ホビージャパン「The Modeling of STAR WARS」

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遠い遠い昔、遥か日本の模型業界で…


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今日はいつもと大幅に違って単に私物の紹介です(w;

先日都内は新宿のKOデパート(伏せ字)にて催されていた古本市をヒマなメイス・ウインドゥのようにフラフラしていたところ、偶然にも1984年刊行のホビージャパン別冊「ザ・モデリング・オブ・スターウォーズ」が結構な美品でしかもお値段315円(税込)とゆー超お買い得な価格で並んでいたのを発見したのでした。よりによって「はじめてのBL漫画の描き方」などとゆー物の隣に。

救出するしか!!

そんなわけでSW好きとしてはそれほど濃くも深くも無いワタクシ、ただボバ・フェットとスレーブ1とY-ウイングとスノースピーダーとAT-ATとAT-STとウェッジ・アンティリーズとアクバー提督とアソーカたんハァハァとキャプテン・レックスとクローン・ターボタンクが好きな程度の底の浅いワタクシが、僭越ながら入手致す事に相成りました。ホビージャパンの別冊としては相当古いもので、ハウトゥビルドガンダムやSF3Dと同時期の一冊です。しかしさすがにこの本が復刻されることはないんだろうなー。

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さすがに映画公開当時も雑誌連載時も、リアルタイムでの当時の諸事情には詳しくないのですが、それでも資料的にもキットの面でも現在では想像もつかない乏しい状態であろう時代に製作された素晴らしい模型がいくつも掲載されています。大里元氏のY-ウイングは近年になってもMG誌上で紹介されていたりしますね。

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特撮プロップに市販プラモデルのパーツが使われていたことは周知の事実ながら、現在のように研究者(いや探究者か)もデーターベースも存在しなかった時代の話、フィルムに目を凝らし数少ない資料写真を隅々まで舐めまわして、似たようなカタチの部品の見当をつけてスクラッチされた1/20AT-STのジオラマは現代でも十分通用するほどのグレードです。この時代、近所の模型屋さんの棚にMPCのキットを見つけたりガラスケース内で完成品を目撃したりすると「オトナのプラモデルだナ~」とか、思ったもんですハイ。

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佐藤直樹氏や柿沼秀樹氏など、いまでは大御所な方々が第一線のライターとして腕をふるってる時代でもあり、1m近いスクラッチビルドのスターデストロイヤーは都合見開き4ページ使って収まるほどに巨大。本書では作例の多くを原寸大で収録してるんでほとんどのアイテムが折こみに引っ掛かってます。モノクロ主体のページ構成でも細部のディティールが判って良いのですが、後代になってスキャンする身は辛いです(苦笑)

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本編自体は映画史いや人類史に残るほどの大人気を生みながら、当時のプラモデルの実態はそれほど優れていた訳でもありませんしキット化されないアイテムも多々あるもの。そこでどうするかといえば、プラ板とパテで全部作ってしまう凄まじさ。造型素材も今ほど種類に溢れている時代にも係わらず、です。

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それでも、出来あがってくる作品は現在の鑑賞に十分耐え得るものばかりです。メカだけでなく人物に於いてもで、後に恐竜モデラーとして名を馳せる荒木一成氏が製作したフィギュア達は、これがまた激似。ちょうどガレージキットブームが起こり始めたのと同時期ってことになりますか、この時代は。

刊行時期は「ジェダイの復讐」公開直後のようでライター諸氏のリアルタイム感想が見られるのも面白いところです。帝国軍弱過ぎじゃねーかとかボバ・フェットもっと活躍しろとかイウォークなんとかしろとか、昔から言ってたんだな…

今すぐにでもアナキン・スカイウォーカーのエピソードが製作されるだろうとの期待が散見するのは当時ならではで、まさか16年も待たされるとはだれも思って無かったろうな…

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いまもむかしもイウォークに対する空気って微妙なんですけど、そんな中でも女性モデラー谷山淳子氏の手によるイウォークたちは大変優れた造型です。製作記事にも女性モデラーらしい観点のイウォーク愛が語られていて、どこぞの怪獣モデラーが性別偽ってペンネームでやってんじゃねーかなーとか考える人は俺と同様暗黒面に犯され過ぎです。

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そして「ジェダイの復讐」にチョイ役で登場してすぐ死んじゃうウーラさんの造型アレンジに、現代につながる洋物キャラの日本式萌えアレンジの原典をみた!と温故知新する内容でもある。

ウーラさんと言えば巻末に掲載されている広告には当時ツクダホビーが輸入していたケナー社アクションフィギュアのラインナップがあるのですが、ジャバ・ザ・ハットプレイセットで遊んでいた当時のSWお子様たちは、やっぱりウーラさんだとかレイア姫だとかをクサリにつないでジャバでプレイセットしてたんでしょうか。

…なんだか古参SWファンの心の奥底にある闇を見る思いだ。

今ではファインモールドを始めとして素晴らしい出来栄えの模型がいくつも発売されていますし、キャラクターエイジ誌に代表されるように現代的な作例も次々と発表されています。その為いまどきのモデリングの参考とかにはならないかも知れませんが、内容的には非常に面白い一冊です。もし手にとる機会があれば是非御一読を。

既にお持ちなジェダイ騎士の皆様には「ヨーダに説法」かも知れませんが(汗)


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なんで記事の前後にわざわざスターウォーズのOP/ED動画を入れたかとゆーと、本書の冒頭・巻末の編集デザインが同様のパロディになってて、まぁちょっと真似してみたかっただけなのさっ。

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