Month: April 2012

大日本絵画「モデルグラフィックス 2012/6」

表紙を見て声を挙げて驚いたひとも多いかと思われます、なモデルグラフィックス今月号は先ごろ久々に再生産された銀河漂流バイファム特集。MGお得意のBack to 過去な記事で、ノスタルジックなフューチャー感満載です。 この当時をリアルタイムで体験していた人にとってはいろいろと感慨深いものがあるかと思います。主題歌シングルレコード(EPですよEP)のジャケットイラストがただのトグルスイッチである、それだけで実に眩しかった時代ですねい。 バンダイのキット作例は4点の記事が掲載されています。傑作と名高い1/100バイファムは同スケールのトゥランファムとともにスリングパニアー装備で紹介、独特のデザインと強烈なキャラクター性が現在でも十分通用するARV(アストロゲーター・ラウンド・バーニアン)からは1/100ウグと1/144ジャーゴ(製品名はレコンタイプ)。再販からしばらく経って一部の製品はまず見かけない現状(ディルファムなんて文字通り秒殺でしたな)ですけれど、今回取り上げられてるキットならば現状でも入手は可能なものかと。 特にNAOKI氏による1/100ウグなどは「ウグってこんなに格好良かったっけ!?」と驚くほどのクオリティです。バイファムシリーズは各関節にポリキャップを標準装備して従来のバンダイプラとは比較にならないほどの可動を見せた製品なのですがそれでも各関節の可動範囲には限界があり、当時のキットの素組みではARV特有の有機的なデザインラインの魅力を活かせていたとは言い難いものでした。が、そのあたりの不満をこの21世紀になって漸く解消できたようなそんな気分に浸れます。 今回の再販からは漏れましたが1/24ウェアパペット・オールオーバーを一部利用したフルスクラッチのパぺットファイターは今回特集いちばんの見どころかも知れません。80年代のサンライズロボットアニメが様々に模索していた「リアル」の方向性を、現代のセンスでレストアするような記事です。この手の作例は写真の撮り方も含めてMGの得意とする分野ですね。 F1マシンをデザインベースにした宇宙戦闘機である「パペットファイター」を製作するのにフジミのフェラーリとハセガワのF-104を芯に使ってるんだから小洒落てますわな。ラウンドバーニアンの方でもこんな感じで宇宙機然とした作例を見たかった…と思うのはまあ、欲か。 あとはこの手の記事ではいつものようにいつもの対談がいつものノリでいつものボリュームを占めています。いつも思うんだけど年寄りにとっては色々面白い話が、しかし若年層には楽しいのかな。いつもちょっと不安になる(w 特集以外のキャラ・スケール各ジャンルの記事も盛況です。個人的に目に留まったのはエブロ初のインジェクション、ロータスタイプ72C、ズベズダ製1/350英国海軍戦艦ドレッドノート(ポントスモデル社製エッチングパーツをふんだんに使用した美しい作例)、もうじき発売ピットロード87式自走高射機関砲などの記事でしょうか。フジミのデトマソパンテーラが完成写真しか載ってないのも違う意味で気になるんですけど 変わったところではNHK朝の連続TVドラマ「梅ちゃん先生」オープニングで使用されている、山本高樹氏製作「梅ちゃん先生の町」ディオラマが掲載されています。テレビでは映らないような部分までしっかりと作り込まれた情景模型の魅力、良いものです。 モデルグラフックス2012年6月号、好評発売中です。フフフ フフ~ン、バ~イファ~ム♪(鼻歌でしか歌えない)

J-Tank「J-Tank別冊 海軍設営隊の建設車両 牽引車・押均機 編」

日本戦車研究グループによる私家版研究雑誌「J-Tank」の別冊、グループ主催者にしてHP「むーのおもちゃ箱」の管理人でもある下原口修氏による海軍設営隊の装備車両を解説した内容です。 タミヤの1/48G40ブルドーザーが発売された際にこの分野での知識がまったく不足していることにあらためて気づかされ、なにか旧日本軍の工事・作業車両をまとめたような書籍がないものかと探して回ったことを思い出します。NF文庫の「海軍設営隊の太平洋戦争」は当事者の証言としては極めて重要で作業中の車両写真も掲載があるのですが、カタログ的な意味では若干の物足らなさを感じたものでした。 モッコとシャベルに代表されるように太平洋戦争当時の日本の土木技術が立ち遅れていたことは事実なのですが、機械化への努力が皆無であった訳ではありません。限られた資源・人材を用いて開発が続けられていた器材がふんだんに紹介されています。 「牽引車・押均機編」と題され、最近インジェクションキットが発売された九八式四トン牽引車も紹介されています。製造メーカーについての情報はキットの実車解説にも記されていないものです。 アメリカ軍が撮影したキスカ島に遺棄されたG40ブルドーサーの姿はこのままディオラマにも出来そう。「アッツ島に派遣される予定だったが、到着以前に同島守備隊が玉砕したため以後消息不明」だったG40最初の生産分って、ちゃんとキスカで使われていたのですね…

