をストレートに大戦中の車両に利用可能なのかは疑問を持っても良いかも知れません。しかしそれを差し引いても、得られる情報の価値は高いと感じます。真鍮製のハンドルの質感や石炭投入口の焼け具合など変わらぬところもあるものです。 トランペッターの1/35キットを始めとして立体化されてるBR52が大抵引っ張っている、テンダー下部が角型の炭水車も取材されています。このタイプって実はあんまり一般的ではないそうで、本書でもほとんどの車両は下部が舟型の曲面を描くタイプの炭水車を牽引している… じゃあなんで模型業界は角型ばっかりなのかとゆーと、どうもトラペがコpあーいや、参 考 に し た CMKのレジンキットがたまたまそっちのタイプだったからってのが真相らしい。それがまたスケールダウンされ完成品化されて…… 閑話( ・ω・)休題 オリジナルモデルに敬意を表す意味でも、巻末のモデリングパートからはCMKのレジンキットに迷彩塗装・追加装備で戦時下の雰囲気を存分にまとった作例を紹介してみます。装甲板代わりにボイラー側面に据え付けられた角材が、小火器の被弾ひとつで致命傷となりかねない蒸気機関車の悲哀を思わせ、そしてドイツ人はどんな時でもバケツを忘れない! 模型パート自体はトランペッターのインジェクションキットにエデュアルドの“BIG ED”エッチングセットやCMKの舟型テンダーを使用してハードにディティールアップした作例がメインです。日本の模型雑誌ではあんまり作例を見ないキットなので参考になること請け合いでしょう。 廃棄されスクラップとなったBR52型も撮影されています。これはこれで趣きのある姿、廃墟や廃線ファンにも訴える何物かがありそうです。詫び寂び的な錆具合とかだな… 「妖精を見るには 妖精の目がいる」とは神林長平「戦闘妖精・雪風」からの一節ですが、「鉄道の目を持つ」ひとならば、もっと様々な内容を読み取ることが出来るかも知れません。ミリタリー関連で出版された本ですが、純粋に鉄道方面で読まれてもよい一冊です。

Valiant Wings「ホーカー タイフーン」

ヴァリアント・ウイングス社のエアフレーム&ミニチュアシリーズ第二弾はホーカー・タイフーン。自国製の戦闘機を採り上げた内容は前作 Me262より一層濃いものとなっています。 英国の「第二次大戦3大役に立った飛行機」といえばランカスター、モスキート、スピットファイアが挙げられますが、なかでもタイフーンはその際立った美しさで知られています。本書は副題に“Including the Hawker Tornado”とあるようにタイフーンの無名姉妹機トーネードについても記されていますが、有名な兄弟機であるテンペストについてはほとんど触れられていませんので注意。 実機+模型の2部構成を取る編集に関しては既刊 Me262と同じフォーマット、実機解説に於いては実戦運用よりも開発過程に重きを置いているところも同様です。ホーカー・ハリケーンの後継機種として開発されたふたつの戦闘機、ロールスロイス・ヴァルチャーエンジンを搭載したトーネードとネイピア・セイバーエンジンを搭載したタイフーン、エンジン以外はほとんど同じ(エンジンだってほとんど同じ)なこの機体が、しかしラジエーター配置が異なるだけでこうも印象が変わるものだと側面図を比べれば一目瞭然ですね。 結局ロールスロイス社が「ヴァルチャーなんて作ってらんね。」となったことでトーネードは廃案となるのですが、その後もブリストル・セントーラスエンジンを載せるために円形カウリングへと改装されたトーネードについてもページが割かれています。なんでそんな似たような飛行機を同時に作りたがったのかは謎です。 ボクシングで言えばゴングと同時に相手が心臓発作を起こして勝利を得たようなタイフーンでしたが、迎撃戦闘機としては完全な失敗作、戦闘爆撃機に転職したら大成功で少数が生産されたMkIaから主力生産機のMkIb、更に改良型のタイフーンII(後のテンペスト試作機)各形式の変遷が丁寧に解説されています。テンペストIIの設計案は複数あるのですが、ことあるごとに機首下部のラジエーターを移設する試みがなされているのは興味深いところです。(本書では採り上げられていませんが)テンペストの主力生産機MkVがタイフーンと同様のラジエーター配置だったことを鑑みれば、それは天に唾するような行為でしょう。 タイフーンの生産途中でもセイバーエンジンのラジエーターを移設してカウリングを円環形に変更しようとする試みはありました。両者を並べてみれば一目瞭然、タイフーンの美しさはその偉大なラジエーターにこそ憑き纏っているのです。円環形カウリングなどは埼玉県で作ったFw190も同然ですな紳士。いや実際、もしも仮にセントーラス・トーネードなどがノルマンディの空を飛んでたら、対空砲火の誤射だけで全滅していたであろうなあ… やはりタイフーンをしてタイフーンたらしめるのはこの美しい機首のライン取りでありましょう。オーシャングレイとダークグリーンの迷彩塗装にインベンションストライプといつもの地味な英国機カラーもこの偉大なるアゴの勇ましさで魅力倍増です。よく見ると撃墜マークが航空機より機関車と蒸気船メインで描いてあるのは自慢して良いことなのだろうかは。 収録されてる塗装図はほとんど似たようなものですが、熱帯地域試験用にダークアースとミッドストーンで塗り分けられた機体は珍しく模型映えがしそうです。この色でみるとハリケーンの血筋を感じる(色だけか) しかしいちばんのキワモノはドイツ軍に鹵獲されて鉄十字とハーケンクロイツを描いた一機でしょう。機体下面全部イエローってなんだか悪い夢を見ているようだな。 しかしこの「パワーダイブすると尾翼がもげるので無理やり強化」していたり、「お洒落なカードアハッチは飛行中には開けられない」ので脱出困難な飛行機をどう評価していたのかは気になるところであります。 模型パートになると気合の入り様は歴然としています。前回にはなかった1/48スケールの折込図面がカードア型・水滴風防型の2機分付属し資料書籍では「世界の傑作機」も挙げられて、キットリストの方では古今のインジェクションキットだけではなくレジンのディティールアップパーツやデカールメーカーの製品までをも網羅しています。この一冊でタイフーンはバッチリOKだと言って過言ではないか。作例も一層磨きの掛った作品が続々と並び、アカデミー72をアフターパーツを駆使しての徹底ディティールアップやハセガワ48パーツを図面と重ねて「3ミリ違いますね」など、とにかく誌面に漂う空気が違っているような。あまつさえチェコマスター社の72と32フルレジンキット(!)まで紹介されている… いやしかし、32のタイフーンは主翼のきっつい上半角や四門のイスパノ20ミリ機関砲やら、タイフーンに備わる数々の美しいポイントが強調されて実にビューティフルな模型になるものですな。翼下にならんだ60ポンドロケット弾の愛くるしさは言うに及ばず、現在1/32スケールでインジェクション航空機キットを展開している日本の模型メーカー各社も是非是非この機体を製品化してほしいものです。 きっと人気が出ますよ。 例によっての斜め透視図(語句を知らない…)も各機掲載がありますが、今回はベースキットの指定がない。しかしシータイフーン(艦載型の試作案)には見る者を不安にさせる何かが。主脚の折りたたみ方向が逆になってるからだろうかいやそれだけではあるまい… そしてテクニカルマニュアルのイラストに沿っての形での実機ディティール・クローズアップ。機体表面の外板や各部のボルト・リベットの処理は現存する機体が、ロケット弾の細部ディティールは戦時中のフォトが非常に参考になります。「フィンMKI」「MKII」と進化しているなにこれかっこいいネーミングとか思い始めたら英国病も重症です。 そんな箇所まで掲載されているのに機体尾部の「フィッシュプレート」型補強リベットの写真が載ってないのは、やっぱ恥ずかしいんでしょうかあれは。クイーンエメラルダスの顔の傷みたいでチャーミングだと思うんですが僕は(病気だ) そしてなによりネイピア・セイバーエンジンの液冷H型24気筒構造に度肝を抜かれるというかなんというか、頭の中にある「レシプロ航空機のエンジンのカタチ」テンプレートのどれとも当て嵌まらない、正気を失くすほどの美しさにキゼツしそう。 (゚д゚ ) ( ゚д゚ ) ( ゚д゚ ) ( ゚д゚) (゚д゚ ) ( ゚д゚ ) ( ゚д゚ ) ( ゚д゚) …航空自衛隊の次期主力戦闘機はタイフーンを選択するべきです。セイバーエンジンのなかのひとたちもそう言ってます。 なお、本書を読み終えた後は可及的速やかに零戦やP-51やBf109といった普通の戦闘機の本を読んで体内の病素を取り除くか、もしくは紅茶を飲むべきです。 

