エデュアルド「1/72 F6F-3 ヘルキャット (ウィークエンド)」

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エデュアルドのウィークエンドエディション、第二次大戦アメリカ海軍艦上戦闘機の主力機体F6Fヘルキャットです。いくつかのバリエーションに対応したキットですが、本製品では量産初期型のF6F-3を組む構成になっています。


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このエディションに限らずエデュアルドのプラスチックパーツは外注だというもっぱらの話なんですが、開封してこの成形色にはちょっと驚かされました。なんかイギリス機みたい。ヘルキャットにも英軍仕様はありますが、まーこんな色ではなかったか。

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ヘルキャットといえばネービーブルーのイメージ、先入観がありますが、考えてみれば紺色の成形色ではパーツのディティールとかモールドの細かなところが観察し辛いものです。当ブログのように無塗装で組み上げてみる向きにはむしろ都合が良いのかもしれません(笑)

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前述のように複数の機種・製品のバリエーションに対応しているので不要パーツが散見されます。組み立てに際しては取り違えないようご注意を。そういえばこのキットってCランナーがなくてDなんですな(たぶん主翼のバージョン違いでしょう)

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環形ランナーに配されたクリアーパーツ。以前同社のBf110を組んだときにもこの配置の意味が掴めなかったものですが、切り出しゲートを減らすための処置なんでしょうかこれ?あーでも押し出しピンの受けは有るし、そういうことでもないのかな??

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デカールは一種類のみ、機首に独特のシャークマウスを描いた空母プリンストン配備、VF-27飛行隊所属のRichard E. Stambook中尉搭乗機体です。ヘルキャットの塗装パターンとしては有名な一機で、大日本絵画のエアロディティールシリーズNo.17の表紙画もこの機体でしたね。獰猛なシャークマウスの割にはなんだかユーモラスな雰囲気で、どっちかというと

「変だよ」

という意味合いで有名な気もしますが、果たしてパイロット本人はこれでよかったんだろうか……

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成形色のおかげでパネルラインやリベットモールドも綺麗に提示できます。デジタル作業で製図・加工まで行う現代の模型製造技術では、1/72の飛行機模型の設計や構成は多くのメーカーでほぼ一定の水準は満たされているように思われます。そのために様々なブレイクスルーが模索されている昨今なのでしょうね。

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コックピットの計器板はサイドパネルまで含めてモールド処理の、なかなかいい感じに仕上がっています。正面の主計器盤には不要パーツとしてツルペタなものも含まれていて、こちらはエッチングを使用するための基盤なのでしょう。その使用に耐え得るディテールが他のパーツにも施されているようで。最近のファインモールドやタミヤの1/72零戦をみてしまうと食い足りなさが感じられるかもしれませんが、あれこそブレイクスルーであって、ね……

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左右胴体の貼り合せは特に取り付けピンやガイドを持たず、間に挟まれるコックピット部分などで位置決めするつくりです。ここはもう少しひとにやさしさがほしいぞ。

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貼り合せるとやはり大柄な機体です。ヨンパチ並みというには語弊があるけれど、最近このサイズで組んでたのが小柄な日本機ばかりだったのでなおさらか。機体後部の外板の重なり具合が実にグーなのですけれど、そんなことよりドカンと開いてる主翼/水平尾翼の取り付け基部がすっごく気になります。

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見るからに頑丈そうな主翼、上下パーツの合いは良好ですが間に挟まれる機銃パーツD10とD11の指定は左右逆ですのでご注意です。しかしマチズモな飛行機だよなあこれ。グラマン鉄工所謹製って話も納得しますわ。

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そのぶっとい主翼をでっかい穴に

えいっと

ばかりにちからをこめてグイグイねじ込むのは無駄に危険の元なのですり合わせを丁寧にやったほうが安全です。模型製作はマッチョ優位性ではないのだ。でもこの通り主翼と胴体は隙間無くぴったり収まり、このような設計にもひとつの意味・設計思想はちゃんとあるのですな。

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水平尾翼の取り付けも同じような具合ですが、こちらはそれぞれ1パーツで成形された翼のモールドが左右で表裏反転しちゃってていただけませんね~。つまり左右ともまったく同一形状のパーツが成形されているわけで、思うにこれ設計段階でコピー&ペーストのミス的な何かをやらかしちゃったんじゃあるまいかと、デジタル設計の時代に特有の事故なのかも知れません。

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文字通り綺麗な士の字になります。F6Fヘルキャットは本来主力艦上戦闘機となるはずだった新機軸満載のF4Uコルセアの、いわば保険的に設計された機体なので前任機F4Fワイルドキャットをそのまま正常進化させたような手堅いつくり。よく言えばまじめな優等生で悪く言えば面白みに欠ける存在でもあり。

まーしかしなんですな、太平洋戦争開戦前にすでにコルセア見据えていたんだから、その時点で既に「負け」だったのかも知れませんないろんな意味で。

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2000馬力のダブルワスプエンジンも大柄な機体の前では小さく見えます。コンパクトでハイパワーなエンジンが頑丈で重武装の機体を自在に飛ばす、コンセプトとしては実にシンプルですけれど、それをかなえるのは大変なことですな。本製品に関してはエンジン部分の空間がいささかシンプルに見受けられますが、ここもディティールアップパーツの余地が設定されているのかしら?

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主脚のタイヤはトレッドパターンを二種類から選択可能。不要パーツが多い中で珍しくコンパチの仕様です。

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そして完成です。ウィークエンドのシリーズ名の通りに週末で簡単に組み立てられるキット内容。F6Fヘルキャットは第二次世界大戦に参加した航空機の中でも数多く生産された有力で著名な機体、古くから全世界の模型メーカーでいくつものキット化が成されています。その割にはあまり人気が高いようには思えないもので。

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「グラマン」といえば日本では太平洋戦争米軍機の代名詞、どうしたって「悪役」のイメージはまぬがれないものですが、アメリカ人のヒコーキ好きにたずねてみても、あんまりいい評価が聞こえないもので(有効回答数:1名)「大いに役には立ったけれど、技術的には見るべきものも無いし外観の魅力も無い」だったかな?

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趣味の模型としてみれば、それは確かにそうなのですが、実機は必要とされる時期に必要とされる性能を持ち、必要とされるどころか他国に売りつけ戦争が終わったら海に捨てるほどの有り余る量で生産されたうーむなんだろう、戦車で言うところのT-34みたいな存在ですか、とにもかくにも航空史に名を残す名機であることに疑いはありません。

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主翼上半角もきっちり決まるのはタイトに思える主翼取り付け部の設計が効果を示しているからでしょう。普通は主翼下部と胴体結合部分で一体成型しそうなものですが敢えてそれはやらなかったんだろうなあ。

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ドロップタンクを取り付けるつもりで組んでいたのですが、取り付けに当たっては胴体左右貼り合せの際に切削加工が必要なのだと後から気づいてアタマを抱えた /(´д`)\ しかし考えてみればボディパーツは結構肉厚なものですから、やらずに済ませて却ってよかったのかなあ……

ともあれF6Fヘルキャット、同時代の同クラスの戦闘機に比べれば凡庸な機体と評される存在ですが (゚Д゚ = ゚Д゚)キョロキョロ と周囲の様子を伺いつつ、

大きな声じゃ言えないですけど相手の日本機はおおむね同クラスじゃなかったので特に問題は無かったのですめでたしめでたし。

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そんなわけで「『風立ちぬ』とか『永遠の0』とか盛り上がっていますが、現実はこうです」企画でした(ヒドイ)

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