リッチモデル「1/35 イギリス要人セット (チャーチル、モントゴメリー他2名)」

香港の新進模型メーカーリッチモデルの…といってもパッケージデザインを一瞥して想像がつくようにブロンコモデルの関連子会社なんですけれども、ともかくリッチモデルのミリタリーアイテム第一弾となるフィギュアセットです。ちなみに英語の製品名は“ROAD TO VICTORY”となっております。 記録写真を元に実在の人物を立体化した製品、同梱フィギュア全てが名前持ちというのも懐かしの「ジェネラルセット」を思い出すような。 メーカーからのサンプル写真では茶系のプラで成形されていましたが、製品版はグレーの成形色です。 各種記章、肩章に加えて胸の略綬も含まれたデカールが付属。 略綬はパーツの側にもモールドがありますが、塗り分けるのは至難の業かと思われます。高級将官らしさを示す良い小道具としてデカールが使えるのは嬉しいのですけれど、モンティの方は双眼鏡のストラップが干渉するので何か上手い事工夫が必要になりますね。 一般の兵士と違って個人装備を携行していない分、被服自体の造型を楽しめます。野戦服姿の女性フィギュアも良いものです。 実在の人物を立体化するからには当然そこには似せる為の努力が必要となります。トレードマークの葉巻を加えて不敵に笑うチャーチルと、生まれたときからこんな顔してたんじゃないかと思えるほどにいつも気難しげなモントゴメリー。この二人の有名人を見る限りよい造型が成されているようで、個人的には詳しくない他二名の出来についても信頼できようものです。 サー・ウィンストン・チャーチル、言わずと知れた20世紀を代表する政治家の一人です。マールバラ公を祖先にもつ軍事貴族の家系の出で、若くしてボーア戦争に従軍するなど武勇の伝も多いのですが、やはり戦時体制下の政治家としての優れた手腕が讃えられます。第二次世界大戦中はナチスドイツを打倒するために積極的にスターリンと手を結んだ反面、戦後は一転して「鉄のカーテン」演説で冷戦時代の到来を知らしめる。悪辣な人物に思えるようで、有能な政治家は必ずしも善人とは限らないことを示した例でもある。「人柄」なんてあいまいなアンケート項目で政治家の支持不支持を決めるどこぞの国の人たちに爪の垢でも煎じて飲ませてあーいや、なんでもねーです。 戦後に著した「第二次大戦回顧録」全六巻は名文に溢れた名著で、ペーソスやウイットに富んでいるからこそ、冷徹な行動・意見が支持を得られるのかも知れません。あとこの人第一次大戦の時に海軍の予算で「地上戦艦」を本気でこしらえた張本人だったりする。 バーナード・モントゴメリーが頭角を現したのは1942年、北アフリカはエル・アラメインの戦いでロンメル元帥を打ち破ってからのことでしょう。事前に徹底した準備を行い、圧倒的な戦力比を以て初めて攻勢を行う戦略眼は「物量」が嫌いな人には好かれない姿勢かも知れませんが、「兵站」重視の観点からは実に自然な発想です。そんなモントゴメリー将軍がなんでまたバクチみたいなマーケット・ガーデン作戦を実行したのかは、ちょいと不思議な歴史の一幕。戦後は西ヨーロッパ軍事同盟の主要ポストを務めて最終階級は元帥、また戦功により初代アラメイン子爵に叙せられました。 アラメイン子爵モントゴメリー家っていまでも続いているのかー。 ブライアン・ホロックス中将はモントゴメリーの下で陸軍第30軍団を指揮し、悲劇に終わったマーケット・ガーデン作戦の「ガーデン」部分を担った将軍です。モンティ幕下の将官たちの中でも極めて有能な人物でアイゼンハワーも称賛の辞を贈っている程。モントゴメリーとの関係は1939年のフランス戦から始まり、戦争のほぼ全期間を通じて彼に仕える形で従軍しました。戦時中に受けた負傷が元で早くに退役しましたが、著述業やテレビ番組での解説職を得、1985年に亡くなるまで一般層向けの軍事・歴史解説者として幅広く活躍しています。映画「遠すぎた橋」撮影の際にはアドバイザーも務めているので、スタッフロールには彼の名前があるかも知れません。 パメラ・チャーチル、パメラ・ヘイワード、そしてパメラ・ハリマン。ディグビー男爵家令嬢パメラ・ディグビーは三度結婚してその名を変えることになるのですが、第二次世界大戦中のこの時期はランドルフ・チャーチル夫人として夫の父、舅であるウィンストン・チャーチルを補佐していました。しかしこのランドルフ・チャーチルという人物は相当のボンクラ亭主だったようで戦後はさっさと離婚、男性遍歴の浮名を流しながらハリウッドの敏腕映画プロデューサー、リーランド・ヘイワードと再婚、その後更にユダヤ系の財閥ハリマン家に嫁ぎ結局当主となって民主党(アメリカの民主党じゃよ勿論)に最大の政治献金を行い、ビル・クリントンが大統領選に勝利するスポンサーとなった…と実に派手な人生を歩んだ女性なのですが、広○隆が取り上げた所為でこの人について調べると陰謀論ばっかりドカスカ出てくるのは正直閉口した(;´Д`) 女性の視点で見ると恋愛にそして結婚に、実に精力的に生きた人物のようで、どちらにせよ地味な軍服姿からはちょっと想像がつきませんねー。 パッケージのイラストよりも、心もち幅を詰めて並べた方が立体としては見栄えが良いようです。実際のところ元になった記録写真がいつ、どこで撮影されたのかは寡聞にして存じ上げないのですが、4体のセットとしてはヒストリカルなアイテムで、個々のフィギュアを見てみれば手を後ろで組んだ高級士官や野戦服を着ながらリラックスして歩む女性など応用の効く素材として、いずれにせよ面白い模型だと思われます。リッチモデルの製品アイデアや造型センスには期待したいところですね。 ですがしかし、 イラストレーターは再考した方がいいと思うんだ(´・ω・`) 表の方はともかく裏のイラストに描かれたチャーチルはなんだか第三世界の独裁者テイストな顔だし、 パメラの方も「キューバ革命に身を投じたサザエさん」みたいになってますよ 萌えの神髄がギャップにありといってもこの違いには萌えませぬ。正直なところ早急になんとかすべきだと思います(w;