タミヤ「1/48 ドイツ対戦車自走砲 マーダー III M (7.5cm Pak40搭載型)」

最近はちょっと落ち着いちゃった感もあるタミヤヨンパチMMシリーズですが、手軽に形になるのはこのシリーズのよいところで個人的には好きなのです。作った後に場所も取りませんしね。 基本的には1/35キットのダウンサイジング、無印マーダーIIIを受けての発売もH型を飛ばしているところも35と同じ流れです。H型は1/35ではイタレリキットがあるんでタミヤでは出さなかったんだろうと推察しますが、近年イタレリ製の48キットも増えてますからいずれその辺りを期待してもいいのかな?1/35スケールで38(t)がリニューアルされたこともありますし、そこからヘッツァーへと至る一連の系譜などを並べて見てみたいものです。 主砲関係のパーツ考えたら無印とM型よりもM型とH型の方が流用効きそうなもんですが、オリジナルの35キットでもマーダーIIIMのPak40関連パーツをその後なにかに使ったってことは無いはずです。応用できそうでいて、なかなかやらないというのは、例えばヨンパチMMではIV号戦車系アイテムよりクルセイダー戦車系アイテムの方が数が多いというなんかフシギな事態が起きたりしている(笑) ここだけ共通している足周り。無印マーダーIIIからはキャタピラ履いてる戦闘車両でもダイキャストシャーシをやめて重量感(てか、重量)をウェイトに頼るスタイルになってますね。最初からこーしてくれればよかったのになあ。 ちなみに車体のマーキングは2種類が入っていますが、それ以外に無線機の操作パネルと35ではエッチングが付属していたマフラーガードのパンチングプレートがデカール処理となってます。 各部ディティールはカッチリしたものが施されていてこのサイズでは十二分のものかと。シャーシ底面もプラ製になってハッチのモールド入ってますからひっくり返った情景とか「裏面」を積極的に見せるも可能でしょう。ところでこのマーダーIIIMの「M型」はドイツ語の中央(Mitte)の頭文字で~とキット解説にはありますけれど、38(t)戦車車台でエンジンが中央配置なのはK型もL型もですわな。自走砲用シャーシとして開発されたこのタイプ、実車ではグリレK型自走砲や38(t)対空戦車に使用されてて模型でもいろいろ応用出来そうなものですが、まぁ、その、なんだな。 7.5cmPak40/3対戦車砲の魂は細部に宿ります。ドイツで大砲と言えばどいつもこいつも88ミリ推しですけれど、この7.5cm砲の優秀さだってもっとクローズアップされてよいだろうなーと思います。III突やIV号始め様々な車両に搭載された万能の中口径速射砲で、大戦後半のバケモノみたいな重戦車相手にこそ力不足でしたけれどSdkfz.251やRSOまで対戦車/歩兵支援車両に改装出来たのはこの砲あればこそのもの。東西両面のヨーロッパ戦線だけみてると大したことないなーなんて思うかもしれませんが、もしこの砲が太平洋にあったらどれだけ日本軍の助けになっただろうかとか… いやほら、最近三式砲組んだばかりですからねえ…いろいろと目に悪いな…… 実際組んで行くと小さいながらもツボを押さえた設計で、ほとんど見えなくなるエンジン整備ハッチや折り畳み構造の戦闘室床面モールドなども再現されて、運用状況が想像できるつくりですな。エンジン配置が中央なのはIII/IV号自走砲車台と同型の構造で、設計思想が共通なんだなーとかいろいろ思って作っていくと脳にとてもよい(かどうかは知らない) 組み立て自体はホントに何の問題も無くさくさく進みます。実にウィークエンドモデリング向きです。プラモデルをつくりあげることの「気持ちの良さ」を簡単にアピールするにはいいサイズだと思うんで、このスケールもっと充実してほしーなと常々思いマッスル。ガンプラで言うところの1/144みたいなものでね。ガンプラと比較するなって言われそうですけど(汗) タミヤのマーダーIIIMは操縦手コンパートメントが平面溶接構造になった後期型をモデル化していて、このスケールでもばっちり溶接痕が入ってます。ここは結構目を引くポイントじゃないかな?砲関係を後部にまとめた結果操縦手が孤立している状態なのは是非の判断つき難いところですけれど、車内通話装置が完備されてればこそ出来る配置ですね。 主砲関連。照準器もちゃんとついてますが35ではマイナスネジ表現だった防盾部分のモールドが、サイズの問題からただの丸型になっちゃってるのは残念なところ。 あんまり簡単に進むんで今回は塗装までやってしまおーと思います。車体と主砲、前面左右の装甲板ぐらいのとこまで接着すすめて、あとは仮組み。キット塗装図にある「第348歩兵師団第348戦車駆逐大隊第1中隊」を作ってみようと。しかし師団番号が3ケタになってくるといよいよ敗色濃厚ぽいよな。 タミヤのヨンパチシリーズ開始当初の3アイテムがタイガーIにシャーマン、III突とすべて単色塗装で仕上げられるチョイスだったのは有り難かったなーとか思いながらシンプルにクレオスのダークイエローを吹いた後で上部をマスキングして今度はタミヤのダークイエロー。どちらも缶スプレーどすえ。 「キャンバスカバーを留めるための金具に沿って、色調の違う2色のダークイエローで塗り分けられた」車体ってなんだか日に焼けて退色したよーだなと、クレオスとタミヤの色調の違う2色のダークイエローで塗り分ける簡単な作業です。キャンバスカバー留めの金具はちゃんとモールドされてるんでそのままマスキングのラインに出来るんだな。 その2色をベースにパステルやらピグメントやらで汚したりで完成です。車体上部は新品に近いイメージで行こうと意図的に汚しは控えてみたんだけれど、いささか不自然に過ぎたかな?それはちと反省点なんですが、モノが小さいだけにメリハリを強くしたいなと考えたのもまた確か。サイズに見合った表現方法とか模索したいな… そうそう、これ塗ってる間に出たMG誌11月号が戦車塗装特集だった!間が悪いにも程がありすぎだっ!! 普段は「全部組んでから塗る」派ではなく、特に今回みたいな連結接着式キャタピラの場合は車体と足周り別々に塗装して最後に組み付けるパターンでやってたんですがまー実際に全部組んでから塗ってみてもキャタピラはなんとかなるものですね。オープントップの戦闘室内部をどうするべきか、何も考えてなかったことは言うまでも無いw 砲身上下によく動きます。マーダーIIIは歩兵師団の戦車駆逐大隊に配備される車両でその主任務はもちろん機動対戦車防御なんですけど、歩兵の突撃支援で曲射砲撃もやったんだろうなーとか。しかしこの手の車両にもペリスコープ完備なのは贅沢だなドイツ人は。 砲と車体で装甲を分担させ、半円形となる防盾の可動部分にはそこをカバーするように装甲板を配置する。単純な発想の転換ですけど装甲が車体側で一体化されてた日本軍の自走砲とは可動範囲が随分違うなと、むかしマーダーIIと一式砲を比べて思ったもので、このたびの三式砲→マーダーIIIMの流れはその記憶をトレースさせるものだったり。 砲弾はともかくフィギュアは未塗装のままで失礼。この辺のパーツも35のダウンサイジングまんまなんですけど、もうちょっと躍動感があったりケレン味溢れるポージングだったりしたほうがサイズ的に見栄えがするだろうなーと昔から思います。 エンジンを車体中央に配し戦闘室を後部に据えて砲の射界を広くとる。大戦後半のドイツ自走砲にはそんな統一された設計思想がほの見えます。マーダーIII対戦車自走砲もこのM型で一応の完成を見、シリーズ最多の942両が生産されました。同型の車台に重歩兵砲を積んだグリレK型、2cm単装機関砲を載せた38(t)対空戦車に比べても、大型で長砲身の7.5cmPak40対戦車砲を小さな車体にバランスよく搭載したマーダーIIIMの外観は自走砲車台の設計思想に合致しているように見受けられます。軽戦車クラスの車体に中戦車並みの火力を持たせるのはなんだかんだ言っても大変な作業でしょう。 一方その頃、イギリス人は主砲を後ろ向きに搭載していた。 …てな感じで颯爽とアーチャーを横に置けたら最高なんだけどな。 現状35より「格下」に見られがちなヨンパチを、なにか別の方向性に出来ればこのスケールによりいっそうの意義や意味を見出せるんではないかと、そんなことを漠然と考えながらの製作でした。

