ピットロード「1/72 日本陸軍 28cm 榴弾砲」
日露戦争陸戦兵器と言ったらまず真っ先に上がるであろう、旅順要塞攻略戦でおなじみ28cm榴弾砲のプラモデルです。
まだ型式・年式などが制定されていない時代の産物なんで「二十八糎榴弾砲」がそのまま制式名称なんですな。センチの字が違うとか「榴弾」も付けずただ「にじゅうはっせんちほう」とするのが正しいなどと聞いたけれど、送り手と受け手の間で相互理解が構築されていればまあいいじゃないか。
古くはホワイトメタル製だったピットロードの28cm砲、近年1/35スケールでインジェクション化されいくつかバリエーションも在りました。それを今回1/72スケールにダウンサイジングという、言ってみれば流れですかね。
砲兵四体入り。背景用紙の選択を間違えて「保護色」みたいになってしまった…
既存で1/35があると言っても単純にそれを縮小したわけではなく、パーツの一体化も進められて組み立て易い構成になっています。小スケールによる低価格化と併せて、手を出し易いものにはなっているのかな?
とはいえやっぱり微小パーツも含まれる訳で、その辺トレードオフの関係ではあるんですけど…
組み立て手順を若干無視して砲身・砲架・架筐を並べてみる。この時代(明治20=西暦1887年)の大砲の模型化って結構珍しいものかと思います。駐退・復座機構などのシステムが理解出来ます。
ひと通り組み上がり。ちょっとロープは長めだったかな…組み立て過程そのものは実にスムーズに進みました。接着ピンのサイズや位置など、ビックリするほどに ま っ た く 簡 単 だ 。いやー、もうちと苦労するんじゃアルマイカと危惧してたんで(^^;
注意すべきは揚弾機のロープ長さ(とはいえ要するにクレーンなので説明書指示の長さが「正解」という訳でも無い)と、A2・A6パーツの角度でしょうか。後者は特に砲床の上を回って全周旋回する為の機構なんで、変な角度だとまあ…変です。
この通り仰角も自在に取れます。砲撃位置にする場合、砲弾は外しておきましょう。それを言うなら給弾時には砲尾が開いてるはずだろって?うん…まあ…そうだね…螺旋式閉鎖機のパーツもちゃんと入ってるんだけど(B22・25)どーゆーふーに開くんだか、よくわかんなかったもんで…
付属品の数々はスライド金型利用の一体成型。歪みない装薬管置き場と歪みない送弾車。
砲兵さん達。こちらも個々の部品に接着ダボが存在してハメ合わせは非常に楽に進みます。全体的にイージーアッセンブルで、例えば「坂の上の雲」でちょっと興味持って…ってな向きに良いのか。
まー四人で撃つような大砲じゃなかろうとは思うんですけど。せっかくの全周旋回もフィギュアを配置するとこの通りです。がーしかし、がーしかし、そんな時には砲床ごとちょいと持ち上げてやればこれすなわち全周旋回であります。
このサイズであれば砲座を作って状景仕立てにしても場所を取りませんね。日露戦争に限らずとも実は太平洋戦争の沖縄戦(!)にまで参加した息の長い兵器なんで、周辺素材にはさほど困らないかもだ。
しかし解説書にある「昭和に入って本砲の砲床と砲牽引の研究が進み、時速わずか10kmであるが13トン牽引車で牽引可能となった。関東軍により黒竜江沿岸に12門を展開した時点ではわずか12時間で砲戦可能となった」って、それ自慢になるのかなー。