バンダイ「ペラモデル Basic-M Yellow」

発売から随分時間が経っていますが、いまでも目にすることは多いペラモデルです。 ランナーにペラモデル一体、そしてスタンドが付属します。 正直に申し上げますとこのシリーズ、一体なにをどう楽しめばよいなのかさっぱりわからない、ここ数年ホビー業界で目にした製品の中でも相当謎なアイテムでした。何故か「けいおん!」のキャラを作るためのモノだって認識が刷り込まれていますが(どこで刷り込まれたかは解ってますが)、しかしその、「けいおん!」のキャラを薄っぺらく造型するのは何かのアイロニーですか?それは面白いんですか??などと疑問を感じて… 付属のシールと印刷用テストシート。メーカーが推奨していたのはこちらの公式サイトからソフトをダウンロードして、加工した画像を自由に貼ろうという遊び方です。版権のあるキャラクターを無自覚に貼ろうとすると当然のように波浪を巻き起こしますので、自分自身、あるいは家族や友人をシール化してごく薄い人体を作ろうという呪詛プレイですかそれは。的な。 http://bandai-hobby.net/pellermodel/pdf/pellermomaker_guide.pdf (pdf注意) ヘアスタイルであるとか衣服のラインであるとか、人間の個性をザクザク切り落としていく過程は実にシニカル。ブリスターパッケージを利用して郵便物にするための宛名用紙も付属する…のですけれど、突然自分の人形がポストに入ってたりしたらその、困るぞ。 この製品を生み出したバンダイの技術は優れたものだと思います。ケロロ軍曹のシリーズやリアルグレードでも使用されていますが、どんな金型で抜いてるんだか見当もつきません。その製造ラインを利用してなにかの商品をリリースしたいというメーカー側の意向は判らないでもないですが… 裏側はこーなっとります。その、なんだろうな…「家族のアルバム代わりに!」いや普通に写真撮ろうよ。「友人や大事な人とのコミュニケーションツールに!」怒られるんじゃないかな?自分の感性が古いのかもしれませんが、実際に存在する周囲の人々を薄っぺらい造型に加工するというのは、まるでそれらの人々を薄っぺらく扱っているかのようで、どうもねぇ… なんて思ってましたけど、先ほどのあの写真 これを見てたらちょっと考え方が変わりました。ああつまり何も貼らなければいいんじゃないか、と… 大胆な省略と記号性に依拠して、個人ではなく人体そのものを抽象的な表現するスタイルであるならば、これは実にスタイリッシュなフィギュアだとは言えまいか?例えて言うならキース・ヘリング絵画みたいなモノで、オサレアイテムとして楽しめばいいんだ。後からアートだって言い張ればそれでジャスティス!! 個人を薄っぺらく扱うのはハラスメントですが、人類全体を薄っぺらく扱うのは哲学の一環です。「プリティーリズム・オーロラドリーム」初期の書割モブ人類みたいなものです。 やけに長い前置きになってしまいましたがこれがペラモデル全身像、実はちゃんと自立するのです。そういえば「銀河鉄道999」にこんな宇宙人の星があったな、やはり感性が古いなー。 スタンドは上下の接続部分にボールジョイント、中間部に可動部一箇所。接地部分には支柱を使わず直接脚部を接続するためのジョイントもあります。 ペラモデルとの接続部分はかなり特殊な形状をしているので、他社製品への転用には向かないかな。 グリップが細いHGUCガンダムのビームライフルでしたら無加工で使用可能です。いわゆる種ポーズ的なこともできますが、あんまり動かしてると関節部分ヘタリ易そうではある。 ライダーキック…は…かなり無理が… 結局のところペラモデルが何に使えるのかと言えば、記号化されかつ自在にポーズをとれることによって、記号化されたコミュニケーションツールとして使用可能ではないか…と愚考する訳です。「記号化されたコミュニケーションツール」といってもご理解を得られないかもしれませんが、つまり顔文字のようなものである。 4月も半ばに入って、新しい生活環境にまだ慣れない方も多い事でしょう。学生さん、新社会人の皆さんのなかには朝の挨拶ひとつをとっても居心地の悪さ、コミュニケーション障害を感じるひとも少なくないと思われます。そんなときにはこのペラモデルを片手に… スタイリッシュおはようございます! どんなつまらない会議会合の場でも… スタイリッシュ私にいい考えがある!! 例え失敗したって… 薄っぺらいアタマを抱えても大して重くはありません。 謝罪が必要なときには支柱を使わず直接台座に立つことで、相手に誠意を伝えましょう。 それでも駄目な時にはスタイリッシュ土下座でかんべんしてもらいましょう。 大胆な省略と記号性に依拠した抽象的なコミュニケーションでスタイリッシュに現代を生き延びるためのツールとして、このペラモデルは確かに「いろんなシーンでつかえるよ!」なアイテムですね!結果は個人の責任とゆーことでひとつ。なーに人間なんて薄っぺらい存在ですよええもう… 本気でブン殴られるかも知れませんが、そのときこそ人類間の真のコミュニケーションと相互理解のはじまるときです。「なぐりあい宇宙」とゆーぐらいですから。 ここから先はオマケ。こいつはペラモデルシリーズの「ペラモデル for Pet」です。 大小2体セットで耳としっぽ、頭部がコンパチになっていて犬にも猫にもなります。犬猫以外のペットはフォローの対象外です。 人体モデルと同様、印刷シールが付属します。犬や猫がアジの開きみたいに印刷される様はどこかグロテスクです… 無地のままでいたほうがキッチュで可愛らしいかな。このシリーズ全般として、変に写実方向に振らない方がなにかと幸せなんじゃないかなー。ちなみにですが、見ての通りに前脚は可動しません。 ところで近年「若者の車離れ」が危惧されて久しいのですが(棒) スタイリッシュなカーライフをエンジョイするオサレでカッコイイ若者像を若者にイメージさせるのも模型業界の重大な使命なのです。 「ペラモデル Kids-M バリューセット」 こども5体のお得なセット。 中身については前述アイテムとほぼ同様です。 骨盤部分がない小さなシルエットですが、台座はノーマルモデルと同じサイズで常時空中浮遊します 浮ついたガキ 純真無垢なお子さんをイメージするかのようですね! 5体セットなのでこのまま並べただけでも再現度の低いスマイルプリキュアを再現できます。だれも笑ってませんが。 展開に失敗した人生ゲームの縮図をイメージした何か、何かが足りないのだ… とゆーよーな感じで楽しく遊べるペラモデル。この他にも交通事故シミュレーション実験用ダミー風や電車に駆け込み乗車してドアに挟まれるひと風など、豊富なプレイスタイルがいくつも浮かんできます! なんだかいろいろ怒られそうな気がしてきたのでスタイリッシュお先に失礼します!残業する仲間を尻目にする時も、ペラモデルがあれば快適DEATH!! 今回の記事がユーモアとウイットで構成されていることを示す為に最後にセルフでズッコケておきます。途中で怒りだした人がいないかとちょっと不安ではあります(^^;

前置き。

さて、これは先日記事にした「究極の鉄道模型展」で撮影して来た一枚、客車内の人物を窓辺に映るシルエットとして平面的に表現したものです。一般的な手法でしたらまず車内のインテリアを作り窓を透明素材にし、かろうじてそこから人物が見えるような造型が指向されそうなものですが、ここではあえて人物を窓の外に、二次元的に造型することで却って見る者への印象を強めている。大胆な省略と記号性に依拠した抽象的な表現は実にスタイリッシュで、日ごろ1/35スケールの人体や装備品の精密度合いばかり見ていた自分にとってはなかなか新鮮な体験でした。 新鮮? いやまて。俺はこれとよく似たものを、つい最近目にしたことがあるぞ。 それもかなり自分が親しんでいる領域で。 そうだよこれペラモデルだよ!!

