バンダイ「1/1500 ヤマト2520 」

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4月からは地上波でも放送される「宇宙戦艦ヤマト2199」は初代TVシリーズ以外にも宇宙戦艦ヤマト全般から様々な要素やガジェットをピックアップしていて面白いのですが、おそらくひとつもピックアップされることがないであろう、OVA「YAMATO 2520」から第18代宇宙戦艦YAMATOです。

「YAMATO 2520」はシド・ミードによる新世代YAMATOのデザインこそ話題となりましたが、それ以外の点では特に話題となることも少なく、残念ながら製作会社のトラブルからリリース途上で打ち切りとなったシリーズ。プラモデルもこの一点のみの発売で普通そういうアイテムは再販され難いものなのですが、幸いにも(?)宇宙戦艦ヤマトの大枠には入ることが出来たのでそれなりに見かける製品です。アソートに一個だけってパターンが多いのですぐに捌けちゃうこともよくある話で。

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初回生産は1995年、ガンダムでいえばGガンダムやガンダムWの頃、当時として新作の宇宙戦艦プラモデルは非常に珍しい存在ではなかったかと思いますが。あー、ナディアのノーチラス号があったか。

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最初のマスターグレードガンダムがリリースされる直前ぐらいの時期かな?さすがにあの辺と比べるのは気の毒になる、手軽な設計内容とパーツ構成。

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元祖(??)宇宙戦艦ヤマトにくらべると艦底色部分の面積は少なめです。このあたりシド・ミードがどんな考えや哲学でデザインを起こしたのか色々と興味深いところである。

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ポリキャップは無くシールが2枚含まれる構成です。1シートにまとめなかったのはどんな意味が?

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組み立て説明書は1枚刷りのシートを四つ折りで封入しています。バンダイのプラモデルではあまり見かけない処置だけど、おかげで側面からのイラスト・内部構造図を大判で見られ、またシド・ミードによるイメージボードもいくつか収録されるなどのうれしい配慮がされています。とはいえ登場人物の姿が一人も描かれていないのは、なんとなく思い出したけど先行するイメージビデオのリリースタイミングに合わせての発売で、本編はまだ始まってなかったんじゃないかと……さすがに記憶が曖昧だなその辺は。石原慎太郎が出てくるとかゆーウワサが…ああ、本当なんだそれ……(遠い目)

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力強い直線で構成されたパネルラインはミードデザインの特徴で、日本のアニメとしてはターンAガンダムに先駆ける存在なのです。いろいろ早過ぎた気もしますけれど、そもそもなんでシド・ミードにデザイン発注したんでしょ?当時の製作サイド、特に上層部にいた人たちのことを考えると不思議。まーカウンターパートとしてはビッグネームを連れてくる必要性もあったのかしら。誰へのカウンターかってそんなこと聞くのは野暮ですねい。

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最近復刊された「MEAD GUNDAM」を見るとミードのデザイン感、特に軍事面におけるリアリズムの感覚は日本アニメのケレン味嗜好とはかなりの隔たりがあり、そこをすり合わせていく過程は大変面白い経過を辿っているのですが、このデザインに関しても同じようなやりとりはあったのかな?膨大なスケッチが起こされたって話も聞きまけれど、資料としてまとまって読めるものは存在しないでしょうね。

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組み立てはスナップフイットで簡単なものです。左右船体貼り合わせのモナカ構造に上甲板を載せていく標準的な構成だけど、船首部分が若干変わった形状をしていますのでそのあたりにパーツが配置されてますね。

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同じミードデザインの宇宙船でも「エイリアン2」に登場した宇宙海兵隊のスラコ号の無機質な形状に比べればケレン味に富んだ船体構造をしているのは確かで、どんな過程を経てこの形に落ち着いたのかはやっぱり気になります。

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対艦ミサイルのVLS(垂直発射管)を前甲板に配しているのはむしろ自然なことで、エントツミサイルなんてものはないのだ(笑)一体彼の人は「旧日本海軍の戦艦大和を宇宙に飛ばしてみました」にどんな感想を抱いたんでしょうね~?前述「MEAD GUNDAM」みるとすごく熱心に日本アニメのデザイン感覚を取り込み学ぶ姿勢も感じられて、ただ「合理的」って単語だけでは片づけられないデザイナーなのです。

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艦首にかけては相当盛り上がったシアー形状となっていますが、この部分デザイン画ではもっと水平でプラモデル化にあたってのディフォルメのようです。本編作画やボックスアートに見られるように艦首方向からの画では例によってヤマトパースが強調されているので、それを再現するバンダイサイドからのアレンジでしょう。

VLS配置と併せてなんだかソ連海軍のキーロフ級みたいな外観で、そこは俺得w

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3連装の主砲塔が上部に6基、下部にも6基の合計36門って数だけ見りゃそりゃすごいんでしょうけど、でもこの配置って正直どうなんだろう?艦底部分に武装を施したいのはよくわかります。艦の下半分がまるで非武装で「特に誰もそこは攻撃しない」なんてのは理不尽にも程があるからな(笑)しかし回転式の砲塔が左右に分散配置されて全砲門を一目標に指向出来ない構造なのは弩級以前の戦艦にも似てあまり合理的では無いような。「砲塔が分離して自立攻撃する」とも聞いたような覚えがありますが、

