Month: January 2013

トイズプレス「模型歳時記」

季刊「テールズ・オブ・ジョーカー」に掲載されていた小田雅弘氏によるエッセイの単行本です。 ものの本によると「エッセイの商品性は、著者の有名性に支えられている」とあります。それが全てではないにしろ「何を言ったかだけでなく、誰が言ったか」が結構な重要性を持っている、と。小田雅弘という方はガンプラブームを牽引したモデラー集団「ストリームベース」の一員として数多くの雑誌作例を発表しメーカーサイドで製品の企画開発にも携わった方です。ある種の模型趣味、ある世代にとってはブランドネームと言っても過言ではないでしょう。しかしながら、ガンプラやガレージキットの話題というのはあくまでご本人にとっては一側面であり、実を言うとこの本そっち関係の話はあまり載っていません。模型から始まって趣味全般に広がる様々な物事や物思いを書きつづった文字通りの「歳時記」です。 ガンプラよりはむしろ以前ホビージャパン誌でやっていた国内外の絶版キット紹介コラムや、80年代末~90年代初期のニュータイプに掲載されていた模型記事に近いスタンスかも知れません。前者はともかく後者はいろいろ覚えていたので入り込みやすかったけれど、ザクのハの字加工とか06Rの話を期待して読むと面食らうかも知れませんねこの本。ただ一点 後年、「似てないザクやアッガイなら似させるまで!」と、手を動かさせたのは、このアオシマ体験によって充分鍛えられていたからこそなのであった。 昔日の小田雅弘少年が「お世辞にも出来がよろしくなかった」アオシマの飛行機模型をカッコ良く作り倒していなければ「How to build Gundam」は無かった!アオシマ偉いぞ!!という、日本模型史の隠された一面が明らかにはされますな。そんな感じで模型に関する話はタイトル通りに毎回出てきますが「模型その物」も実はそんなに出てこない。「TOJ」連載当時は図版や写真もあったようですが単行本にはすべて未収録なので、回によっては文章内容の意図を掴むのに苦労することもあります。 読み進めるのにややハードルを感じることもあるのは「趣味」という極めて個人的な行為を極めて個人的に綴った文章だからなのかも知れません。同じ趣味を持っていれば共感は容易いと思いがちではありますが「麻布の御屋敷屋敷に住んでいるプロのサックスプレーヤー」が模型趣味の師匠だなんてかなり特殊な環境には、同時代・同世代の人でもそう簡単に共感は出来ないんじゃあるまいか。なにしろ「ある夜に突然モノグラムのフォード・トライモーターが作りたくなったけれど、2個のストックは100km先の倉庫に保管してあるから高速代を考えたらもうひとつ買った方が安い」みたいなことが平然と書かれているのでこれに共感できるのはかなりの冥府魔道を行く人だと思われます……ページをめくる最中になんだか他人の山登りに付き合わされているような気分になったのは確かだ(笑) それを越えて丘の向こう側に見える景色は、「趣味」に尽力することの気持ちよさや「嗜好」に生きることの楽しみを十分満喫できるものでしょう。プラモデルだけではなくシューズのコレクションや季節の食べ物など 様々に広がる話題から、なるほど小田雅弘という人はいろんなものが好きで、好きなものには真剣に取り組む人なのだなあと、そういうことを読み取れます。ブレの無さはこの本の特徴と言えるかも知れません。雑誌掲載期間が1994年から2007年までと長く、またその間の模型業界ってかなりダイナミックに変貌したものですが、あまり周辺の諸事情に流されることなく記事は連なっていきます。 明代の儒者にして陽明学の租、王陽名に曰く「その好むるところを見て 以てその人を知るべし」 「小田雅弘のエッセイ」に書かれているのは「小田雅弘という人」である。そんな内容です。巻末には海洋堂の宮脇専務を初めとしてフリー編集者の松井和夫氏、プロモデラーの小林和史氏による寄稿が掲載されています。お三方の立場の違いを表すようにそれぞれの目に映る「小田雅弘像」はどれも違っているのですが、ひとりの個人の中ではブレずに一致している。ひとって概ねそのようなものではありますけれども。 自分にとっての小田雅弘像は「プラモ狂四郎に出てきたひと」なんだけど、ことあのマンガのキャラクターに於いては「アオイ模型の三戸広右衛門会長」が、小田雅弘氏個人の心情を代弁していたのかも知れません。このエッセイ読んでるとそんなことも思わされます。 しかしガンプラブーム真っ盛りの頃に「模型業界を支配するのは問屋だ」って描いてたんだからプラモ狂四郎は怖いマンガですね(全然関係ない話を振ってオチにするのは単にワタシの趣味です)

