イカロス出版「宇宙モデルカタログ」

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「宇宙モデル」といっても宇宙のボイド構造や「ひも理論」がモデル化されている訳ではない、宇宙開発機器の模型を扱った本です。「フェッセンデンの宇宙」とは違うんです(あたりまえだ)

「カタログ」という名称で若干損をしてるかなーと、思います。単にメーカーごとの製品リストが羅列されてるようなものではなく、製品のレビューや実機の解説など豊富な内容。刊行されたのは今年の夏、スペースシャトルの引退飛行を間近に控えていた時期なんで冒頭からシャトル関係のページは多めですね。

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本書の白眉はレベル製1/72アトランティスをはじめとする各模型メーカー様々な宇宙機プラモデルの作例でしょう。昨今の宇宙ブームのおかげで商品は増えていますが、実際に製作するに当たっては何をどのようにすればいいのか、ビギナーからベテランまで、モデリングの参考になる技術や素材などの情報がいろいろ掲載されてます。例えば大気圏再突入後のシャトルのウェザリング表現などは、ゼータガンダムやデルタプラスを製作する際にも使えそうな雰囲気です。

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メタリック表現が多いのも宇宙機プラモの特徴で、スケールやサイズに合わせて塗装であったり貼り付けであったりと様々な方法が用いられています。ハセガワのミラーフィニッシュ大活躍ですが、安価で入手できる「折り紙」の素晴らしいコストパフォーマンスは讃辞に値する…

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参考資料となる実物の写真も様々なものが掲載されていて、差し詰めこれ一冊で大抵のことはまかなえる宇宙モデルガイドブックなんですな。敢えてカタログと言ってしまうのは販売戦略かな? 確かに巻末にはカタログページもあるのですが、そのほか60年代から始まる宇宙機プラモのあゆみやスペースシャトル全機解説など読みものページも盛りだくさんで、いい本だと感じます。

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個人的にはアオシマ「はやぶさ」徹底ディティールアップがお気に入り。ワンフェス等にディーラー参加されている「Three Sheeps Design」製のステンレスエッチングパーツを使用した、実感のあふれる作例です。

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アオシマのはやぶさもずいぶん色んなところで取り上げられて(なにしろここでも2回やった)正直そろそろ辟易だって向きでもこの記事はなかなか見ごたえのある内容ですよ?

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スペースクラフトシリーズ新作の「かぐや」やアポロ宇宙船、はたまたマシーネンクリーガーなどを製作する際の参考にもなりそうなヨカン。HTVのディティールアップ記事もあります。

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このほかレベルの1/144国際宇宙ステーションやエアフィックス1/144ボストーク1号など、普段なかなか実態を知らないような製品が詳しく紹介されているのは嬉しいところですが、SF関係でもメビウスモデルの「2001年宇宙の旅」シリーズからスペースクリッパーとムーンバスの作例が掲載されています。続編「2010年」のシド・ミードデザインメカニクスの方が本書の雰囲気には合致している気もしますけれど、キットが存在しないしなあ(笑)

だもんでこれはこれでよいのかも知れません。宇宙開発に夢があふれていた時代のデザインですね。

幸いにして模型業界でのブームは続いていますけれど、現実の宇宙開発にどれほど希望を持てるのかは判断の付きかねる所でしょう。「あかつき」は今でも金星に向けてのアプローチを続けていますが、果たしてその先に明星の輝く日が来るのかは予断の許されない状況です。シャトルを離れてカプセル型宇宙機に回帰するアメリカの進む道も決して平坦ではないでしょう。珍しくロシアの衛星打ち上げが失敗したなんてニュースも飛び込んできましたし、ライブドアに至ってはとうとう会社ごとデスドアでございます。

しかし、しかしですね、

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――いまでも天に「きぼう」は在るのですよ。

とかウマいこと言ってまとめよーとするのは宇宙ファンによくあるロマン過剰の自家中毒です。宇宙放射線病みたいなモンです(w;

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