Valiant Wings「メッサーシュミット Me262」

英国Valiant Wings社発行のエアフレーム&ミニチュアシリーズ第一弾、ルフトヴァッフェ初のジェット戦闘機を解説する内容です。 全8章からなる本書は大別して2部にわかれ、前半は実機の解説、後半はモデリングガイドといった構成です。巻末には関連書籍とキットの詳細なリストが掲載され、モデルアートの古い別冊や80年代にボークスが出していたレジンキットまで挙げているのには驚かされます。むしろ文林堂の世界の傑作機シリーズが載ってないのが不可解なレベル。 実機解説ではMe262の開発・発展に主眼が置かれた内容で、エースパイロットやJV44などの「戦記」を期待する向きには肩透かしになるかもしれません。しかし試作機Vシリーズや試験機Sシリーズ各機の細かな仕様、コードレターや機体番号、試験飛行の様子など開発関係の詳細なデータが記されていて、そちらの方面を調べるには重宝しそう。 量産型Aシリーズや複座型のBシリーズについての記述、更にはペーパープランに終わった計画機も図面が掲載されていますが、それらを含めても実戦配備以前の試作機と試験機のページが占める割合が高いのはちょっと珍しい内容といえるでしょう。そしてMe262開発史で避けて通れぬ道ではありますが、いの一番に必ず紹介される最初の試作機Me262V1の姿をみると笑わずにはいられない… 実戦配備された機体の写真は既出のものが多いです。生産機数が少ない割にはメジャーな機体ですから、これは仕方がないところかな。 カラー塗装図は美しい印刷で夜戦や複座型含めて様々なパターンが掲載されています。戦後チェコスロヴァキア空軍で運用されていたアビアS.92があるのは面白いところだけれど、これもやっぱりMe262開発史を紐解けば最後のオチに出てくる「お約束」みたいなものではある。 モデリングガイドの部ではタミヤ・ハセガワ・レベル・ホビーボス・トランペッター各社のキットレビュー。スケールは72から32までの、現在日本でも普通に入手可能なメジャーアイテムの紹介記事です。 博物館に現存する機体のディティール写真集はラージサイズキットを製作する際の格好の手助けとなるだけではなく、タミヤの48クリアーエディションを「ただのスケスケ模型」から「すごいスケスケ模型」へとレベルアップすることも可能でしょう。全体的にみると「世界の傑作機」と「エアロディティール」をたしてプラモ成分を増量したような書籍。とでも言えば良いかな?そんなようなイメージを受けます。 ちょっと面白いナーと思ったのはこの斜め方向からの視点で作図されたイラストです。このスタイル、一定の形式でMe262各機の細かな仕様の違いや特徴となる識別点を示してモデリングの為の手引きとするコーナーなんですが、立体の構成って側面や上面図だけでは捉え難い要素もありますし、この透視図法には何らかの可能性を見出せそうです。たまーに戦車の迷彩パターン図などで存在してますけど。 しかしこの章って親切なことにそれぞれの機体を作る為のベースキットも紹介されてるんですけど、具体的にどうするべきかとかそのベースキットを使用してそもそも本当に作れるのかという、実務的な記述は無かったりする(^_^;

ファインモールド「1/35 帝国陸軍 三式砲戦車 (ホニ III)」

ファインモールド三式砲戦車のレビューです。ちなみに今回三連休を利用して自分の積みプラを消化しよーというキカクで始めたので、レビューには初回生産時に購入した限定アクセサリーパーツ付きのキットを使用しています。現行製品とは若干仕様が異なるのに注意。 車体上面パーツ群。このキットは2006年末に「新砲塔チハ」と共にリリースされたものでして、このランナーでは右上の部分にスイッチを入れた箇所がホニIIIオリジナルのパーツとなっています。発売当時あのファインモールドがついに九七式中戦車シリーズを出すってんで個人的にお祭り気分になったのもいまとなってはよい思い出です… 砲塔関係。内部は砲尾のみ再現で残念ながら他にインテリア類のパーツはありません。発売当時にニューキットレビューをやってたAM2007年2月号には本車の青写真が掲載されていて、図面上は砲塔内部に百式機関短銃の銃架が存在しているのですが、実車ではどこまで充足してたんだろうと疑問を感じたりも。いや、何か根拠があっての「疑問」では無いのですが… それぞれ二組はいってる脚周りその他のパーツ。左のBランナーは三式中戦車からずっと共有されてきた転輪関係で、使用頻度が高い金型なのでしょう、若干パーツにヒケがあります。しかしそれほど心配する必要はありません(後述) 車体下面・デカール・キャタピラなど。マフラーガードはエッチングが入ってます。初回限定アクセサリーには七糎半戦車砲用の真鍮製砲弾と薬莢が付いてきました。