Month: December 2011

バンダイ「1/2400 東京スカイツリー」

本年の記事更新はこれが最後となります。年末にあたってなにか今年の一年を代表するようなものを紹介したいなと思い、この製品を選びました。 いまさら説明の必要もないほど有名な建築物、東京スカイツリーはまだ震災被害の傷跡も生々しい3月18日に634mの完成全高に達し、以来その姿は多くの人に親しまれています。関連製品はさまざまな分野で多種多彩に発売されましたが模型関係でもちょっとしたブームが生じ、家具みたいなサイズの1/700スケール製品は話題を呼びました。 同じバンダイでももうちょっと手軽な、どなたにでも簡単に組み立てられ、実物のような構造とライトアップを楽しめるのがこちらの1/2400スケールとなります。考えてみれば今年はずいぶんバンダイのスケールモデルが発売されたもんですね。 システムインジェクションのAランナーはバンダイプラモデル特有のもの。このサイズ、このパーツ分布だったら別枠で作っても良いんじゃないだろうか?とこの段階では思ったけれど。 ちょっと紹介する順番を変えて頂上部分のCランナーと内部発光用のクリアー素材Dパーツ。 タワー本体のトラス構造のなかでも内側を構成するBランナー。いやあ、これ見たときに思わず我が目を疑いましたよ曲がってんじゃん!とね。トラス構造部分は一般的なスチロール樹脂ではなく、ポリプロピレンで成形されてます。限りなくポリキャップに近い印象ですが、ガンプラのポリキャップに使われてるポリエチレン樹脂とも違うのだな。先ほど上げたのCランナーの方ではそれほど柔軟性は感じられず、使用箇所によって粘性?を変えてる印象。 LED2個を内蔵するライティングベースは完成済みです。考えてみればバンダイからは電飾台座も各種発売されているのでこの辺はお手の物か。「単四電池3個は別にお買い求めください」もいつも通りで。 台座用のシールが付属。 こちらが本製品のキモであるところの6面スライド金型使用のEパーツ。 足元は三角形ながら立ちあがるに従い円形に収束していくスカイツリー独特のシルエットがわずかワンピースの部品で再現されています。今年はワンピースも大ブームだったな(関係ねぇ)こちらのパーツもポリプロピレン製です。このサイズで強度と柔性を保ったまま、スナップフィットで組み立てられる製品構成となっています。塗料が乗るのかちょっと不明…なのですけれど、はたして塗装する必然があるかどうか。 それと本製品、久しぶりに「アンケートはがき」が同梱されていました。ちょっと懐かしい印象を受けると同時にメーカーサイドでもいろいろ試行してるのだろうなあと。よくコレクターズ事業部の製品にアンケートサイトへリンクするQRコードが同梱されているのと同じようで、実はちょっと違う。 組み立てにあたってはまず第一にLEDの点灯テストをやっておきましょう。ここがちゃんとしてないと目も当てられません。そして水色のライティングに青の背景用紙の組み合わせも、やっぱり目も当てられない… 内側のトラス構造は3個のパーツで円筒を形成します。 説明書の手順では先にDパーツをベースに差し込みその上からトラスを被せるようになってますが、先にトラスをベースに差してその内側にDパーツを通した方が組み立て易いように思われます。 Dパーツは第二展望台の位置まで突き出る形になります。思いのほか高さがあって撮影スペースを食います(笑) 第一展望台の組み立ては似たようなサイズ・形状のパーツを組み合わせるのが難儀に思えるかもしれませんが、パーツNo.の刻印や取り付けダボをきちんと確認すれば間違えることもないでしょう。この過程で使用するパーツはトラスのC1パーツ以外すべてAランナーの枠内に収まっているので、とても組み立て易く全くストレスを感じない。この辺のセンスは流石でシステムインジェクションで成形する理由はちゃんとあったのだなと、浅薄な自分をいささか反省しました。 こんな状態でよくテレビに出てた印象もあります。浅草の、駒形橋の交差点からよく見えたものです。 第一展望台のクローズアップ。いや絵的に地味な画像が続くもので… 第二展望台は外側に大きく張り出した「空中回廊」が特徴です。実際はちゃんと床も壁もありますが、このサイズの模型では一本の透明チューブで却って未来的に見える(w 位置関係はこんな感じになります。二階建ての第二展望台でA8からA11への外付け階段になってる実際の構造を判っていれば組み立ても容易だ。いや最初は判ってなかったんでねー。 先端のアンテナ部分もポリプロピレン成形で安全性にも配慮されています。実は先日私的に六本木ヒルズに出かけたのですが、展望台の売店でD社のスカイツリーが売られてたのですよ。モデラー向けというよりはお土産、家族連れによいのかなーと、そんな観点も大事です。 完成すると30cm弱の高さになります。テレビの上に置いておくにはちと大きいですねえとか言いたいところですが、最近のテレビは上に物を置いたりしないのであった。ああ、昭和は遠くなりにけり… 1/700スカイツリーには同スケールのガンダムが初回限定で付属していましたが、こちらは1/2400ですので300円のホワイトベースやグワジンと並べてスケール感覚を体感しよう!無意味過ぎる!! 水色の「粋」と江戸紫色の「雅」を、あくまで~風のイメージですが2種類の電飾をツリー本体の内と外から照らします。弁解がましい言い方ですが、製品実物はもっと綺麗に光ってます。画像があまりパッとしないのは撮影したヤツの腕前の所為なのです… と、こんな感じであります。アニメにはよく登場していますが特撮映画でも見たいものですねスカイツリー。とはいえゴジラに出すにもデカ過ぎる建築物であり、ブチ壊すにもクレーム来そうでああ、ウルトラQでケムール人を倒した東京タワーみたいに活躍させるのはどうかな? それではみなさま良いお年を。年末年始もエンジョイ、モデリング!(AMのフィル調)←去年もやったな。

