タミヤ「1/35 パラサウロロフス情景セット」

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恐竜強化月間その2はタミヤの定番「恐竜世界シリーズ」よりNo.3パラサウロロフス情景セットの紹介です。

古くからタミヤには「恐竜シリーズ」としてティラノサウルスをはじめとする製品があったのですが、恐竜についての新しい学説が広まった20世紀末の時代においてはいささか古びた姿となっていました。そこで映画「ジュラシック・パーク」公開当時の恐竜ブームに合わせて完全新規・新展開を行ったのがこの恐竜世界シリーズです。あれから20年近くたつのかー。

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パラサウロロフスはハドロサウルス科、いわゆる「カモノハシ竜」と称される植物食恐竜グループに属する種で、それらの中でも長く伸びた頭頂部のトサカが特徴で有名な恐竜です。かつては水辺に生息する生き物でこのトサカは潜水時にシュノーケルやエアタンクのような働きをするものと考えられていましたが、現在では陸棲動物だと考えられるようになり、頭部の働きについては発声器官であろうとする説が有力です。

そんなことより長年リリースされて来た本製品、何を隠そうハコ開けて中身を見るのは初めてです。そしてあまりに静岡名産品的な成形色に度肝を抜かれた…

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付属品の成形色はホワイトです。なんだかほっとします。

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こういうベースを見てるとガンプラの「情景模型」を思い出すのはなんでだろうな。外枠が不定形になっているのは恐竜世界シリーズ初期の4作に連結して大型パノラマを構成できる、ひとつの仕掛けがあるためです。

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ベースにセットするソテツの葉っぱを作るためにちりめん状の加工がされたリーフシートと紙巻金属線も付属。

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恐竜本体のパーツにはウロコ状のモールドや筋肉の流れを意識した造型が施されています。そいえば初めて恐竜の皮膚標本が発見されたのはハドロサウルス科の化石でしたな。「恐竜のミイラだ…」って慄くマンガが載ってたのは学研ひみつシリーズ「化石のひみつ」でしたか…?

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前後の肢は先端部を除いて一体成型されており、ムクなパーツで合わせ目が無いような設計です。パーティングラインは削らなければなりませんがバランスウェイトにもなっている構造のようですね。この辺のパーツ見ながら「モモ肉うまそーです^^v」とか言い出したら夏の暑さに脳が病んでいます。

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組み立て自体はブルワーカーで筋トレするぐらいにまったく簡単です。何も説明しようがないほどではじめて博物館に行って恐竜見て、そのまま売店で買ってきたお子さんでもその日のうちに完成するレベル。

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背中のラインも自然に生物らしいうねりを描いた美しいシルエットに入門者から上級者まで満足できる造型でしょう。ただ、少ないとはいえやはり合わせ目は存在し、より実感を高めいっそうの生物らしさを表現するためにはパテ埋め作業と再モールディングが必要でしょう。説明書ではポリパテを使用した合わせ目消しの手法が紹介されています。

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オプションでトサカが短い頭部パーツも用意され、自由に選択できます。これは実際に化石でも発見されている違いなのですが、その違いがどのような意味を持つかについては雄雌の性別差異であり、トサカの短い個体はメスだろうとする説が有力です。なんであれ恐竜についてはあくまで「説」なのであってあんまり断定的に記述するもんじゃないのですな。

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はっきり書かれてませんけどこれってやっぱり先の副将軍水戸光圀公にあらせられる、控え控えおろ~な黄門様でありましょうや?生物である以上食って出すのは自然ですけど立体でそれを表現した例って知りません。アナール学派もビックリ。

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キットには本来恐竜世界には生息していない生物であるものの、大きさをはかる目安として同スケールのホモ・サピエンスが付属してます。このままアフリカ軍団に放り込めそうな外見ですけどモデルはイラストレーターのヒサ・クニヒコ氏だったりする。

90年代恐竜ブームの当時には関連書籍でよくイラストを描かれておられまして、本シリーズの復元想像図も同氏の手によるものです。たしかオリジナリティの高いステゴサウルス復元想像図を発表とか、やってたなあ…

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小型翼竜ニクトサウルスも三体付属。説明書では「翼竜の地上姿勢についてはわからない点が多く、様々な推理がなされている」との記述がされていますけど、20年経ったら地上での翼竜は四足歩行でほぼ定説化されました。そしていまウィキペディアで「ニクトサウルス」項目確認してみたらとんでもない事実が!発見されていたんだなぁ…

そしてここからソテツの作成過程です。

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パーツC4に裏から紙巻線を通して瞬着で固定、そこに切り抜いたリーフシートを接着し…

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葉の部分に切れ目を入れて紙巻線を曲げたらC4と幹部分を接着。と書くだけなら簡単ですけど、本キットの製作ではこの過程が最も難しかった気がするぞ。リーフシートと紙巻線はなかなか綺麗に接着出来ないし、切れ目も雑になってまう~

説明書通りに全部の紙巻線を通して全部のリーフシートを貼ってと段階踏んで行くよりもまず内側だけ仕上げて順を追ってく方が良かったみたい。そして最後の段階で気がついたけど最初に紙巻線を瞬着で固定する前にクリアランス保っておかないと幹がズレるぞOTL

塗装するならパテ埋めすれば良いんですけど、しかし塗装する場合ソテツの葉は先付け?後付け?どっちがいいんだろう??

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そんな苦心をしつつも一応の完成を見る。なんだかほんわかした白亜紀の情景ですなあ。思いのほか飛翔するニクトサウルスの高さがいい味だしています。

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この恐竜世界シリーズ、パラサウロロフスよりティラノサウルスで顕著なんですが、どの恐竜も穏やかな顔つきで造型されています。これは復元デザインを担当されたヒサ・クニヒコ氏の「怪獣のような扱われ方が多く非常に誤解されたイメージが作られているけど、本当は今いる動物たちと同じ表情や生活をしてたんじゃないか」(HJ誌93年8月号)という、至極真っ当な意見の反映です。ヘビやトカゲも顔付きはカワイイもんです。

しかし、ヒサ・クニヒコ氏は重大な見落としをしていました。

恐竜はごく普通の生物でしょうが

人間はそれどころではないので

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こんな殺伐とした情景を作ることもできるッ!そう、怪獣のように扱われるべきは我々の方なのです。

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