コトブキヤ「ダンボー(ミニ)」

はじめて「よつばと!」に登場した時にここまでいろいろ広がるキャラクターになるとはだれが予想したであろう、ダンボール製手作りロボット「ダンボー」の、コトブキヤ製品としては第二弾となるプラモデル、ミニサイズ・ダンボーです。 最初のキットはかなりノリノリのパッケージ画でMSGオプションパーツによる拡張性をアピールしていましたが、こちらは一転小洒落た写真パッケージと手ごろなサイズ・価格でマスコット的にライトユーザー(?)にも訴えるデザインといったところでしょうか。 基本のパーツは1ランナー内でほぼ収まります。同社製品ではゾイドシリーズなどで鬼の分割によるカラーごと成形なんてのもがありますが、本品に関してはまったく製作ストレスを感じさせないKISSなものです。 Bランナーは2種類の選択式、ポリキャップはボールジョイント関節になってます。 カネでしか動かないダンボーは表情に人間性のカケラもありません。現金直接授受のみで口座振替を許さないあたりはゴルゴ13より冷徹である。その内面に黒くよどんだモノを示すかのように口蓋内部はブラックに塗装されています。ポンキッキのムックが腹にブラックホール抱えてるのと同じです。 入金スロットが黒いのは単なる照明の加減(w スナップフィットで平面の大きな構造からヒケは散見されるのですが、その方がむしろ「ダンボール」らしさを感じて無理に修正する必要はないかもだ。 組み立て過程をパートごとに見ていきます。脚部はダブルボールジョイントで可動、水平面に対しては完璧な接地性を持ちます。 胴体部分、前後のスカートパーツは可動します。またパーツ断面は梱包用の頑丈なダンボールを思わせる厚みを伴っています。 いわゆるハコ組みではないのに出来あがるのはれっきとしたハコである。このアンピバレンツさにしびれるあこがれる。 眼のパーツは点灯 ON/OFF 状態を選択可能。取り付けピンを切り飛ばせば頭部空間に容積は確保できるので、ミニサイズでも電飾イケそうです。 今回は口部との統一性・見た目の不気味さを優先して黒色パーツを使用。スナップフィットでありますから交換も可能です、その際は多少接続部を削っておけば安心でしょう。なお完全接着派の方でも頭頂部合わせ目はモールドなので処理して消してしまわないようご注意ください。 腕部は一見すると同一に見えてちゃんと左右で異なりますので間違えないようにしましょう。間違えると大変なことが! べつに、起こりません(´・ω・`) けれど、パッケージの写真は…左右間違えてるんじゃないかなこれ…… 有無を言わせず完成である。「四角四面」とか「四角ばった」という言葉はまさにコイツのためにあります。「四角いジャングル」は全然関係ねぇ。 ボールジョイント一個と不要パーツが出るんですけど、その不要パーツがAの1と2ってこりゃ一体どういう訳だろう?なにか後々バリエーションで展開…するにしても正体不明の部品です。 たぶんこうやって使うものではないでしょう。あ、なんだか水木しげるの「ベーレンホイターの女」に…すまん全然似てなかった(汗 マイク…にしては小さい。やはりよくわからない。 言い忘れてましたが完成全高は文庫本の半分ぐらいです。レビュー記事で対象製品隠す画像って大概だよな。 なんかこー、ミクダヨーさんにも通じるホラーな雰囲気がですねってレビュー記事でピンボケ手ブレ画像って大概だよな。 胸部の入金スロットと側頭部の電源スイッチ部分に色を乗せるとメカニカル感が増します、やや。 中のひとが女子小学生だと想像すると途端にグラビアアイドル的なセクシーポーズですとか ドジっ娘属性にすげえ萌えれるわけです。すいません無理です。 そしてダンボーと言えばコラボなので私用で購入したモデルカステンガルパンデカールから戦車には使わなそうなヤツを貼ってみる。残念ながら「74アイス」の企業ロゴは大きすぎてミニダンボーには使えず、しかしいろいろ応用してあなただけのマイダンボーや様々なコラボダンボーを簡単に作れそうな気がします。パーツが少ない分小回り効きそうなんだよな。 ところで、ガルパンデカールのポルシェティーガー用大洗校章ってどれを使えば良いんだろう…

MENG「中東地域の民間人」

MENGモデルのフィギュアモデル「ヒューマンシリーズ」001の製品です。アジアの新興模型メーカーの中でも独特のラインナップで知られるMENGモデルらしく、フィギュア製品第一弾も実にユニークなものでした。 ボックス裏面が組み立て説明書となる、ごく一般的な製品パッケージ。塗装見本は特に掲載が無いのでボックスアートとカラーリング指示を参考に。とはいえ民間人のモデルですから、あんまり厳密にやる物でもありませんね。 パーツは1ランナーのみのシンプルなものです。同社の武装ピックアップトラック、いわゆる「テクニカル」との組み合わせが主体となるようなフィギュアですが、軍人ではないので銃器などの細かな装備品が付属せずとも問題なく成立するのは巧いアイテム選択です。 インジェクションではなかなか見かけない(といっても近年は随分増えたように思います)、彫りの浅い子供や女性の立体化。しばしばボトルネックとなる成人女性の表情が「そもそも見えない」のは意図的なんだろうか(笑) 衣服のモールドは立体感あふれる自然なものです。特にスカート部分のシワが好印象。 フィギュアモデルにスライド金型を使用するのも昨今それほど珍しいことでもないのですが、こういう使い方は初めて目にしたような気がします。面白いポイントです。 明確に記載されてはいないのですが四人家族の「父親」と見てよいでしょう。イスラム圏の男性は髭をたくわえることがならわしなので、モールドを活かした髭の塗り分けが見せどころ。フィールドジャケットのスタイルはAKでも持たせれば「民兵」的な使い方も出来そうですが、それはちょっと悲しい。 イラストからは妹のような印象を受けたのですがどうやらこちらは「姉」らしい。子供とはいえ頭髪はスカーフで隠されています。頭の上に荷物(袋)を乗せているのは運搬よりは防護的な意味合いからでしょうか。 こちら「弟」くんです。マスターボックスの彼よりは幸福そうに見える…のは周りの大人の問題か。各部パーツの合わせはどのフィギュアとも良好なのですが、この個体の脚部だけは不自然な位置に合わせ目が来ているのでここはしっかり埋めた方がよいでしょう。 「母親」は戒律に従った服装、おそらくは「チャドル」や「アバヤ」と呼ばれる種類の長衣を着用しています(Wikipedia「イスラム圏の女性の服装」項目を参照)。あまり詳しくはないのですが、ボックスアートや塗装指示ともにフラットブラックとなっているのでモデラー諸氏も従うべきでしょう。 現代のイラクやアフガニスタンの人々をモチーフにしたアイテムだと思われますが、広く一般的に中東地域の民間人として用いることが出来るでしょう。などと簡単に言ってしまうのはたぶん乱暴な話で、本当は時代や地域ごとに細かな違いがあるはずですよねとなんだか自分の不明に気づかされる思いだ……