大日本絵画「クロムウェル巡航戦車 1942-1950」

オスプレイミリタリー「世界の戦車イラストレイテッド」シリーズNo.35はイギリス陸軍クロムウェル巡航戦車を扱っています。シリーズ既刊の3冊(「チャーチル歩兵戦車」「マチルダ歩兵戦車」「クルセーダー巡航戦車」)と併読されればしばしば問われる「第二次大戦中のイギリス軍主力戦車ってなんだったの?」という疑問にひとつの答が見いだせるものと思われます。 本書に巻かれた帯には「名機スピットファイアエンジンの戦車版を心臓にWW2イギリス戦車最高の成功作となった快速巡航戦車クロムウェルシリーズの開発と変遷を解説。」と個々の単語を大文字で強調した非常に景気の良いキャッチコピーが踊っています。そう、我々模型業界を中心とした趣味の戦車ファンはどうしても戦車の外観から入ってしまいがちなのですが、実際に職業・任務としての戦車人にとって重要なのは中身ですね。エンジンこそ戦車の死命を制する重大な要点なのでこの帯は実に正鵠を射ていると言えるでしょう。そしてこのキャッチーなコピーの中でも本書内容を最も適切に示している単語は 「シリーズ」 だと思うの。 そんなわけで本書ではまず「名機スピットファイアエンジンの戦車版を心臓にせずWW2イギリス戦車最高の成功作とならなかった試作巡航戦車キャヴァリア」から話がはじまります。一見するとさっぱり区別がつきませんし、そもそも開発当初はこの戦車にこそ護国卿クロムウェルの名が与えられる予定であったと面倒臭いことこの上ない話ですけど、これはクロムウェルじゃないのだ。 A24巡航戦車MkVIIキャヴァリアの基本構造は1942年初頭には形になっていました。が、車体と武装は戦訓を経た新規のものでもエンジンや内部機構が従来のクルセーダー巡航戦車のままであった本車は開発段階からすでにその性能に疑問が持たれ、生産は限定されます。キャヴァリアに搭載されたナフィールド社の「リバティー」エンジンに代わってロールスロイス社製航空機用エンジン「マーリン」を車両用に改修した「ミーティア」エンジンを搭載する改善プログラムこそがクロムウェル戦車の真髄なのです。 なのですが。 こちらもまた、クロムウェル戦車ではありません。これは操行装置を新型に変えながらもエンジンはリバティーのままなA27巡航戦車MkVIIILセントーです。代打要員的に本車が開発された背景には航空機生産が優先されミーティアエンジンの供給不足が懸念されていた1942年当時の情勢がよく言われますが、本書記述によればナフィールド社の社主であるナフィールド卿の影響力もいろいろあったようで。どこの国でも新型戦車開発にあたって似たようなトラブルが生じるのは「世界の戦車イラストレイテッド」シリーズ読んでいると既視感過ぎにも程がある(笑) 詳細を見て行けばクロムウェルとは様々に異なる特徴を持つセントー巡航戦車は、搭載エンジンをリバティーからミーティアへ換装可能な配慮(というか元は同じ車両だ)こそされていたものの結局換装は見送られ、ほとんど実戦に参加することなく単なる資源の無駄として終わることになります。代打でスタンバイする内にイニング変わっちまったよ―なものですなあ。 製造過程に於ける様々なトラブルを乗り越えて1943年4月、ようやくA27巡航戦車MkVIIIMクロムウェルの量産第一号」が配備されることになったのです。まさにクロームに輝く、 ヴェールを纏ったか… の、ごとく…?? この小汚い車両が何かと言いますと、これこそがクロムウェル巡航戦車なのです。 あーいや、これが量産第一号車というわけではありませんよ?似たような戦車の写真が続くのもなんですので、ドイツ戦車のを真似て塗布されたツィンメリットコーティングを施した状態のクロムウェルです。連合軍がこれをやってたというのはかなり珍しい記録で大変興味深い一枚。被弾するとボロボロ剥がれたとかで大した実用性も無かった模様ですが…吸着爆雷よりパンツァーファウストに備える方が急務でしょうし。 珍しい写真は本書にいろいろ掲載されておりまして、こちらはセントーIII対空戦車MkII。面白い存在ですが面白さを説明するのが大変。えーと、どこが面白いかと言うとー、これはこれでよく出来ていてー、クルセーダー対空戦車と交代する予定だったのにー、 まあいらないよね(´・ω・`) 制空権取ってるもんね(´・ω・`) ってところが面白いと思いまーす。開発担当者がどんな気持ちだったかなんて総力戦には関係ないよね(´・ω・`) 珍しいと言えばこれ。ひと昔前の比較的初心者・入門者向けの戦車本には「未来の戦車はこうなる」的な章立てでよく掲載があったオーバーヘッド・ガンマウント構造の自動装填砲システム。COMRES-75というネーミングは本書読んで初めて知りました。冷戦時代、1968年に英独共同で開発されたテスト車両で車台はコメット巡航戦車のものを使用しています。現実の未来に戦車はこうはならなかったけれど、その遺伝子は米軍のストライカーMGSに受け継がれているのかな?かな? 若干話が前後しますが本書ではクロムウェル以降の巡航戦車、具体的に言えば17ポンド砲搭載のチャレンジャー巡航戦車とそのバリアントであるアベンジャー戦車駆逐車の開発も記述があります。こうして並べるとイギリス人は第二次大戦中に似たような戦車作るのが最後まで大好きだったんだなあと、思わざるを得ない。むろん用途と配備部隊が異なるという事情はありこそすれですが…。 結局、大戦末期に現れたセンチュリオン巡航戦車が巡航戦車とは名ばかりのあらゆる任務を全う出来得る真の意味での主力戦車に なったかといえば、 そうでもない。 戦車業界的には冷戦の開始はベルリンパレードのスターリン3重戦車から始まるのですが、その当時にセンチュリオンの生産配備は遅れても主砲となる20ポンド砲は潤沢に供給され、おまけに前線に投入し得るクロムウェル車体が山ほどあったんで世の必然としてFV4101チャリオティア戦車駆逐車が開発されました。相手はいつなんどき大惨事を始めるかわからない死にかけたスターリンですんで無理を通して急げ急げ。ってな社会情勢を鑑みればチャリオティア戦車駆逐車の正面装甲厚がたったの38ミリだったなんてささいなことですねー。鬼かよ。いや紙です。 おそらく本書の内容でもっとも価値が高いのは、キャヴァリア~セントー~クロムウェルと三代に渡って(?)似たような戦車が作られ、それぞれの車体にマークとタイプで異なる箇所の精密な分類表だと思われます。他にも生産数や配備先部隊などの表関係は幾つも掲載され、イギリス戦車研究家諸氏にとっては必読の書と言えるでしょう。AMのフィル連載が単行本化されればなおよいが… 戦場におけるクロムウェルの活躍も勿論記述されています。最も有名なのはヴィレル・ボカージュの戦いにおける いや、この話はやめよう(´・ω・`) カラーイラストからタミヤのキットにもなったセントーMkIV近接支援車両。95ミリ榴弾砲を積んだ王立海兵隊向けの特殊車両で、ノルマンディー上陸作戦に使用されました。オリジナルの計画ではエンジン降ろして余分に砲弾を積み単なる洋上砲台とする案でしたが、実際には上陸後も通常の任務を続けるようにエンジン・駆動系も残されています。アバロンヒル社のボードゲームじゃ1ターンで除去されるんだけどな! 尚、本車セントーCSについて「セントーで戦闘に使用されたのはこれだけ」などとありがちな冗談をドヤ顔で語る人間はすべて全員、ロンドン塔へ幽閉されます。 そして今も昔もヨルダン陸軍はイギリス戦車の養老院か「象の墓場」みたいな立場なのだなあと思いを馳せつつ。湾岸戦争後に売っ払われたチャレンジャー1って、その後どうなったんだろう… 末尾になりますが、本書並びにオスプレイのWW2イギリス戦車本既刊3冊を通読された方ならば「第二次大戦中のイギリス軍主力戦車ってなんだったの?」という問いかけに対してひとつの、そして明瞭な答えを返せることと思います。 第二次大戦中のイギリス軍主力戦車は、 M4シャーマンです (`・ω・´)bビシッ