アオシマ「1/6 ソニー リバティ タイプ2」

ホビーショーの情報も発表されて、いつものように模型業界とその周辺も活気づいておりますが、今日はいつものキットレビューとは違うタイプの記事になります。通常の場合当ブログで取り上げるアイテムは一般的に流通している製品から選ばれているのですが、今回はとある事情により長年の間某所で死蔵されていた掘り出し物、文字通り発掘されてきたずいぶんと古びたものでして、決してこれが通常販売されている製品では無いではないという前提を、まずお断りしておきます。 ほんでそのブツと言うのはこちら。 かの名著「超絶プラモ道」でもわずか半ページ写真一枚だけしか掲載が無かったアオシマ・オーディオ・シリーズNo.5「ソニー リバティー タイプ2」ステレオミニコンポの1/6スケールモデル。数年前に(いやもう10年近く前かな)極少数がメーカー在庫で発見され短期間市場に出たことがありますが、今回扱うのは発売当時に流通在庫になっていた物品です。パッケージなどかなり傷んでます… 昔から存在は知っていたけど詳しい実態を知らなかった「オーディオのプラモデル」、さてどんなもんでしょうかとおっかなびっくり… アオシマのオーディオシリーズ  ヤングのライフスタイルに音楽は欠かせないもの、マニアックな音を追求することには、高額かつ大型のサウンド・メカが必要ということになるけれど、スペースの点で制約を受けてしまう。しかし、オーディオ技術は日進月歩で、机の上に置けるサイズのパーソナルタイプが、良い音を聴かせてくれる時代になりました。という訳で、良い音と身近に触れ合うヤングが急増中。そんなヤングに今最も人気のパーソナルコンポが、ソニー・リバティシリーズです。君も音と友だちになりませんか。 ボックスサイドの解説文から漂ってくるのはこれが昭和の匂いってヤツです。断じてカビ臭い訳ではありません。日高のり子はレッツゴーヤングに出てたんだぜ!とか、とにかくそういう空気です。 ちなみに実機についてはソニーのサイトにちゃんと載ってました。一世を風靡したマシンなんですね~ 箱を開けてみるとパーツを押さえてる帯が目につきます。むかしのプラモ、特に高級感を演出するような類のプラモデルにはよくこんな処置がされてました。 単純な作りの割には部品点数は多く、クリアーパーツも使用されています。定価600円というのは今の目で見ると低価格ですが、このキットが販売されていた80年代当時としては割と高め…同時期のアオシマ製品としては1/600イデオンシリーズのジグ・マックが500円、ロッグ・マックが600円となってます。そういう時代です。 残念ながらデカールはお亡くなりになっていました(-人-)ナムアミダブツ でもシールの方は問題なく使用可能!そして謎の「人気アニメ大全集」… このキット、単三電池とムギ球(別売)使って点灯ギミックを仕込むことができます。そのための接点金具とリード線、そして真の昭和生まれなら絶対に知っている「チューブ入り接着剤」 これを見たときにこの件絶対にブログで取り上げなければ!と!!コブシを固く握りしめて思いましたねえ。そう、昭和の子どもたちはたったこれだけの接着剤でプラモデルを作ることを 強いられていたんだ!! うん、ちょっとこれがやりたかっただけなんだ(´・ω・`) そんなの絶対無理だから文房具屋にいってセメダインとかGボンドとか買ってきたんだけどな(´・ω・`) アレも使い辛くてなぁ… キットにはこんなミニカタログも入ってました。オーディオシリーズのラインナップに加えてスクーターなどが並んでるあたり、これらシリーズが対象としていたユーザー層やどんな楽しみ方を望んでいたのかなど、メーカー側の思惑や姿勢が伺えるような気がします。ちょっと大人びた、子供を背伸びさせるような感覚だろうなー。 でもどう背伸びしたってこのキットから音など出てきやしません(´・ω・`) 昔はおおらかでいいですね。いまだとクレーム対象ですね… モールドに関しては当時としても十分及第点だろうと思います。パネルラインのスジボリでは無いので太い彫り線のほうが却って立体感があって自然です。      [゚Д゚]    [゚Д゚] キット内容についてはこんな感じで、とにかくゲシゲシ組んで行きました。ではソニー・リバティ タイプ2を構成する各ユニットを見ていきましょー。 ・デッキ TC-YX7  ワウ・フラッター 0.04%wrms 周波数特性 30~15.000Hz  SN比       59dB    消費電力  16W このデッキ部分の内部に電池とムギ球をセット出来る設計になってます。なってますがまず接点金具がちっともハマらず、無理にセットするも上下パーツが接着出来ないほどスキマが開き、おまけにスイッチもなんにも無くパーツ自体は接着でハメ殺しという恐ろしい設計だったりするΣ(゚д゚|||) 当時ちゃんと電飾仕込めたお子さまっていたんでしょうか?もし本当にいたとしたら、今頃どこかで何かの神業職人になってるんだろーなー ・チューナー ST-YX7  (FM)実用感度  18μV SN比 50dB  (AM)実用感度 200μV SN比 65dB 背後にちらっと見えてるのはFM用のロッドアンテナ。伸縮はしません。 ・スピーカー SS-X300  型式 2ウェイ位相反転型  出力音圧レベル 89dB 2個付属します(見ればわかる) ・マイク 記載すべきデータがなにひとつ書かれていません… ・プレーヤー PS-LX7  型式 フルオートマチック 駆動方式 リニアBSL  サーボ方式 クォーツロック・マグネチックサーボ アニメの「タッチ」で上杉和也(死んだ方の上杉だな)がオートマチックのレコードプレーヤーでクラシック聴いてましたな。元祖「爆発したリア充」ですな。 カバーは開閉可能です。 ・プリメインアンプ TA-YX5F  実効出力 25W+25W ミニコンポをコントロールする心臓となるアンプです。さてここまでいろいろスペック並べて来ましたが、音楽についての知識はからきしなので、実は何一つ理解していません… まったくオーディオ機器より軍事兵器に親近感が湧くのは人間として危機的ですねえ。そして実際組んでみて初めてわかったのですが、 プレーヤーが乗っかりません(´・ω・`)  まーその、「ミニ」コンポでありますし、そもそもソニーのサイトに載ってる画像でもこのリバティにはプレーヤー付属してないしでこれでいいのだ。いいのかこれで!? 裏面にはちゃんと接続部分もありますので、配線すると急に実感が増すものと思われ。

