バンダイ「1/1000 宇宙戦艦ヤマト 2199」

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「徳川君、この艦(フネ)はいい艦(フネ)だ。そう思わんか」

というわけで劇場公開・TV放送も無事完結した「宇宙戦艦ヤマト2199」シリーズより新生1/1000ヤマトです。


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玉盛順一郎氏の手によって生まれ変わった新たなヤマトの姿を、現在のプラモデル開発技術でインジェクションキット化したもの。

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バンダイはここ数年ヤマトの新作プラモデルをコンスタントにリリースしているのですが、1/350や1/500といった大型モデル、あるいはBD-BOX付属特典の限定品といったいささか敷居の高いアイテムが多かったのも確かなことで、この「2199」版でようやくスタンダードなサイズでのプラモデル化は多くの人が手に取ったものと思います。メカコレが一層充実してくれれば尚良いのですけれど。

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本キットがリリースされた当初は初代ヤマトのストーリー展開では出せるアイテムに限界があるのでは?と危惧も抱きましたが、いざフタを開けてみればまさかのガミラス艦隊ラッシュ。それはもちろん従来よりはるかにガミラス側の描写を深めた「2199」特有の事情もあるのですが、あらためてただ一隻で大多数の敵に立ち向かうという「宇宙戦艦ヤマト」全般に渡る構図、魅力を再確認させられたこの一年間です。

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本当に古くから「宇宙戦艦ヤマト」を見続けてきた方々には賛否両論あるのは承知しておりますが、今回のリメイクには従来シリーズで感じてきた多くの不満(設定上の矛盾よりは脚本や演出に於ける観念上の問題)が解消されて実に満足できる作品でした。アニメの話をあまり引っぱるのはキットレビューに関係ない事柄ですけれど、個人的にここまで「主役メカ」に入れ込んで観た作品も、ちょっと珍しいことなのです。

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さて話をキットに戻しますと、このスケールでも艦載機は全機再現されています。コスモゼロ×2、コスモファルコン×32機(ファルコンの半数は駐機用プレートと一体化で造形)

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艦載機やパルスレーザーのパーツはバンダイお得意のレーザー加工による金型彫刻技術が存分に発揮された美しいもの。とはいえこの辺の情報は模型雑誌各誌で既に何度も取り上げられているハナシなので、今更あらためて書くのもまあなんだかなというところでしょうか(笑)

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ツボを押さえたクリアーパーツの使用は電飾モデラーの琴線をビシビシ刺激したようで、模型雑誌の「2199」関連ページはどこもきらびやかな内容が続いているのもこのシリーズの特徴でしょう。キットの形状・プロポーションは製品状態でほぼ満足できるものであり、その上でプラスアルファを加える拡張性をもった設計だったということか。

尚本製品にはスタンド貼付用のネームシール以外には特にデカールは付属しませんが、「2199」シリーズの「国連宇宙海軍 連合宇宙艦隊セット #1」および「#2」におまけとして含まれています。

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本キットの特典としては旧シリーズメカコレ三段空母の成形色替えで第二空母が付属します。「2199」で言えば「七色星団の戦い」に参加した<ランベア>にあたる艦ですね。

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船体各所のディティールに関しては近年のバンダイ製プラモデルとしてスタンダードなモールディング。

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主砲砲身はスライド金型を使用して砲門開口されています。

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パルスレーザーはホントに細いパーツなので製作途中での破損にご注意ください。予備はありません。

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コスモゼロは垂直尾翼が別パーツ化、コスモファルコンはやや平たい……かな?

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ここからは取説に従って組み立てて行きます。まずは船台からですが、ここは特に書くことが無いぞ(w

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船体は内桁に左右外板を取り付けていく流れで、ちょっと1/350の艦船模型みたいです。それでも前後で完全に船体パーツが分割されているのが「宇宙戦艦」らしいところかな?