ICM「ソ連戦車兵(1979-1988)」

ロシアじゃない、ソ連である。そこが大事なんです。なICM製インジェクションフィギュア。 以前の版では写真、それも完成品ではなく単に「それっぽい記録写真」をボックスアートに据えるという大胆な製品構成でしたが(リンク先参照)、現行ではごく普通にイラスト箱です。そして以前の版では写真には3人の戦車兵が写っているのに箱裏には四人の説明イラストがあるとゆーこれまた大胆な構成でしたが、 今回もボックスアートでは3人なのに、側面には4人いるのだ。 なぬ!?と目をクレムリン宮殿の星飾りのように大きく真っ赤に見開いて注目!注目!!したらようやく事のカラクリがわかりました。何一つ説明されていませんが、一体だけ頭部がコンパチで2種類組める、3体セットの製品なのです。ボックスアートは正しかったのだ。記録写真のヤツはポーズからなにから全然違っていたのだが… 1979-1988とある通り、冷戦末期に起きたアフガニスタン侵攻をモチーフとしたフィギュアです。「ソ連のベトナム」と呼ばれた泥沼のアフガン侵攻は国際政治の転換点となり、冷戦構造崩壊の一因ともなるのですが、それはともかくとして1本製品自体は970年代からの典型的な「共産圏の戦車兵」セットとして扱えるでしょう。 装具関係はシンプルなものですしカラーリングも単色でありますし、組み立ても塗装も実にシンプルなフィギュアです。 伝統の戦車帽は3パーツ構成。その昔上野アメ横の中田商店でこのタイプの戦車帽(たぶん、中国軍の)が売られてて猛烈に欲しかったんだけど、冷静に考えたら使い道が無いので買わずに済ませて良かったのか…な。あー、サイト見てみたら売ってますねぇ、いまでも。ふむふむ。 前述したようにフィギュア3体入りなのですけど、一体が頭部コンパチで2種選択式なので、頭部ヘッドは合計5個入ってます。 えっ。 うん、ホントにそうなんだ。組み立て指示のどこにも使用が説明されてない頭が一個、余分に入ってるのよこのキット… でも、足りないよりはずっといいよネ(`・ω・´)b ビシッ!! とロシア的おおらかさに敬意を表して組んでみます。 車外に立ってなにか伝達している戦車兵。 砲塔ハッチを開いて腰掛け、開いたハッチに手をかけている戦車兵。車長の位置に据えるのがよいでしょう。ちなみに彼だけは戦車帽から通信装置用のプラグコードが伸びている。 車体側面にもたれかかっている彼は戦車帽の有無を選択することが出来ます。リラックスしたポージングから、帽子を脱いでる方を選んでみました。 帽子を被った頭部と帽子を持たずに伸ばした腕、そして使途不明の頭。(支持が無いだけでおそらく他の2体どれかにマッチするのでしょうけれど) 3体セットというのもミリタリー関連のインジェクションフィギュアでは珍しいような気もします。その分お値段リーズナブル、さらにただいま割引中でもあります。このセットの設定年代の旧ソ連軍AFVなら代表的なアイテムはタミヤのT-55Aでしょうか。また最近ではトランペッター社がずいぶん積極的に展開していますから、ASU-85やIT-1などと組み合わせても良いでしょう。 ところでこのひとたちは何をしてる所なんでショ?などとふと思う。残念ながら手元にはT-34しかソ連戦車の完成品が無いし車長ハッチは閉じてしまってるのだけれど、とりあえずフィギュアを展開してみたらなんとなくわかりました。 余分だと思われていた頭部はこれで正解でした。 アフガン侵攻の頃レーガンが「ソ連は悪の帝国だ」って言ってたのは正しかったな((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル

光人社「写真で見る 日本陸軍 兵営の生活」

玄人好みの一風変わった旧日本軍研究書籍を精力的に執筆されている藤田昌雄氏の著作。今回はある意味実にストレートな、兵隊そのものにスポットを当てた内容です。 徴兵制度と入営から始まる軍隊生活の日常を、様々な資料などから丁寧に解説されたボリュームのある一冊です。当ブログの形態から画像を主とした紹介になりますが、本当に価値があるのは本文の記述、文章の内容であることを、申し添えておきます 本文は大別して5部構成になっています。「第1部 徴兵」では明治に始まり昭和初期にまで至る徴兵制度の変遷、全国を地域ごとに分けた管区と実際の試験手順、兵士への教育方針などの記述。「第2部 兵営の生活」は本書中もっともページ数が割かれた部分であり、内務班で営まれる起床と就寝、食事に洗濯、入浴や衛生、更には教育内容や敬礼の仕方、儀式など枚挙に暇がないほどの内容。以下「第3部 勤務」「第4部 教練と演習」「第5部 記念行事」となっています。当時の記録写真のみならずマニュアルから引用された図版、わかりやすい表を駆使した解説はこれ一冊を熟読すればいつ赤紙が来ても安心death!! な、内容であります。あくまで公的な制度、平時に運用されているシステムについての本なので例えば陸軍内務班の実態を告発とか、そーゆーもんでは無いですハイ。(「私的制裁」項目もありますが) 例えば兵営内にごく普通に置かれている「腰掛け」であっても、それらは漫然と置かれている訳では無く、厳密な仕様書に基づいて製作され、必要に応じて設置されているものであると、そういうことを説明する本と言えましょうか。旧日本陸軍とは日本の歴史上に於いて最大規模の官僚組織でありましたから、当然官僚的に運営されているのです。 例えばこの一枚の写真、一見するとチグハグな応対をしているように見えますが、実は兵士それぞれが各々の状態(帽子や手荷物の有無、立ち位置の違いなど)に応じて適切なタイプの敬礼姿勢を取っている様子です。その事実を詳しく説明する筆致もさることながら、情報量の多い写真を探し出してくることがそもそも目利きの技と言えましょうか。 資料的価値は高いので、例えばTVドラマや劇場映画の時代考証に難癖付けるには良い手引きになるでしょう(笑)そしておそらく最も役に立つのは コ ス プ レ じゃないかな?歩幅とか駆け足とか所作のひとつを取っても様々に規範と規律が有るのが軍隊です。だらけた兵隊は画になりませんな! まるでコミケの最終日である。ワンフェスでもよく見かける。旧日本陸軍兵士も人の子であるので、そりゃグースカ居眠りもしますわなあと、そういう本でもあるのです。表紙の写真もそんな感じのものですから、そこに秘められた意図を感じたいものですね。いつも厳めしいばかりのフィギュアだけではディオラマの種も尽きるというものです。 本書いちばんのツボ、リアル猛犬連隊キタコレ(w)巻末毎度の著者近影とか、やはりコスプレ要素の高い本ではある… 旧日本軍、軍隊というものに対して人が持つ気持ちや思いは様々でしょうが、これは明治大正から昭和初期にかけて確かに存在した風景であり、現在では失われた要素もまた在るだろうと、そんなことを思う訳です。例えばこの一枚の写真をみても旧日本軍と現在の自衛隊との違い、二つの組織の差異は明らかなのです。 …主に馬車とかです。しかも便所の汲み取り用ですコレ。