「究極の鉄道模型展 in 東京タワー」

東京タワーフットタウン1F特設展示場にて好評開催中の「究極の鉄道模型展」に出かけて来ました。 イベント概要、開場時間などの詳しい情報はこちらの公式サイトをご覧ください。既に先月中には横浜そごうでも行われていた展示会の、いわば巡回展のような位置づけになるのかな? 尚、あらかじめおことわりしておきますと自分は鉄道模型というジャンルにまったくの門外漢です。故に以下の記事内容には何らかの誤解や勘違い、頓珍漢な記述がみられても「逆転裁判」的なツッコミはどうかお控えになって下さいますよう、お願いいたします。なにしろ本当にド素人なのだ。 そもそもこのイベントがどのような性格のものなのかといえば、の鉄道研究家・模型製作家である原信太郎氏が長年にわたって個人的に製作して来たコレクションを一堂に会して展示するというものです。1919年生まれで10代初頭に始めた趣味を現在に至るまで希求出来るってそれだけでもう尊敬いたすところ。 年譜をみると結構スゴイことがさらっと書かれていて筋金入りです。この時代に趣味として鉄道に携わる人の数も現代ほど多くは無いでしょうがいやしかし、率直にいって今まで「歴史の一部」だと思ってきたことが突然目の前を歩いているような、そんな驚き。井の頭線の一番切符って。 こちらは氏が13歳の時にはじめて自作された鉄道模型です。キットなんて存在しない時代に完全自作は勿論のこと、それがこうして現在まで保存され、鑑賞の目に十分応えられるグレードを維持しているに驚かされました。もしも自分が13歳の時に作ったプラモデルが現存していて、それが衆目に晒されたらなんて考えただけでも((((;゚Д゚)))) パネルの解説によると後年になってから手を加えられてはいるようなのですが、それにしても基本形状やディティールなどの素晴らしい出来映えは製作当初から優れていたのだろうなと、思わされます。 長年の取材に使用されて来たカメラも愛着を以て使いこまれた機械の魅力に溢れ、収集された資料は文化財としての高い価値をもつもの。 これらの展示物を集めた「原鉄道模型博物館」の開館が今夏予定され、今回のイベントはそのお披露目を兼ねたプレ興行的な側面も持っています。 鉄道関係詳しくなくても、例えばこれらアメリカ製の蒸気機関車に見えるようなメカニカルな魅力などは、ジャンルの違うモデラーの方々でも広くご理解いただけるのではないか…と、思います。 大型のモデルに施された精密なディティール、実際のギミックを想起させる部品の数々は「リアルな」魅力に溢れています。陸物空物海物問わず、スケールモデルの変わらない魅力です。 その一方でこのように洒落たイメージのシルエットでも人間を表現可能なのです。この振り幅の広さは鉄道模型ならではかも知れませんね。リアリズムだけが表現方法ではないと、そういうことかな。 フィギュアの造型もすべて氏の自作によるものなのですが、そこにあるのはミリタリーモデルとは全く異なる様相の人物像。あくまでイメージなんですが メカニズムの固さがひとの暖かさを一層際立たせるような印象を受けました。いわゆるギャップ萌えではないでしょうけど(笑) ここから先は会場にあった約450両の展示物からごく一部、個人的に気にいったアイテムを並べてみます。すっかり言い忘れてましたがフラッシュ焚かなければ会場内撮影可能、開かれたイベントなのです。 ・LOS 市電 アメリカの路面電車といえばこのカタチ、このカラーリングというイメージがあります。そんでタダ乗り出来そう←誤解 ・ロサンゼルス 路面電車 同型の車両(?)の未塗装状態。いくつかの車両はこの状態のまま、それでもむしろ工芸品として魅せられるだけの力があるのは確かな造型に裏付けられた「美」があるからでしょう。 ・HARVARD 市電 #6237 こちらはもう少し近代的な、2両連結形式の市街電車。尚展示パネルには車両の名称、国籍、種類(機関車、気道車など)の記載がありますが、それがどの時代の車両なのか、原氏が模型を製作された時期いつ頃なのかといった年代の記載はありませんでした。その辺のデータにも興味を覚えたのですが。 ・PLM6101 こちらはフランスの蒸気機関車です。ヨーロッパのSLはアメリカと比べると優しい外見、カラーリングでああそうか「きかんしゃトーマス」か、これは。 ・SNCF CC21001 こちらもフランスの、電気機関車。運転席ウインドー部分の外観は日本の鉄道からはまず生まれないラインで、この違いはどこから来るのだろう? ・PRR GG1 4857 そしてやっぱりアメリカでは電気機関車も怪獣じみた外観になる。なんでしょうねこれ、国民性のなせるわざですかね… ・DR E19 12 ドイツの電気機関車はカッチョイイのです。