とある戦車の可動履帯。
(この画像はWebサイト「とある櫻花の画像生成」様のジェネレーター機能によって作成されました)
「次の更新は盆休み明けになると言ったな? あれはウソだ」(CV:玄田哲章)
と、ゆーわけでぇ、盆明け更新用にちまちま戦車模型を作っていたら、そのキットの連結可動履帯が あ ん ま り に も 良 い 出 来 だったのにカンドーしてそこだけ前倒しでレビューしてみます。一応本更新は8/19予定ですので正体はそれまでナイショ、あくまで、あくまで「とある戦車模型の」ということでひとつ……
ダブルピンのキャタピラを実物同様ダブルピンで接続します。従来この分野ではモデルカステン製品に代表される二本のピンをブロックに差して行く方式やラウペンモデル製品のように挟み込み式が存在しましたが、そのどれとも違う全く新しい方式です。ダブルブロックとそれを貫通している二本の接続ピンを一体成型、それだけでも高い金型精度が要求されるものですが、ピンの先端がやや太くなっている点に注意。
センターガイドは綺麗に中抜けしています。受け口の形状を見ればお分かりかと思いますが、ここも含めて基本はスナップタイト接続です。金型精度だけでなくプラスチック成型品自体に強度と粘り気を両立させることも要求されるわけで、バンダイのプラモデルでさえこのサイズのパーツはスナップフィットではなく接着処理を選んでいることを考えると、ちょっとどころではない驚きです。
接続のキモになるのが外側に付くキャタピラリンクのパーツで、スライド金型を使用した軟質樹脂の成型品です。つまりこれポリキャップなんです。外側、目に見える箇所に他のインジェクション成型品と遜色ないディティールでポリパーツを多用するのは相当画期的な設計じゃあるまいかと思われる。
組み立てはキャタピラブロックにセンターガイドをパチパチはめ込んでいく形で進みます。この際、センターガイドのパーツが上下で繋がっているためにある程度の大きさが保たれ、高い作業性でスムーズに組み立てを進められるのは特筆すべきことでしょう。作る人間に配慮された設計、実際に作る人が設計を手掛けているとわかります。ひょっとしたら設計者が単に「吊り天井固め」好きな人だった可能性は……(微塵もない)
良く切れるニッパーを使用すればセンターガイド始め各部のゲート処理も気になりません。切り離したキャタピラを治具の上にセットし、
ガイドで挟んで固定します。おっとメーカーロゴが見えちゃいましたがあくまで「とある戦車」の姿勢を貫きたいと思います。気にするな、麺類でも食え。
さらにキャタピラリンクをランナーごと別の治具にセットします。このあたりの精度感、その巧みさは実際に手を動かしてみないと伝わらないかもしれませんねー。
ゲートを切断すると治具のポケットにキャタピラリンクが綺麗に収まると言う寸法です。
双方の治具にはガイドがあるので何の苦労も無く横からパチッとはめ込み……
ただ外すだけでもうキャタピラリンクがブロックの方に残ります。一番初めの画像でキャタピラブロックのピン先端が太められていたことを思い出して下さい。力を掛けない限りは抜けないようになっています。
一度の作業で6コマの履帯を連結させることが出来ます。ここまで接着箇所は一切ありません。プラセメントや瞬間接着剤を、付け過ぎないように慎重に量を図って塗布するような、神経を消耗する過程がまるで無いのはスゴいぞ。
12コマ、1ダースがひとつの作業単位となるでしょう。表裏両面とも申し分ないディティールです。まったく簡単です。
本製品にはオプションとして舗装路面用のゴムパットのパーツも付属します。パレードで塗装の楽を狙うならば、ゴムパッドの作業は必須となります(笑)
ここはさすがに接着作業が要求されますが、ゲート処理をしっかりやればごく少量の流し込みだけであとはパーツ同士が勝手に収まってくれます。そんな印象です。
スムーズに進んでいるときは必ずどこかでヘマをしているもので、今回も例によって下手を打ってました(苦笑)キャタピラリンクも表裏ありますので、向きを確かめてはめ込みましょう。万が一間違えちゃった場合はどうすればよいのか。救済策を箇条書きしますので予防・保険のためにも目を通しておいて下さい。
1:キャタピラリンクを外す
2:キャタピラリンクの向きを変える
3:キャタピラリンクをはめる
これでオッケイ!ちょっと力を入れればポリパーツのキャタピラリンクは簡単に外れます。全く簡単でしたーッ!!その時の心理状態を画で示すとこうなる。
いや実際、ブルワーカーで筋肉作るよりずっと簡単ですねん。
1ランナーで24コマの履帯を組み立てることが出来ます。流石に単調な作業が続くので何がしかのBGMなりが必要となるでしょう。
なお軟質樹脂製ということで若干キャタピラリンクへの塗料のノリが気になるところはあります。クレオスMrカラー、ただ筆塗りしただけではたしかにノリが悪いのですが染めQのミッチャクロン+缶スプレーは上手く行きました。ご存じの通りミッチャクロン(あるいはガイアノーツのマルチプライマー)はプラスチック素材を侵しますので使用にあたっては組み立て前にランナー状態のポリパーツに塗布するような形となるでしょうか?
取説によると片側一列81コマ必要とのことで、3ランナー分72コマ+9コマ作成します。最初から全部つなげていくと落語かタイムショックみたいに「いま、何問目?」ってな罠に陥るので注意だ。
2列分組み立て完了、よく動いて気持ちいいものです。とある戦車のこのメーカーああもういいや書いちゃえ、MENGモデルはこのフォーマットで他社製品用のダブルピンキャタピラを出しても全然イケるんじゃありません? と、そんなことを考えるぐらいによく出来ている、なにがすごいってなんだかんだで一日仕事にはなりましたけれど、その間一度も、ただの一度もどこかが外れることがなかった。ポロリしなかった。これを英語で表記すると
NO PORORI !!
なんだかダメなアイドル水泳大会のようでもある。画で示すとこうなる。
いやあ、MENGのT-90Aって、ほんとうに素晴らしいものですね~(水野晴郎風)
ん、まあアレですよ、盆明けに記事化出来りゃいいでしょうと余裕かましてたらAMにニューキットレビュー載っちゃったんで泡食って出来る範囲を前倒し……ってことであぼーん!(ばくはつ)