バンダイ「1/144 HG ガフラン」

第一世代もそろそろクライマックスの「ガンダムAGE」シリーズからハイグレード・ガフランの紹介です。 ※番組内容についてはあまり触れない方向で行きたく思います。 アンノウン・エネミーすなわちUEの主力となる「MS型」兵器です。ガンダムシリーズらしからぬ異形の形態ですが、ゼータガンダムで一番好きなモビルスーツがハンブラビだというひとには親しみやすい形でしょう。 「ゼータガンダムで一番好きなモビルスーツはハンブラビです」って言うとみんなヘンな顔します。なんででしょうね。 我らがガッキーこと石垣純哉氏によるデザインのモビルスーツがガンプラ化されるのもなんだか久しぶり。Vガンダム以来?あー、Xの時はジェニスとドートレスがLMモデルで出てましたな。 そもそもガフランってモビルスーツなの?という疑問もありますがその辺深く考えるのはやめよう。だいたい「ガフラン」って名称でさえ、3カ月たっても誰にも呼ばれないんだからな… シールは小っさめ、関節可動にはPC-001Aポリキャップを使用。PCの使い方が異なるのでAGE-1の腕をそのままゲイジングするのは無理ぽそうですが、ジェノアスはイケます。脚はダメかなー。UE勢は普通に組み替えられますけれど、それは普通すぎて面白みに欠けるぞ。 これまでのガンプラには無いような組み立て過程を経るので、製作自体は新味に満ちて面白いもんですな。両腕基部は一個のジョイントを左右のボディパーツで挟み込むスタイルです。 さらに大径ボールジョイントを2個組み合わせた引き出し式のブロックを装着します。変形パターンとの兼ね合いがあるので、肩ブロックはかなり大きく引き出す事が可能。 ボディ後方に構造物を取りつけるのはガンプラではいつものことですが、ガフランではこの部分が頭部と尻尾を取りつける基部となります。脊椎動物のような構造で、有機的なデザイン。第一世代UEでは「バクト」がほぼこれに準じる構造ですが「ゼダス」は違うと、ふむふむ。 頭部はヘルメット状の位置に開傘構造を持ち、「下アゴ」部分も可動軸が存在します。劇中、センサー部に命中したペイント弾をビームサーベルでこそぎ落とす様はなかなか面白い演出でした。 …このキットってビームサーベル付属しないんだけどね。             \(^o^)/ …いや、なんとなくね。 完成した頭部を前と横から。サイドアーマーのように見えて翼のように左右に開き、実際翼のように機能する…らしいです。バクトが姿勢制御に使っていました。推進系の機構を防御に使用することの是非はガッキーに聞いてくれ。 手首は握り手と指を開いてビームバルカン砲口が露出した状態とが付属。ご覧の通り「両親指」で左右の区別がありません。この辺りのデザインも面白いところです。ほんでこのビームバルカンが同時にビームサーベルの発振部分なのですが、あいにくと刀身が付属しません…。ちなみにクリアイエローのビームサーベル刀身はHGUCのジムIIに入ってまして、無加工で流用が可能です。既定事実です。 肘は二重関節ですが、可動範囲はあんまり広くは無いかな。画像では解り辛いですが上腕部分に回転軸アリ。 肩関節の引き出し部分と指先のカギ爪形状で「襲いかかる」ようなポーズは取らせやすいですね。 マイケル・ジャクソンの「スリラー」が踊れそうではある。 細めの脚部は膝関節が幅広い可動範囲を持ちますが、足首部分がほとんど動きません。真っ直ぐ立ってるだけなら問題ないのですが、上半身にボリュームの集中するガフランでは若干不利かなー。形状自体はまあ、靴である。 むしろこの靴底部分にシール貼れという無茶な設計は担当者を小一時間ほど(ry いくら一家に一台アクションベースが常備されてるようなご時世でも、こんなところ見せないでショ普通!ジェノアスなんかはどうせ見えないからって靴底スカスカ処置なのに、この温度差は不思議だ… 股関節の可動、前後はまったく干渉物が無いので自由自在に動きます。 その反面左右にはあまり広がりません。足のライン自体はアスリートのような引き締まった形状です。 むしろ問題は「閉じない」ことにあるのかも知れません。細身の足を交錯させて上半身のボリュームを際立たせるのは羽根付きメカでは定番のシルエットなんだけど、中途半端に開いた位置までしか動かせない。 また股関節軸が太い1パーツを肉抜きした構造なので、いささか折れ易いとの話もチラホラ… 長大な尻尾はビームライフルになります。バクトと並んでガンダムAGE第一世代登場機種では大型の火器ですが、あんまりアドバンテージを感じないのは長距離射撃をやらないからかな。 2か所の蛇腹部分が自在に動いて自由に砲門を指向するデザインなのでしょうが、いかんせんこのサイズのプラモデルでそれを再現するのは難しい。難しいデザインを描いちゃうのはどうなんだろうと、些細なことですがデザイナーと開発スタッフ間の疎通がダブルオーの時ほどスムーズではないのかと思わされるトコロ。 尻尾と並んで2枚の大きな主翼がガフランのシルエットを形作るポイントです。このパーツが何らかの作用を成して宇宙空間を推進するのがUEテクノロジーで、特に推進剤を吹きだすようなロケットモーターで加減速してる訳では無いらしい。ハンブラビやキュベレイの頃にデザイナーの(まあ、永野護の)意思とは無関係にバーニアを設定しなければならなかった時代とは雲泥の差で、いやさデザインと世界観は随分進歩を遂げたものですな。 どういう仕組みでそんな動きが出来るのかはサッパリ不明である。アレだきっとほら、GNドライ(ry 外翼部分はボールジョイント基部でよく動きます。この部分MS形態ではフロントスカートの位置に来て防御構造の一角になるのですな。推進系を防御構造に用いることの是非は是非グレメカあたりで解説して干し芋。 全部取り付けて一応完成。正面からみるとちゃんとモビルスーツしているデザインなのは流石だなガッキー!そして真後ろからでは全然ピントが合いません(笑) 装備品無しの人型で素立ちさせるとテッカマンブレードの雑魚と言われて信じてしまいそうな形状なのだが。 このデザイン、初見以来「頭巾と羽織」に思えて更にカラーリングで忍者のように、具体的に言うと「影の軍団」シリーズで服部半蔵を演じる所の千葉真一のように見える!と思うのだけれどまー賛意はそれほど求めません。 若干前のめりになっても尻尾でバランスを取ることが出来る。なんだか翼竜の生態を学んでいるような気分だ!だからなんだと言われれば答えようも無い。 例のポーズはAGE-1ほど自然には出来ません。やらんでもよいとも思いますが。 ビームライフルを劇中同様肩口に担ぐことは可能ですが、やはり劇中で見られる小脇に抱えた状態にするのはかなりの難行で自由なポーズはとれませんのだううううむ。 まーこのキットのいちばんの売りって変形でしょうから、MS形態時のポージングに若干難アリなのも致し方ないのかな。可動範囲が広い部分の関節は、飛行形態への変形機構の為なのです。 現在3種リリースされているUEのMS型では最もシルエットが変化するガフラン、やっぱり敵側の量産機って番組のイメージリーダーのひとつではあろうかと思われ。 だたUE3機種どれもそうなんですが、フレームではなく関節部分だけで変形機構を担わせるデザインなので、「変形」ではなく単に手足がそういう「ポジション」に位置してるだけにも見えるとゆー、なんつーかその、ゼダスとバクトはあれは本当に「変形」なのかガッキー!あ、靴のつま先がカギ爪になる機構はシンプルで印象ががらりと変わる流石の技です。 そして人型の関節部分だけで変形機構を担わせたデザインは、飛行形態でポージングしてるといつのまにかMS形態にもどってるー!という羽目にもなったりだ。 あ、なんかこれデビルマンみたい。ミドリ色に塗ろう。 Vガンダムの時もガンダムXの時もそうなんですけど、石垣純哉氏によるMSデザインってひと目で所属陣営がわかる系統立てのはっきりしたデザイン群になる反面、個別の機体形状はどれも似たり依ったりに成りかねない諸刃の剣でもあるのだなーと、ガンダムAGEの時にもやっぱり思うのであった… そこでひとつひとつのキャラクター、特徴をアピールするのが番組本編の仕事なのでしょうが、現状はどうもね。 ガンダムAGE-1ノーマルと比較すると大柄な印象です。個人的にハンブラビが好きだっていうのもヤザン・ゲーブルのキャラクター性に依るところが多いから、その点でもガフランって存在感が不利な感じ。日本語がヘン。 一話の戦闘シーン、こんなんだっけ?無料配信されてるんで見直そうかと思ったけど、まあいいかと思い直す。しかしガフランって第二世代以降本編に出てくるんですかね?型落ちの旧式でもたまに出てきて活躍したりすればアピールする余地もあるんだけど、そういうツボを押さえたつくりって期待できるんだろうかなぁ… ああ、結局気がついたら番組内容について愚痴ってる。いけませんね… むしろこの画像でも解る通りに腹部の拡散ビーム砲のクリアーパーツがちっとも目立たないことを、愚痴るべきなのかも知れない(苦笑)