おもに鉄道省のマークがカッチョイイのです! ・レールバス!そういうのもあるのか(「孤独のグルメ」風) ・DB 01 173 炭水車の形もユニークなドイツの大型蒸気機関車はトランペッターの1/35キットがあったのでミリタリーファンにも知られた形だと思います。あーいや、実際にトラペが出したのは違うタイプの車両なんですけど、イメージですよいめーじ(しどろもどろ) ・DB 80 031 うってかわってこちらはドイツの小さなSL。こーゆーの可愛らしくて好きですわぁ(*´∀`*) …そういえば「列車砲」や「装甲列車」はひとつもなかった。やはり鉄道模型的には邪道なんでしょうか。 ・C6230 SLを中心に日本の車両も数多く展示されているのですが、諸外国の車両に比べて見慣れちゃってる感は拭えず… ・C1153 新橋駅前SL広場ににある車両と同形式のC11形蒸気機関車。こちらも実に慣れ親しんだものです。無論その「親しんだ物に対する魅力」もあります。 ・C5534 日本の蒸気機関車としては異形の部類に属するC55形。流線形のカバーは当初考えられていたほどの高速性を発揮出来なかったんでのちに撤去されちゃいましちゃけど、模型的には遺憾無く魅力を発揮します。 ・京浜電鉄51形 51 ・甲武鉄道 デ 960形 「日本の車両はどうも見慣れた形で…」なんて浅はかな思い込みを吹っ飛ばす、実にユニークな外観の電車2種。 会場の一角には貴重なコレクションの中から更に厳選されたものが「秘蔵のコレクション」と銘打って特別展示されています。こちらはドイツ連邦鉄道E03形電気機関車。 ワゴン・リ社製“オリエント急行”客車。車体パネルが木製の、19世紀に使用されていた車両でクリスティの例のアレとは違うんですけど、 それでも克明に再現された食堂車/サロンカー車内にはいまにも殺人事件が勃発しそうな雰囲気が!濃厚に!!(んなこたーなぃ) イギリス製、世界最速の蒸気機関車、LNER A4形、通称“マラート”号。流線形の美しいシルエットに上品なブルーのカラーリングは21世紀になっても色褪せない魅力が満載で実は近々コーギーから新製品出ます。 阪神電気鉄道311形。日本でもこれほど美しい路面電車が走っていたんですねえ。車体前面の、ちょっと正式な名称を知らないんだけど轢死防止のガードが、その機能とは裏腹に綺麗な仕掛けなんだな。 ブダペスト・メトロ。「1895年世界最初の地下鉄」と記されたパネルはたぶん「世界初の電気式地下鉄道」のことなんでしょうけど(蒸気機関車を地下に走らせていたロンドンやケーブルカー方式のイスタンブールの方が地下鉄建設としては先です)、そんな些細なことは関係無しにこの車両、会場展示物でいちばんのお気に入りです。質感あふれる木製の車体パネルと武骨なリベット、狭いトンネルの中を通行するためのフラットな上面とパンタグラフの代わりに車体側面に取り付けられた独特のスプリング式集電装置。どんなジャンルでも技術が未発達な時期であればこそ、このようにユニークな形状の物が生まれてくる訳で、技術が確立されてしまった現代ではなかなかお目にかかれません。陸物空物海物、そして鉄道物もまた、クラシカルでビンテージなマシンには変わらぬ魅力が遍く存在するものです。例え実物を目にすることが出来なくても、素晴らしい模型にはそれを補って余りある濃厚な鑑賞体験を有することが可能で、そもそもそんな体験が出来るのは模型を作ったひとのちからがあるからで…などと、そんなことを考える。 たまたま電車の中吊り広告で見かけたイベントにふらりと出掛けてみたら実に得難い経験が出来た、そのことを象徴するのはこの一台の鉄道模型なのですようむうむ。 動かしてこその鉄道模型でありますから、会場内には1番ゲージ(線路幅45mm)の広大なレイアウトが敷設され、色とりどりの大型車両が行き交っています。大人も子供もみんな釘付けの実に幸せそうな光景に「見る」ってことや「魅せる」ってこと、決して「作る」だけではない模型の楽しみ方のスタイルなどを、ちょっと考えさせられるとこです… 「究極の鉄道模型展」、東京タワーではGWの5月6日まで開催中です。鉄道ファンのみならず幅広い層にオススメの、楽しい模型のイベントなのですよ。 ところで東京タワーにはずいぶんと久しぶりに足を運んで見たのですが、なかなか楽しい場所でした。いや展望台は混雑してたんで上がりませんでしたけれど、足元のスペースだけでも浅草の仲見世やアキバの免税店に匹敵するようなエラく濃ゆい土産物屋や昔と変わらぬロウ人形館、何がいるんだか見当もつかない水族館など「タモリ倶楽部」や「ワンダーJAPAN」的な魅力がタップリ。そして何故だか鎮座していた「ALWAYS 三丁目の夕日」ディオラマ、1/43スケールで組まれた大型のパノラマです。