ドイツの7.5cm対戦車砲の砲弾とくらべればきっといろんなことがわかるとおもいます(目をそらしながら) ところでタミヤの一式砲には戦闘室床面のインテリアパーツがあったけど、流用って効くのかな? デカールをアップで。陸軍第四技術研究所のナンバープレート、「や」のマーキングの戦車第28連隊所属車両など、どれもあくまで推定であり現存する記録写真には特定の識別標識を描いた車両は無い筈です。ですからしてフィクションと割り切っていろいろな塗装・マーキングを考えるのも悪くない。初音ミクとか(マテ 前照灯のみならず尾灯もクリアーパーツなのはファインモールドチハ系列車両特有のセールスポイントですね。そして一升瓶×2はボーナスもとい特配だ。 本車の独特な装備である七角形の固定砲塔はスライド金型を利用した一体成型です。一見すると回転砲塔のような形状・サイズながら実際は固定された形式というのは他国では英軍のビショップ自走砲に例を見ることが出来ます。開発の経緯はご存知ファインモールドキットの例にもれず解説書に詳しいのですが、ホニ車3型というだけあって一式砲の基本構成がそのまま受け継がれているのが特徴ですね。 イザ製作開始です。長年日本戦車プラモを作っていると「俺このシャーシ何回目だっけ」な気分に浸らなくもないですけど、おかげで例え転輪支持アームのB36パーツにヒケがあっても「ああここはあとで見えなくなるよな」とすぐわかるのはよいことです。懸架ばねの持ち手B27のヒケはこりゃあとからでも見えますので埋めておきましょう。なに小さいもんです。 九七式中戦車と同形状ながら50mm厚に増加された前面装甲部分。この部分リリース直前に新資料が発見され、急遽設計を改めたとか発売当時に言われていましたね。その新資料というのが前記AM誌の掲載図面だろうと思われますが、これっていま刊行されてる書籍には載ってるのかな。最近ちょっとその辺疎いんだよなー。 砲架まで組み上げてみるの図。転輪よりも先に大砲関係作っちゃうのは是男子一生のサガでアリマス∠(`・ω・´) 今回ちょっと金属砲身を奢ってみました。「三式砲戦車用75mm砲 砲身」、ファインモールド純正パーツです。三式砲戦車の搭載砲「三式七糎半戦車砲」は三式中戦車の「三式七糎半戦車砲二型」とほぼ同一なんですが、このパーツをそのままファインモールドのチヌには使えないようでちと残念。キットパーツの基本設計が進歩したことの証ではあるんですけどね。 のっけてみると思いのほかワクワクします(笑)ドイツの7.5cm対戦車自走砲と比べたらゲンジツに打ちのめされるので絶体にやめてくださいww マズルブレーキと水平鎖栓式閉鎖機はキットのパーツをそのまま使用します。閉鎖機は開閉選択式。ユニークな形状のマズルブレーキは原型となった九○式野砲ほぼそのままで、考えてみればチハどころかイ号の時代の大砲なんである。 で、3日間もあるんだからのんびり組めばいーよなーとか思ってたら私事いろいろとバタバタしちゃって、気がついたらあわてて組み上げるハメになり(苦笑) ひとまずカタチにはなったものの、途中過程の撮影を豪快にすっ飛ばしてしまった俺馬鹿俺。 仮接着のパーツ・未接着のパーツもいくつかあります。マフラーガードも本来のエッチング使わずに不要部品であるところの三式中戦車用のフレーム型のをテキトーに乗せてみた…ら、これはこれで格好良いんだ(苦笑) う~む、もともと手元に余ってるクレオスの日本軍戦車カラーセット(前期用)を消化する目論みもあったから、仮想戦記風でいいのかな― 砲防盾の合わせ目はしっかり消しておきましょう。砲身入れて戦闘室被せてその後で左右防盾貼り合わせてとそこそこタイヘンだったんで、なにかあとハメする工夫をしてもよいかもです。や、AM誌のキットレビューじゃやってたんですけどね。 三式砲は対戦車戦闘を主任務とする「砲戦車」です。しかしながら本車の構造は間接砲撃を主任務とする「自走砲」である一式砲のものをそのまま受け継いでいて主砲の旋回角度が非常に限定されています。大昔にタミヤの一式砲とマーダー2を組んでその設計思想の違いに愕然となったのは今となってもよくない思い出… 仰角は取れるんですが俯角は厳しい。加えて腰高の砲塔では稜線射撃ひとつにしても大変だろうなと当時の苦労が偲ばれます。回転砲塔を持つ三式中戦車にくらべて製造工程は少なく、数を揃えられればあるいは…ああでも本車の製造数は30両内外と見積もられてるんです… 少ない数に不利な構造とはいえ、本車は立派に生産され本土防衛の任務に就いた実績を持つ車両です。ペーパープランや試作車両に夢を見るのも悪くない。けれども現実としっかり向き合う姿勢も大事だろうと、僕ぁそう思うんですよう…(君さっき架空戦記風にするとか抜かしてたジャン!)

