「ホワイトサンダー イタリア軍チェンタウロの全て」

f:id:HueyAndDewey:20100423200956p:image:W150:left Blue steel社刊、イタリア陸軍チェンタウロ戦闘偵察装甲車のフルカラー写真集。国連レバノン暫定駐留軍(UNIFIL)所属車輌をウォークアラウンドした一冊で、前期型のみならず車体が延長された後期型にも取材が成され、トランペッター社のプラキットを製作する際には格好のガイドとなります。

チェンタウロといえば米軍のストライカーMGSとならんで装輪装甲車の代表格として知られる一輌で、同車が実際に運用されている様を明確に捉えたこの本はなかなか示唆に富んでいます。前期型/後期型の増加装甲板の構成やトラペのキットでも再現されている車体後部ハッチ内側の二重装甲、夜間の高速巡航では必須となるであろう砲口カバー(ソフト/ハードの2種類あり)先端のリフレクターなど枚挙に暇がありません。コソボ派遣部隊のマーキング跡が残るままレバノン派遣部隊のマーキングが上書きされているところなどからは、この種の車輌が現在の国際情勢下で有効に活用されているものと察せられます。車体内部の撮影も細かいところに及んでおり、砲塔バスルの他にもかなりの空間に砲弾ラックが設けられ、APDS弾が格納されている実態からは自動装填機構の車輌ではこうはいくまいなどと、いろいろ考えさせられるところ大です。車体後部の空きスペース(弾薬ラックを外して兵員輸送室に転換する作業は大変そうです)が雑多な物入れに使用されてるとこなんぞは生活感も満載。

とはいえ、この本別に将来の装甲戦闘車輌像を考えさせられるよな軍事研究書籍の類ではなく、あくまでモデラー向け、趣味の写真集なので「インテリアのカラーはタミヤのデッキタンに近似」とか「3種の異なるトーンで塗られているオリーブドラブはモデラーへの挑戦」などとフツーに書いてます。実に好感がもてます。聞くところによると著者のMoustafa El-Assad氏はレバノン在住とのことで平和な日本ならいざ知らず、あのようにホットな地域で軍事を趣味にカテゴライズ出来る姿勢には称賛を禁じ得ません。イスラエルじゃ軍事は実用、下手すりゃ「実況」カテゴリだと言うのに!

そんなわけでチェンタウロ装甲車の実際のウェザリング加減なども詳細に観察できる一冊なのです。国連軍所属車輌のホワイトカラーも車体各部のセンサー類には塗られていない様子、乗り降りで踏まれ続ける砲塔上部追加装甲板の塗料の剥がれ具合、車体前部に存在する排気口近辺のスス汚れ、四軸タイヤハウスの個々の泥跳ねの違い…等々、情報量満載でお腹一杯ですわ。装輪派のみなさまにおかれましては是非とも手元に置いておくべきものかと。

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…でもおれは装軌派なんですけどね。

なぜなら装輪車輌のプラモは足まわりを作るのがとってもたいへんだからだ!

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