アオシマ「1/6 ソニー リバティ タイプ2」

ホビーショーの情報も発表されて、いつものように模型業界とその周辺も活気づいておりますが、今日はいつものキットレビューとは違うタイプの記事になります。通常の場合当ブログで取り上げるアイテムは一般的に流通している製品から選ばれているのですが、今回はとある事情により長年の間某所で死蔵されていた掘り出し物、文字通り発掘されてきたずいぶんと古びたものでして、決してこれが通常販売されている製品では無いではないという前提を、まずお断りしておきます。

ほんでそのブツと言うのはこちら。

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かの名著「超絶プラモ道」でもわずか半ページ写真一枚だけしか掲載が無かったアオシマ・オーディオ・シリーズNo.5「ソニー リバティー タイプ2」ステレオミニコンポの1/6スケールモデル。数年前に(いやもう10年近く前かな)極少数がメーカー在庫で発見され短期間市場に出たことがありますが、今回扱うのは発売当時に流通在庫になっていた物品です。パッケージなどかなり傷んでます…

昔から存在は知っていたけど詳しい実態を知らなかった「オーディオのプラモデル」、さてどんなもんでしょうかとおっかなびっくり…

アオシマのオーディオシリーズ

 ヤングのライフスタイルに音楽は欠かせないもの、マニアックな音を追求することには、高額かつ大型のサウンド・メカが必要ということになるけれど、スペースの点で制約を受けてしまう。しかし、オーディオ技術は日進月歩で、机の上に置けるサイズのパーソナルタイプが、良い音を聴かせてくれる時代になりました。という訳で、良い音と身近に触れ合うヤングが急増中。そんなヤングに今最も人気のパーソナルコンポが、ソニー・リバティシリーズです。君も音と友だちになりませんか。

ボックスサイドの解説文から漂ってくるのはこれが昭和の匂いってヤツです。断じてカビ臭い訳ではありません。日高のり子はレッツゴーヤングに出てたんだぜ!とか、とにかくそういう空気です。

ちなみに実機についてはソニーのサイトにちゃんと載ってました。一世を風靡したマシンなんですね~

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箱を開けてみるとパーツを押さえてる帯が目につきます。むかしのプラモ、特に高級感を演出するような類のプラモデルにはよくこんな処置がされてました。

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単純な作りの割には部品点数は多く、クリアーパーツも使用されています。定価600円というのは今の目で見ると低価格ですが、このキットが販売されていた80年代当時としては割と高め…同時期のアオシマ製品としては1/600イデオンシリーズのジグ・マックが500円、ロッグ・マックが600円となってます。そういう時代です。

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残念ながらデカールはお亡くなりになっていました(-人-)ナムアミダブツ でもシールの方は問題なく使用可能!そして謎の「人気アニメ大全集」…

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このキット、単三電池とムギ球(別売)使って点灯ギミックを仕込むことができます。そのための接点金具とリード線、そして真の昭和生まれなら絶対に知っている「チューブ入り接着剤」

これを見たときにこの件絶対にブログで取り上げなければ!と!!コブシを固く握りしめて思いましたねえ。そう、昭和の子どもたちはたったこれだけの接着剤でプラモデルを作ることを

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強いられていたんだ!!

うん、ちょっとこれがやりたかっただけなんだ(´・ω・`)

そんなの絶対無理だから文房具屋にいってセメダインとかGボンドとか買ってきたんだけどな(´・ω・`)

アレも使い辛くてなぁ…

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キットにはこんなミニカタログも入ってました。オーディオシリーズのラインナップに加えてスクーターなどが並んでるあたり、これらシリーズが対象としていたユーザー層やどんな楽しみ方を望んでいたのかなど、メーカー側の思惑や姿勢が伺えるような気がします。ちょっと大人びた、子供を背伸びさせるような感覚だろうなー。

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でもどう背伸びしたってこのキットから音など出てきやしません(´・ω・`) 昔はおおらかでいいですね。いまだとクレーム対象ですね…

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モールドに関しては当時としても十分及第点だろうと思います。パネルラインのスジボリでは無いので太い彫り線のほうが却って立体感があって自然です。

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     [゚Д゚]    [゚Д゚]