トミーテック「1/700スペースシャトル セットA」

技MIXスペースクラフトシリーズ第1弾はウォーターラインスケールのスペースシャトルセットです。今回はセットAとして3機のシャトルと打ち上げ設備が付属しています(運搬用ボーイング747が付属するセットBも近日発売予定) 技MIXスタンダードの塗装済み半完成品を組み立てるスタイルです。3機のスペースシャトルはそれぞれディスカバリー(STS-128ミッション)、アトランティス(STS-51Jミッション)、エンデバー(STS-49ミッション)に応じた塗装。マーキングが施されています。この中だと面白いのはアトランティスの初飛行となったSTS-51Jで、国防総省主体の軍事衛星打ち上げミッションだとか。スペースシャトル・オービター4号機のアトランティスは当初軍事目的を主要任務とする機体であり、ちょっとミステリアスな存在でした。結局シャトルの軍事利用は費用高騰などで中止されて、アトランティスも普通に衛星打ち上げやらISS建設に携わるようになった…んだっけ?まあいいか、とにかく2011年7月8日、スペースシャトル最後の飛行ミッションSTS-135を行ったのもこのアトランティスだったのです。 機体各部のマーキングもタンポ印刷で綺麗に再現されています。ニーブン&パーネル「降伏の儀式」に出てきたのもアトランティスだったな… プラットフォーム部分には細部塗り分けだけでなく、スミ入れ/ウォッシング処理も行われています。 組み立てにあたっては各接続ピンや受け口が塗装によって太めになってしまっているので、その分削り取ったり開口したりの作業が必要となります。また説明書では機体上下を接続したのち大小合計5個のノズルをハメる手順になってますけど、そこは順番変えてノズル→機体上下でやったほうが楽です。 外部液体燃料タンクと固体ロケットブースターをとりつけてひとまず完成。各機ともそれぞれのSTSに応じて決まったタンクとブースターがありますので間違えないよう注意しましょう。 スタンドにとりつけて垂直姿勢で見る方がそれっぽい。ちなみにこれは日本人初のシャトル乗組員毛利さんも乗り込んだエンデバーですな。さだまさしが歌作ったりしてましたなー。ちなみに「日本人初の宇宙飛行士」はソユーズに乗ってミールに滞在したTBSの秋山さんで、実は「世界初のジャーナリズム宇宙飛行」だったんです。バブル経済最高ですね^^v 機首部分のクローズアップ。スペースシャトルの問題点(?)に「システムとしてのまとまりが良すぎて実際よりも高性能に思われがち」だというのがあるそうなんですけど、「顔つき」がソフトなところはシャトル人気を生んだ大事なポイントだと思いまっする。 打ち上げ発射台となるモバイル・ランチャー・プラットフォーム略称 MLP。「モビル」と聞くとガンダム風だが「モバイル」って言われるとケータイ電話みたいだ。 そしてMLPを実際にモバイルさせるクローラ・トランスポーター。元をただせばアポロ計画に際してサターンV型ロケットと共に開発されたもの。2台製造されてハンスとフランツっていうニックネームがあるらしいぞ。なぜにドイツ系? 合 体 ! させるとモリモリわき上がる地上戦艦のかほり。コイツを武装させれば…(最高時速が測定できないほど鈍速です) いちおう四面から。各所にあるラッタルから人間との対比を想像してみてください… やっぱりシャトル乗っけた方が絵になりますね。スケール1/700ってことでこれをこのままニミッツ級原子力空母の飛行甲板上に乗せれば福○み○ほもビックリなアレを。 ちなみにキットは地上姿勢/発射姿勢の選択式なのですが、接着剤を弱めの点付けにしておけば地上姿勢を撮影したのちに発射姿勢でディスプレイすることも可能です。 オービター三機を並べてみる。スペースシャトルはバスやタクシーのように頻繁に、且つ容易に宇宙に行ける機体である。そんなふうに思っていた時期がぼくにもありました。実際には安全性の向上やそれに伴う予算超過などでシャトルの歩む道は決して平坦ではなく、最終的には耐熱パネルが機外に露出している構造的な欠点などが問題視され、本年をもって引退という結末になりました。次世代ロケットも発表になりましたね… ・「NASA 次世代ロケットを発表」(ナショナルジオグラフィックニュース) 能力的には遥かに向上しているとはいえ、そのスタイルはなんだか昔に逆戻りしたように思えます。やはりシャトルのいちばんの功績はその飛行機っぽい外形から人々に「飛行機に乗るように、宇宙へ行けるようになる」夢を与えたことじゃないかなと、あらためて思う。 いかにも飛行機っぽい宇宙船が飛び交うSFマンガやアニメは、この先一体どうすればいいのやら。