アオシマ「1/72 月周回衛星 かぐや(SELENE)」

「selenological and engineering explorer」略してSELENE計画の主要部分を占める探査機につけられた愛称は「竹取物語」のヒロインから採られた「かぐや」。開始当初に「せめて3つは続けたい」と担当の方が仰られていたアオシマスペースクラフトシリーズも堂々のNo.5製品です。 ところでGoogleの機械翻訳にただ「selenological and」と打ち込んだだけで即座に「かぐや」と変換されるのは誰の陰謀だ(笑)実機は2007年9月14日に打ち上げられ(HII-Aロケット13号機を使用)日本の衛星探査としてはかつてないほどの成功を収め多大な称賛を受けた後、2009年6月11日に運用を終了。探査機は月面に制御落下しその役目を終えました。かぐや姫は月に帰りました。 「現代萌衛星図鑑」の表紙を飾った人工衛星としても有名な「かぐや」は、これまでのスペースクラフトシリーズとは一線を画した漆黒の機体が特徴です。シックなおとなのよそおいですねとか軽々に言ってしまってよいのだろうか… 本来シルバーである部分は実機では鏡面仕上げになってる箇所も多々ありで、綺麗に塗装するのは結構手間が掛りそう。しかし衛星本体の資料ってあんまりないものですね。 太陽電池パネルがクリアーブルー成形なのは、第二弾HTVからの、スペースクラフトシリーズの基本フォーマットだと言ってよいかと。 そして撮影するのをすっかり忘れていましたが 月レーダサウンダー用の金属線が4本付属します… 縮尺もHTVと同スケールの1/72モデルです。このシリーズこれまでに「はやぶさ」しか組んだこと無かったのですが、観測機器も多く搭載されている大型衛星はディティールやギミックもいろいろ。 メインエンジン周辺のトラス構造は面白い形状です。しかし黒一色の部品って撮影し難いものだな… 太陽電池パネルの表面にもディティールいろいろ。そしてやっぱり撮り辛い。 例によってカタチそのものは単純なので、プラモデルとしては組み立て易いものです。「はやぶさ」と違ってアンダーゲートもないのだな。実際には「ブラックカプトン」と呼ばれる導電性の高いフィルム素材に覆われたための黒色なのですが、それを上手く再現する方法はちょっと思いつかないな… ところでなんとなく「棺桶」を連想。黒いからねえ。 トラス部分は8個のパーツをうまい案配に並べて綺麗な八角形を形作る必要があります。この辺ダボ形状を工夫するとかでもうちょいと「決め打ち」出来たら良いのになーと、思わなくもないです。メインノズル以外のスラスターが省略過多なのは、このスケールでは仕方が無いんでしょうけど。 2個あるパーツNo.10の取り付け角度がいまひとつ不明だったのでいろいろ調べてみたら、そもそも形状がぜんぜんちががががががが と、ゆーかですねえ、ここんとこって「スタートラッカ」と呼ばれる天測航法装置なんですけどー、打ち上げ前にJAXAで公開した際の、カバーで覆われた時の状態をそのまま立体化してるっぽいぞーと …うん、あんまり難しい事を考えるのはやめよう。手軽に組める、よいアイテムです。 ハイゲインアンテナ支柱パーツNo.24の取り付け穴はいささかタイトなので、若干広げた方がよいです。無理に突っ込むと中でピンが折れてずっとカラカラ鳴ってるとゆー怪談めいた話になるかもしれませんよあくまで仮定のSFてき話題ですよ? アンテナ本体はつねに地球に指向されています。本キットで唯一「表情」を持たせられる箇所なので「かぐや」と月、地球の位置関係を考えて自由に設定してください。 2個搭載されている子衛星はクリアパーツの壁で床と天井を支えるツーバーフォー建築みたいなパーツ構成です。 リレー衛星の「おきな」、VRAD衛星の「おうな」、放熱板の形状の違いが識別ポイント…で、上部(なのか)に放熱板3つあるのが「おきな」で2つの方が「おうな」である、と。この画像で左がおきなの右おうなですわ。 「かぐや」本体への取り付けはスナップフィットでも十分イケる、取り外し自由のものです。が…取り付けたままのほうが宜しいかと思われます。 がらりと印象が変わる月磁場観測装置のマスト。無動力で展開できるすぐれものの構造です。キットでは短縮された状態のパーツも選べますが…伸ばしたままの方が良いかと思います。 大型の太陽電池パネルを取り付け、 四方に伸びる月レーダサウンダーを金属線で再現すれば「かぐや」は完成。なんだかアメンボみたいである。 一見して判るように完成した「かぐや」はかなりの空間を占有します。展示スペースにもよるのですが、出来るだけ無駄なく飾ろうと思ったらあんまり展開させない方が良いのですけど… 飾り台はシンプルなものです。 本体のこの位置で支えるカタチになります。それで本体の重心よりも太陽電池パネル部分の兼ね合いにもよるのですが、割と落ちやすいです… 故に本体前方に子衛星を乗せたりアンテナマストを展開してバランスを保っておいた方が、いろいろ安定して良いかなと思われます。いや、飾り台と衛星本体をがっちり接着してしまえば特に問題になるところでもありませんが… 「かぐや」に要求された観測ミッションは全部で15あり、任務に応じた各種の観測機器によって大きな学術的成果を上げました。その全てを挙げるのは自分の手では負いかねることですが、例えば月内部にトンネル状の大空洞を発見したことは松浦まさふみのガンダムコミック「ムーンクライシス」ファンとしては嬉しいなあ。だれか月面アッグ作ってくれ。 報道見ながらそんなことを思いましたねぇ。ちっとも学術的じゃありませんな(w でもね、「かぐや」の達成した任務で最も大きな成果を挙げた、もっとも大勢の人に知られたミッションは、学術とは縁遠い所にありました。 NHKの開発したHDTVカメラによって撮影された多くの映像、美しい光景はテレビに流され出版物に流布し、大勢の人に月と地球とそして宇宙のことを知らしめます。インターネット上のアーカイブに保存されたこれらのデータによって、我々はこの先もずっと「かぐや」の旅路とその功績を忘れ去ることはないでしょう。 嫦娥1号のことは忘れて良いでしょう。 そのHDカメラですが、キットで言えばこの部分に格納されています。そういう大事な情報は是非取説に記しておいてほしいものですけれど、悪い意味でアオシマスタンダードな、周辺の情報は何にも記載が無い組み立て説明書なのですな。 と、いうわけで本記事執筆にずいぶん参考になったJAXAサイト内の「かぐや」公式ページのURLを貼っておきます。当然、キット製作の参考にもなるかと思われます。 http://www.kaguya.jaxa.jp/index_j.htm いろいろありましたけれど、やはり完成してみるとよいものですね。PCモニタ画面に月の画像を映して簡単な特撮(?)。「プラレス三四郎」で唯一プラレスラーを使わなかったディオラマ対決の回がさーとか言い出したらその人は重度の昭和病ですから隔離されるべきです。

