タミヤ「1/35 ティラノサウルス」

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本日からは新年度の始まり、街にも人にもフレッシュな空気が満ち満ちていますが、 そんなことにはまったくお構いなしで 今日はクラシカルな恐竜プラモのご紹介です。

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こちらのイラストは1905年にヘンリー・オズボーンの論文によってはじめて世に発表されたティラノサウルス・レックス(暴君竜の王)の骨格復元想像図です(国立科学博物館「恐竜博2005」図録より抜粋引用)。白亜紀後期に北アメリカに生息した当時最大級の大きさを持つ強力な肉食生物として、ティラノサウルスとその姿は恐竜のある種の代名詞としてこれまで大勢の人々に親しまれ、数多くの研究者によってその生態が追求されて来ました。様々な事実が解明され幾つもの学説が提唱されたことにより、現在ではティラノサウルスの想像図は大幅に異なるものとなっています。

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映画「ジュラシックパーク」によりティラノサウルスの想像図は一般レベルでも書き換えられたのですが、その後も研究は進歩していて最新の学説ではこのような「羽毛恐竜」としての姿を提唱する研究者もいます(国立科学博物館「恐竜博2011」図録より抜粋引用)。異説はいくつかありますが、長く伸びた尾を後方に持ちあげてバランスを取り胴体部分を水平にして姿勢を保つ姿が現在ではほぼ定説となっていまして、タミヤでも「恐竜世界」シリーズの一環としてそのようなスタイルのティラノサウルスが製品化されています。

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では現在では否定されているこのゴジラ体形のティラノサウルスは果たして「間違っている」のでしょうか?個人的にはそうは思いたくないところ。単に「間違っている」のではなく「その時はこれが正しかった」ものであって、最先端の「正しさ」も、現在では否定された先人たちの研究成果が蓄積された上に成り立っているものなのです。例え専門の学術業界では顧みられない姿形であっても、このように「商品」として広くに流通し手にとれるのはよい事です。バルサ材切り抜きの骨格模型なども恐竜アイテムとしては定番の一品で、考えてみればゴジラ体形のティラノサウルスを目にする機会はいまでも結構多いですね。

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キットの方はタミヤらしからぬ豪快なパーツ分割&モールドで、開封したときちょっと引いたのはホントです(w;

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ちょっと海外メーカーの製品みたいなテイストでもある。

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20世紀的な…いやむしろ テラ昭和 な恐竜模型ですね。

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顔つきはなんだかパニック映画のモンスターみたいです。「ジョーズ」よりも「恐竜・怪鳥の伝説」みたいな感じだなあ。え、そんな映画知らない?

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いくら古いとはいえ体表モールドがまるで岩石なのは当時としてもなんかこー、もっとなんとかならんかったんでしょーか。恐竜模型に筋肉表現が大幅に取り入れられたのは海洋堂のガレージキットが初としても、パッケージのイラストには筋肉の表現や関節の骨相がちゃんと描かれているもので。

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でもこのキット全体に漂うアナクロ感は好みの雰囲気ですねえ。ボックスサイドに描かれた恐竜たちもブロントサウルスやトラコドンなど現在では否定された種が多く、なんだか懐かしい友達に再会したかのようです(=゚ω゚)ノぃょぅ

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組み立て説明書のイラストも「水辺で生活する竜脚類」に襲いかかるティラノサウルスという、まるで「恐竜探険隊ボーンフリー」みたいな図柄です。溢れる70年代の空気!本キットの初回発売が1981年だったことはさておき!!

でこの襲われてる竜脚類の名前が「アラスモサウルス」だっつーのは「アラモサウルス」か首長竜の「エラスモサウルス」か、何か勘違いしてるんだろうなー。そしてこの解説書「ディプロドウスカヤ(ロシア語?)」「ブロンドサウルス(金髪?)」など、竜脚類の表記に変な点が多いのは何故なんだろうったら。

さっきから脱線ばっかで真面目に作ってないぢゃないかとお思いの方、そんなことはありませんよちゃんと作っておりますよ。でも、

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なんだかおなかがすきました。

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バカなことやってる間にあっという間に出来ちゃうものです。さすがにパーツの合いはあんまりよろしくなかったのでパテ盛り、そしてサフ吹き。思いのほかボリュームのある完成体、しかしよく見るとパッケージと全然違ったポージングだったりする。

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尾を引きずって歩くのがこのタイプの想像図の特徴です。ワニやトカゲなどハ虫類からの連想で、恐竜がまだ変温動物だと考えられていた「冷血説」を代表する姿です。既に古生物学会では70年代から「温血説」が唱えられていたそうなのですが、広く一般に認知されるまでにはずいぶん時間が掛りました。現在ではごく普通の人々でも最新の研究成果に振れ得る機会は多く、タイムラグは減少しているような気がします。その分アバンギャルドでセンセーショナルな「一説」がまるで定説であるかのように話されちゃうようなこともありで、一長一短かな?

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口蓋内側には舌もパーツ化されています。顔全体が見下ろし気味なのは同じく「恐竜シリーズ」にラインナップされている「トリケラトプス」との対決ディオラマを想定したもので、説明書に写真が掲載されてます。

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(*´Д`)和みますね

昔のタミヤプラモの解説書には、よくこんな情景写真が載ってたものです。いろいろノスタルジアです。

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足の造型が ぷ っ く り しているのは2足+尻尾でちゃんと立たせるための処置だろうと了解しておきます。この部分もボックスアートと全然違うんだけれど飾り台となるベースも無いんで仕方ない。

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ティラノサウルスの両眼が正面を向いてて立体視が可能だって説はいつごろ唱えられだしたのかな?正直このアイテムは発売当時の時代を考えてもいささか古めかしく、単に「間違ってます」と片付けられても仕方のない面もあります。ですがね、古い想像図をあまり批判したくないのは現在の最先端となる定説であっても将来には書き換えられているだろうと確信的に推測できるからであって、いまそれが「正しい」と思っているティラノサウルスの姿も、10年20年後の人々からは否定されちゃうような存在だろうと…

結局何が正しいのかはわからない、でもその決して辿り着けない真実真理に、如何にして接近するかが古生物学の醍醐味だろうとは、思います――

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まーあんまりコムズカシイことを考えずに、1/35スケールのフィギュア使ってとりあえずマミってみた。これでいいのだ。

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