ハセガワ「1/72 MiG-21&MiG-17 コンボ パート2」

好評開催中のロシア機セールから、ハセガワ最近お得意の2機セット製品を組んでみました。 ところで、すごくささいなことですけれど、ミコヤンさんにくらべてグレビッチさんって日本じゃdisられ過ぎですね。大文字小文字で… こちらはミグ17の主要パーツ。2+1枚に加えてキャノピーと初期型エアインテークのレジンパーツで構成されます。元々のキットがD型/E型コンパチだったために本製品では不要パーツがいくつか生じます。 ミグ21はより大型の機体ですが、パーツ自体は2枚のランナー+キャノピーで収まってます。 ミグ17・21ともに冷戦時代に開発された飛行機ですけど、キットの方も冷戦時代の開発なので、ディティールも相当年期と凄みが重なったなにかウラル山脈をホーフツとさせるものが入ってます。凸モールドを全部彫り直すのはUSSRがCISになるより大変そうなので、ここはひとつ「ロシア的やさしさ」と割り切ってその身を任せるのもダーじゃなかろうか。 いや、稀にハセガワの古いキットを大変美しく仕上げた作例を見る機会を得ますと実に実に感服するのもまた確かなのですが。 これがキモのデカールは2機分まとめて1枚シート。ワルシャワ条約機構(なんて懐かしい響きだ)加盟国はじめ、衛星軌道に乗ってないのに既に「衛星」だった国々のマーキングなど合計7種です。いやあ、時代ですねえ。 昔のヒコーキプラモで「コックピットはバスタブ式」という表現をよく目にしますが本当にバスタブ式だーーーーーー!!と声を上げて驚いたのは初めてかも知れないミグ17コックピット部分。 それに比べてミグ21は開放的です。両機ともコックピット部分をモナカ型式貼り合わせの機体センターに占位させるのがそこそこ苦労。KGBもAKBもセンター取るのはタイヘンなんです。 17の方には機首部分にオモリを入れるべしと指示があったのでねんどろてきなものにビスをかましてみました。しかしこの手のオモリって何がベストなんだろう?ウエイトよりむしろコスト面とかで… そして特に指示の無かった21の方を特にストレートで組んでみたら見事に尻もち付く罠。なんという反党行為だOrz まあでも、ソ連の飛行機だし、キニシナイ!(いや気にしろよ) そんなこんなで完成です。MiG-17にはネームプレートも入って時代を感じさせる…のは結構なんですが「ミコヤンミグ17」という表記にやっぱりグレビッチさんdisられ過ぎだよ…と。 「飛行機は上面から翼型を見ろ!」とむかし銀河出版の四人対談本で言ってたのを思い出して上から撮ってみる。MiG-17は先代MiG-15の後退翼を45度の急角度に変更した設計で1950年に初飛行しました。NATOコードネームは“Fresco”(濡れた漆喰の上に水彩で描く「フレスコ画」の意) 本キットにはMiG-17用として東ドイツ空軍・ポーランド空軍・シリア空軍各所属機のデカールが付属します。ポーランド空軍機のみはライセンス生産されたLim-5の想定ですが特にパーツ等に変化はありません。 主翼以外の胴体・武装類はMiG-15とほぼ共通、後期型ではエアインテークにレーダーを搭載してイメージが変わるMiG-17の、敢えて初期型というのも珍しいのか…な…?不要パーツとなっているインテークと並べてみた。 こちらはMiG-21です。1955年に初飛行したこの機体のNATOコードネームは“Fishbed”(魚の寝床の意)で絶対それって嫌がらせだと思うぞ。変な名前に反してカラシニコフ突撃銃やT-55戦車と並ぶ旧ソ連製のベストセラー兵器となった本機ですけど、作った人は21世紀まで使用されると思ってたんだろうか。イスラエルが近代化改修パッケージを提案してたときは時代が変わったナーと、つくづく思わされたもんですが。 主翼をそれまでの後退翼からデルタ(三角)翼にあらため、延長された機体と深い後退翼の付いた水平尾翼でミグ戦闘機のイメージを一新した機体。胴体中央はエリアルールに基づいてすぼめられた、西側でいうとアメリカ製の一連のセンチュリー・シリーズのような構造は共に超音速飛行を達成するためのものですね。 翼下に懸架しているのはK-13空対空ミサイル。サイドワインダーのコピーといえばミもフタも無いがその通りなので仕方ない。本キットではMiG-21用としてフィンランド空軍(×2)・ハンガリー空軍・中国人民解放空軍のデカールがセットされています。中国軍機のみライセンス機であるF-7ですが特に変更は無く。冷戦時代にフィンランドが置かれていた微妙な立場については「ファイアフォックス・ダウン」って小説が面白かったれす。フィクションですけどねー。 レーダーハウジングがマッハコーンを兼ねる合理的な設計ですが、後々にはレーダーの強化に伴い機首が太ましく再設計され、加えて機体背面に燃料タンクや増設電子機器を収納するバルジが設けられ、MiG-21の機体はどんどん変貌していきます。素に近い状態の本機を組める、ある意味貴重な存在か。 こうしてふたつ並べてみるといかにも軽量小型のインターセプターで(本セットには含まれていませんが)北ベトナム空軍の運用は理に適ってんだよなーと思わされる。当時の航空自衛隊のドクトリンに適合してたりするのかな?? さすがにちと古めかしいキットなのできちんと組み立てるのは難事かも知れませんけど、ロシア東欧系のキットを何機も作り倒して来たタワリシチなら問題なくボリショイスパシーボだと思われます。