ファインモールド「1/350 帝国海軍駆逐艦 天霧」

ファインモールド製1/350艦船模型、シリーズNo.としては第一弾「綾波」に次ぐ02になっていますが、間にスポット生産の「敷波」を挟んでいるので実質的には第三弾のキットです。 本艦は吹雪型駆逐艦(通称「特型」駆逐艦)の15番艦、3群に分けられる特型の中では第IIグループの5番艦となる存在です。特型はワシントン海軍軍備条約における補助艦艇保有制限を受けて開発された艦種で、英米に比して6割の制限を受けた巡洋艦の不足を補うべく重武装且つ高速性能を持つ画期的な駆逐艦として設計されました。 量の不足を質で補う日本海軍特有の設計思想を具体化したような特型は他国の同クラス艦艇に比べて高い戦闘能力を保持しましたが、軽量な船体に重武装を施した艦艇としてのバランスの悪さはいわゆる「第四艦隊事件」で脆弱さを露呈します。 その後日本海軍の駆逐艦は初春型を経て白露型など武装を減らして船体強度を高めた形式に移行し、対米開戦時には特型はやや旧式の部類に属する駆逐艦となり補助的な任務に就くことが多かったようです。が、そんな事情とは無関係にこのファインモールド製1/350スケール特型駆逐艦シリーズは最新の技術で作られた模型業界の最先端で戦える存在です。 装備品関係は艦艇ディティールアップパーツとして素晴らしい精度をもつ「ナノ・ドレッド」シリーズのランナーが当初から封入されています。多少余剰が出るのでお手持ちの他社キットにパーツ流用するも可であります。 また本キットにはアオシマ製のアメリカ海軍PT-109魚雷艇のパーツが含まれています。他メーカーとのコラボレーションとしては陸物分野で以前からタミヤと共同したものがありましたが艦船ではこれが初めてかな?なかなか面白い試みなのでいろいろ広がってほしいものです。 甲板上の魚雷運搬軌条や煙突部分の格子などキレのあるモールドが各パーツに施されています。 ところで「綾波」「敷波」と来たら次は「まきなみ」だろうと誰もが考えたと思いますが、残念ながら駆逐艦「巻波」は夕雲型でタイプが違うんですなー。そして「ほらき」って名前の軍艦はそもそも存在しませんかそうですか。 ナノ・ドレッドの25ミリ連装機銃部分。オールプラ製で精密なモールドを再現した同シリーズは実に革新的で、金属素材や瞬間接着剤が不得手な方でも精度の高いパーツを自在に使用することができます。これからの艦船模型はこれが日常なの。でしょう… 近年の1/350艦船模型スタンダードでフルハル/ウォーターラインのいずれかを選択可能です。今回フルハルで組んで行きますが、ここは声を大にして言いたい!フルハルで作る場合はまず真っ先に台座から組み立てるべきです。その方が断然作業効率が良いです。正直誰でも知ってることでしょうけれど、本製品に限らず大抵のメーカーの説明書では台座の組み立てを最後の工程に持ってきてるので、なんだかそれは不思議いや不可解でさえ… 内桁となるパーツの中で艦首部分のC2パーツだけには水密扉のモールドがあります。前後ともにあるので裏表関係なく組んで良い部分なのですが… 押し出しピン跡を前面に向けた方が何かと安心だったのでした OTL 完成しちゃうとほとんど見えなくなる箇所なんですけれど、ひとえに精神的な問題です… 大型艦と比べて細身の艦影、艦体中央付近の大部分を占める機関部など組み立て過程の途中でも駆逐艦らしい魅力を楽しめます。実際に艤装をやってるような感覚で、やっぱり最初に台座作るべきですようむうむ。 特型の開発時期には魚雷発射管にまだ急速次発装填装置が装備されていないので、吊り上げクレーン部分などが仰々しい外見でそこも魅力。 クリアー成形されている110cm探照灯はアクセントでシルバーを置いてみました。よりもその後方にある九一式方位測定空中線の円形パーツがそれはそれは簡単に!綺麗に!組み立てられます。以前エッチングでとんでもない苦労した記憶があるのでああもうナノ最高なの。 特型駆逐艦は羅針艦橋に巡洋艦並みの装甲天蓋を導入しています。仕上げる際には塗装されるべきものですが、敢えて「模型」として内部を魅せる処理もいいかなと思ったり。また上部艦橋はキャンバスカバーと折り戸式防風スクリーンを完備した状態にも組むことが可能です。 船首楼と一体化して艦体前方に位置する艦橋は力強いシルエットを形成します。乾舷を高く設定し巡洋艦並みの凌波性を持たせる、特型の船体構造は以後の一等駆逐艦に受け継がれていきます。特型自体はこの部分脆弱なつくりで、第四艦隊事件ではポッキリ折れちゃった艦が出たんで急遽改善工事… 50口径三年式12サンチ7連装砲、砲身は仰角を選択可能です。特型駆逐艦のII期は75度の高仰角を持ち高角砲としても使用可能なB型砲を装備しているのが特徴ですが、本キットはやはり性能改善後のB型改造砲、仰角は55度までに引き下げられ照準室形状も竣工当初とは異なる形状です。またB型砲は左右独立した砲架上に設置されているので砲身パーツの角度を左右で違えてもよし。 画面右側に写っている構造物は後部操舵装置です。船体各部の機能を理解しながら組み立てられるのはラージスケールならではの醍醐味でしょう。グランプリ出版の「軍艦メカ図鑑 日本の駆逐艦」一冊手元にあると実に重宝しますねえ、良い本ですよう。 煙突手前で防盾も無しに25ミリ連装機銃操作すんのは男らしいよなーなどと、ひとの動きを推測できるのも面白いものです。コレクション性を考えたら1/700スケールが一般的なんでしょうがフネそのものの魅力を知るにはデカイ方が楽しいなあ。前後の煙突の周囲をお椀のように囲んでいるのはユニークな形状の通風口であるとふむふむ。 日本の軍艦作る際に艦首の菊花章を最後に取り付けると魂入れ込んでるみたいで盛り上がるんですけど、あいにくと駆逐艦は「軍艦」ではなく「艦艇」の類なんで菊花章がありませぬ。故に工程の順番を無視してスクリュー取り付けを最後にまわしてみましたが…取り付け忘れたまま「おー完成じゃあ」とか盛り上がってたのは軍事機密である。 完成した「天霧」の全体像。いくつかバリがありましたけれどカッター一本で簡単に処理できる程のものでした。ラージスケールとはいえ手頃な大きさ、アンカーチェーンを除けばすべてプラ製のパーツとこのスケールの艦船模型に初めて手を出してみるのにぴったりな一隻かと。 近代的な外観と強力な武装の配置は実に模型映えします。条約型の重巡洋艦と共通するような雰囲気もどこかにあるのでしょうな。 一番砲塔は波浪に抗堪するため補強フレームを追加したパーツを使用します。艦橋直前のデッキで13ミリ機銃撃つ係の苦労は想像を絶しますね(((( ;゚Д゚))) 特型が使用した九○式魚雷は高名な酸素魚雷でこそありませんが、それでも片舷斉射9本は強力な雷装です。有明型以降は発射管数を減らしていったので特型(および初春型)は日本の駆逐艦としては「島風」の片舷斉射15本に次ぐ数字を誇っています。 そんな特型駆逐艦ですが、太平洋戦争中は主に第一艦隊(戦艦部隊)隷下の水雷戦隊に属していました。夜戦部隊として活躍を期待されていたのは第二艦隊(重巡洋艦部隊)所属の水雷戦隊で、戦艦護衛の任務は駆逐艦の働き口としては第一線とは言えないでしょう。本艦「天霧」も高い戦果を挙げたとはなかなか言えないのですが、とある事件により非常に有名なフネとなりました。こと特型駆逐艦のなかでもアメリカじゃ一番有名じゃあるまいか? その理由はこれ、魚雷艇PT-109。アオシマ製のキットは単なるオマケの域を越えて良い出来です。いや実際単品売りもありますけれど。 天霧同様フルハル/WLを選択可能です。船体上下の合わせが若干宜しくなかったので、先にがっちり船体を組みあげてから装備品を接着していく方が良いだろうと後の祭りで思います。 プロポーション・ディティールともに申し分ないので、数を揃えてスリガオ海峡夜戦で西村艦隊に襲いかかる魚雷艇部隊の情景とかどうでしょうか。 でもやっぱりこの、「危うく将来のアメリカ大統領が真っ二つにされるとこだった」ジョン・F・ケネディ中尉の情景を作るべきでありましょう。「あやうく将来のアメリカ大統領が食べられてしまうところだった」ブッシュ父の事例もありますし、アメリカ大統領になるのも大変ですね。 戦果というより「事故」の面が大きかった為でもあるのでしょうが、戦後「天霧」の乗員とケネディの間には親交が結ばれています、いい話です。 …そして小学生もの頃、たしかに「えらいひとのはなし」だかなんだかでケネディ大統領の伝記を読んだ(読まされた?)覚えがあるんだけれど、今では記憶に残っているのがこの天霧とPT-109が激突した一件だけだってぇーのはあんまりいい話じゃないよな(´・ω・`)

