マイクロエース「1/32 マツダ K360 ルーフタイプ 1958 」

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1/32オーナーズクラブシリーズNo.45、マツダの小型3輪トラックです。ダイハツのミゼットと共に日本のある時代、ある雰囲気を象徴する「オート三輪」の代表的な存在。

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現在はマイクロエース、ボックスはかつての表記のまま「アリイ」のロゴで販売されているこのキット、元をただせば1980年代に旧エルエスから発売されたものです。初版はプルバックゼンマイを使用した走行モデルとしてリリースされました。これは当時大ブームだったチョロQの影響を受けての児童層へのアピールと思われますが、発売後はむしろ一般のカーモデラーからの反響が大きく、のちに金型を改修して完全ディスプレイモデルとなったものです。

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1992年に活動を休止した旧エルエスは長く営業を続けた老舗の模型メーカーだったので、その製品ラインナップを様々なかたちでご記憶されている方も多いでしょう。個人的な印象としては低価格で高品質なスケールモデル、子供にも手を出し易く十分な満足感を得られる模型を多く開発していたメーカーとして覚えています。現在の模型市場ではワンコインで購入できるスケールモデルの新規開発は食玩の域を出るものではないので、エルエスのような性格を持つメーカーが存在し得ないのはいささか残念なことではあります。wikiの記述をみると丁度「バブル崩壊」の時流に巻き込まれたようで……

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三輪自動車ではありますが、タイヤはシリーズ共通で四本入ってます。タイヤそのものの成形は、実はあまり良くないのでなんとかしたいところですが、このサイズこのスケールではちょっと良い手を思いつかない……。

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日本のカーモデルとしては決して主流ではない1/32スケールでの立体化にもかかわらず、「K360」「MAZDA」のモールドはラージスケール製品にまったくひけを取らない美しいものです。初版当時のエルエスのちからの入れよう、開発能力の高さが偲ばれます。

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その他の小パーツ類の成型状態も良好です。これは個体差か製造時期によるものかは判然としませんが、以前当ブログでオーナーズクラブの別アイテムを取り上げようと箱を開けてみたところ……

「しげの秀一の名作バイクマンガは『バリバリ伝説』!!」

などとあられもない悲鳴が上がってまあその、なんだな……本製品の金型は良好な状態を保っているようです、大変結構なことです。

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総パーツ数も少ないので組み立て自体は簡単なものです。特徴的な三輪機構のためにこのサイズ、シンプルなパーツ構成でも前輪のステアリングが切れるのは実にグッドで、そこを念頭に置いてのプラモデル化だったのかなあ。むろん80年代中頃にいわゆるレトロブームがあったことと無関係ではないんでしょうけど、それにしても定期的に起きてますねレトロブームってね。

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プルバック版を所持している方は是非とも見比べて頂きたいリアアクスル部分。別パーツ化された排気管とシャーシ一体成型ながらマフラーやタンクもモールドされていて、やはりエルエス開発陣の本気度合いを見る思い。当時300円だったんですよこのプラモ。

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シフトレバーがサイドシートの下から生えてる独特の配置は、裏返してみればその位置にミッションが存在するからだと一目瞭然の構成でうーむやはりすごいなこれ。現行マイクロエースの1/32オーナーズクラブは複数の出自を持つラインナップを統合したものなので全部が全部このグレードではない筈ですけれど、本製品に関しては非常によくできたプラモデルだと言えますね。

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ボディは若干バリが存在しますがプロポーション・モールドともに良好なもの。クリアパーツだけはいささか残念なことにサイドの三角窓が無い…のはプラ板で簡単に自作できますが、ライト部分の成型状態が悪く左サイドは目ん玉飛び出し過ぎてます。単純な円形ならば市販パーツを探してみるところですけれど、ウインカーと一体化してるんですよねこれ……。

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エンブレム部分にのみ、シルバーを置いてみました。実車はボックスアートにもあるようにオレンジやブルーを主体としてキャビン部分にホワイトを置いたツートーンカラーで塗り分けられていたモヨウ。バーハンドル・開放キャビンの初期型ミゼットに対抗して生まれたような車種なので、密閉型キャビンは大きなセールスポイントだったのでしょうね。これを受けてダイハツでも密閉キャビン・丸型ハンドルの後期型ミゼット(MPシリーズ)を開発し、こちらは映画[三丁目の夕日」や「稲村ジェーン」などで今でもその姿を見ることが出来ます。

ところで「稲村ジェーン」の設定ってよくよく読むとじわじわ来ますね。「昭和40年」が舞台で「20年に一度の大型台風」で「往年のサーファーの間では伝説となっている」って昭和20年にサーファーがいたのかすげえな湘南(w;

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幌を乗せると完成です。なお1/32オーナーズクラブシリーズとしてはNo.17にも同じK360が有りますが、同じ価格で幌が入ってる分、こちらのNo.45の方がおトクです(笑)

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付属デカールもありますがここはいろいろとマーキングをアレンジしてみたいところで、実はガルパンの大洗女子学園の校章を貼り付けたかったりする(笑)1/32スケールとはいえ車格の小さな車ですから、1/35スケールの戦車模型と並べてもさほど違和感を生じないのですよ~。実際そういうディオラマをむかしホビージャパンで見たことあるぞ。読者投稿欄だったけどさ。

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兵装を搭載してのテクニカル化も容易だ。

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幌からチラリズムで「皇帝のいない八月」ごっことかどうでしょうかいやM2重機関銃は三脚幅が広くて乗っからなかったんですけれども。

タイヤとクリアーパーツの型を補修すれば現在でもなんの遜色も無く製作できるプラモデルです。低価格を維持するためにも、金型補修にはなかなか手が回らないことかとは思われますが。

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ひとしきり製作・撮影を終えたところでランナーを処分しようと切断していたら、ランナー裏面にディティールアップ用のボルト類がモールドされているのを発見しました。ファインモールドの戦車キットがこれをやってるのはよく知られていますが、ファインモールド以前にもやってたメーカーはあるという話をまさかこの製品で確認するとは思わなかった。やはりエルエスの本気度合いは高かったということなのかな……。

ところでこのボルトのモールド、いったいどこに使うものなんでショ?

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