ファインモールド「1/35 帝国陸軍 三式砲戦車 (ホニ III)」

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ファインモールド三式砲戦車のレビューです。ちなみに今回三連休を利用して自分の積みプラを消化しよーというキカクで始めたので、レビューには初回生産時に購入した限定アクセサリーパーツ付きのキットを使用しています。現行製品とは若干仕様が異なるのに注意。

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車体上面パーツ群。このキットは2006年末に「新砲塔チハ」と共にリリースされたものでして、このランナーでは右上の部分にスイッチを入れた箇所がホニIIIオリジナルのパーツとなっています。発売当時あのファインモールドがついに九七式中戦車シリーズを出すってんで個人的にお祭り気分になったのもいまとなってはよい思い出です…

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砲塔関係。内部は砲尾のみ再現で残念ながら他にインテリア類のパーツはありません。発売当時にニューキットレビューをやってたAM2007年2月号には本車の青写真が掲載されていて、図面上は砲塔内部に百式機関短銃の銃架が存在しているのですが、実車ではどこまで充足してたんだろうと疑問を感じたりも。いや、何か根拠があっての「疑問」では無いのですが…

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それぞれ二組はいってる脚周りその他のパーツ。左のBランナーは三式中戦車からずっと共有されてきた転輪関係で、使用頻度が高い金型なのでしょう、若干パーツにヒケがあります。しかしそれほど心配する必要はありません(後述)

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車体下面・デカール・キャタピラなど。マフラーガードはエッチングが入ってます。初回限定アクセサリーには七糎半戦車砲用の真鍮製砲弾と薬莢が付いてきました。ドイツの7.5cm対戦車砲の砲弾とくらべればきっといろんなことがわかるとおもいます(目をそらしながら)

ところでタミヤの一式砲には戦闘室床面のインテリアパーツがあったけど、流用って効くのかな?

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デカールをアップで。陸軍第四技術研究所のナンバープレート、「や」のマーキングの戦車第28連隊所属車両など、どれもあくまで推定であり現存する記録写真には特定の識別標識を描いた車両は無い筈です。ですからしてフィクションと割り切っていろいろな塗装・マーキングを考えるのも悪くない。初音ミクとか(マテ

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前照灯のみならず尾灯もクリアーパーツなのはファインモールドチハ系列車両特有のセールスポイントですね。そして一升瓶×2はボーナスもとい特配だ。

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本車の独特な装備である七角形の固定砲塔はスライド金型を利用した一体成型です。一見すると回転砲塔のような形状・サイズながら実際は固定された形式というのは他国では英軍のビショップ自走砲に例を見ることが出来ます。開発の経緯はご存知ファインモールドキットの例にもれず解説書に詳しいのですが、ホニ車3型というだけあって一式砲の基本構成がそのまま受け継がれているのが特徴ですね。

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イザ製作開始です。長年日本戦車プラモを作っていると「俺このシャーシ何回目だっけ」な気分に浸らなくもないですけど、おかげで例え転輪支持アームのB36パーツにヒケがあっても「ああここはあとで見えなくなるよな」とすぐわかるのはよいことです。懸架ばねの持ち手B27のヒケはこりゃあとからでも見えますので埋めておきましょう。なに小さいもんです。

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九七式中戦車と同形状ながら50mm厚に増加された前面装甲部分。この部分リリース直前に新資料が発見され、急遽設計を改めたとか発売当時に言われていましたね。その新資料というのが前記AM誌の掲載図面だろうと思われますが、これっていま刊行されてる書籍には載ってるのかな。最近ちょっとその辺疎いんだよなー。

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砲架まで組み上げてみるの図。転輪よりも先に大砲関係作っちゃうのは是男子一生のサガでアリマス∠(`・ω・´)

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今回ちょっと金属砲身を奢ってみました。「三式砲戦車用75mm砲 砲身」、ファインモールド純正パーツです。三式砲戦車の搭載砲「三式七糎半戦車砲」は三式中戦車の「三式七糎半戦車砲二型」とほぼ同一なんですが、このパーツをそのままファインモールドのチヌには使えないようでちと残念。キットパーツの基本設計が進歩したことの証ではあるんですけどね。

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のっけてみると思いのほかワクワクします(笑)ドイツの7.5cm対戦車自走砲と比べたらゲンジツに打ちのめされるので絶体にやめてくださいww

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マズルブレーキと水平鎖栓式閉鎖機はキットのパーツをそのまま使用します。閉鎖機は開閉選択式。ユニークな形状のマズルブレーキは原型となった九○式野砲ほぼそのままで、考えてみればチハどころかイ号の時代の大砲なんである。

で、3日間もあるんだからのんびり組めばいーよなーとか思ってたら私事いろいろとバタバタしちゃって、気がついたらあわてて組み上げるハメになり(苦笑)

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ひとまずカタチにはなったものの、途中過程の撮影を豪快にすっ飛ばしてしまった俺馬鹿俺。

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仮接着のパーツ・未接着のパーツもいくつかあります。マフラーガードも本来のエッチング使わずに不要部品であるところの三式中戦車用のフレーム型のをテキトーに乗せてみた…ら、これはこれで格好良いんだ(苦笑)

う~む、もともと手元に余ってるクレオスの日本軍戦車カラーセット(前期用)を消化する目論みもあったから、仮想戦記風でいいのかな―

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砲防盾の合わせ目はしっかり消しておきましょう。砲身入れて戦闘室被せてその後で左右防盾貼り合わせてとそこそこタイヘンだったんで、なにかあとハメする工夫をしてもよいかもです。や、AM誌のキットレビューじゃやってたんですけどね。

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三式砲は対戦車戦闘を主任務とする「砲戦車」です。しかしながら本車の構造は間接砲撃を主任務とする「自走砲」である一式砲のものをそのまま受け継いでいて主砲の旋回角度が非常に限定されています。大昔にタミヤの一式砲とマーダー2を組んでその設計思想の違いに愕然となったのは今となってもよくない思い出…

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仰角は取れるんですが俯角は厳しい。加えて腰高の砲塔では稜線射撃ひとつにしても大変だろうなと当時の苦労が偲ばれます。回転砲塔を持つ三式中戦車にくらべて製造工程は少なく、数を揃えられればあるいは…ああでも本車の製造数は30両内外と見積もられてるんです…

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少ない数に不利な構造とはいえ、本車は立派に生産され本土防衛の任務に就いた実績を持つ車両です。ペーパープランや試作車両に夢を見るのも悪くない。けれども現実としっかり向き合う姿勢も大事だろうと、僕ぁそう思うんですよう…(君さっき架空戦記風にするとか抜かしてたジャン!)

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