ペコパブリッシング「ペコブック #1: T-34 」

ハンガリー、ペコパブリッシング刊行の第二次世界大戦フォトブックシリーズ第一弾“T-34 ON THE BATTLEFIELD”です。A4横開きのハードカバーで端正な製本、編集スタッフには軍事研究家として古くから日本でも著名なトーマス・アンダーソン氏の名前もあり、内容はお墨付きといっても差し支えないでしょう。 前ページモノクロながらも1ページに付き1枚のフォトを掲載するスタイル、初公開も数多く含まれる大判の写真はすべてコンディションも良好なものばかりで情報量の多い一冊です。キャプションはハンガリー語/英語併記で、平易な文章で撮影時期や場所、車両の形式分類などを的確に解説しています。 特徴としてはドイツ軍による記録写真・個人撮影のフォトを集めていること、撃破あるいは遺棄された車両の写真が殆どだということが挙げられます。バルバロッサ作戦の開始時期から年代を追っていく編集構成から、いわゆる1940年型から始まるT-34戦車の発達を見て取ることも可能でしょう。みんなブチ壊されてますけど…… 勇壮な構図は少なめですが、アーマーモデリング2月号で特集されているような廃墟的情景を製作するアイデアソースに成り得るかも知れません。以前「バラトン湖の戦い」って良書がありましたが、雰囲気的にはあれと似たものを感じます。 もうひとつの特色として、ドイツ軍に鹵獲され運用されている車両のフォトも見られます。T-34の一風変わった塗装やマーキングを知りたい方には格好の資料集となるでしょう。 本書内容の9割方はT-34/76の写真で戦争後半に登場したT-34/85のページはおどろくほど限られたものです。思うにこれはT-34/85が前線に姿を現した頃はドイツ側に記念写真撮ってる余裕がなかったから…かどうかはわかりません……ただ、もしもT-34/85の写真を期待していたらそれはちょっと少なめですよーと、それは申し添えて置いた方がよいでしょう。あんまり営業的なセリフではないが、むしろそれが営業的だって局面もあるのさっ。 むしろ骨の髄まで共産趣味的な同志諸君にとってはいささかムシの居所が悪くなるような内容かも知れない。なにしろドイツ軍が調子づいてるような写真が連続して続きます(笑)そして珍しい割には既視感のあるマーキングや塗装の個体が多いなあと思ったら、以前ドラゴンモデルが完成品でリリースしていた「ドラゴンアーマー」シリーズの、いくつかのT-34のネタ元ってこの辺だったんでは…と思われる。 表紙にもなっているグリーンの上に独特の冬季迷彩を施したこの塗装パターンはよく覚えています。製品そのものはごく普通の1941年型でしたが、実車はこの通り車体前面に増加装甲板を装備していたのですね。あれをよく売っていた当時はイマイチわかってなかったが、知ってしまうといろいろ気まずいところもありますな。つげ義春風に言うとその後あのT-34がどうなったかと言えば、 実はまだ 在庫にいるのです。 まーその、なんですな第一親衛戦車旅団のT-34がぜんぶ増加装甲付きだったわけじゃなし、これはこれで写真と関係無く良いものであって…… いろいろ気まずい。調べるべきではなかったかもしれない OTL こんなとき「アオシマのあおこ」さんを見習いたいものだなと、つくづく思いますねぇ……

バンダイ「ガミラス二連三段空母」

「メカコレ」こと宇宙戦艦ヤマト・メカコレクションシリーズNo.28、二連三段空母です。発注書の記載がそうなってるんで仕方なく「ガミラス」って冠しているけど本当はガルマン・ガミラス帝国ですけん、間違えんといてやー。 パーツは合計3ランナー、全25パーツ。左右の船体は同型のように見えて実はいろいろ違うので、それぞれ個別の金型を起こしています。メカコレでも後期のアイテムはオマケつきのものが結構ありますが、本キットはボリュームのある艦型なので、特にそっち方面の特典は無し。むかしはこれに菱形チューブの接着剤入りでお値段100円だったのですからお得なものです。竹下内閣成立以前の話なので消費税なんてなかったしな(笑) メカコレは劇場版「さらば宇宙戦艦ヤマト」並びにTVシリーズ「宇宙戦艦ヤマト2」の関連商品として1979年に発売され「宇宙戦艦ヤマトIII」の放送された1981年まで都合3年間に渡って展開しました。リリース期間が長かった関係からシリーズ後期のアイテムほど品質が向上していたのは確かなのですが、続編が作られるたびに「ヤマト」の作品人気そのものが低下していたことは否めず、結果としてマイナーな艦・機体ほど出来が良くなっているのはいささか皮肉な感があります。この二連三段空母なんかまさにそれで、少ないパーツで個性的な形状を良く捉えはているのですが、ヤマトファンで特にこのフネが好きだってひともそんなにはいないでしょうねえ… 組立図は箱の裏に直接印刷されています。コストを抑える工夫…というか当時の低価格プラモではこれで普通の仕様でしょう。「箱の絵を見て色をぬると良いでしょう」の説明もおおらかな空気を伝えていて、カラー印刷で塗装説明図まで載せてたガンダムが別格だったのですな。ある世代にとっては強く印象に残るプラモデルで、メカコレこそが人生初プラモって人も多いでしょう。かくいう自分がそれで、はじめて作ったのは「主力戦艦」でしたよ、ええ……。模型人生の折にふれていろいろ作ってきたけれど、考えてみれば肝心のヤマトを一度も作ったことが無いな自分(w; 個人的にはこのシリーズのベストはゆきかぜこと「古代艦」だと思ってます。2199の「国連宇宙軍セット」に入ってる最新のイロプラよりメカコレの方がプロポーションは良い!と声高に主張する。 ガルマン・ガミラス二連三段空母の特徴としては旧ガミラス帝国より伝統の三段飛行甲板を持つ航空母艦を左右に連結して搭載機の倍増・発着ペースの効率化を図った存在と言えます。プラモデルとしては左右の船体が独立したパーツ分割から、本製品をベースにノーマルのガルマン・ガミラス三段空母(ただし本編未登場)を二隻スクラッチ出来るらしい。 二つの船体を文字通り橋渡ししているブリッジ部分。「ヤマト3」本編ではダゴン提督指揮下の艦隊でゲーレンなる人物が艦長を務めていたそうなんですけど(Wikipedia調べ)、さすがにこれっぽっちも覚えちゃいないのである。 忘れちゃいけない台座が付属。ささやかなことですがネーム入りのスタンドから醸し出されるほんのわずかな高級感が、当時の子供にとっては大事だったんではないか……と愚考します。ほんの子供だましかも知れませんけど、子供ダマせりゃそれでいいのです(問題発言) 買ってきて即その日に完成するってのも大事だったんだろうなあ。むかしはプラモって文房具屋で売ってるものでしたが、イマドキは文房具屋自体を全然見ない気がするし、コンビニに低価格プラモデルを置く動きもなかなか軌道に乗りませんね。 ガトランティス帝国(別名白色彗星帝国)型の回転式速射砲塔を装備するのはガルマン時代のガミラス艦の特徴で、本艦にも四基装備されています。主に近接防衛用の装備であり言うまでも無く二連三段空母の主兵装はその航空機にある訳ですが、ヤマトシリーズの航空兵力ってヤマトの艦載機以外はクソほども活躍しないもんですからして、結局は煙突ミサイルの直撃で爆沈。なんで空母がそんなもんの射程内でフワフワしてんだとかツッコミいれないように。 だって、ヤマトだもん。 TVシリーズ第一作のドメル航空艦隊だって切り札のドリルミサイルは不発だったし4隻の空母すべてがうっかり激突事故を起こして全部誘爆とゆーその、2199ではなんとかしてくれるとは…思いますが…… 強そうな空母は赤く塗れ!というのもハイデルンの戦闘空母以来の伝統か。発着甲板上の巨大な矢印は本艦いちばんのチャームポイントなので是非とも塗るべきでしょう。艦首円形のディティールは「瞬間物質転送装置」で艦載機を任意の空間にひょいひょいテレポートできます。そない便利なもんがあればわざわざ長大な発進甲板いらねーんじゃとか直接ミサイル飛ばせよとか無粋な指摘はやめていただきたい!だって、ヤマトだも(ry さっきと同じような画像ですが、この構図がいちばん絵になる…というよりこれ以外が絵にならん(笑) メカコレはここ数年コンスタントに再販されていて市場でも若干ダブついてる感はあり、今月末と来月の再販にも微妙な空気が漂うかもしれません。が、ヤマト2199第四章冒頭で見られたドメル艦隊VSガトランティスの戦闘は短いながらもなかなかに見ごたえがあるものでして、ナスカ級空母や新規設定が起こされたククルカン級駆逐艦、ゴーランドに速射砲を載せてラスコー級巡洋艦を作るなど、いくつかのアイテムは脚光を浴びそうではあります。ガミラス艦セットIには付属しないクリピテラ級駆逐艦に見立てるには、メカコレの「ガミラス艦」は力不足かも知れませんが、いずれにせよ昔を懐かしむもよし新しい何かを発見するもよしで21世紀の今でもメカコレって楽しいプラモデルなのです。