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基本は成形色のまま仕上げますが、無色透明クリアーパーツの波動砲口がイマイチ面白くないので色を乗せてみました。思いのほか「菊の御紋」みたいになってちょっと焦る(笑)

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組んでしまうと奥まってほとんど見えないのですけれど、裏側をシルバーにしといたんでライトあてるとクリアーオレンジがちらりと。

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船体後半も素直に組んでますが波動エンジン部分はカッパーで塗装。ここで女っ気も無く黙々と働いている機関科員特に藪くんの苦労を思うと少しは手を入れてあげようという気にもなる。

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メインエンジンのノズルコーンはやはり透明パーツです。ここも波動砲口と同様内部空間を活かせば簡単に電飾できるという設計上の配慮でしょう。実際の演出ではノズルコーン自体は光らないのですけれど、こういうちょっと考えるといろいろ拡張できる「遊び」が用意されている、実に楽しいプラモデルです。

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ジャーマングレーをペタペタと。パーツ成形色とは若干色調が異なりますが、概ね陰に隠れるので全く気になりません(w そして塗装するとはじめてコーンの頂点部分にモールド存在するのが見えてくるのだった……

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こうしてみるとあらためて前甲板が長いデザインです。このスケールの「艦船」模型として見ると各部いろいろゴッついパーツや太いモールドもあるのでしょうが、「戦艦大和の残骸を利用したものではなく完全新規に建造された」2199版の設定なら敢えてこれでいいのだ!と主張するも可でありましょう。

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コスモファルコン32機を搭載する第二格納庫のリボルバー式収納システム。駐機していないとなんだか魚の骨みたいなイメージ。

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いちおうファルコン各機は青だけ塗って雰囲気だけでも出しましょう。一機だけ無塗装のままなのは加藤三郎機のグレーに塗られたパーソナルカラーが成形色のままで十分だからで、べ、別にひとりだけケコーンしたからってハブられたわけじゃないんだからな!

いや、毎度毎度「古代と森雪がラブラブする以外は大抵のカップルがロクな結末を迎えられない」従来ヤマトの恋愛哲学と違って、2199最終話で原田真琴と加藤三郎が艦内結婚式挙げる展開は実によかったと、これは割と真面目に思いまする。「命落とすな男を落とせ」ってことです。

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ぎっしり積みこまれると立体駐車場のようである。しかしなんですなこのちっさいコスモファルコンのウェポンベイに搭載されてるもっとちっさい対艦ミサイルが2~3発命中しただけでガイペロン級多層式空母<バルグレイ>もあっさり撃沈でほんまテロンの人間はおっかない連中揃いですわあ。来年バルグレイのキットが出たら是非比べてみるとよろしい。じわじわ来ますよきっと。

あ、ところで全然関係ないけれど早くから登場していた艦で構成される「ガミラス艦セット #3 」の発売が放送終了後にズレ込んだのは結末部分でフラーケンが大活躍するからでしょうかしら。なんていうかイロイロ贔屓されてますねー彼。

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でもこの第二格納庫のギミック・デザインは実に秀逸なものかと。ちょっとした航空母艦並みの搭載機数を無理なく収容させ、発進時には従来にないテンポとタイミングで緊張感を演出する映像作りが出来るシステムです。冥王星攻略の際にいわゆるワンダバなBGMが流れたのは強く印象に残るものですね。

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そしてこれだけ新規な仕掛けをほどこしてもヤマト本体のシルエットはひとつも崩していないところがポイント高いよなあ。「宇宙戦艦ヤマト」の外観を変えるのは色々な意味での抵抗感からか難しい所業のようで、当初のアイデアでは被害補修を繰り返すたびに艤装が更新・強化される構想もあったそうなのですが、本編でその設定は導入されていません。以前電撃ホビーマガジンに掲載された「メ2号作戦以後の強化改造ヤマト」作例は本日発売の「宇宙戦艦ヤマト2199 モデリングガイド」に再録されてるかな?