新紀元社「スケールモデルファン Vol.1」

Vol.2発売直後というタイミングですが、あえてこのタイミングで新紀元社の模型雑誌「スケールモデルファン」新創刊第一号のレビューです。 なぜにこの時期とお思いの方も多いでしょうが、本書はISBN(国際標準図書番号)をもつ立派な「書籍」でありISSN(国際標準雑誌番号)や日本国内向け雑誌コードをもつ「雑誌」ではありませんので、現在でも一般に流通し普通に入手が可能な本なのです。奥付にもちゃんと初版発行年月日が明記されているので、いつ増刷されても安心です。 芸文社のマスターモデラーズ誌の後継だってことはどこにも書いてないけど誰もが知ってることなんで書いてしまへ。あんまり普通にマスモデ風味で新創刊おめでとう的な記事がただの1ページも載ってないのは…いいのかなあ。月刊誌だったマスモデから季刊発行になったことに加えて「スケールモデルファン」にはもうひとつ変わった点があります。 表紙にカバーがつきました。あふれでる高級感!! あと、DUSTが載って無いとか、細かいところ見てくといろいろあるんでしょうけど、総合ミリタリーモデル雑誌というスタンスは変わらぬままです。 今回の特集は「ラバウルの日本海軍機」としてタミヤの1/32零戦、五二型と二一型をニコイチ(懐かしい響きだ)した三二型の作例を筆頭に、SWEET二式水戦、タミヤ一式陸攻、ファイン彗星、ハセガワ九九艦爆など各社各スケールとり混ぜた企画となっています。 美しいカラー・イラストによる機体解説や簡単な戦史解説、戦時中にアメリカで発行された零戦三二型の解析マニュアルなど資料的見地の記事も多く、靖国神社遊就館に展示される「彗星」実機取材もあり。ところで実機と言えば国立科学博物館の「複座零戦」がラバウル辺りの現地改造機じゃなかったっけ…あんまり取材されない個体ですけど。 陸物はタミヤ/CMKの35(t)戦車はルーマニア・セルビア両国に現存する実車写真を伴っての作例、トランペッターからはVK4501戦車を2種類、実戦を想定した仕様でのディティールアップなど、こちらは一般的に模型雑誌で掲載されてるニューキットレビューのスタイルを取っています。巻末にはやはり模型雑誌で一般的な新作キット情報が掲載されますが、やはり月刊誌に比べるとこの点では弱くならざるを得ないだろうなというのが、正直な感想です。 個人的に今回の掲載記事でいちばん面白かったのはアントニオ・マーチン・テロ氏によるタミヤ1/48パンターG型を大戦末期のディスク(円盤)状三色迷彩仕上げの作例でしょうか。普通のチッピング塗装で仕上げられた「光と影」迷彩とも違った、実車では円形の型紙を使った吹き付けで塗装されたこの仕様を「粘着ゴムのブル・タック」なる素材でマスキングすることで再現。 日本でも某大手通販サイトなどで入手可能なこの素材を使って、塗装過程を連続写真で丁寧に解説しています。特に一度失敗してもそこからリカバリーする試行錯誤の過程まで省かず載せているのは嬉しいところ。「何をすれば良いか」だけでなく「何をしたらまずいのか」も教唆されたほうが読者の立場としては安心して真似できようというものです。 最終的にはここまでツブツブな状態にしたそうで、なんかよーわからんけどスゲー。 水モノとしてはフジミ1/700翔鶴一点のみでいささか淋しく、その点もっと増やしてほしいナーというのと、季刊誌の利点を活かしてひとつひとつの作例記事が内容の濃い物になっていけば読み応えがある模型雑誌あーいや模型書籍になるでしょうと、末尾に願望を記しておきます。 ちなみに旧マスモデも雑誌でなくISBNをもつ書籍だったことはナイショだ

マスターボックス「1/35 英・第8軍北アフリカ兵士5体+アラブ民間人1体&ラクダ」

マスターボックス品番3564は英語名称を“Commnwealth AFV Crew”としていますが、どう考えても主役は戦車兵じゃない人たちです(笑) パッケージ裏面には塗装色指定が入りました。6社併記されているうちのAgamaカラーって知らないなーと思ったらチェコの製品だそうで、東欧圏の模型事情がほの見えますな。 よく見るMBキットのものよりひとまわり小さなサイズのランナーが2枚入ってます。製品内容を分割することでバリエーション的な展開も出来ましょうかと思われ。 どのフィギュアも、そしてラクダも、実にいい表情をしています。顔の造作がよいのはMBフィギュアののセールスポイントですね。 砲塔ハッチ(?)に腰かける戦車兵。ちょっとうつむいた感じでシャツに出来るシワですとか、ストラップごと別体になってて実際に首に下げられるゴーグルですとか実に秀逸。左手には煙草をくゆらせています。 なお、彼のみはタンカースヘルメットの頭部意外に黒ベレー被った頭部パーツがオプションとして存在します。 車体に持たれて缶詰から何か食べている、ツナギ着用戦車兵。缶詰の開口部は別パーツで中身も再現。スプーンにも「何か」のディティールが施され、実に自然な食事シーンが演出されています。「何を」食べているのかは知らんほーがよいのだろうか。英国的には。 片手にマグカップを持ち、もう片方でなにか拾っている?ような戦車兵。これがよくわかりませんでした。パッケージのイラストでは両手共になにかハコ状の物体を持ってて、タバコかなーと思うのですがフィギュアでは明らかに板状である。まさかチョコレートでもあるまいに、何でしょうね。イラストと製品で細かな違いがあるのはいつものMBクオリティなんですが… 彼がラクダと同じランナーに配置されてる兵士なんで、車体デッキの上からラクダに餌をやってる状態かも知れません。表情も笑顔ですしね(イラストでは不機嫌な顔してるんすけどww) そして何処にもハッキリ書かれていませんが本製品には「パイソンじゃない方のモンティ」ことモントゴメリー元帥が入ってます。ベレーにセーターにマグカップといかにもモンティらしい、よくあるスタイルでの立体化。それでもセーターのシワや自然にポケットに入れられた左手などは素晴らしい造型です。今回のこの製品、個人的にもかなりのお気に入りです。 唯一完全に歩兵の軍装を身に付けたインド兵。いやーこれいいですねぇ。別パーツで実感たっぷりのターバンとか、ちょっと上を見あげてシーンをイメージできそうな身振りで、実にキャラ立ちしています。ラクダの乗り手と会話する体ではありますが、いろいろ応用は効かせられそう。「雨降ってね?」などと。 ホントはヨーロッパの情景に配置したら愉快なんだろうけど、軍服の妥当性やインド兵の配備地域とか、英連邦軍わからないことが多過ぎる… そしてラクダの乗り手。アラブ伝統の「ジャンビーヤ」と呼ばれる大きく湾曲した短剣を佩しています。「トンネルズ&トロールズ」では2d+2のダメージ修正を得られる武器ですね(知らんがな) こちらはアラビアのイスラム教徒で先ほどのインド兵(おそらくシーク教徒でしょう)との頭巾の違いを見て取れます。丁寧な作り分けです。 そしてみんな大好きラクダであります。北アフリカの情景には様々な応用が可能でしょう。水売りの商人なんか如何にもの存在で、ドイツ軍しか作らんひとでも、インジェクションで安価なラクダを手に入れられるこのセットはオススメなのです。 ソ連軍が中央アジアから連れてきたラクダをスターリングラードで輜重任務につかせていたのは史実にあるんですけど、さすがに種類が違うんだろ―なー。むしろレジェンドのミニガンセットあたりをうりゃうりゃして、夢の、 「ガトリング銃を装備したラクダ軍団」がついに実現出来る!! …かどうかはしらにゃい(´・ω・`)↑の画像は平凡社「機関銃の社会史」からの引用。 戦車に腰かけたり、背もたれしてたりする姿勢が多いので、やっぱり何か戦車の一台と組み合わせておくのが自然な情景ですかねー。 「でもあれノルマンディーでアメリカ軍が使ってた車両じゃんか m9(^Д^)プギャー」 「仕方ねーよ、ほかに手持ちの連合軍戦車が無いんだ (;´Д`)ノ」 みたいな。