キット内容についてはこんな感じで、とにかくゲシゲシ組んで行きました。ではソニー・リバティ タイプ2を構成する各ユニットを見ていきましょー。

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・デッキ TC-YX7

 ワウ・フラッター 0.04%wrms 周波数特性 30~15.000Hz

 SN比       59dB    消費電力  16W

このデッキ部分の内部に電池とムギ球をセット出来る設計になってます。なってますがまず接点金具がちっともハマらず、無理にセットするも上下パーツが接着出来ないほどスキマが開き、おまけにスイッチもなんにも無くパーツ自体は接着でハメ殺しという恐ろしい設計だったりするΣ(゚д゚|||)

当時ちゃんと電飾仕込めたお子さまっていたんでしょうか?もし本当にいたとしたら、今頃どこかで何かの神業職人になってるんだろーなー

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・チューナー ST-YX7

 (FM)実用感度  18μV SN比 50dB

 (AM)実用感度 200μV SN比 65dB

背後にちらっと見えてるのはFM用のロッドアンテナ。伸縮はしません。

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・スピーカー SS-X300

 型式 2ウェイ位相反転型

 出力音圧レベル 89dB

2個付属します(見ればわかる)

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・マイク

記載すべきデータがなにひとつ書かれていません…

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・プレーヤー PS-LX7

 型式 フルオートマチック 駆動方式 リニアBSL

 サーボ方式 クォーツロック・マグネチックサーボ

アニメの「タッチ」で上杉和也(死んだ方の上杉だな)がオートマチックのレコードプレーヤーでクラシック聴いてましたな。元祖「爆発したリア充」ですな。

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カバーは開閉可能です。

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・プリメインアンプ TA-YX5F

 実効出力 25W+25W

ミニコンポをコントロールする心臓となるアンプです。さてここまでいろいろスペック並べて来ましたが、音楽についての知識はからきしなので、実は何一つ理解していません…

まったくオーディオ機器より軍事兵器に親近感が湧くのは人間として危機的ですねえ。そして実際組んでみて初めてわかったのですが、

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プレーヤーが乗っかりません(´・ω・`) 

まーその、「ミニ」コンポでありますし、そもそもソニーのサイトに載ってる画像でもこのリバティにはプレーヤー付属してないしでこれでいいのだ。いいのかこれで!?

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裏面にはちゃんと接続部分もありますので、配線すると急に実感が増すものと思われ。

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その為の端子パーツも「不要部品」として存在します。コード類は自弁調達になりますがこの時代はビデオ信号なくて赤黒のオーディオコードだったかな?街の電気屋が各家庭に出張してAV機器の配線をする、そんな時代もあったねと脳内で中島みゆきが

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・マスコットキャラ「音もだち」 詳細まったく不明…

前後の胴体パーツで手足を挟んで可動させるよーになっとるんですが、いろいろ無理筋なんでガッツリ切断してビッチリ固定仕様。

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「人気アニメ大全集」は実はダミーのレコードジャケットだったのでした。うわダs(ry

むしろカセットテープに貼りつけるシールが46分のメタルテープなんて涙が出るほど懐かしいシロモノですよノーマルしか買わなかったですよええ(´Д⊂ヽ

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すべてのキット内容はこうなります。前代未聞のオーディオプラモとお思いかもしれませんが、歴史を紐解けば「ドラムセット」や「サキソフォン」など楽器のプラモデルはかつて存在した例があります。それにいまをときめく初音ミクだって楽器の一種ですから、それほど不自然なものでは…ないかと…

なお同シリーズには「ソニー・リバティ タイプ1」もラインナップされています。さてどう違うのかと思ったらタイプ1はどうやら高級仕様のようでグラフィックイコライザーがセットされてる模様。気分はもうスタジオミュージシャンだねでもイコライザーって一般人は使わない機能だよねー

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というわけで実はこの「タイプ2」キットにも不要パーツでイコライザーが入ってます。もしも模型屋の店頭でこのアオシマオーディオシリーズ、ソニー・リバティタイプ1かタイプ2か、どちらかひとつを購入しようと悩んでるお友達を見かけたら、そっと耳元で「どっちも同じもんだよ」と囁いてあげましょう。

…そんなひとはいないかも知れませんが

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