ウェーブ「1/12 サイバネティックヒューマン HRP-4C 未夢 (ミーム) 」
独立行政法人 産業技術総合研究所が開発した人型ロボットの1/12スケールインジェクションキットです。フィギュアよりは「スケールモデル」の範疇に属するものですね。
ウェーブ製の人型ロボットプラモデルとしては古くはホンダの「P2」「P3」がそれぞれ1/12スケールで発売されておりまして、系譜としてはそれに連なるものでしょう。考えてみればウェーブがホンダロボット出してたのっていまの1/12サイズアクションフィギュアがブームになるよりずっと前の時代で、振り返ってみれば先見性を感じさせるものでした。
産総研のHRP-4C未夢はそれまでの工業系二足歩行ロボットとは一線を画する女性をイメージさせた外観で「美少女ロボ」として各所で話題となり、TVなどに取り上げられることもしばしば。先代のHRP-2や3も出渕裕デザインでそれなりに話題を呼びましたが、歌ったり踊ったりましてや「クローズアップ現代」にゲスト出演することなど無かったわけで、やはり女子力は強しということでしょうか。
インジェクションパーツに加えて塗装済みフェイス部分などはPVC素材が使用されています。
ポリキャップは専用設計のもの。この先バリエーション展開はやるのかな?ホンダロボットの頃はクリアー版がありましたけれど、はて今回は…
機体外装、質感の違いはシールで表現されます。実機は塗装されているのか材質を変えているのかどっちなんだろう?
シルバー成形のパーツがちょっと光沢不足に感じたので軽くシルバーを吹いてみました。が、あんまり変化がありません。もっと本格的にメタリック塗装しないと実機の外観には近づかないか……この手の「教材」的なプラモデルって手軽に出来上がる方がいいだろうと思いますけれど。
ちなみにほとんどのパーツはアンダーゲート成形なので、一応メッキモデルへの対応を見据えているようです。ユーザー側で加工工房に持ち込むも可、だろうか。
シールの貼り付け位置はほぼすべてが曲面で明確なモールドラインもないので結構な難儀となります。組み立て説明書では末尾でまとめて紹介されてるけれど、組み立てながら同時進行でやらないとまず無理でしょうねー・
未夢自体は若干人型を外したプロポーションなので、トルソー状態の方がセクシーに感じられます。不思議なものです。
脚部の可動範囲はそれほど広いものではありません。人間の関節もそんなに自由度の高いものではありませんし、これはこれで。特筆すべきは股関節が片持ち式の吊り下げ構造になってることかな?人体の自然な構造をトレースするものとして日本の人型ロボットではポピュラーなものですが、どうもガンプラで育った身としては股関節って「への字棒」で一本に繋がってるイメージがある(笑)
※「ガンダム00」のフラッグやイナクトはデザイナーの福地仁氏がこの工業ロボットの構造を取り入れて関節部をデザイン、キットでもそれは再現されています。また、元祖ガンプラであるところの1/100ガンダムの足が実はこの片持ちの吊り下げ式なのであります!すごいぞガンダム!!関節構造じゃなかったけど……
肘関節もそんなに広くは動きませんが、そんなに広く動かなくとも様々なポーズはとれます。ロボットアニメのデザインにしばしば二重関節が用いられるのは外装がボリューム過多であることも一因かな……
手は平手のみで指は特に可動しません。これは実機を忠実に再現しています。
シール貼りがいまひとつ綺麗でないのが申し訳ないですが組み立ては実に簡単、これで完成であります。
ひとつひとつの関節部分はそれほど広く動くとは思えないのに、いざ実際に組み上げてみるとよく動きます。自然な人体は種ポーズ取ったりはしないのです。
実機では絶対やらないようなポージングをさせるのがプラモデルならではの楽しみでしょうか?他メーカーの1/12フィギュア用スタンドが使えればもっといろいろ遊べそうです。あくまでスケールモデルなんで、遊び易さはどこまで考慮されているのかは不明。
独特のユーモアを感じるのはやっぱり顔の造形が「たまらん」的な何かを感じさせる、ギャグ的というかその……、もういろんなところで言われてますから書いちゃいますけど実機と比べてここはさすがに全然違ってます。パッケージに実機の写真を頭部アップで大きく掲げてるのはどうもね。これまたいろんなところで言われていますが人間というよりはなんだか楠田○里子女史みたい。
おいおい、まるで楠○枝里子女史が人間じゃないようなことを言うなよ。
えっ
フェイス部分は通常の「微笑み」から交換可能でこれは「驚き」顔。首傾けるとあっというまにヤンデレ顔です。
「怒り」顔は目線を流しているようだったので「シャフ度」っぽくしてみましたよ。
……レビューとしては不自然な取り上げ方かも知れませんが、何しろ不自然なものでしてううううむ。
「木の机と椅子」と組み合わせると何かとシュールで良さげです。若干サイズが合わないのは成人女性をモデルにしているからかー。
「柵の向こうが昭和のゾーンになっております」とかやってみるのはどうだろうと、実はここ最近の1/12サイズ製品レビューはこの未夢と並べるのが真の目的だったりします(笑)
日本のロボット技術が平和利用だけを考えて進められているのは重々承知で武装させたくなるのはガンダム育ちのサガであろうか。
実はこのキットを製作する途中で開発グループのおひとりが交通事故で亡くなっていたことを知りました。ご冥福をお祈りすると共にはたしてこのようなある意味「不謹慎」な遊びはどうなんだろうと悩むところもあり……でも、たぶんきっと、プラモデルでこんな遊びが出来るのも実際に開発製造されたHRP-4C未夢の持つ魅力が大きいからだろうと、そこを信じて敢えて掲載する所存。
「パシフィック・リム」風のを撮りたかったが残念ながら手近なところにカイジュウが無かった。マスターボックスのゴールキーパー氏をネタ画像に使うのはこれで三度目だけれどおおのやすゆきの「深く静かに沈没せよ!」でもゴリアテネタを三度も重ねてたからまあいいじゃないですか。
むしろマスターボックスであります。今月のアーマーモデリング読んでたら急遽マスターボックスコンテストを開催するそうで……
ざっくり言うと、マスターボックスを使った作品であればなんでもOK♬
うん?
いま「なんでも」って言ったよね?
この捕虜のフィギュアをネタ画像に使うのはもう何度目だか全然わからない(w ともかくマスターボックス製品、いろいろ取り揃えてあります。「なんでも」っていうくらいだからさぁ、別にヒストリカルに拘泥することなくどんどんネタ方向に走ってもいいハズだよねえ……