ズベズダ「1/72 ドイツ R12 サイドカー」
近年1/35スケールではT-90戦車やドイツ軍ソフトスキンなどの素晴らしいキットで高い評価を受けているズベズダ社。同社では長年1/72のミニスケールアイテムでも多くの製品を発売していますが、さてその方面では最近どうなっているのでしょうね?
一枚のランナーにBMW R-12サイドカー1両と兵士2名が収まるキット構成です。普通じゃんよーと思われるかもしれませんが、このスケールこのタイプの製品ですと、古いエアフィックスの1/72シリーズのように一体抜きのフィギュアがバラで入ってる場合もありますので、フタ開けるまで油断は出来無いのです。
バイク本体は一体成形で省略箇所も多いのですが、ディティールや立体表現は十分いまのレベルです。余分なバリやパーティングラインも全くありません。
銃手の右腕と一体化されたMG34も綺麗に抜けています。パーツ表面のテカリ具合で察せられるかも知れませんが、材質はABSだと思われます。わりと粘り気のある素材ですね。
ベースが付属するのは昔のマッチボックス製品を思い出させてちょっと懐かしいです。「情景」というより「台座」程度ですけど。
組み立て説明書は一枚のシンプルな印刷で、デカール類は付属していません。が、
アクチュアルウォーゲーム(最近だと「ミニチュアゲーム」なんて呼んだりしますね)」のコマとして使用するためのデータカードが入ってるのが特徴です。この製品、このシリーズって実はウォーゲーム用の拡張ユニットがバラ売りされてる体裁なのです。車両関係が1/100スケールでフィギュアとの統一感が無いのはまずゲームありきの商品だからなんですな。
元がゲームのコマならプラモデルとしての出来は悪いのかと言われればさにあらず、このサイズ・このプロポーションで全てのパーツがスナップフィットで組み立てられます。取り付けピンも受け側の軸穴も、1/72スケールAFVモデル相応の細さなのにパチパチはまって行くのはちょっとした感動。
スナップフィットのプラモデルの方がパーツの勘合には高い精度が求められます。確かにズベズダの金型技術は向上しているのだなと、ちょっと変化球気味なところから唸らせられました。いやー、むかしはゴニョゴニョな製品出してたところとは到底思えません、よい事です。
フィギュアも全パーツ接着剤いらずでパチパチ組めます。このあたり普段は模型を作らないタイプのユーザー、ゲーマーの方に向けての配慮もあるのでしょうね。銃手の左手がストックに添えられているのが芸コマです。
台座の取り付けのみちょっとドリルが必要でしたが、ガンプラ的な組み立て易さとスケールモデル性を両立させた、ちょっと面白い模型だと感じました。モデル背後の「旗」は国籍シールなどを貼るためのものかな?
機銃が上向き過ぎるのはキットのせいと言うよりは自分の指が太いからで(w
ウォーゲーム「ART OF TACTIC」に関してはこちらに公式サイトがありますので一応ご紹介(露文/英文)
東部戦線の緒戦「バルバロッサ」作戦を扱ったシミュレーションゲームです。サイトの方には動画によるプレイ説明もありますが、Youtubeなんで直接こっちにも貼ってみる。
ゲームズワークショップ社の「ウォーハンマー」などでおなじみのアクチュアルゲーム、こちらはヘクスマップを用いた一般的なボードシミュレーション
に近いゲームデザインなのですが、やはり紙のコマより実感わきますし「高地」の概念を立体的に表現できるメリットもあります。ゲームとしては戦術級になるのかな?基本ルールをしっかり作っておけば拡張も容易だってのがこの手のゲームのよいところですなあ。古くからあるものですがなかなか日本では普及してないのも実情で…
「広い部屋」でマップやユニットを展開して「長い時間」をかけてプレイできる、「ちゃんとルールを理解した、気の合う対戦相手」を完備してないと楽しめない趣味なのですよう(´・ω・`)
でもその3つが揃った時の醍醐味、人間相手の駆け引きや広大な戦線に展開する軍勢を指一本で動かすカタルシスはPCゲームでは味わえない種類のもの、余裕と友人に恵まれた方にお勧めの趣味です。