大日本絵画「スピットファイアMkVのエース 1941-1945」

イギリス空軍のみならず第二次世界大戦のレシプロ戦闘機を代表する機体のひとつ、スーパーマリン・スピットファイア。オスプレイ軍用機シリーズNo.34は戦争の全期間を通じて生産配備された機体の中から、シリーズ最多の製造機数と幅広い使用実績をもつMkVだけにスポットをあてた濃厚な一冊です。 いわゆるバトル・オブ・ブリテンを戦ったスピットファイアMkI/MkIIの発展後継機としてMkVは生まれました。改良案として当初は機体の設計、生産ラインまでを変更するMkIII、さらにロールスロイス“グリフォン”を搭載するMkIVが提案されましたが、どちらの機体案も配備までに時間を要することからあくまで機体はMkI/MkIIの基本構造を保ちつつ、エンジンのみを新型の“マーリン45”に積み替えた折衝案、いわば一時しのぎ的な機体として1941年中盤に配備された機体がスピットファイアMkVです。 そのような開発過程であったにも関わらず、MkVの性能は要求仕様に十分合致し、当時ドイツ空軍に配備されていた新型戦闘機メッサーシュミットBf109F型に匹敵するものでした。本国での防空だけではなく欧州大陸への攻勢、地中海やアフリカへの派遣と任務や活動範囲は広がり、それに伴って様々な改良も施されます。7.7ミリ機銃8丁装備のAウイングを持つVAと20ミリ機関砲2門+7.7ミリ機銃4丁のBウイング仕様VBに引き続き、装備を任意に設定できるCウイング(ユニバーサルウイング)を備えたVCの開発は大量生産に輪をかけました。後継機となるMkIXが登場した後でもMkVは低高度向けの戦闘任務機LFVとして生まれ変わり、運用が続けられました。 「サーカス」「ラムロッド」と名付けられた一連の北西ヨーロッパでの戦闘任務に続いて、本書の記述は包囲下にあったマルタ島での防空戦闘に一章が割かれています。ドイツ空軍が航空優勢を保持していたこの地域には輸送船による通常の移送が不可能であり、海軍の航空母艦イーグルに空軍機のスピットファイアを搭載して接近、発進の後マルタ島空域へ強行突入、そのまま着陸して防空任務に就くという航空冒険小説さながらの「スポッター」作戦が敢行されました。搭載機数が少なく飛行甲板も狭いイギリス空母からスピットファイアが飛び立つさまは、見るからに不安を誘う… 漸く配備された機体も激しい攻防戦の中ですぐさま消耗し、空母イーグルが損傷するに及んでマルタ島の危機はピークに達しました。そんな時に救いの手を差し伸べたのはやはり強力な同盟国のアメリカです。より大型の航空母艦ワスプを投入したスピットファイア輸送作戦「カレンダー」は参加要員デニス・バーナム大尉の著書から長文を引用して戦場の空気、雰囲気といったものを実戦さながらに記述しています。強行着陸後即座に弾薬補充、パイロット交代でそのまま迎撃戦闘に参加とまるで活劇。マンガのようだが無論事実である。カレンダー作戦の後、ようやくマルタ島の優位は守られます。今回もまたスピットファイアは救国の戦闘機となったのです。これは単にひとつの島を巡る戦いではなく、地中海の制海権、ひいては北アフリカ戦線のドイツアフリカ軍団への補給路を制圧する重大な責務をもった戦いでした。 マルタ島関連の記述は本書でかなりのボリュームを占めています。引き続きこの島での防空戦闘に従事したリード・ティリー少尉による手記が抜粋され「あるマルタ島エースの戦術」として一章が設けられています。アメリカ人でありながら日米開戦以前にカナダ経由でイギリス空軍に参加(恋愛映画「パールハーバー」の主人公みたいですね)したティリー少尉による、新人パイロット教育用の「論文」として書かれたこの章の記述は単にマルタ島だけではなく、第二次世界大戦における標準的な米英空軍戦闘飛行小隊の編隊戦術教本として実に読み応えのあるものです。特に無線機を使用した通信について細かく説明されていて、曰く「無線電話での伝言の前やうしろによく入れる気まぐれな冗談は、すべて忘れること」「伝言は即座に、正確に言わなくてはならない」「確実に友人を失い、敵を助ける方法がひとつある。決定的な瞬間にパニックに陥って無線電話にわめいてしまうことだ“危ない!109が後ろにいる!”などと(略)コールサインが呼ばれなければ、すべての飛行隊のすべてのパイロットは自動的に反応する」 なるほど、現実はマンガのようにも映画のようには、ましてや富野由悠季のアニメのようにはいかないという教訓ですね。 その後も本書はアフリカ戦線、太平洋やソビエトといった遠隔地でのスピットファイアの戦いを記述しています。さまざまな事情が関連しながらも、結果としてオーストラリア・東南アジア戦域でのスピットファイアMkVは有効に活躍出来ず戦果もそれほど挙げていません。記述としては地味ながらも、本書のこのパートでは日本側の研究と相互に参照し、記録としては精度の高い内容となっています。オスプレイ軍用機シリーズの中でも読み応えのある一冊だと言えましょう。 いつもの機体カラー・イラストから。まずは僅か2個だけが編成されたスピットファイア夜戦部隊のひとつ、第111飛行隊のJU-H。この部隊が夜間戦闘任務に就いていた間に起きた唯一の実戦出動が真昼間だったという冗談みたいな顛末はどうぞ本文をお読みください。カレンダー作戦でマルタ島に運搬されたBR112/Xは熱帯向け迷彩塗装の上から海面上での低視認性を高めるブルーで上塗りがされています。 本文中での記述は僅かなものながら、失敗に終わったディエップ奇襲のジュビリー作戦に従事したAA853/C-WXには本作戦参加機独特の機首部識別塗装が施されています。後のノルマンディー上陸作戦における、いわゆるインベイジョンストライプの先駆けとして興味深いパターンです。BR114/Bは北アフリカでドイツの高高度偵察機Ju86Pを攻撃するために特別な改良と徹底した軽量化を施された成層圏戦闘機であり、本機の運用もまたなんだか松本零士の戦場マンガシリーズみたいですようむうむ。 以前に大日本絵画がエアロ・ディテールのシリーズを積極的に展開していた時期に、スピットファイアは同一シリーズで3巻もの書籍が刊行されていました。それだけバリエーションが多いのですが、やけに人気が高い機体だなーといささか不思議に感じたのもまた事実。今回本書を読んでみてその人気の一端に触れたような気がします。こりゃ燃えますわなあー。 マンガの「0戦はやと」にスピットファイアが出てきたのも別に間違ってなかったんだなーと、記憶を訂正する(話が古すぎる)