模型的なアイデアとしては第22話冒頭、惑星レプタポーダでガミラス側の機器資材を用いて修復されたバージョンなんかも見てみたいところではありますが……

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上部構造物も必要に応じてクリアーやメタリックのグリーン塗装で窓やレンズを表現していきます。ただ第二艦橋だけはキットの指定と違って「消灯」しているイメージで黒の塗装を、クリアーパーツの上に実はクレオスメタルカラーのダークアイアンを塗っています。考えてみれば普段第二艦橋には人がいないはずなんで、両方ピカピカ光ってるのも変な話……とゆーのは劇場公開版第七章パンフレットに掲載されていた加藤直之画伯の見開きイラストをただマネしただけのものなんですけど(^^;

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司令塔後方の展望室や煙突(いや煙突ではないんだがな)側面の探照灯など、ささやかなパートでもいろんなシーンの記憶が呼び起こされるものですから、少しでも手を入れるのは効果的だろうと思うわけです。

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みんな大好き第三艦橋(w かつてはここに配属されることは即死亡とみなされるブラックな部門で「第三艦橋送り」といえば懲罰人事の代名詞として一般社会でも通じるものでした(どこの一般だ)。しかしながら「2199」の第三艦橋は「波動防壁」の要として激戦地でも常にヤマトを守りつづけ、ドメルの自爆を乗り越えてイスカンダルに到達した暁には

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「自然って、いいなあ」

などと素晴らしいご褒美が待っていたのは我々の記憶に大いに留められるものです。これからは「第三艦橋送り」といえば天国みたいな仕事の代名詞としてさあみんなどんどん第三艦橋に行こうね。ステキなおしごとがまっていますよ(棒)

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「2199」に於いて第三艦橋以上に大活躍したのはこのロケットアンカーでしょう。それまでは精々「シュルツ艦」にぶつけるぐらいしか活躍のなかった装備ですが、今回は浮遊大陸での戦艦ドリフトシーン(映画「バ○ル○ップ」にそっくりですがアイデア自体は同作公開より先んじるとスタッフのどなたかが言ってましたな)を始めとしてスポットの当たる場面が多かったように思います。

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特に23話でバレラスのデスラー総統府に力強く打ちこまれるところ、続く24話ではイスカンダルの港に静かに降ろされるところ、この二つの場面の対比は実に良いものでした。玉盛順一郎氏入魂のデザインの賜物ですね。シリーズ開始当初メディア向けの会見で「今回はロケットアンカーが活躍します」と出渕総監督が話した時には「リアクションが非常に薄かった」らしいのですけれど……

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昔も今も大活躍の砲填兵装のみなさんです。今回は特に実体弾である「三式融合弾」が反射衛星砲への砲撃など随所で大活躍でした。なにを「融合」しているのかは聞かない方がいいよね!主砲には各砲身独立可動するギミックがありますが、基部を少しヤスっておいた方が動きはスムーズになります。(やりすぎると若干下がり気味になるので注意)

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後部砲塔群とコスモゼロ発進カタパルト。後甲板左右端部から管制室が上昇するデザインですが、残念ながらこのサイズではモールドのみ。やはり「メ2号作戦」での古代機アルファ1発艦シークエンスがよかったんだけど、年末発売予定の1/500なら再現できるかな?

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前部砲塔群を積載するとだんだんと気持ちも盛り上がって来るものですな。砲塔内にも人員配置されてしょっちゅう被害を受ける危険な職場なんだけど、肝心の時にはブリッジから砲雷長が直接照準しちゃう。きっと南部くんは現場からは嫌われてんだろうなァ……

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パルスレーザーの組み立てではとにもかくにも折らないように気を付けることが大事です。いちどうっかり船台からフネが転がり落ちて肝を冷やしました……。まーなんだな、イザって時はデスラー砲の至近弾で片舷砲身全部曲がっちゃった状態にすれば問題ないよネ!

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これで一応かたちとしては完成を見ます。本キットは現代のセンスと技術によるデザイン・モールドに加えてコスモファルコン格納庫など船体内部も一部パーツ化して往年のメカニックモデルの雰囲気も持たせているところが好印象。格納庫シリンダー部分は取り外して直接船台に飾ることもできますが……

気づいたら外板接着してた(´・ω・`)

