バンダイ「1/144 マリンハイザック」
新年明けましておめでとう御座います。ブログも今日から再始動の第一弾はZガンダムシリーズキットNO.17「マリンハイザック」です。なんでそんなヤツやねん!という疑問に対しては、ここはそういうところなんです。とお答えしておきたい。
キット本体はMSVシリーズ「水中型ザク」の単なる成形色変えで、Zガンダム放送当時にプラモデルのラインナップをいわば水増しするためにリリースされたものですね。
水物だけに。
Zガンダムに登場したMSVのモビルスーツはコックピットをリニアシートに改修した程度で基本的には従来通りの機体設定なのですが、本機に限っては「マリンハイザック」と名称変更されています。おかげでいろいろ設定関連の齟齬をきたしたようで。取説の機体解説はなんだか奥歯にもののはさまったような記述になっているぞ(笑)そもそも本編で機体名を呼ばれたのはこいつぐらいのものかと思われますが、ベン・ウッダー大尉よりも脚本か演出の誰かが勘違いしたネーミングなんじゃあるまいかなーと、特に根拠も無く非難してみる(ヒドイ)
ガンダム世界の設定的にいうとジオンの水中用モビルスーツにはもっと高性能の機体が舟盛りに並んでいるハズなのですが、なぜかティターンズが採用したのはこのザクでした。皆川ゆか編集によるガンダム公式百科事典「GUNDAM OFFICIALS」の記述にも「何故地球連邦軍がこのような中途半端な機体を配備したのか正直なところ理解に苦しむ」なんて書かれていましたけれども、なーにすべてはバ○ダイの陰謀である。今更気がつきましたけどこの三枚のランナーって大きな一枚物を切断して箱に収めていたんですねえ。
デカールのデザインは従来からの物に加えてティターンズのエンブレムもセットされた新しい版下起こしていますね。1/144サイズの水転写デカールでティターンズマークが(かなりリーズナブルに)手に入るのはZ版MSVキットのセールスポイント足りえましょうか?全部が全部そうってわけじゃないんですが。
ところでこのデカールを見た瞬間
しまったあああああああああああああああああああああああああああ!!!
と、新年早々はしたない悲鳴を上げそうになったのは、その、なんだな……
一部のパーツは最初から梨地処理がされています。合わせ目を処理すると消えてしまう程度のささやかなモールドですけれど、MSVのキット発売当時はこのようなちょっとした処置が非常に格好良く見えたものですハイ。
組み立てに当たっては特になんらの問題も無く、ただ物が古い(ポリキャップ導入以前の最後の世代のキットです)だけに全て貼り合わせの構造となっています。最近では関節を切り飛ばして素立ちのポーズ固定で引き締める、いわゆる岡プロスタイルの仕上げも流行ってますね旧キットはね。
ザクにしては珍しく、かな?いわゆる肘鉄にあたる部分が無いので肘関節は前後に幅広く可動します。ちょっとウォーカーマシン的でもある。ZZに登場した(UC版でもリメイクされた)ザク・マリナーではマグネットハーケンになってる袖口のパーツ、オリジナルでは「補助推進用ハイドロジェット」となってますな。
頭部は06Rやデザートザクのように独立したモノアイガード(レール?)が付くものとは違って完全なモナカ構造です。MSVシリーズではグフ飛行試験型が同様の設計で正直あんまり面白いものではないのですが、こと「水中型」なら水密されているような感覚で、却ってこの分割のほうがそれらしいのかも知れませんね。
ランドセルはいかにも「泳ぎますよー」というカタチをしている。中央部分の方向舵ははめ込み式で可動しますがポロリ事例が発生しやすいので固定した方がよいでしょう。デザインを担当された大河原邦男画伯は一時期スキューバダイビングを趣味にしていたと記憶していますが、果たしてその辺の事情はカタチに反映されているんだろうか?