ハッピーミディアムプレス「サイファイ アンド ファンタジー モデラー 第22号」

SFFM第22号、表紙を飾るのはいまや古典的名作ともいえる傑作SF映画「エイリアン」に登場する宇宙船です。 「スペースジョッキー」という名の宇宙人(の死骸)が鎮座しエイリアンの卵が無数に植えつけられていた物語の開幕となる重要な舞台装置ですが、考えてみると名前を知らんぞコレ(汗)記事本文中ではこの宇宙船をして“SpaceJockey”と呼称しているようでありますが… 名前よりも大事なことは作品でしょう。H.R.ギーガーのイラストタッチをそのまま3D化することをテーマに製作されたこの作品、大まかな形状をスタイロフォームで削り出して表面ディティールには電気抵抗を始めとする電子部品を多数使用しています。あくまで機械的なパーツが有機的なラインを生み出す様には驚かされます。 今巻注目すべき記事としてはNorthStar Models の巨大なエンタープライズA型レビューが挙げられるでしょう。ちょっとした犬よりデカいただのダンボール箱にまとめられたパッケージを始めあらゆる箇所がバカげたスケール(褒めてますよ?)でいかにもアメリカ~ンなレジンモデルで大抵のパーツがもはや鈍器のレベル… 完成すると実に巨大で豪勢なコンスティテューション級航宙艦を再現できるそうですが、今回は連続記事のパート1であくまでキット内容の紹介にとどまっています。レジンキットは人類に残された最後の開拓地である。そこには人類の想像を絶する新しい文明、新しい生命が待ち受けているに違いない…いや、このエンタープライズの製作には5年もかからんと思いますが。 TVドラマ「バトルスター・ギャラクティカ」登場の宇宙戦闘機バイパーMk.VII、メビウスモデルの製品で日本ではプラッツ扱いで流通しているインジェクションキットの作例はファンには参考になるかと思われます。日本でのギャラクティカ人気ってブーマーとかブーマーとかブーマーとかに全部持ってかれた気がするのでもっとメカにもスポット当たってほしいぞ。 でもバイパーはこっちのほうがいーよなーというオールドタイマーなファンの為にも「宇宙空母ギャラクチカ」登場の宇宙戦闘機バイパーMk.IIもちゃんと掲載されています。スキャンした画像には一機しか映っていませんが、総勢11人のグループメンバーが作り上げた人数分のバイパー各機とハンガーのディオラマは実に楽しい、如何にも模型サークル的な作例です。 宇宙船リベレイター号は80年代に製作されたイギリスのSFTVシリーズ「ブレイクス7」に登場する主役メカニクス、だそうです。スクラッチビルドされた作例はなかなかの力作で船体中央の太陽電池パネル(だよね)などは参考になりそうなものですが、いかんせんなんだかぜんぜんワカリマセン… 調べてみたらオープニング映像がYoutubeに在りました。いやまったくいい時代ですな。 えっ。 …うん、この記事の作例がものすごい力作なんだと、それはわかったような気がします… 第22号その他の記事は ・2号連続「ドック・サベージ&ザ・シャドウ」フィギュア製作塗装編 ・「デューン:砂の惑星」サンドホッパースクラッチ ・AMT製蓄光インジェクションキットミステリーシップ、成形色を活かした作例 ・「Dr.フー」旧シリーズシーズン16「略奪の惑星」に登場するメカ・オウム ・ディズニー製作のカルトSFムービー「ブラックホール」のマスコット的キャラクター、ヴィンセント(MPC製プラキット) ・特撮技術者 Jim Millett氏による寄稿、如何にして趣味の模型を仕事にするかとのテーマ ・「スペース1999」ムーンベースアルファの製作第一回。エアフィックスのビンテージキットをドカスカ流用パーツに使用してる… ・TVシリーズ「ザ・デイ・アフター・トゥモロー」より宇宙船アルテアリーズ号スクラッチ そして、 ・メビウスモデルのバンピレラは安心の旧オーロラグレードです。 と、なっております。バンピレラねーさんのパッケージ画と製品内容のギャップは怪奇を通り越してもはやなんとも…