光人社「写真で見る 日本陸軍 兵営の生活」

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玄人好みの一風変わった旧日本軍研究書籍を精力的に執筆されている藤田昌雄氏の著作。今回はある意味実にストレートな、兵隊そのものにスポットを当てた内容です。

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徴兵制度と入営から始まる軍隊生活の日常を、様々な資料などから丁寧に解説されたボリュームのある一冊です。当ブログの形態から画像を主とした紹介になりますが、本当に価値があるのは本文の記述、文章の内容であることを、申し添えておきます

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本文は大別して5部構成になっています。「第1部 徴兵」では明治に始まり昭和初期にまで至る徴兵制度の変遷、全国を地域ごとに分けた管区と実際の試験手順、兵士への教育方針などの記述。「第2部 兵営の生活」は本書中もっともページ数が割かれた部分であり、内務班で営まれる起床と就寝、食事に洗濯、入浴や衛生、更には教育内容や敬礼の仕方、儀式など枚挙に暇がないほどの内容。以下「第3部 勤務」「第4部 教練と演習」「第5部 記念行事」となっています。当時の記録写真のみならずマニュアルから引用された図版、わかりやすい表を駆使した解説はこれ一冊を熟読すればいつ赤紙が来ても安心death!!

な、内容であります。あくまで公的な制度、平時に運用されているシステムについての本なので例えば陸軍内務班の実態を告発とか、そーゆーもんでは無いですハイ。(「私的制裁」項目もありますが)

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例えば兵営内にごく普通に置かれている「腰掛け」であっても、それらは漫然と置かれている訳では無く、厳密な仕様書に基づいて製作され、必要に応じて設置されているものであると、そういうことを説明する本と言えましょうか。旧日本陸軍とは日本の歴史上に於いて最大規模の官僚組織でありましたから、当然官僚的に運営されているのです。

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例えばこの一枚の写真、一見するとチグハグな応対をしているように見えますが、実は兵士それぞれが各々の状態(帽子や手荷物の有無、立ち位置の違いなど)に応じて適切なタイプの敬礼姿勢を取っている様子です。その事実を詳しく説明する筆致もさることながら、情報量の多い写真を探し出してくることがそもそも目利きの技と言えましょうか。

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資料的価値は高いので、例えばTVドラマや劇場映画の時代考証に難癖付けるには良い手引きになるでしょう(笑)そしておそらく最も役に立つのは コ ス プ レ じゃないかな?歩幅とか駆け足とか所作のひとつを取っても様々に規範と規律が有るのが軍隊です。だらけた兵隊は画になりませんな!

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まるでコミケの最終日である。ワンフェスでもよく見かける。旧日本陸軍兵士も人の子であるので、そりゃグースカ居眠りもしますわなあと、そういう本でもあるのです。表紙の写真もそんな感じのものですから、そこに秘められた意図を感じたいものですね。いつも厳めしいばかりのフィギュアだけではディオラマの種も尽きるというものです。

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本書いちばんのツボ、リアル猛犬連隊キタコレ(w)巻末毎度の著者近影とか、やはりコスプレ要素の高い本ではある…

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旧日本軍、軍隊というものに対して人が持つ気持ちや思いは様々でしょうが、これは明治大正から昭和初期にかけて確かに存在した風景であり、現在では失われた要素もまた在るだろうと、そんなことを思う訳です。例えばこの一枚の写真をみても旧日本軍と現在の自衛隊との違い、二つの組織の差異は明らかなのです。

…主に馬車とかです。しかも便所の汲み取り用ですコレ。

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