サブロックガンは弾頭部分が別パーツで立体感に富んだものです。サイドグリップも可動するしこの部分に関してはHGUC版よりも明らかに優れている。武器のパーツに拘りだしたのもMSVシリーズの特徴のひとつでしょう。モビルスーツよりはダグラムやボトムズなど同時代の他の大河原デザインロボに持たせても似合いそうなこの銃器、取説の設定によると「M6・G24mmロケット砲×4」なんだそうですがああそうか「240mm」の誤植なのね。資料転載のたびに誤記誤植や抜け落ちが出ているのは仕方ないんだけど、やっぱアッガイの全高スペックにゲルググの数値が使われたままなのは直した方がいいと思うんだよなーうーむ。
頭部は胴体に挟み込みですが、手足の接続は他のMSVキットと共通(一部対応しない製品も有り)で発売当時は組み替え可能な点がアピールされていました。流石に水中用ザクに06Rの脚を付けるような猛者は見かけなかったのであまり受けは良くなかったようですけれど、現在の3ミリ径共通ジョイントにつながる要素はこのころから施行されていたのです。
胴長短足のプロポーションにはものすごく親しみを感じます。ザクって本来こういう体形で、MG化以降少しマッシブに過ぎる形状になってるきらいがありますね。「THE ORIGIN」アニメ化の暁にはどんなカタチのザクが出てくるのだろうか。
手首は軸接続で非常に肉感的なデザインのハンドパーツになっています。ロボットの指が角指になるのはガンダムMk.2からで、それまではバルキリーもエルガイムもみな丸指でした。いろいろエポックメイキングな作品なんですよZガンダムって。
基本姿勢はこれで完成。本編では第18話でホンコンシティに登場し、ミライ・ヤシマ母子を人質にとってエゥーゴ(いやカラバか)陣営にアウドムラ引渡しを迫るとゆーなんだかしょーもない役どころで、チャイナドレスで派手にキックを放つベルトーチカ・イルマの素晴らしいおみ足ぐらいしか印象に残っとりませんなあこの回は。のちにテロリスト集団の親玉になってガンダム世界で一、二を争う悲劇的な最後を遂げるハサウェイ・ノアも、この頃はまだ単なるショタキャラである。
サブロックガンは両手で構えられそうなんですけれど、どうも無理するとストック折ってしまいそう。指差しハンドはこのためにあるのかな?ともかく銃は片手持ちでイエス・キリストの聖痕(スティグマ)みたいな肉抜き穴がちと気になるところである。
フル装備状態にするとはっきりわかるこのキットいちばんの問題点。関節部分にシーリングパーツを取り付けると「関節の動きが限られますので」どころかさっぱり曲がらなくなるのです。ブンドド主体の昭和のガンプラ少年にとってこの処置は辛すぎた。パトレイバーとかまだなかった時代ですから関節カバーをどうするかって問題に対応し切れてないんですな。
いまならようやくサンダーボルトのシリーズで関節カバーのモールドと可動を両立することができるようになりました。連載の方はそろそろ完結するでしょうからここはひとつ太田垣康男先生の次回作に水中用ザクのマンガを描いてもらってリメイク!とゆーふーにはならんでしょうね常識的に考えて。
胸のミサイルポッドは面白いデザインなんだけど、なぜか後続の機体には受け継がれませんでした。胴体から伸びる「水中用レーダー」がどこにも受け継がれなかったのはそりゃまそうだろ。
さて、何ゆえ新年第一発目でこのような古いキットを取り上げたかと言えば確かデカールに「シーホース所属機」とかいうのがあったはずでそれを使って「ウマ年です!ホースの導きあれ!!」などと主張するためでした。ところがふたを開けてみれば……
あっ、あっれええええ?旧キットだったかそれともMSVハンドブックに載ってた機体だったかな・・・・・・と、ページをめくってみたら
やっぱり無かった(´・ω・`)
だっ、誰かが俺の記憶に介入している((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル
そんなわけねーだろ!( ‘д‘⊂彡☆))Д´) パーン
というわけで新年早々勘違いからドンズベリするという、なんとも冴えないネタではじまる当ブログの明日はどっちだ矢吹ジョー……