大日本絵画「上海海軍特別陸戦隊 写真集」

気がついたら年が明けてからこっち日本軍か自衛隊関連のものばかり取り上げている。じゃあ続けてやってしまへ。 と、いうわけで吉川和範氏編著による上海陸戦隊写真集です。 以前「伊太利堂」名義で吉川氏個人の私家版として頒布されていた2冊の著作を合本、版型を大型化し収録写真も増補され一層の内容充実をはかったものです。一般刊行書籍となることで流通も安定化し、以前からの同人誌版を所有されている方であっても、より鮮明になった写真や掘り下げられたキャプションから新たな情報を入手することが可能でしょう。 列強諸国の中国大陸進出拠点として西欧文化が流入した上海は20世紀初頭には一大国際都市としての繁栄を誇っていました。しかしながら別名を「東洋の魔都」とも呼ばれるこの都市は各国の権謀術数が蠢く場でもあり、治外法権の外国人居留地である「租界」の治安維持・居留民保護のために各国がそれぞれに置いた警備組織の中でもとりわけ大きな存在となったものが日本海軍の「上海海軍特別陸戦隊」。その約10年間にわたる活動記録から厳選されたフォトによる写真集です。 当ブログで以前に同人誌版を取り上げた際には末尾に(冗談ながら)ビッカーズ・クロスレイ装甲車がインジェクションキット化されないものだろうかと書いたように思いますが、同車はその後本当にピットロードからキット化されていやはや、驚いたのなんの(笑)今回の版ではA4フルサイズの写真もあり、詳細なディティールを鮮明に観察することができます。 クロスレイ装甲車のフォトは豊富に掲載され、平時の警備活動や2度の上海事変に於ける戦闘中の状況のみならず「漢口陸戦隊」として分派された際の撮影や陸軍が満州で使用している車両も含まれます。陸軍の個体は戦車と同様の迷彩塗装がなされ海軍車両のソリッド式とは異なるチューブ式のタイヤを持つなど興味深い点があり、模型化すると見栄えしそうではありますが…… 組織の拡大に合わせるかのように急速に変貌を遂げる兵員各自の被服・装備品が変化していく様は非常に興味深いものです。初期は水兵服に英国式の皿型ヘルメット(白塗り)であったものが、 後には濃緑の陸戦服、国産の鉄帽へと変化する。人物の写真も実戦場のインアクションから集合記念写真、個人のスナップなど様々な性格をもつフォトが幹部将校から下士兵卒に至るまで数多く収録されています。 駐屯当初、仮隊舎の門前に立つ麦わら帽と水兵服の衛兵やハンマー片手に車廠でおどける整備兵のフォトには「旧日本軍」のイメージからはなかなか浮かびあがって来ないユーモラスな一面も見受けられます。 とはいえ無論上海特別陸戦隊の本質は戦闘部隊であり、ベルグマン機関短銃や120ミリクラスの(?)重迫撃砲などの輸入火器、八九式中戦車やスミダ装甲車といった新鋭の国産機甲車両など国内外からの優秀な兵器を数多く備えた往時の日本軍でも有数の戦闘能力を誇る組織です。その側面は本書内容から色濃く伝わります。 「コカコーラ」の中国語看板を前に交差点を占拠するクロスレイ装甲車と陸戦隊員の様子をとらえた写真は、そのエキゾチックさの魅力も相まってか着色絵葉書の図案にも採用されています。いまならディオラマ向けにぴったり!と、言うだけなら簡単なので言ってしまおう。この本は実にディオラマ向け、ネタ元として広く活用できる資料集なのです。いやまあ、実際作るのは…色々と大変でしょうが…… 考えてみれば車両関連は充実している最近のキット状況、問題となるのはやはりフィギュアの品不足でしょうか。しかし車両関連でも八九式中戦車が市街戦に対応して尾橇を外していたり九四式六輪自動貨車はグリルに防寒カバーを被せていたりと注意すべきポイントが多々見受けられ、単品車両派のモデラー諸氏にも参考になることは請け合いなのです。 四一式山砲は砲兵仕様のものが使われている様子で、市街地での直射火器としての用法や防護陣地の設営状況のみならず、陸戦隊本部屋上からの射撃では防盾を取り外していることに注意。分解と人力搬送が可能で軽便さと頑強さを併せ持つ山砲は、機関砲と並んで市街戦にも有用な支援火器だったことが伺えます。 このようにキット化されたもの、予定されているもののフォトを色々見ていると、カーデンロイド装甲車もどこかで出してくれないものかってなことを思わざるを得ないんだぜ?脇役として栄える小さな車両、バリエーションも豊富で、同じ陸戦隊でも横須賀に配備されていた車両(右)は上海の個体とは機銃周辺が異なるのですね。マイナーな車両かも知れませぬが、いまなら見た目の可愛らしさでイケる!かも知れない…無理かな…… 趣味と模型的要素から主に車両や火砲関連の画像を上げていますが、この本から感じ取れるのは翻弄される上海の姿そのものなのかも知れません。ページをめくるにつれて冒頭にあったようなどこか牧歌的な印象は薄れ、硝煙や瓦礫が増していくような印象を受けます。本書の記録は1937(昭和12)年第二次上海事変の時までとなりますが、その後上海特別陸戦隊は同地に駐屯を続け、日本海軍に於ける常設陸戦部隊として終戦まで重要な位置を占めました。 当時は絵葉書の図案として非常にポピュラーな存在だった人工着色写真が多く掲載されているのも本書の特徴です。ここでもクロスレイ装甲車はよく取り上げられていたようで、海軍9両陸軍3両の都合12両のみ配備されていた車両としては一般社会にも広く知られる存在でした。これは断言しちゃってもよいことでしょう。なぜなら、 この通り「のらくろ」にもハッキリと描かれているのだ。(田河水泡「のらくろ上等兵」講談社刊より引用) あ、そこ、「のらくろなら陸軍所属の車両で海軍陸戦隊関係無くね?」とか本当のことをゆわないよーに!珍しく実車が特定できるコマなんで、何かの機会に無理矢理紹介しようと前から狙ってたんだから(w

