バンダイ「1/1200 シャア専用ムサイ 」
宇宙戦艦プラモブーム来るで!というわけでシャア専用ムサイです。
いや、仮に「ヤマト2199」やその他の作品の影響でブームが来たとしても、コイツに陽の目が当たることもそうそう無いとは思いますけれど。
事情というヤツはどこにもいろいろあるのです。なくてもあるフリするのです。
最近だと「ファルメル」の艦名がすっかり定着した感のあるフネですが、あの名称ってどこが初出なんでしょう?みのり書房の「ガンダムセンチュリー」やMSVのプラモが展開していた時期にはまだ無く、バンダイが刊行したEBシリーズ「機動戦士ガンダム戦略戦術大図鑑」には載ってますね。やはり後者が初なのかな。
2ランナー構成の、至ってシンプルな設計です。ベストメカコレクションのNo.13で、ガンプラの中でもかなり極初期に発売されたものではなかったか…と、記憶しています。
「シャア専用」部分は4パーツ。
1980年の金型製作年が刻印されていました(メーカーロゴは後年に変更されていますね)
実は1枚の大判なランナーを2つに分割したものだったりします。画像右上の空間は明らかに「量産型」用で、ひとつの金型で2製品作れるんだからメーカーにとっては有り難い設定だったのかもしれません。
まーでも大勢乗り組んでる艦船に「だれそれ専用」って言い方はちょっとヘンなんだけどな(笑)
さすがに昔の物なので、イマドキのガンプラほどパチピタはまるものでもありません。メインとなる船体の、接着面こそ平面ですが線自体は長く、曲がり箇所も多いのでしっかり合わせてがっちり止めます。
コムサイ部分はちょっとびっくりするぐらい綺麗に合わさりました。しかしデカいぞコムサイ。こんなんでコアファイターと空中戦出来るとは、赤い彗星の名は伊達ではありませんなw
スタンドはやけに洗練されたデザインで、ムサイ各部のスリットを取り入れたような形状です。1stガンダムシリーズでも後発の、例えばビグロなんかのスタンドは子供心にも (ノ∀`)アチャー てな感じだったのとは対照的です。どうしてこうなったのか、理由はわかるけどスタンドのおかげで急にタツノコ的でね。
特に気になることも無くあっさり出来あがります。「プラモ狂四朗」連載第一回でキー坊が持ち込んでた超巨大ムサイが一体何だったのかは、いまでも気になるところなのですが。
大グレン団の一員になれそうなブリッジ部分。「ジオン軍の場合、重要人物となるとかなり自由に専用武器を改造できる」と、ボックスサイドに書かれています。なんてフリーダムな軍事組織なんだジオン軍!このころはまだ設定がゆるやかでよかったですねい。そいえば「0083」の河森正治版ムサイはこのシャア専用ムサイの形状をアップグレードしたデザインでした。なぜこちらを選んだのかは謎である。
特にポリキャップなど無い砲塔は接着したほうがライン取りが綺麗になります。いちおう方向は指向できるけれど、回そうと思うと角が引っ掛かるサイズなんだなこれが。砲塔2基のいわゆる軽装型ムサイ(「ポケ戦」の出渕裕版ムサイはこれがモチーフでした)を作った人をあんまり見かけた覚えが無いのは、大変な割に出来あがるものが地味だからだろうか…
ふたつ並んだエンジンポッドの間の空間を運搬スペースに転用したのは「ガンダムセンチュリー」のイラストからで、このキットには当然そんなものは反映されていません。スタートレックをひっくり返した、とはよく言われるデザインソースなんだけど、補給艦の「パプア」は、あれも本来上下逆さのバランスが正しいんでしょうね。統一感か見栄えの違いか、どちらを優先した演出がよいかはともかくとして。
うーんと、まあ、なんだな、世界観も設定も何もかも違うしプラモのスケールも合っちゃあいないんだけどさ、設定どおりならムサイがもう少し大きなバランスであるってのを考慮しても、かたや単独で冥王星軌道まで進出できるヤマト世界の駆逐艦と、月軌道が精一杯木星まで行くと島流しか人間性が変容するガンダム世界の巡洋艦である。
SFって無常だ。