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それはどうもこの副砲の機能らしい。副砲が分離して自立攻撃することにどんな合理的な意味があるのかは想像を絶するけど(w 武装配置、艦型デザインともこの第18代YAMATOが何の目的で建造され、どんな相手と、如何なる戦闘を行う想定であったのか、設定面でのいわば5W1H的な事を知らないと本当のところはわからないんですけどね。しかしながらひょんなことから不良少年がひろった設計データでちょちょいとこさえたコスモアドベンチャー式スーパー宇宙戦艦(wikipediaの記述に即する)が宇宙最強の存在になるあたり、ロマンに溢れた世界設定であることは疑いようもないww

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艦橋部分はやはり「顔」であり、本艦デザインの真骨頂であると思われます。旧日本海軍艦艇独特のパゴダマスト構造を積み重ね、かつ後方に流してスピーディなイメージを持たせる。なんかここだけで飛べそうな気もするが、そんな設定は無いハズである。頭頂部分に平面構造を配していわば「帽子」のように見せるのは本作に大幅に関わり、その後いくつものSF艦艇デザインを手掛けた小林誠の手法としてもよく見受けられるものです。

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波動砲の砲口部分は開閉選択式。砲門を開いた発射状態では赤い成形色のパーツが使われてますが、この部分もグレーだったりするのだな本編は。そんでこの波動砲、元祖宇宙戦艦ヤマトの一発撃ったらそれまでよー的な一撃必殺後は知らない兵器と違っていろいろ便利に活用できるっぽい。波動砲をあんまり便利にし過ぎると相対的に主砲の存在意義が低下することは、さてどこまで認識されていたのかは謎だな。

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展示ベースは艦載機をモチーフにした形状らしいのですが、肝心の艦載機の形状がよくわかりません(汗)イメージボードにはそれらしいものが描かれているのだけれど、そもそも名前すらよくわかんないのである……(ウィキペディアによると「SR-1型」って形式番号らしい)

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趣味の問題からネームプレート以外のシールは貼らずに完成形。ほんとはバルバスバウ(球状じゃないけど)部分の赤も欲しくないよなーと思ふ。なんて言うかな、グレーかホワイトか、とにかく単色な方がデザイン形状それ自体を楽しめそうな気がします。

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側面を見ると「宇宙戦艦ヤマト」のプロポーションを追っているのはよくわかります。「戦艦大和」らしくはちっともないんだけれど、映画「男たちの大和」の一部CGでも宇宙戦艦の方のヤマトじみたプロポーションがあったのを思い出した。それだけ人の心の奥底に残っている形なのだヤマトは。

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主砲・副砲は左右に可動します。単独で大多数の敵艦隊に殴り込んで行くのは「宇宙戦艦ヤマト」の伝統芸みたいなものではあるんで、そう考えればこの配置は合理的なのかもしれないなあ。「YAMATO 2520」世界の地球連邦とセイレーン連邦の勢力関係、その中にあってこの艦が占める位置がどんなものか、それにもよる話だけれどね。

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しかしながらパルスレーザーの射界を塞ぐようにウイングが伸びてるこの配置を見れば、本艦のデザインに合理性を問うのはそもそも間違ってるような気がしなくもないですアッハイ。

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今となっては中途半端に終わったこの作品の全貌を知るのは難しいかも知れません。ウィキの記述や動画サイトにアップされてる映像でその片鱗に触れることは出来ますけれど、それでも判らないことは多く断言できることも少ない。ウィキペディアであらためてキャスト陣の記述を見て思うに、例の実写ヤマトでキムタクが主演したのもそんなに縁遠い話では無かったんだなーと。このころからジャニーズ推しだったんだな西崎プロデューサーは。

当時小林誠がスクラッチした1/350スケールの大型モデルが大迫力で、どんな映像やイラストよりも遥かに魅力的ではじめてこのデザインを格好良いものと認識したのを思い出しました。たしかB-CLUB誌に掲載されたのを見たんだったかな?その後モデルアートの「ハイパーウェポン2005」に再掲載されたのは嬉しかったけど「此の模型も今は行方不明である」との記述に悲しくもなりましたな。

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「ハイパーウェポン2005 再生なき永遠の闇へ」より画像スキャン。実はまだ在庫している(w

宇宙戦艦ヤマトの派生と捉えるよりもシド・ミードデザインのSF宇宙艦艇として、たとえばターンAガンダムなどと並べてた方が自然に見えるようにも思います。そういうカタチです。

ところでもし「YAMATO 2520」OVA全話が完全に製作されていたらどんな話になったのか、ちょっと興味を覚えるところではあります。ビッグバンの危機が起こるらしいんでわーたいへん(棒)その過程ではきっと永井一郎演じるトーゴー・シマ艦長(なんつーネーミングだ)が死んじまって主人公のナブが指揮を引き継ぐ流れになるだろうってのは、なんとも想像に難くない展開である。西崎プロデューサー主導だったしw

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