サイバーホビー「1/35 日本帝国陸軍 九五式軽戦車ハ号 (初期型)」

ドラゴンモデルズ/サイバーホビーブランドで昨年末にリリースされたキットです。歳末も押し詰まった時期の発売でしたが、そろそろ完成させた方もいらっしゃいますでしょうか?事前のポスターや画像データのみならず、実際に箱を開けてキットを組んでみたらとんでもない出来映えの素晴らしいプラモデル。「おすすめ」という単語を我々は安易に使いがちなのですが、本キットは間違いなくおすすめの、それも日本戦車ファンだけでなく広く戦車モデラーや戦車以外モデラーやモデラー以外全ての人類やいっそ地球外の知的生命体にまで!!お勧めしたい逸品でした。 これまでリリース済のキットではやらなかったスタイルですが、今回の記事は組み立て説明書の各工程ごとに製品の細部を見ていこうかと思います。よってすごく重い。画像が50枚以上ある。ですからしてそんな余裕はない方はレポート見ずに今すぐリンク先URLに飛んで注文されても結構!いま現在「残り僅か」な状態ですのでお早めに… それぐらい、自信を持ってのオススメであります。 開発はドラゴンモデルズの中でも良い方の製品グループを生み出している日本人チームの手によるもので、綿密な実写取材とそれを反映した設計は流れ的には同社の特二式内火艇に続くものです。実車ではカミより古い存在のハ号ですが、キットではより発展した設計・充実した内容となっているのはプラモデルならではの面白さかな? エッチングは最小限に抑えられ、デカールは戦車第一連隊第三中隊所属車両を始めとする4種が付属します。 DS素材キャタピラのセンターガイド穴が抜けているのはもはや言うまでも無く、日本向け製品のみのボーナスパーツとして竹一郎氏原型によるフィギュアが付属。ドラゴンモデルの戦車キットに「初回限定」などでフィギュアが付属する例はこれまでにもありましたが、本製品のように車両に直接搭乗出来る半身像は珍しい…はじめてじゃないかと思います。「日本限定」であって「初回」ではないところがミソなのか。 パーツを見てると非常に贅沢な設計をしているなーと、思わされます。エッチングパーツを使わずプラパーツだけで簡単に組み立てるために各部がコンパチになっているのはなにもこのキットに始まったことではありませんが、そうは言ってもごくわずかなディティール差異のためにリベットだらけのパネルを一枚余分に付けると言うのはなかなかに贅沢な行為。 ほぼすべての枠にスライド金型を使用し、部品点数を押さえながらも凝縮されたひとつひとつのパーツには細かなディティールや情報量を惜しげなく盛り込んでいるのも特筆されるべきことです。一般的な戦車模型では簡略化されがちなOVMのジャッキもご覧の通りの素晴らしい出来。 バールを挿入して上下作動させるソケットが二つとも開口されています。ワタクシ初めてこれ見た時しばらくの間ヘンな笑いが止まりませんでしたよ? そして感のいい人ならこのジャッキパーツそれ自体が独立したGランナーひと枠で起こされていることの意味に気づかれるかと思います。これはあくまで推測、しかしほぼ確信的な推測ですが、ドラゴンはこの先も本気で日本軍戦車を展開するつもりなんじゃないでしょうか。既にして1/72ではいくつもラインナップされていますし、本製品の箱絵を見ても…ねえ。 車体上下のハメ合わせも実に具合の良い感じで、夜中ひとりでパーツを見ているだけでもだんだん(*´Д`)ハァハァしてきたいやほんと、マジで。このままゴハンの二杯や三杯ぐらい三倍の速さで食えそうなほどオカズ感満点ですねん。 (´-`).。oO(このまま飯も食わずにパーツだけ見て暮らして餓死するのもいいかなあ) とか思ったけれどそうもいかないので手を動かして作りはじめるぞ。あ、そうそうこのキットドラゴン製品にしては珍しく説明書の誤記が無い!と噂されてますが、よーく見るとほんのちょっぴり間違いはあります。却って安心する……というのは変な話ですけれど。 ・STEP1 転輪は2枚の間にスペーサーを挟んだ三層構造。なお既存フォトの解析や実車取材によって明らかになったディティールの数々はグランドパワー誌の223号および224号をご参照ください。この二つがあればキットパーツ情報量、意味合いといったものがより深く理解できることでしょう。 デジカメの接写機能の限界でアレですが、ゴム部分には製造メーカーの刻印、スチール部分は完成後は全く見えなくなる合わせ面にまで溶接痕がモールドされています。ワタクシはじめてこれ見た時一瞬気が遠くなりヘヴン状態にまでああ、そういう駄感はいいですかそうですか。 STEP1で製作するパーツはご覧の通り。上部転輪にまでサイズ表記が刻印されてるのはもう撮影しきれません……。機銃はこの段階ではまだ固定せず、差し込んだだけで済ませておきます。 ・STEP2 この工程は車体後面パネルの組み立てです。ナンバープレートや尾灯脇の部材にはエッチングも用意されていますが、プラパーツでもなんら遜色は有りません。故に基本はプラパーツの使用でドンドコ組んで行きます…が、画像を見れば判るように牽引ワイヤーの合計6個ある連結部分(B26)を一個無くしたOTLので、ワイヤー無し状態を選択しています(泣)コンパチ仕様に助けられました…… 誘導輪基部は前後に可動させられます。キット付属のキャタピラは若干長い感じなので後部一杯に下げて組みますが、もしも将来的にマジックトラックなどの分割履帯がリリースされれば生きてくる機構でしょうねこれは。 ・STEP3 車体前面パネルと左右のサスペンションアーム、作動肢の取り付けに特に問題はありません。最終減速機カバーのD2/D7パーツにはパーティングラインが目立つので綺麗に消しましょう。この位置にあるラインはリベットごと削り取った方が早いのですが、その際Bランナーには予備のリベットがモールドされているので適時お使いください。この辺の処置はファインモールド的だよな。 ・STEP4 上下転輪ならびに起動輪を取りつけます。これまた特に問題はないのですが後々の塗装やキャタピラのハメを考えると、この時点でまだ接着はしない方が宜しいかと。なお説明書では起動輪の取り付け位置にものすごく無茶な所を指示していますが、ふつーに組んでりゃ間違うことは無いでしょう(誤記そのいち) ・STEP5 車体後部上面パネルは クランク軸挿入蓋 (こっそり直しておけどこの小扉は「燃料補給蓋」だった) や点検用小扉のハンドルを一体成形と別体で選択可能、 クランク蓋 「燃料補給蓋」自体もエッチングパーツが使用可能となってます。画像右側、プラ製ハンドル別体のものを使用しています。 ・STEP6 車体上面組み立て、STEP1で組んだ機銃はこの段階でA36とX1を接着させて車体側に固定。前後左右に可動します。 上面のエンジン点検小窓は裏側に金網と作動アームをエッチングで標準装備。このキット開きそうな扉はすべて開閉選択式で、開いた裏側のディティールもデフォルトで存在します。インテリアは無いので全部閉じちゃってますが、ちょっと勿体ない…… ・STEP7 フロントパネル部分、2箇所ある前照灯は戦闘時防弾のため後ろ向きにした状態も選べます。(普通はやらないと思いますが)プラモ的に面白いので左右で向きを変えてみました。また変速機点検ハッチパーツのハンドル一体/別体を選べるのはここまで見てきた通り。 このSTEPでは日本戦車特有のフェンダー裏側にある泥除け(マッドフラップ)を取りつけます。これに限らず曲げ加工が必要な部位はしっかりした折れ線が入りほとんどが直角処理なので、ある程度の精度を持つ細口ペンチなりなんでしたらピンセットだけでも十分処理可能です。 余談:この泥除けって諸外国の戦車にはまず見られませんが日本の戦車では必須で、昔からオプションパーツの定番でした。当初からキットに同梱されてる例はこれが初かな?目的はいまいち不明瞭ですが日本の戦車開発(特に初期の時代に)で重視されていたのは次の画像を見れば明らかでしょう。 (画像はアルゴノート社刊「日本の戦車と装甲車両」91Pより引用・一部加工) 九七式中戦車チハ車と採用を争った試製中戦車チニ車。軽量化・コスト低減化のため車体にフェンダーを有しない設計ですが、それでも袖部を利用して片側三枚の泥除けを付けています。私見ですが起動輪が夾雑物を噛んで履帯が外れることを恐れたのかな?戦後自衛隊の戦車開発(61式の時ね)でも履帯脱落に関しては特に戦前からの開発スタッフが過剰に気を使ってたとかで……。 閑話休題。 ・STEP8 車体上面構造の取り付けでワクワク感がどんどん み な ぎ っ て く る パートです。 操縦手用前扉の裏側はクリアパーツで防弾ガラスとエッチングで作動アーム完備。閉じちゃうのがモッタイネーヨナいかにもね……。つまりこれはインテリアパーツもリリース可能だってことなのかしら? 小扉だけを開く場合は小扉ごとクリアーパーツを使用します。そのために前扉パーツも2種類入っててやっぱ贅沢で余裕のある製品設計、それを許せる社内環境ってことなのかなあ。技術的には難しいことでは無く、ひとえにセンスとコスト計算の問題だろうと思うんですよねなんとなくね。 製造銘盤エッチングは座金部分を削れば取り付けボルト含めてすべてエッチングにも置き換えられます。自分が使ったのは銘盤部分のみの方ですが、ちょいとまがつてしまつた(恥) ・STEP9 車長展望塔(キューポラ)や主砲の組み立てなど。両開きの展望塔扉は縁部をエッチングの仕様にも出来ます。主砲は砲身部分こそ1セットながら砲尾部分を選択することで九四式三十七粍戦車砲/九八式三十七粍戦車砲の二種類の備砲を選べます。もともと野戦用の速射砲を砲塔装備用に切り詰めて設計された九四式と速射砲との弾薬共通を図った九八式、どちらかお好きな方をお選びください。ところで「火力と初速の増大を図」った割に薬室寸法に変化が見られないのは何故なんでしょう?? 主砲防盾も二種類から選べるのですがそれについては後述。 結局九八式で組みました。なお引き金部分C3パーツの接着指示は位置が間違ってますが、ダボと接続穴を確認すれば間違うことも無いでしょう(誤記そのにってほんとにこれしか間違ってなかったすげー、やればできるジャン!) ・STEP10 車長フィギュアは顔の表情も被服の質感もインジェクション日本軍戦車兵では最高の出来映えでしょう。おいこれ鼻の穴まであるぞ!!! と、夜中に大声を上げるほどすばらしい。腕の筋肉表現もカッコよすぎ。カッコよすぎてリアルというより映画俳優か何かに見えるのは特に困らない(笑) ・STEP11/12 砲塔部分をブンブン組み立てます。砲門横のピストルポートはモールド削ってエッチング化も可能、本キットでは一部車両のみ装備していた発煙筒発射機がデフォで取り付け指示されています。不要な場合は座金モールド削っておくのを忘れずに。今回はあくまでカッコイイから取り付けているのであって、決して加工がメンドクサイからではあります。 しかしもーちょっとましな撮影用台座はなかったものかと、いま冷静になって考える…… 砲塔後部の小扉はエッチングでピストルポート開口仕様のパーツを使ってます。どーせエッチングは見えなくなるので多少瞬着ハミ出してもオッケイだ。 旧日本の戦車って「なるべく弾が当たらないようにする」設計思想で前縁投影面積を狭めているのが主流なのですが。狭い砲塔に二種類の火器を収めているため砲塔内部はご覧の通りの有様です。付属フィギュアが半身像なのは下半身があったら乗せられないからなんだな(w 傍目で見ても問題ありそうなこの砲塔、後継車両たる九八式軽戦車や二式軽戦車では大型化した二人用砲塔に主砲と機銃を同軸で揃えた常識的な配置になるのですが、前線配備には至らず。結局日本陸軍の軽戦車乗員は最後までこの狭い砲塔の中で死力を尽くしていたのですね……。 ・STEP13