大日本絵画「第27戦闘航空団 アフリカ」

第27戦闘航空団は数あるドイツ空軍の戦闘機部隊の中でもとりわけ有名な飛行隊です。数多の部隊と同じく様々な戦区で大勢のパイロット達が戦いましたが、JG27を著名な存在たらしめているのはひとつの戦区、ひとりのパイロットの所為なのです。 第27戦闘航空団はその前身を戦間期に編成されていた第131戦闘航空団第I飛行隊に持ちます。他のドイツ空軍飛行隊の多くの部隊と同様、そこから組織の発展と部隊名称の変化は実に官僚的で複雑なのですが、いろいろあって東プロイセンの片田舎に配備中されたこの部隊が、歴史あるリヒトフォーフェン航空団を差し置いて第1戦闘航空団(JG1)の名をもったのは戦間期ドイツ空軍史の小さな挿話ですね。 その後の開戦、ポーランド戦を経て正式に第27戦闘航空団が発足するのですが、何の予兆か対仏戦の時期から第27戦闘航空団第I飛行隊の機体には、既に「アフリカ大陸と豹頭、原地住民」を図案化した隊章が描かれていました。また西方戦役の時期に熱烈に志願して地上攻撃機部隊から戦闘機部隊へと転属を果たしたアードルフ・ガランド大尉が、第27戦闘航空団本部付き副官として戦闘機乗りのキャリアを始めたことは記憶されてしかるべきでしょう。 バトル・オブ・ブリテンの項ではギュンター・ボーデ中尉搭乗機「白のシェブロン」劇的ビフォーアフター写真が掲載されています。不時着機が自動車ディーラーのショールームに展示されているどこか暢気な空気は東部戦線とは違うな。 大抵のドイツ空軍戦闘飛行隊の例に洩れず、バトル・オブ・ブリテン以降JG27はバルカン半島、そして東部戦線へとドイツ軍の主攻軸に沿って転戦を続けます。バルバロッサ作戦開始初日に航空団司令シェルマン少佐自らによる出撃、そして被撃墜の後消息不明と縁起でもない事件も起こりますが、やはりここまではよくあるドイツ空軍戦闘飛行隊のひとつに過ぎない戦歴です。 しかし、第27戦闘航空団が俄然世の注目を浴びるようになったのは、本書タイトルにも冠されている「アフリカ」の地に派遣されてからのことでした。戦史に明らかなように戦略的には二義的な位置を占めていた北アフリカ戦線は、ロンメル元帥麾下のドイツアフリカ軍団の活躍によって衆目の集まる土地となりました。そして彼の地の空を戦っていたJG27もまた、たったひとりの操縦士の活躍によって他に例を見ないほどの名声を得ることとなります。半世紀以上を経てなお、敬意の目と称賛の声の止まぬその操縦士とは… 「おれだよ俺、マルセイユだよ」 と、言ったかどうだかわかりませんが撃墜王「アフリカの星」ことハンス=ヨアヒム・マルセイユ大尉の活躍こそが、JG27を北アフリカと密接に関連させるほどの影響を与えていることは確かです。わずか17カ月の短期間で、以前の所属部隊を無責任さと不服従でクビになった女たらしの少尉候補生は総計157機撃墜のエースパイロット、しかもそのすべてが御し易いソ連空軍機ではなく西側連合軍機であるという、居並ぶドイツ空軍のエクスパルテンの中でも空前の数字を誇る存在へと変貌したのです。 戦時中からマルセイユの活躍はナチスドイツ一流のプロパガンダに乗せて喧伝され、戦後もハリウッドで映画化さらには日本でもマンガになったりしてます。搭乗機体も数多く模型化され、枚挙にいとまがありません。そんなマルセイユとアフリカにおけるJG27の戦闘記述が本書の白眉と言えるでしょう。イギリス第8軍総司令官ゴッド中将の搭乗するボンベイ輸送機を撃墜、中将を戦死に至らしめたのもJG27所属のパイロット達でした。 いまも昔も砂漠地帯は決して航空機の運用に向いた場所では無く、本書に収録されているいくつもの写真からは砂漠地帯に於ける苦労が伝わります。この辺ちょっとディオラマ向きかもしれないなーとか思います。マルセイユのキューベルワーゲン「OTTO」も、たしかデカールが出てたりしましたね。 そして戦場にいる兵士たちよりカナダの収容所にいる捕虜の方が暮らし向きが良く見えるのは、枢軸国ではよくあること。 アフリカ敗北以降の第27戦闘航空団はイタリアに後退し、その後は地中海・バルカン半島で戦闘を継続します。しかしながらドイツの敗色は色濃く戦線は後退を続け、最終的には本国防衛と敗戦解隊という、やはりここまではよくあるドイツ空軍戦闘飛行隊のひとつに過ぎない最期を迎えます。それでもJG27第1中隊所属機には、この部隊がよくあるドイツ空軍戦闘飛行隊ではないことの証しが描かれていたのです。 機体カラーイラストには戦前、第131戦闘飛行団時代のアラドAr68Fから1945年4月のBf109K-4まで様々な機体が描かれています。しかしここは類稀なる撃墜王を偲んで「黄の14」のみを掲載で幕引きと致しましょう。

バンダイ「BB戦士 シナンジュ」

ガンダムUCより「赤い彗星の再来」ことフル・フロンタルのモビルスーツ「シナンジュ」のBB戦士キットです。 BB戦士シリーズの中でも比較的大型の部類に属するキットです。もちろんお子様にも安心のタッチゲート成形。 サザビーの系譜に属する機体のように見えて実はHi-νガンダムのラインも加味されている正統派「ポスト逆襲のシャア」MS(なのか?) 主に武器枠となるCランナー。 専用のスタンドに加えてポリキャップは追加枠を含めた2ランナー。 シールも「袖付き」の意匠に加えてコーションマークなどのマーキングがあしらわれた計2枚が入ってます。 HGやMGなどの通常のキットに比べて一体化の進んだ各部のパーツ。 組み立てはカンタンですがディティール関連相当細かいんで、塗装仕上げまでやろうと思ったらかなりタイヘンです。 頭部は大型なので分割多めのギミック盛り気味。ここだけ取り出すとノーマルモデルで通りそうだな(笑) 胴体部分を始めとして全身に渡る袖付きの金モールをシールで貼ってくのはなかなかの難儀ですが、これこそシナンジュ最大の特徴なんでがむばりまっしょい。 手足の可動範囲を紹介するまでもなく完成。気持ち腰高でプロポーションだけ見ると「ダンボール戦機」風でもあるような。 大き目にディフオルメされたフレキシブル・スラスターのおかげで、プロペラントタンクで支えてないと自立できないのはヒミツだ。 武器類は多めに付属します。これらの多彩な組み合わせがシナンジュいちばんのプレイバリューでしょう。 ライフル・シールド共に大型なのでスタンドは必須。2本脚で自立できなくても大して問題になりませんな。 頭部を左右に振るとモノアイが連動する視線誘導ギミックがあります。これはなかなか楽しい仕掛けでディフオルメモデルならではの技かな。 ライフル下部にはグレネードランチャーを装着可能、湾曲した刀身のビームサーベルはグリップ部分までクリアーパーツ一体成形。 モビルスーツが斧振り回すのはジオン軍伝統芸!のビームアックス二本持ち。 ゲルググ風のビームナギナタにも連結可能、グレネードランチャーも独立して保持できます。 シールド裏面にアックスとランチャーを配置すればこりゃまたレッド・ミラージュなのであります。と、ここまではシナンジュの本編設定通りの武装バリエーションを再現!パートなのですが、この先はBB戦士オリジナルのギミック。 ライフルとシールドを組み合わせアックスを前方に展開した「巨大槍モード」 ライフル上面にシールドを装着しアックスを後方に展開する「大型ボウガンモード」 双方ともケレン味豊かで面白いもんです。シールド裏面など各部にジョイントとなる受け口が配置され、それらの組み換えでいろいろ遊べる感じ。さらにここから… 全身を一旦バラバラにして上半身・下半身でビークル?に変形する「ファルコンモード」と「ワイバーンモード」 わぁいアザルトガリアンあかりアザルトガリアン大好きー。 てなことを言ってる場合じゃありません。分解する時には袖付きシール剥がれそうになるわポリキャップが受け口に残るわで結構なストレス。おまけに出来上がるブツのカタチは、 それは、可能性の獣… じゃねーわよ(´・ω・`) BB戦士ユニコーンガンダムのビーストモードと対になるギミックなんでしょうが、さすがにケレンを通り越して無茶が過ぎるような… フツーにモビルスーツのままで十分楽しめるアイテムかとは思われます。例えばこのキットをベースに武者ガンダムやナイトガンダム的な発展を期待してもいいのかな?