ので、ヤマト本体の美しいシルエットを存分に楽しむことにしましょう…… や、パーツが曲がってたのかあんまり建てつけ良くなかったんで……ね。

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砲塔がここまでバラバラに目標を指向するのは現実の海戦ではあり得ないポジションですけれど、常に大多数の敵を相手に孤軍奮闘するイメージとしてはやはり捨てがたい。現実の大和型戦艦の設計を引き継いで主砲各砲塔には測距儀が配置されているのである程度説得力はある……と思われます。そいえば司令塔トップの測距儀が動いてるのを見た覚えが無いぞ。

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おまけの第二空母。七色星団で<ランベア>ごと雲海に消えたバーガーはひょっとしたら生きてるんじゃあるまいかと思ったが、25話新規カットでも全然そんなことはなかったな。このフネ長年「三段空母」と呼ばれてきたけど御覧の通り四段である。なんていうか俺たちダマされ過ぎだよねいろいろね。

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キット付属の船台以外に「アクションベース01」を取り付けるためのジョイントが付属します。

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このヤマトをアクションさせるには必須ですがそれだけではなく、塗装の際に船体を保持するためにもこれひとつあるとすごく便利ですよ?

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そんなわけで成形色の上からスミ入れとウェザリングだけやってみました。ガンダムマーカーやメタルカラーを使って適時拭き取るだけの簡単な作業です。

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魚雷発射管は扉よりも後部の排気口を強調しバルバスバウ(球状艦首)は星間物質で傷ついた様子を表現。星間物質って果たしてこういう感じで汚れがつくものかどうか、疑問に思う人はちょっと星間物質を浴びてきてくれ。

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宇宙空間では物質は「銀河水平面」に対して落下していくので船体の汚れも上下方向に伸びていきます。実際の銀河水平面を観測するには人類が太陽系外に出ていかなきゃならないのでいや残念、その存在を証明できないのだ。詳しくは「宇宙戦艦ヤマト」シリーズ各作品を鑑賞するかボイジャー1号のとこまで出向いてボールペンを落とすかしてみてください。

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ガンツくんもびっくり潜水艦行動時の状態もアクションベースなら再現できます。むらかわみちおのコミック版3巻の表紙はいろいろ直球でした(w 第三艦橋は古くから「潜水艦時に使用する」とか言われてましたが、逆さにするのは今回の斬新なアイデア。なにせ以前は酸の海で溶け落ちるぐらいが関の山であったからなあ……

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アクションベースで遊んでる間に船台の方も塗装します。成形色まんまよりも黒塗りした方が重厚だしなんか宇宙っぽいぞ(力説)ちなみにコスモゼロは垂直尾翼別パーツ化が災いしてかカタパルトにも船台にもいまいち乗りが悪いのだった。

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あらためて側面から。宮武一貴画伯の線画タッチを……と言いたいところですが到底及ぶ訳がありません。単に汚れただけです(笑)なんか不思議なもので、船体各部を汚していくだけでも作業の過程ひとつひとつの箇所でいろんな場面が頭をよぎります。大勢の乗組員の「群像劇」的にやったところが2199一番の見どころなんだろうなー。

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絵的には23話でサレザーの夕陽を背負って黄昏のガミラス本星を進撃するヤマトを正面から捉えたカットがこれまでにないヤマト観を端的に示すようで実に良いものでした。どっか模型雑誌で再現してくれませんかねーというまでも無くどこかで再現するでしょう。

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そんなこんなのヤマト2199でした。当初は自分もヤマトそのものにここまで入れ込むとは思ってもいなく、現在の心境はとてもうれしい驚きに満ちています。第一作のみらなず後続諸作品から美味しいところを巧くつまんだ2199、波動砲を封じて地球の再生に尽くすヤマトの姿とも相まって続編などは作らないだろうなあと安心していたので、この特報には正直意表を突かれました。


D

まだ内容も何も一切明らかにはされてませんが、どうなんでしょうねこれ??今風に再デザインされたアンドロメダはじめ地球防衛軍艦隊とか見たい気持ちもありますが、「さらば宇宙戦艦ヤマト」リメイクだけはやめてほしいなあとも、思います……

だってこのままシリーズ続けたら新見さんとか篠原とか平田主計長とかその辺のキャラが、特に理由も無く殺されそうな気がするからだ((((;゚Д゚))))

だってヤマトなんだぜ?

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