国本戦車塾「国本戦車塾 第1号 八九式軽戦車 (イ号) 増補改訂版」

※どうせなら都合により書評記事を4回続けてしまへ。ほらバレー部八九式も再販近いしお祭りなイキオイでズンドコ 国本戦車塾の4分冊からなる八九式戦車研究本第一弾、2010年に刊行されたものを昨年末に増補改訂された版です。第一巻となる本書では制式採用当初の「八九式軽戦車」時代から乙型製作開始時までを中心に本車を様々な観点から解説しています。 なお改訂にあたって増補された内容は「九○式五糎七戦車砲の図面の一部改正、追加と第一次上海事変、海軍陸戦隊の戦車の写真の充実及び甲型後期と乙型の比較図面」(本書前書より)となっており、以前の版の全88ページから96ページへとボリュームを増しています。 国産初の八九式戦車の開発と生産、配備などについては出版共同社刊「日本の戦車」上下巻を始めとしてこれまで多くの書籍や記事が発表されてきました。本書では改めて一次資料にあたってその事実を研究し、新しい情報を解明して一部では既存の資料記述を書き換えるような発見も成されています。 なかでもとりわけ「九七式五糎七戦車砲と九○式五糎七戦車砲は、薬室形状は同一であり、共通の弾薬が使用され、初速は同一の弾種同士は同一であるとしか考えられない」との指摘は重要でしょう。ひとえに八九式のみならず日本戦車開発史の記述を大きく塗り替えることだと(個人的には)思います。 これは日本戦車研究に限った話ではないのですが、先行資料で提言された記述がそのまま広がり「定説」化することってよくあります。立ち止まってそこをもう一度考えてみようというのが本書と一連の国本戦車塾書籍の主旨と言えましょうか。 主砲複座駐退機周りの装甲板が太平洋戦争開戦後の昭和十八年に於いてまで改良が続けられていた事実にも驚かされ、巷間稀に流布されている「日本軍の戦車は制式配備後の改造が一切認められていなかった」風説がまったくの誤解と偏見であることを知らしめます。 ※しょーじきなところアレは某マンガのひとコマ<だけ>が抜きだされて曲解を広めてる感が否めず、複雑な気分に…… 甲型後期と乙型の相違点は模式図を用いて判りやすく解説しています。実際の資料写真を解析する際には幅広く役立つもの……とはいえ、一般の読者が簡単に見られるような資料はあらかた解析されてるでしょうから、例えばガルパン甲型のキットを乙型に改造するガイドなんかにどうでショ? うん、まあまだマガジンキットのバックナンバー在庫してるんで、こっちを薦めなきゃいけない責務があったりするわけなのだが。 装備内容の変遷に於いては本書が初掲載となる改造三年式弾倉重機関銃の写真がひときわ目を引きます。十一年式軽機関銃で有名なホッパー式固定弾倉を重機関銃にも導入しようと試みた火器ですが不採用に終わり、これまではその実情が明らかではなかった知られざる日本軍兵器のひとつ。 本文中には当時の公式文章のスキャン画像も多く収録され、多くは漢字カタカナ混じりで墨書きされている物も多いそれらを読み解くのは並大抵のことではありません。然しながら適切な解読と解説により一般の読者にも一次資料の内容を伝える本書の価値は高く、これまで広く知られて来た写真にも細かなキャプションによって新しい角度からの解明が提示されます。この丸太で急造された仮設橋を渡る様子は個人的には初見。実にディオラマ栄えしそう。 こちらは運航試験中に木橋を渡る試作車両。どこかノンビリして穏やかな姿でもあり、八九式戦車独特のユーモラスな雰囲気を伝えています。トルコ帽型キューポラやくの字に折れた車体前部は表紙イラストを飾る「八九式軽戦車」時代の姿ですけれど、こっちのバージョンの立体化って無いものですかねえ。(チラッチラッ) と、豊橋方面を見つつ。

