ディ・モールド・ベネ「スタチューレジェンド ジョジョの奇妙な冒険第三部 ザ・フール」
「ジョジョの奇妙な冒険」といえば、20年ほど前のホビー業界では版権等の問題から人気があるのに立体化されないマンガの代表格みたいな存在でした。しかし時代は流れて今ではいくつものメーカーから素晴らしい製品群がリリースされて大変喜ばしい。そんな市場に新規参入するメーカーがまず第一の商品としてこの「ザ・フール」をリリースすると聞いた時には
何をするだァーーーッ!
などと随分と驚かされたものです。普通こう、なんか他にもっとあるだろうと。しかし逆に考えるんだ。“他のメーカーに出来ないことを平然とやってのける、そこにシビれる!あこがれるゥ!”と考えるんだ。そうしたら急に魅力倍増ですよ?
パッケージを開封すればこれまた見事にジョジョの奇妙な冒険第三部に登場したイギーのスタンド「ザ・フール」です。名前の由来はタロットカードの大アルカナに属する「愚者」のカードからであって、決してロックバンドの「ザ・フー」ではありませんしましてや「砂で出来てるからすぐにグシャッとなる」でもありませんよ?お前は今まで口にしたオヤジギャグの数を覚えているのか。
左側面から。シリーズに「スタチュー」と銘打たれるように可動フィギュアでは無く一個の彫刻のようなスタイルを目指した造型で、荒木飛呂彦独特のデザインやディティールを再現しています。特にこのザ・フールは生物感と機械風味が融合した荒木飛呂彦の奇妙なデザインのなかでもとびきり奇妙な物のひとつで、原作コミックに初登場したときにはしばし呆然とした記憶がある。犬かよ…とか、ああデザイン関係ないジャンそれ。
筋肉質の腕に全体に輝くブレスレットと、そこに絡み合うコード類。「ディ・モールト・ベネ」というメーカー名はイタリア語で「非常に良い」という意味なのだそうですが、このような美しいディティールを見れば「Exactly(その通りでございます)」と言わざるを得ないッ!
反対側から。肋骨のようなディティールが露骨ですな。原作ではザ・フールには背中に翼を生やして飛行する能力も有りましたが、残念ながら本製品ではとくにその再現はありません。
――しかしッ!それを補って尚余りあるこの吹付の為の銃身鉄鋼塗装仕上(ガンメタル・オーバースプレー)が実にブラボー!おお…ブラボー!!
下半身はタイヤになってます。なんかフリーキーなスタイルでまさしくビザールアドベンチャーって感じ。ゴメンいますげぇテキトーなこと書いた。
ツララを突っ込まれたどころの話じゃないケツの穴はどうみてもブースト的な何かだ。こんなデザインになってたなんて連載当時はちぃーとも気がつかなかったわたしの視力は1.5です。
原作ではまったく目にした記憶が無い腹部と、それよりなりより驚かされるのがにっくき肉球!いや憎くない、むしろズキュウウゥンと来るほどのチャームポイント!!
頭部の形状にはどことなく同時期に登場したシルバー・チャリオッツやそもそもの始まりだった石仮面にも共通するイメージがあるようにも思われます。ネイティブ・アメリカンのような羽飾りを有するのはスタンド使いのイギーがニューヨークの土着犬だったからに違いない。するとタイヤもアメリカンでモータリゼーションのイメージなのかな?ハイウェイ・スタァーッ!!←それは別のスタンドだ。
ディ・モールト・ベネの製品はどれも荒木飛呂彦キャラ特有のジョジョ立ちを再現していて、立体でみるともうそれだけで素敵にモダンアート人体です。でもこのザ・フールはデザインはともかく面白みのあるポージングじゃないんでどうしよう。可動部分でもあればいろいろポーズ変えでもするとこだけど、それでは本末転倒だ。可動部分がないからこその、良さがあって…
「いや!可動部分はあるぜ!」
「え!?」
「なんだって?JOJO」
「たったひとつだけ可動部分はある!!」
「たったひとつだけ……?」
「ああ、とっておきのやつだ!」
「タイヤが回るんだよ」
タイヤなら2個あるじゃネーカ(o ̄∇ ̄)=◯)`ν゜) メメタァ!
ところで、ここで書くことでもないのかもしれませんが先日とある模型SNSで20年ほど前にイベントで目撃した「ジョジョの奇妙な冒険」会場限定レジンキットが製作されているのを目にしました。素晴らしい、あれこそ未来への遺産で「黄金の精神」というものです…