アイビス「1/350 アメリカ海軍 SSN-593 スレッシャー級原潜」
ウクライナの模型メーカー、AVIS社製の1/350スケール潜水艦模型です。当該メーカーについては詳しいことを存じ上げないのですが、ブランドとして「MIKR MIR」というシリーズ名が冠せられています。
潜水艦のプラモ模型というのもおよそ模型業界にあって一、二を争うシンプルな物。本製品もパッケージを開封してみると極めて単純なパーツ構成であることが伺えますが、なーに某国内メーカー(特に名を秘す)の1/700スケール潜水艦プラモのあまりのシンプルさに「こんなのアリ得なイ!」と呻いた記憶に比べれば…
シンプルな構造ながられっきとしたフルハルモデルとなります。
シンプルな小枠内にセイル関係のパーツが収められています。
シンプルな飾り台が付属します。「シンプル」って言いすぎです。
スクリューその他のエッチングと艦名番号などのデカール。さてようやくシンプルではない話になりますが、本艦SSN-593スレッシャーはスレッシャー級攻撃型原子力潜水艦の1番艦、ネームシップとなる存在です。然しながら本級はのちに2番艦パーミットの名を採って「パーミット級」と改名されました。その辺の事情からか他艦にも融通できるデカールシートの名称は“Permit Class”になっていて、これは別に間違いではありません。けれどそもそもなんでまた、わざわざスレッシャーなんてマイナーな艦をプラモデル化したのでしょう?
使用されているプラスチックの質は決して良い物とはいえないのですが、艦体表面の凸モールドは綺麗なものです。
艦底面にまでモールドが施されているのは好感触ながら、スジボリ、パネルラインの類がどれも浅すぎてほとんどケガキ線のレベルなのは若干いただけません…
艦体の貼り合わせにはピンもガイドも一切無いので何がしかのガイドを自作した方が良いでしょう。しかしあんまりテキトーにやるとあとで苦労しますから、すり合わせなどを慎重に行ってから作業するべきですねてへぺろ(・ω<)←反省の色が見えません
どの道を選んでも結局はパテ盛りと削り出しとそれに伴ってモールドを消さないようにする注意に辿り着くことには変わりがないと思われ。
スクリューの羽根を手曲げしていく際には「東芝九軸工作機械!」とか呟くとそれなりに冷戦気分を味わえます。
それ以外のエッチングパーツの貼りつけについては、実はよくわかりません(汗)5箇所あるC22の接着位置はここで良いとして、向きはこれで大丈夫なんだろうか。説明書の図ではこうなってるんだけど、実艦の画像では全然確認できません…
C23×2枚をセイル上辺に接着指示があるんだけど、ガイドラインはセイル根元にある不思議が微妙過ぎるので判断保留。なお全部で8個あるセイル上部の潜望鏡など小パーツは す べ て 格 納 状 態 を選択しますた。ヤデスネテヌキジャネェイデスヨ
シンプルに完成であります。正直スレッシャーって資料もあんまり無いしキットのボックスアートは印象派ちっくなので細かなところはよくワカランのであります。さてさてなんでまたそんな艦を立体化したのか、おそらくこれが理由だろって記事が手元の「世界の艦船」誌に手短にまとめられていたので引用してみましょう。
1963年4月9日、海上での浅深度テストで各部の安全を確認の後、10日0745、潜水救難艦スカイラークSkylark ASR-20が警戒艦として見守る中、米北東部コッド岬東方約220浬、水深8.400フィートの地点で、乗員104名のほか関係官および民間技術者ら25名を加えた合計129名を乗せ、深々度潜航テストを開始した。
0853試験深度に達した旨の連絡、その後0913「アップの姿勢になった。高圧ブローを行う」の連絡があった。0917「安全潜航深度一杯」の緊急を報じる声を最後に通信途絶。その後警戒艦の水中電話は船体の圧潰音らしいものをキャッチした。
「世界の艦船」2001年6月号 特集・潜水艦衝突事故を追求する より「潜水艦の特性と海難事故」藤木平八郎
新鋭攻撃型原子力潜水艦スレッシャー級はネームシップの1番艦スレッシャーがテスト中の事故による海没、生存者ゼロという事件を経てパーミット級に改名されました。はい、ウクライナ・アイビス社がなんでまたそんな艦をプラモ化したのかと、その理由はたぶんシンプルに言って
いやがらせ じゃないかしら( ̄□ ̄;)
いや、ほら、ぼくたちだってクルスクが沈没した時それなりにお祭りだったじゃないですかやだー
ところでこのキットを組んでみて、というより組む前に既にパーツを見た瞬間にわかってたんだけど、
飾り台に飾れません(´・ω・`)
自力でどっかに開口しなけりゃ使い物になりませんが、潜水艦模型にドリルを突き立てるのはあんまり健康的とは言えない所業である…