J-Tank「J-Tank Vol. 016 」

※都合により書評記事が三回連続してます。そういう時もあります。 日本軍戦車・軍用車両研究誌として一連の私家版軍事本の中でも硬派で知られるJ-Tankが今回は表紙をピンク色にして「ガールズ&パンツァー 勝手に応援號」と題した内容です。 昨年末のコミックマーケットで頒布されるや否や大好評、噂では某タイガーホールさんでも即日完売だったとか……。現在はHLJも品切れ取り寄せ状態ではありますが、表紙スキャン画像からもお判りの通りにサンプルで戴いた見本誌を使ってのレビューとなります。なぜそこまでするかって言えばその、 自分も勝手に応援したくなったからであります∠(゚Д゚) ガルパンをきっかけに多くの方が戦車に、とりわけ旧日本軍の戦車に興味や関心を持ってくれれば一日本戦車好きとしては喜ばしい限りなのですよう。 本文巻頭はガールズ&パンツァー主人公、「西住みほ」のキャラクターの由来となった実在の人物西住小次郎中尉とその愛車である八九式中戦車を取り上げた内容です。戦車第一連隊の未公開写真はその資料的価値もさることながら、鉄道輸送の光景や乗員自らの手による戦車整備のひとコマなどはそれらをもとにした「ガルパン」二次創作のソースとなり得るのではないか…なんてことを思ったり。 夏場の整備なんて上半身もろ肌脱ぎですからバレー部メンバーのこんな様子をイラストに起こしたら薄い本がさぞや熱くなりますz ( #゚д゚)=○)゚Д)バーン!! …失礼しました、ガルパンはそーゆーのがないから安心して見ていられる作品なのでした。 西住戦車長の生涯、その人となりについても簡潔ながら的確にまとめられています。戦時中の賛美と戦後の反動としての否定と、両極端にも分かれるこれまでの人物評はどちらも「作家」の手が加わったものであり、資料に基づいた冷静な分析や実像に即した記述、研究者からの視点はここからが端緒となるのかも知れません。(余談ですが光人社刊「戦車隊よもやま物語」では一章を設けて西住戦車長についての記載があります。元戦車第一連隊寺本弘氏の文章は当事者からの視点で、これも大事です) 上原謙主演映画「西住戦車長」解説は菊池寛の原作小説や公開当時のチラシ、パンフレットの写真も収録しつつ中国ロケなど撮影時のエピソードにもふれられています。現在映像ソフトが廃版なのが惜しまれる所で、これを機会にバ○ダイビ○ュアルが復刻してくれないかしら…ガルパン本編の「みほ」ネーミングも3話でやってた「戦車から降りて河の様子を調べる」も、元になったネタやエピソードがこの映画に入ってたりするものでして。 ガルパン応援とは直接関係のない記事も、いつものJ-Tankと同様硬派で濃い内容が続きます。新砲塔九七式としてよく雑誌になどにも掲載されている、ルソン島で擱座した戦車第二師団の車両写真の有名な一枚をトリミング前で見ると遠景に「九七式砲運搬車」が捉えられていると知ってビックリ。砲運搬車が実戦で運用されてたところって(個人的には)初見なのです。立体化もまず聞いたことが無い装備ですけれど、形にしたら面白いかもです。 「上海の戦跡を訪ねて」は当時写真と現在の様子を重ね合わせる興味深いものです。大日本絵画の「上海海軍特別陸戦隊 写真集」を補完するような意味合いもあるのかな?昔はモデグラ別冊で「パンツアーズ・イン・ノルマンディ」とか「バルジの戦い」とかThen and Now の書籍があったのを思い出して、ちょっと懐かしいスタイル。 「第一戦車隊」設立初期のポートレイトでは襟元に戦車を模した徽章が光ります。新進気鋭の部隊を示すかのようなアクセサリーは後年では廃止されたなかなかに洒落た小物でレイヤーの皆さん、コスプレするなら昭五式です。もちろん女性に向けた話で女性詰襟胸元ばいんばいんってのが如何にもガールズ&ぱn ( #゚д゚)=○)゚Д)バーン!! …失礼しました、ここはおれのがんぼうをかくところじゃないのだ(棒) 模型関連では発売予定されているアリクイさんチーム仕様を念頭にファインモールドの三式中戦車製作ガイドとバレー部仕様八九式製作記事が掲載されています。特に後者は日頃J-Tank内でも有数に固い筆致の文章を執筆されている新日本機甲さんが実にこう、ガルパンにメロメロになっている様子が本文からも明らかで読んでいて楽しい内容、愛のある作例って素敵です。キット取説に即したSTEPごとの解説は、この八九式で始めて戦車模型を作る方にも適切なアドバイスとなってます。実際ファインモールドの八九式ってガルパン抜きにしても入門者に安心して薦められるキット内容でもあり。 しかしポン師殿はボークスのキャラグミン製作されていたのか…。編集当局に銃後の声を届けたら掲載の道は開けるでしょうか無理でしょうか。 ブログのボリュームの関係からここで取り上げていない記事も多々あり、勿論そこにも豊かな情報内容が溢れたJ-Tank16号、いつになく多方面に向けて好評発売中です。

モデルアート「モダンパワー 02: 航空自衛隊 モデリング & 主要装備品ガイド」

「陸上自衛隊モデリング&主要装備品ガイド」に続くモダンパワーシリーズ第二弾、実物資料と作例記事から航空自衛隊を徹底紹介する一冊です。 モデラー興味の主力となるのはやはり主力の戦闘機で、タミヤ1/32F-15Jイーグルはラージスケールの機体に隅々まで手を入れた徹底ガイド。実機同様今後も定番となるキットだからこそ、押さえておきたい改修ポイントが明示されている良記事です。 特に機体各部のウェザリングに関しては、実機のクローズアップフォトを用いて専門の航空雑誌でもあまり見ないような丁寧な解説が成され、ハウトゥ風にモデル製作へ反映されています。F-15のみならずF-2やF-4、RF-4など他機種に及んだこのウォークアラウンドの画像こそ本書一番の見どころかも知れません。 エンジンノズルの汚れ具合はエアモデルだけでなく、広く様々なジャンルに応用が利きそうなテクニックです。SFモデル、例えばガンプラなんかでも1/48スケールの大型モデルが増えてきていますが(コンテストなどでもよく見かけますね)、こういったテクニックを身につけておけば細部まで間延びなく、人目を惹きつける作品を生み出せる事でしょう。 F-2は21世紀の航空自衛隊のひとつのシンボルと成り得る機体、クレオスの「航空自衛隊機洋上迷彩色」のレビューと併せて最新の装備、機体状況を制作しています。 こちらもやはり実機のクローズアップは資料価値が高いものです。洋上で行動するF-2ならではの退色表現、迷彩パターンのボケ足などモデリングの参考となるフォト多数。 E-767AWACSをはじめとして、支援任務に就く機体にも作例記事が割かれています。KC-767やE2-C、T-4とブルーインパルスの歴代機体、レスキュー用途のUH-6OJやさらにはF-35の日本配備想定機体など、枚挙に暇のないほどバラエティ豊かな記事ばかり。 「現行主要装備品ガイド」は附録と言うべき位置づけですが、訓練弾やターゲットドローンまで記載されている優れたデータベースです。これも常日頃の取材の積み重ねから来るもので、繰り返しになりますが専門の航空雑誌や書籍でも、ここまで広く色々と突っこんだ内容のものは少ないのではないかな。 巻末のキットリストは模型製作へのよいガイドですが、巻頭には航空自衛隊の組織・活動内容の解説が置かれています。迫力のショットと相まって、これらもまた模型を製作しようと思わせるよいきっかけには成りそうで、誰かUH-60Jのコンバットレスキュー情景とかどうでショ? …とはいえこの本そこそこ前に出たものなので、そういう話題の振り方はあまり適切ではなかったかも知れませんね(苦笑)