フジミ「1/24 スピナー」

フジミ製、未来社会の警察車両を立体化したSFプラモデルです。 このキット、発売アナウンスが成されたときには結構な話題になりましたけれど、いざ実際にリリースされたら模型雑誌等ではあまり積極的に取り上げられていないように思います。イッタイナゼデショウネ(棒読) バックトゥザフューチャーのモブメカによく似たものがあったり古くはWAVE製「サイレントメビウス」レジンキットシリーズに「謎のパーツ」としてそっくりなブツが入ってた、あのスピナーですよ? ところで、古代ギリシアの都市国家のことを「ポリス」とゆいますが、本製品は古代ギリシアとはなんの関係もありません。 だから「ポリス」はつかないんです。あくまでただの「スピナ」ーなんです。 か、どうかは判りません。詳しい事はマルシー表記のところに聞いてください。 パッケージ、塗装指示は濃いブルーになっていますがパーツの成形色はホワイトです。照明でディティールが飛んじゃうんで真っ白なのは好きくない。どうせなら灰色にしてほしい。(作りやすさの観点です) 前後の車輪、座席などのDランナーは2枚入り。 大型のキャノピー他のクリアーパーツとクリアーレッド/ブルーの2色で成形されたパトランプ類。 カルトグラフ製のデカールと「SPINNER」エンブレムのエッチングが付属します。 日本語と英語が混濁した文字類に、古めかしいアメ車みたいなエンブレム。さらにはいかにも古臭いモニターフレーム表示にこの車両の属する世界観が垣間見えるようではある。「強力わかもと」は最近見かけなくなったけど。 配線類が直接モールドされていたり、変なところでスライド金型が使われていたりといささか不思議な構成は同じくフジミの白バイを彷彿とさせます。同じような設計思想なのかナー。 組み立て自体も白バイと同様簡単なものなんですけど、なにもモールドされてないところにセンターコンソールのデカールを貼れという指示は実に漢(おとこ)らしい処置です。近未来ハードボイルドです。 シャーシー底面には12個の浮上用ノズルに加えて下方視界を確保するウインドウが存在します。空飛ぶパトロールカーならではの装備ですが、未来社会の婦人警官はスカート履けませんね。嫌な未来ですね。 しかし車体上下を接着すると片方の視界は完全に塞がれてしまうのであった…あれれ?? なおかつ、その状態で底面をみると非常にマヌkあーもとい、妙な状態になってるんでここはなんとかしたいところ。映画はどうなってたかなあ。ん?映画ってなんのことだ、知らないな。 コックピット背面もその、これはちょっと、あんまりよろしく、ない。本気でやろうと思ったらかなりの修正を要求されそうではあります。 ルーフ上にブリッジ設けて乗せられるパトランプは赤青二色、予備のパーツで無色透明のもあるので劇中同様オレンジカラーが欲しい方にも一応の配慮はあります。劇中… ニチモのマルチ台座に乗っけてみたらバッチリの飛行シーン。うんうん、浮遊していると急に実感が増すねえ。 前輪とカバーの組み換えで地上走行モードも選択できます。 車軸が上下に二つ設けられているので引き込み機構らしく見えることは見える。 四方向から見てみます。とにかく車体全体にクリアーパーツが多く分布しているので、そこの部分の処理がいちばんのキモでしょう。電飾派の方々には腕の振るいどころかも知れませんが、一部クリアーパーツ化されていないランプ部も…あるので… キャノピーと本体を跨いでいるフェアリングが完全に分断されているのは仕上げ難い箇所かも知れません。合計三か所のエッチング貼付部に一切何のガイドもないのは作り手にやさしくない仕様です。 コックピット内部も異様に空間の目立つものとなっています。もうちょっとごちゃついてた方がらしいよなーと、思います(この部分は雰囲気優先で「再現」とはまた違う処置になるでしょうね) などといろいろダメ出しはしちゃいましたけれど、やっぱり誰もが知ってる「あの」スピナーが1/24スケールのプラモデルとして手に入ることの意義は大きいと思うのです。「あの」作品でいろんなものに開眼したり、「あの」作品でいろんな事に躓いたり、「あの」作品が多くの人々に影響を与えた存在であることは確かなのです。 特にタイトルは挙げませんが。 ところで、本キットとは何の関係もありませんが、リドリー・スコット監督が作家K.W.ジーターのSF小説を映画化するって噂は結局どうなったんでしょうね?小説のタイトルはたしか… 「ブレードランナー2」 と、ゆーのであったか。

ニチモ「30cmシリーズ 高速戦艦 霧島」

「30cm」というサイズは子供にとってはひとつの「間合い」で、実に手になじむ大きさでありましたこのニチモの30cmシリーズ、現在でこそ共通印刷パッケージになってはいますが、全盛期には模型屋の棚の一翼を占める大きなボックス(むかしのプラモは今よりずっと小さな商品が多かったのだ)に迫力あるパッケージ画で一世を風靡したものです。現在でもボックスサイドのシールにその名残は見て取れます。 大昔には自分もこのシリーズで航空母艦翔鶴を作った記憶が確かにあります。刷り込みはやけに強烈で、いまでも日本の空母と聞いてまず浮かぶのは翔鶴だな。印刷パッケージにある日本艦ラインナップ見ると色々微妙で(例えば空母では赤城も飛龍もない)、まず流用ありきで作られたシリーズだったんだなァ… このシリーズのシンボルともいえるアバウト30cm長の船体パーツ。縮尺ではなく物の大きさで統一感を生みだす「箱スケール」の系統です。いまでこそあまり見られませんが、例えばバンダイの1/144ガンダムだって元はといえば「ベストメカコレクション」のフォーマットでした。 パーツはかなりの省略化が図られたものですけれど、それだけに組み立て易く壊れにくい。入門者・年少者向けキットとしてはこれでひとつの正解ではあります。タミヤの初期MMとかね。 もう1ランナー入ってて…と、よく見ればこれ一枚の長いランナーを箱のサイズに合わせて切断している。ニッパーの切り口に、人の手作業のぬくもりを感じてください。 いやほら、今の目で見て問題点をあげつらうのは簡単ですよ?でもそれってなんだか自分のお祖父さんを悪く言うみたいで嫌なんですようむうむ。 モーターライズ前提のモデルならではの動力部。配線ではなく接点金具による回路構成はミニ四駆などと同様誰でも作れる設計です。(モーター/電池は別売り) むかしは入ってなかったはずの「マルチ台座」パーツ。「To Heart」のマルチを乗せる台座ではない。(雪が降ったので冗談も寒い) さすがに古~いプラモデルなのでバリとかいろいろ大変です。それでも甲板モールドやパラベーン、三連装機関砲などがモールドされていて、やっぱり「実感」は高いと思う。 煙突部分など頑張ってるよなーと思わされるのは艦船模型では老舗のニチモならではでしょうか。なにか参考にならんかと日本模型のメーカー公式サイトをのぞいてみたら老舗というかなんというか、とにかく懐かしい気分にはなりましたが…いやしかし、イマドキMIDI音源って(汗) トラス構造部分にもここがトラス構造であるとはっきり判るようになっている。そういう意味では手抜きなく軍艦の作りというものを理解させるようなプラモデルではあります。 でも金剛榛名比叡霧島の四隻を、全部共通パーツで立体化しちゃうのはいくらなんでも乱暴だと思います(苦笑)そりゃ共通印刷でパッケージングしちゃうわけでは…あるのでしょうが… 組み立てはホント、簡単なものです。小学校低学年の方でもウォーターラインシリーズより手軽に組めて、プレイバリューは高い。レバーを倒すと通電する仕組みも非常に組み立て易い。そして、 *プロペラ回転機能つきですが防水機能はありません。スイッチ部やシャフト部その他各自で走行目的にあった防水をしてください。 などと恐ろしい一文が説明書に。伊達に「日本で一番池や沼に沈んだプラモデル」と呼ばれてるわけではないのだ! 特に浮力を講じる対策が施されてるわけではないので、実際にモーターライズで航走させようと思ったら発泡スチロールなど封入されるべきでしょう。またパーツ構成が単純で内部空間にも余裕があるので、市販の船舶RCから内部メカを流用するには都合がよいともっぱらのウワサ。 モーターの出力軸とスクリューシャフトはゴムパイプで繋ぐようになってます。そして画面右側の四角いジャングルこそ悪名高いグリースボックスである。 ・グリースボックスには、ポマードやソフトマーガリン、グリースなどをつめこみます。 当時の小学生建艦人にとって最も手軽に入手出来たのは冷蔵庫の中に収められていたマーガリンである。可塑性も高く容易に充填が可能、且つ少々抜き取ってもまず発覚しない点でもマーガリンは利用頻度の高い貴重な戦略物資であった。 しかし、マーガリンは常温で溶解する植物性脂肪である。 この「マーガリンを入れろ」という指示が入手のし易さから出されたものなのか、それとも意図的な浸水と沈没を誘発せしめて次なる新造艦艇を購入させようとするメーカー側の陰謀であったのか、未だに判然としない。風呂桶を油膜だらけにして戦略的ゲンコツを受けた海軍関係者は枚挙に暇があるまい。 スクリューもゴムパイプの輪切りで船底と接続される。いつか知らないうちに抜け落ちそうな気がする… 艦橋はひとつひとつのフロアを重ねていく、実艦同様の構造。その中央には金剛型の特徴である三本マストがしっかり通っているのでちゃんと仮組してクリアランスを出しましょー。組み立てながら軍艦の構造や仕組みを理解できる、よい設計だと思います。 やっぱり軍艦、特に戦艦って「城」だなーと思うのですよ。そしてパーツリストにはそれぞれのパーツが一体どんなものなのか、ちゃんと名前が記してあって嬉しいところです。 大砲乗せるといろいろみなぎってくる。なんだかアイアンロックスみたいですよ!(例えがヘン) しかしこのキット最大の問題点は副砲の数が全然足りてないことです。金剛型戦艦には左右両舷あわせて16か所の15cm副砲用砲郭が存在しキットの船体もそのようになっているのですが、肝心の副砲は10個しかないのです… 幸い霧島は第一次改装以降副砲の門数を14に減らされているので他の艦に比べれば若干マシな状況ですが、いやそれでもやっぱりこれはどうよと。あー「金剛」と「榛名」のレイテ沖海戦仕様ならこの数で済むのか。なるほどしかしううううむ。 複雑な気持ちを抱きつつ船体上下をパチリと。接着せずとも十分タイトなおかげでうっかりスイッチを外に出し忘れても容易に修正が可能だって馬鹿だなー、俺。 結局右舷のみ副砲門数を合わせることにしていちおうの完成。左舷は弾幕薄くてもよし。 なにしろ左舷にはスイッチが屹立しているもんで、あんまりこっち側は見せないほーがよろしかろーと。 そしてこれがマルチ台座である。なにがマルチかと言えば逆さにすれば船腹の広い艦にも使用可能と、そこがマルチ…か… このシリーズ大和型とかニミッツ級とかありますからねえ。シリーズといえばアイオワ級フェーズIIなんて計画案がプラモになってたのはニチモの30cmシリーズだけじゃなかろうか。全然見かけないけどカタチは面白いから復刻してくれないものでしょうかは。 船底パーツを接着せずにおけばこの通りウォーターライン状態でも展示が可能です。 その際余った船底はこのよーにしてサボ島沖で沈没着底してる状況を再現。旧日本海軍の戦艦12隻で敵戦艦と撃ち合って沈んだのはこの霧島だけなんである。はじめて海底の霧島を映像で見たときはあんまり綺麗に転覆してたんで泣きましたねえ。全然ディティールみれないじゃないかと(´Д⊂ヽ 台座に乗せてみるとそれなりに見栄えのするものです。本来動かして楽しむことを目的に設計された30cmシリーズに、ある時期から台座が付属したってことはそれだけ動かす人が減ったってことなのだろうな…。しかし、 *手の届かない広い場所や波のあるところは不向きです。また、風呂は波が高く水没の可能性あり。  いずれも水の事故に細心の注意をしましょう、させましょう。 どこで遊べというのだヽ(`Д´)ノウワァァァン!! なことが説明書にも明記されているんで、動かす人が減るのも仕方が無い事です。 ところで「風呂は波が高く水没の可能性あり」って相当センスオブワンダーな日本語だと思います。

