ピットロード「1/700 WWII 米海軍 重巡洋艦 CA-38 サンフランシスコ 1942」
ピットロードの主力製品製品スカイウェーブシリーズW-116、アメリカ海軍重巡サンフランシスコのインジェクションキットです。ニューオーリンズ級重巡洋艦5番艦として太平洋戦争に活躍しました。
スマートな船体がウォーターライン/フルハルの選択式となっているのはすっかりピットロードのスタンダードとなりました。思えば日本海軍の小型艦艇やソ連の現用駆逐艦など艦船模型のすきまっぽいところ(失礼!)から始まったこのシリーズも、随分と大きく広がったものですね。
同型艦や艤装年代の異なるキットとパーツを共用している関係上、よく似た形のパーツ選択や開口加工が必要とされる箇所にご注意ください。
兵装関係のB・Cランナーはそれぞれ2枚入りです。一部のパーツには余剰もありますので余裕を持って使える部分。
EからいきなりH・Jに飛ぶのもバリエーションあってのことでしょう。とはいえこのあたりも不要パーツは結構出ますね。
フルハル用のスタンドにはFのランナータグがありましたが。
カーチスSOC-1水上索敵/観測機がクリアーパーツで付属します。うろ覚えな記憶ですが艦載機パーツの透明化もピットロードが先鞭を付けたはず、一時期低迷していた艦船模型業界にあっては様々に新機軸を投入したメーカーでもあります。90年代には1/700飛行機模型コンテストとかやってましたな……(遠い目)
デカールは本キットはじめ四隻で共通のものとなります。
現在ではあたりまえの光景となっている兵装パーツの細かい再現もピットロードが始めたもの、艦船模型の底上げには一役買ったメーカーですね。現在の運営体制は当時とはまた異なるものではありますが。
複雑なエッチングも無いスタンダードなプラモデル、1/700スケール艦船模型の入門キットとしても悪くない手ごろなサイズと価格ではありますが問題がひとつ。
も の す ご く 地 味
じゃないかなWW2のアメリカ巡洋艦って。
大戦中に劇的な進化を果たした戦艦や当時のアメリカの国力を象徴するようにマスプロ化された駆逐艦、もはやギャグのレベルですらある護衛空母郡などと違ってどうもその、キャラクター性に乏しいというかいや擬人化とかじゃなくてね(汗)相対峙した日本海軍の重巡洋艦がどれもこれも個性のカタマリみたいな艦種揃いだったのと比べるといまひとつ面白みに欠けるような……。あ、インディアナポリスさんは上座の方にどうぞ、いますぐサメ持ってきますから。と、大体そんなイメージであります。
考えてみれば日本海軍が重巡洋艦建造に力入れたのはワシントン軍縮条約で主力艦保有数に劣勢となったからで、最初っから持てる側にいた米英ではそれほど重要視されなかったということなのかナー。イヤですねえリアルが充実してるヒトってね。
そんな鬱屈した想い(w を胸に抱きつつ組み立て開始したら初手で躓きましたOTL どうも主砲の砲身揃わないなと思ったらC11パーツが一部成型不良で長さが揃わんのであります……2枚あるCランナーのどちらも同じ位置のパーツだったんで、これはちょっと重症かも知れないですねうううむ。
一応キットには不用パーツとしてもう一組の砲身がC12パーツで存在しますのでそちら使っても良いかとは思いますが、長さの揃わない砲塔は後部の三番砲塔に回して長い一本を断ち切るといういささか乱暴な解決案を選択しますた(・ω・)ノ
いくつかの微小なパーツにはゲート位置や大きさに切り出し難いものもありますが、パーツ合わせは良好なプラモデルです。
ワシントン会議の結果生まれたため「条約型巡洋艦」とも言われる重巡洋艦は主砲と排水量の制限枠からそもそも同クラスの艦艇の砲撃には構造上耐えられない、圧倒的に「矛」が有利となる設計ではありますが、だからって127mm高角砲にシールド無いのは怖いよなあ。当時の水上戦闘ならほぼ常識的な事柄なのでしょうけれど。
上部構造物も手堅く小柄にまとまっています。強いて言えば稜堡・要塞のような艦橋形状と申せましょうか、天守閣じみたパゴダマストの日本艦と比べて地味さは否めないように思われる。良いレーダー積んでりゃこれでいいのだってわかっちゃいますがどうにもな。
以前にも書いたことかもしれませんがラッタル取り付けると急に楽しくなります。砲塔や艦橋よりは慣れ親しんだ形状で、人のサイズや動きが想像しやすいからでしょうねえ。ああところで艦娘のみなさんもイラスト解像度上げれば艦体各所に小さなラッタルがあって蟻のような人間がちょこまか這い回ってるんでしょうか無いですかそんなプレイわ。
上部構造物ほぼ設置。前方に六門、後方に三門の主砲を備えたバランスの良いシルエットです。20.3cm砲六門を艦前方に装備するのは例えば高雄型と同様なのですが「艦橋直前に後ろ向き砲塔が無いと不安になる」症状を訴えるひとはマジで医者に行くべき。日本の重巡の砲塔数が増えるのは三連装砲架を採用しなかったからか、あれは何か技術的な問題でもあったのかな(すいませんねよく知らなくてね)
注意点としてはクレーンのアーム部分B11がはめ込み式で一応可動もするのですが、単にブラ下がるだけなので角度決めて接着するべきでしょうここは。
シーガル観測機を組んで……
お好きなところに配置しましょう。フロートが曲がった場合は甲板に載せちゃえば大丈夫だバレることはない。そして船底版と(ここ大事ですよ)作業途中で絶対に折るだろうから最後まで取り付けを遅らせた艦首旗竿取り付ければ完成です。
艦形が地味とはいえ重巡洋艦が艦隊の中で重要な地位を占めていたのはアメリカ海軍も変わらずで、ニューオーリンズ級をはじめとする米重巡も太平洋戦争の様々な激戦に投入されています。大日本絵画のオスプレイ対決シリーズ「日本海軍巡洋艦 vs 米海軍巡洋艦 ガダルカナル 1942」は日米の巡洋艦が砲火を交わした第一次ソロモン海戦やまさしく本艦がこのキットの状態で参加したサボ島沖海戦について記されているので格好の資料ともなるでしょう。「記述がアメリカ寄り」ってのはまあそういうものです。相手から見た視点も大事です……
艦底板を接着せずにいればフルハル化も自在であります。なんだかキットよりは実物に文句付けるようなレビューになっちゃいましたけど、この状況を打破する方法がひとつあります。艦これに外国艦が実装された暁には是非地味子枠で擬人化すればですね!!
アメリカ艦はレーダーによる索的能力が高いから全員メガネっ娘にしたらどうだろうか(真顔)
……籠マスト艦は網タイツで(そのへんでやめておけ)