「ホビージャパン SF3Dオリジナル 復刻版」
長年の間ネットオークションなどで高値を呼んでいた幻の一冊、とうとう復刊。
いやー、ここに来るまで長かったですねいろいろありましたね。いろいろあったことは、いろいろありすぎるので、ここはいろいろなしにして、素直に復刊を喜びましょう。なにを隠そうワタクシSF3D読み始めたのって結構な連載末期でしたから、これまでこの本未読だったんで悦びもひとしおだったりします。
まだニットーのプラモデルも発売される前に出た一冊なんで、登場する立体は全部オリジナルモデル。フォトストーリーは紛争中期の地上戦「スーパーハンマー作戦」と宇宙用スーパーAFS(まだSAFSともファイアーボールとも呼ばれてない)初の実戦投入「オペレーション・ピールバナナ」の2本が掲載されてます。モニター画像の「走査線」がなにやら未来のリアルさ加減を感じたものですが、いまどきこんなアナログ画像で表示されるのはスターウォーズ世界のホログラフぐらいしかないよなww
でもね、それがカッコ良かったんですよ。当時はね…
いまの目で見ちゃうとちとびっくりするほどカラーページが少ないのですが、昔の雑誌ってなんでもこんな感じだった気がする。「かわいそうな敵……。」などちょっとパウル・カレル入ったシリアスでユーモアな翻訳文体みたいな小説パートや横山センセの書き下ろしコミック×2など、一冊の本としてすごく内容豊かに纏まった構成になってます。ただ、おそらく連載記事そのものには在ったであろう各モデルの具体的な製作記事は載って無くて、パーツ流用元や造型テクニックを知りたいって方には不向きかも知れません。総じてこれ設定構築本、連載記事のための副読本みたいな位置づけなんでしょうね。両軍編制表なんかまさにそのための物だなぁ…
設定本ということで大抵のアイテム、年表などは後年どんどん補強され、それらは一連のMG別冊に詳しいです。しかし中には拾われなかった設定がいくつかあって、例えばこの傭兵軍「半地下式対空自走砲」
なんかはこの別冊収録コミックスに登場するだけでその後だ~れも拾わず、いまだに正式名称すらないんですぜ?ハセガワあたりがドールハウスをキット化してくれればあるいは…
ハセガワと言えば今度キット化されるナッツロッカー、文字設定だけだと有人型とか機関砲を増設した/1b型なんてのがあるんですねー立体化を見た記憶がないなー。
(これは通常タイプ、/1a型ナッツロッカー)
イラスト全般そうなんですが、最近ではあまり見ないタッチのペン画の挿絵(と言いたい)で懐かしい雰囲気です。「航空宇宙軍史」とかまだアニメになる前の「戦闘妖精・雪風」とか、昔の日本SFってみんなこなんだったなあ。萌え絵なんか全然無くて、硬派なキャラに硬質なストーリーに硬造的な展開で読んでもちっとも女の子にモテない(最後の関係ねえ)。だいたいこの本に出てくる唯一の女性はパメラ・アムゼル嬢で挿絵はこんなんです。ハードでハードル高いです。
…アングロ・サクソン (;´Д`)モエー
それとトリフジオグラード市攻防戦に於ける傭兵軍AFSとシュトラール軍無人兵器部隊との戦いは、これ「Ma.Kバンドデシネ」で読んだことあったんですがオリジナルはこの別冊だったのかー
オリジナル
バンドデシネ
この時のAFSパイロットってコンラート・アムゼル君だったんですねえ。古参ファンな方々には常識的な事柄かも知れないのですが、新たに知ること随分多くてまさしく温故知新であります。
全体を通じて当時のエネルギーや勢いを感じられる内容で、それは本文のみならず読者投稿欄に寄せられた立体あるいは投稿イラストなどにも確かに在るものかと。メカニクス・人物・設定記述と様々な「公式」が語られる本ではありますが、その根底にあるものは公式なカタチにとらわれずにオリジナルなSF作品を3D化しようと、そういうエネルギーと勢いだと…
そう思ったんでパーツBOX引っかき回して得体の知れないランチャー作ってみた。計画発起から実戦配備まで正味30分というとんだ戦時急造品(w;