モデルアート「艦船模型スペシャル 42 ハワイ作戦のすべて」

「ハワイは地上の楽園である」と多くの人はいいますが、70年前は違いました。1941年12月8日、時刻は午前3時23分(日本時間)。淵田美津男中佐指揮下の第一波攻撃隊が「ワレ奇襲ニ成功セリ」を打電したその瞬間から、ハワイ・オアフ島、真珠湾軍港は21世紀の現代にまで語り継がれる激戦の場となったのです。 モデルアート別冊艦船模型スペシャルも数えて42冊、日米開戦70周年を迎えた今冬号の特集は「ハワイ作戦のすべて 前編:南雲機動部隊」と題して、この乾坤一擲の大作戦に参加した日本海軍各種艦艇を製作しています。 作例の中心となるのは近年リリースされた新作キット群、冒頭はタミヤ1/350利根をレイテ仕様から1941年当時への改造記事と決して空母だけではなく支援艦艇も含めての特集です。 いずれ「筑摩」あたりが開戦時Ver.で発売されるのではあるまいかと誰でも予想するところですが、しかしそこは敢えて行うと書いて敢行する。同スケールのハセガワ赤城と一刻も早く並べたい方は必読記事です。 そしてもちろん主力となった第一航空艦隊所属の6隻の正規空母はフジミ・アオシマの新しいキットを徹底ディティールアップで紹介。 どの作例も近年になって発見された新事実を加味し、近年盛んにリリースされるディティールアップパーツを組み込んだ作例で、従来から艦船模型では定番題目のひとつである南雲機動部隊にも、まだまだ新しい要素を加える余地のあることを魅せてくれます。 主力艦艇には1/700スケールの折り込み図面が掲載され、この本自体がひとつの資料的価値をもつとも言えます。 戦艦比叡/霧島、重巡筑摩、軽巡阿武隈の各艦が1/700スケールでやはりフジミとアオシマ、さらにタミヤのキットを用いて紹介されています。記事にもよりますが、このあたりは近年の1/700艦艇模型の標準的な製作スタンスと言えましょうか。 ファインモールドの1/72甲標的とアオシマの1/350イ-16潜による特殊潜航艇についてのページもあり、現在発売中のモデルアート本誌2012年1月号と併せてお読みいただければ、真珠湾攻撃の全貌が(実に立体的に)明らかとなるでしょう。 戦史解説は丁寧な記事で明治35年、日露戦争講和のポーツマス条約から書き起こされています。日米両国がいつか・どこかで武力衝突するのは必然であったのか、近々山本五十六の映画も公開されますが… 本作戦の意義や是非はともかくとして、これほどの規模の艦隊による奇襲攻撃がこの先の時代に起こることはおそらく絶えてないことでしょう。今一度また、顧みられてよい事象なのです。 また「真珠湾攻撃参加日本艦艇キット総点検」と題しまして、モデルアートらしく広く目の行き届いたキットリストが記事化されています。現在では補給艦までプラモ化されているんですねえ。WLシリーズではハセガワの赤城/加賀は流石に新キットが望まれるところでありましょうが、さて。 特集記事以外ではハセガワ1/350日本郵船「氷川丸」のニューキットレビュー、連載記事「日本海軍の観艦式」は大正2年の恒例観艦式のはじまりと紀元二千六百年観艦式参加艦艇から軽巡洋艦部隊を製作、そして「ラベール・アーカイブス」では1/72PTボート、初版からの変遷を解説しています。すばらしい製作記事も掲載されていて思わず見入る… と、いうような内容になっております。今回前編ということで次回はどんな切り口になるのでしょう?今回記事で取り上げなかったものと言えばズバリ、 駆逐艦と補給艦でしょう! …たぶん普通に米海軍だと思います。アリゾナとか新キットありますしねえ。 いやー、あんまり至極真っ当な内容なんで、特にブログ内容的な奇作を講じることができないからせめてアップロードの時間で奇襲攻撃を演出しよかと思ったんだけど… 考えてみたらブログってそれほどリアルタイム性の高いコンテンツじゃないよね。 …型を模すのも趣味の現れということでひとつ。