ピットロード「1/35 日本陸軍 九八式4屯牽引車 シケ」

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ピットロード製、日本陸軍砲兵牽引車のインジェクションキットです。実車は主に機動九○式野砲の牽引に使用され、そのようなセットもリリースされますが、こちらは牽引車のみの単品アイテム。

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以前ピットロード社からはグランドフォースのシリーズで本車のキットがリリースされていましたが、ホワイトメタル製だったGFシリーズに比べて飛躍的に組み立て易いものとなっています。

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パーツ構成も全くの別物で、以前のメタルモデルは原形・参考にされた程のものだと思っていいでしょう。

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足周りも無理な荷重が掛ることはなく、なんの問題も無くアライメントを出せます。

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シャーシー下面は一体成形、幌は折り畳んだ状態のみが付属(この辺の構成は旧作と同様ですね)

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キャタピラはベルト式、ライト類のクリアーパーツに加えてフロントガラス用に透明塩ビ板(切り出し加工済み)が付属します。

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デカールはメーター機器が中心で特に部隊マークなどは無く、短冊みたいなシートはちょっと新鮮かな?

なお、箱絵には操縦手が描かれていますが本キットにフィギュアは付属しません。九○野砲とのセットにも操縦手のフィギュアは入ってないので運転状態を作るためには別途使用可能な物を探す必要があります。

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インジェクション化に合わせて各パーツも一層繊細なものに昇華されているようです。

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特徴的なフロントグリルも綺麗に抜けています。

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接着部位やパーツのダボが大きく取られて組み立て易いのは最近のP社キットのスタンダードなのですが、本キットでは接着位置や角度・方向などにいくつか曖昧な箇所があったのも確かです。どちらかと言えばパーツよりは組み立て説明書に不親切な(あくまで国産模型メーカーとしてのレベルで、若干の不親切な)点が見受けられる程度の物なので、実際に組んでみればパーツの方で自然に収まる感触ですけど。

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実車は九八式軽戦車と同様にコイルばねを車体内部に収容したサスペンション構造となっています。前任の九四式四屯牽引車(ヨケ車)に外部露出した板バネサスペンションの断裂事故があった為の処置かと思われますが、システム上の理屈はともかく車体前部スリットからのチラリズムは本車のちょっとしたチャームポイント(笑)

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何の苦もなく組み上がって行くので全然書くことがないぞ(汗)地味な車両なんでクローズアップするようなギミックや装備品も特になく…

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あっさり完成します。ディティールやギミックよりはフォルムで魅せる車両と言えましょうか。しかしホントどこかのメーカーさんからカーキ色の缶スプレー出ないかしらんといっつも思います…

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日本陸軍の砲兵牽引車の歴史は古く、外国製品の輸入や国産化第一号はいずれも戦車に先んじて導入されています。1938年(昭和13年)に制式採用された九八式四屯牽引車(シケ車)は既に技術的な蓄積も十分成された上での開発・生産で、重砲牽引用に同年採用された九八式六屯牽引車(ロケ車)と共に機械化砲兵部隊の主力車両として活躍しました。ドイツやアメリカと違って砲兵牽引車両にハーフトラックを使用しなかった(高射砲牽引車を除く)のは日本軍の特徴かな?ソ連軍も同様ですが、その方向性だと装甲兵員輸送車へ発達する道が閉ざされてしまうんですねーうーむ。

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と、物の本では野砲牽引車両として紹介されるシケ車ですが、古い記事ですけどアーマーモデリング誌2003年6月号(第44号)に戦車第二師団速射砲隊で一式機動47ミリ砲を牽引している写真が掲載されていました。この記事自体実にいい内容なんだけど、いまはどこかに再録されてるのかな?いずれにせよ戦車や各種火砲と並べて情景を考えるのが一番というところでしょう。

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フロントグラスはクラシカルな機構が多く(実際クラシックカーですしね)、ギャラリーの視線を集めるところかも知れません。塩ビ板の接着は少量の流し込み接着剤で曇らせることなくイケましたけれど、この方法だとあんまり強度が出ないもので一長一短です。

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組んでみるとわかるんですが操縦席周りはかなりタイトな作りになるのでドライバー乗せるのは苦労しそう。本キットにフィギュアが付属しないのにも多少の納得がいきます。なお組み立て工程11で指定されてる前席用手すりの「D11」パーツは誤りで正しくは「D28」です。D11は車体後部に搭載されるバールの部品ですってのも組んでみれば一発で判る程度のもの。

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前照灯、スポットライトに加えて尾灯もクリアーパーツ。また車体後部のウインチはドラムとフックを繋ぐべきワイヤーが最初から入って無いんですけど、上手くパーツを配置することで欠落に気がつかないようになってます。巧みな設計です。

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ベルト履帯はいつものP社(またはT社)の常でテンション過多なもの。幸い実車は九五式軽戦車と同型のキャタピラシューを使用しているので、自然な垂れ下がりを演出するにはカステン等が利用可能です。

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どことなくユーモラス…むしろ「カワイイ」と言っても無理のないカタチをしていますから、敢えてオーセンティックスケールモデルとしての考証を投げ打ち、フォルム重視でアマガエル色やらピンク色やらに染めてもそれはそれで良いんじゃないかと思う。

わりと真面目に。

いや最近女の子満載の「私立戦車隊」マンガを読んだからとかそーゆーことじゃなくて。

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