アスペクト「働く車大全集」

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おなじみモリナガ・ヨウ氏の手によるイラストルポ・エッセイ風味で重機やバスなど「はたらくクルマ」を紹介する内容です。

もともとはCS放送MONDO21の同タイトル番組で描き起こされたイラストをベースに新規書き下ろし、インタビューなどを付加したものです。番組自体は数年前の製作なのですが、グッドタイミングで10/20から再放送されるようですね。CSスカパー以外にケーブルTVでも放送されている地域がありますから、番組と併せてお読みになればよりいっそう面白いかと思われます。以前2度ほどみた記憶があるのですが、「タモリ倶楽部」から華やかさを除いたような、結構なディープ番組でしたねー。朝の九時から再放送とはCSって恐ろしいセカイだ…

内容がマニアックとはいえモリナガ氏の視点は相変わらず良い意味での素人感覚のままでいて、素直な驚きや湧き上がる興奮をストレートに伝えてくれます。番組内でのレポーター業があんまりに素人くさくて挙動不審なんですけど、最後にイラストで綺麗にまとめる、そんな構成だったかな。本そのものはこれまで各所で刊行されて来た一連のプラモ・戦車本と比べれば一般的な車両を扱うのかな―と思いきや、第一回から全長10メートル重量70トンの巨大なダンプが出てきてのっけからちっとも一般的じゃない大騒ぎだったりするのだ(w

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全18回分のタイトルを羅列していくと「巨大ダンプとクローラーダンプ」「油圧ショベルとブルドーザー」「普通路線バスと高速路線バス」「高級バスと巨大バス」「大型トラックと中型トラック」「ハイブリットトラックと大型ダンプ」「消防車と消防オートバイ」「ウニモグ型消防車[ファイヤーモグ」「トーイングトラクターとハイリフトローダー」「パッセンジャーステップとトーイングトーバレスカー」「トラクターと乗用管理機『愛さいか』」「コンバインと田植機」「ロードスイーパーとウニモグ」「標識車と高所作業車」「ごみ収集車[小型プレス機と軽小型ダンプ」「ごみ収集車[新大型特殊車と大型ダンプ]」「フォークリフトと散水車」「橋梁点検車とスカイマスター」と、なります。なにかビビッとくる名前があったら必読なのです。

しかし街中を普通に走っているようなバスから羽田空港の滑走路を行きかう特殊車両まで千差万別なのはよいとして、どうやら一回の収録で二本撮りのスケジュールだったようで同一テーマが続いているのがひと目でわかりますね(w

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ウイングボディの大型トラックやフォークリフトなど模型業界に欠かせない車両も紹介されてて急に親近感が増したりだ。このように知ってる車両を見て「あるある感」を共有するのもこの本の楽しみ方のひとつでしょう。フォークリフトのマストって意味もなく全部伸ばしたくなりますね~(^^)v

ここまで書いてふと思ったのですが、模型業界でウイングボディやフォークリフトに慣れ親しんでる人間って、そんなに多くはないんじゃぁ…

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生活の中でもっともよく見るのはゴミ収集車などかな?普段よく見る割には細かいディティール、動作機構などは知らないことばかりです。普通の人間がプレス車の内部に入ったらそれは事故です(w で、対象がどんな車両であっても変わらずユーモアとウイットに富んだ感性で取材されているところはステキだなーと、思うわけなのです。

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ハイテク感丸出しのドイツ製巨大高速路線バスでも、それを動かしている人はむかしながらの職人的なプロフェッショナルだったりします。実にイイ感じです。

※ちなみにこのJRバス関東「メガドリーム号」は番組取材後、運行中に火災事故が発生して廃車になっちゃいましたので、ある意味貴重なキロクだったりする。

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番組内では1ページ分だったカラーイラストを各回共に2ページに倍増しての書籍化ですが、それ以外にもモノクロで描き起こされた「こぼれ話」は小ネタ満載でオモロイなー。警告シールいろいろや、ただのイラストレーターが突然TVリポーターになった時のあれこれとか、一本の番組が出来上がる裏にはさまざまなエピソードがこぼれているものですね。

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タミヤのキット化よりも以前にコマツG40ブルドーザーを押さえていたのは流石だと唸りました。目の付けどころというヤツだな。巻末の対談ではご本人「クルマの経絡秘孔」と言ってますが、ホントにいろんなツボが押さえられています。

オマケ的に収録されてる重機や農業機械のカタログにも興味津津ですが、個人的イチオシなのは「橋梁点検車」のページでしょう。番組の方も偶々視聴する機会を得た回でありまして、見たことも聞いたこともない特殊な車両を目撃して「世の中こんなクルマがあるのかΣ (゚Д゚;)」と画面の前で目が点になり、しかも放送最終回で「もうオシマイなのΣ(゚Д゚;≡;゚д゚)」などと色んな意味で驚かされたのも、いまとなってはよい思い出…

そんな「橋梁点検車」イラストはまー、みなさん読まれてくださいとゆーことでひとつ(笑)

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日常の中にはまだまだ沢山の不思議が隠れています。知ってる人には周知でも、知らない人間にとっては驚異である。自分が熟知している何事かでも、身の回りの他者には類稀なる事象かも知れませんねと、「路線バスの料金徴収機裏側」のイラスト見ながらそんなことを考える。

これも「タモリ倶楽部」よりひと足先に紹介してたものなんで、この本とこの番組はもっと評価されるべき…と、思います。

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