「Desert Eagle Publishing メルカバ Mk.4」

現用イスラエル国防軍車輌の写真集を精力的に出版しているデザートイーグル・パブリッシング刊行による、最新鋭主力戦車メルカバ Mk.4 の詳細な資料となる一冊。

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メルカバ Mk.4 といえば初公開の時こそ「カ○ゴンの生首」などと揶揄された巨大な砲塔が特徴ですが、現在ではそのグラマラスな外観から戦車業界有数のグラビアアイドル(笑)としての地位を確立し、雑誌写真やニュース映像などにしばしば登場しています。日本でもGP誌やP誌でも採り上げられることの多い一輌ではありますが、本書は流石の地元スタッフによる入念な密着取材で広報資料やCNNでは表現しきれないほどの内容を78ページのフルカラー、すべてオリジナル撮影で追っています。

本文内容はいくつかのパートに別れ、メルカバの開発ならびに進化と発展、演習/実戦場での In Action、クローズアップのディティールフォトなどと構成自体はごく普通のもの。しかし一枚ごとの写真から得られる豊富な情報量や英文キャプションの適切な解説は地元取材ならではの内容に溢れています。ナメル・アチザカ装甲回収車や試作のみに終わったショレフ155ミリ自走砲など最新の派生車輌も興味深いところですが、主役となるのは当然の如くメルカバMBTであり、特筆すべきは人と車輌の関係性、特に演習地に於けるIDF戦車兵達のリラックスした雰囲気とまだ記憶にも新しい2006年レバノン侵攻での緊迫した状況、そのふたつがまるで対比されるかのように記録されていることでしょう。意図してのものかはともかく、決して報道だけでは見えてこない一面が映し出されている写真が多いように思われます。

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愛車の前に並んでポーズをとるメルカバ Mk.4 のクルー。ドイツの武装SSにもこんなのがあったなと、咄嗟に思う。

いわゆる「シナイグレー」の微妙な色合いや砂塵による車体全体の汚れ具合なども含めて、ディテールの詳細に関しては模型製作の資料として抜群のものと言えましょう。抜群すぎてモリモリとやる気が失われていきそうなのが心配になるほどですw主砲基部に増設された外付け同軸M2重機関銃ひとつを取ってみても、実際にはこんなにも複雑な構造をしているのか~~~~

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むろん腕前に自信のある方々には格好の一冊です。メルカバシリーズ伝統のチェーンカーテンから普段はなかなか見られないスプリング式サスペンション基部、全方位RPG抗堪を謳う巨大な砲塔の隅から隅まで…必ずやこれまでにない知見を得られることでしょう。

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装填手ハッチの無いメルカバMK.4では唯一の砲塔上面開口部となる車長用ハッチ。もはや扉というより装甲「栓」で、市街地や山岳地帯で至近距離からHEAT弾を打ち下ろされる危険にさらされるイスラエル戦車ならではの装備と言えましょう。このサイズから作動は電動によるものなのだそうですが…電源落ちたらどーすんの?

克てて加えて車体下面の対戦車地雷避け増加装甲、内部インテリアやパワーパックの詳細など情報公開のオープン度合いは最新鋭の戦闘車輌とは思えぬほどの気前の良さで、その点お国柄の差を感じる内容ではあります。イスラエルという国はかなり特殊な状況下で存在している国家であり、その有する軍事力や兵器自体もまた特別なものです。故にメルカバの特徴を以て世界の戦車技術の普遍的な主流とは言えないものなのですが、それでもこの本はひとえにアカデミーの「メルカバMk.4」だけでなく、61式戦車のプラモデルを作るときにも参考になると思います。

いやUCハードグラフの方ですけど。

それと陸戦用ファッティーとかにもだ。

どっちも絶版だった OTL

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