モデルコレクト「1/72 T-72B/B1 主力戦車」

f:id:HueyAndDewey:20140713192427j:image

中国の新進模型メーカー、モデルコレクトの製品を紹介します。以前から個人輸入などで手にした方も居られるということですが、このたびビーバーコーポレーション扱いで国内正規輸入が始まったもの。

現在HLJで取り扱っているのはまだ四種類のアイテムのみですが、メーカーの公式サイトをみれば旧ソ連/ロシア現用AFVに特化した1/72スケールモデルを、組み立てキットと完成品の2本立てでリリースしているところです。ミリタリーモデルで共産趣味に耽溺する同志諸君ならば必ずや協賛できるラインナップでありましょう。T-90MSなんて世界初の製品化ではあるまいかと、今後も注目したいメーカー。

f:id:HueyAndDewey:20140713193251j:image

キットパーツはBランナーから始まっています。Aランナーが含まれていないのはどうも複数のキットを同時開発して一部パーツを共有しているから、のようですね。

f:id:HueyAndDewey:20140713193655j:image

Cランナーも砲塔上面だけが別枠で起こされていて、ここだけパーツを入れ替えられる仕様。

f:id:HueyAndDewey:20140713193808j:image

EランナーとGランナー。この辺もアルファベットが飛んでます。

f:id:HueyAndDewey:20140713193849j:image

Lランナーは同一のものが二枚入り。装備品の枠を共有している関係から、不要パーツもそこそこ出ます。

f:id:HueyAndDewey:20140713193958j:image

エアキャップに包まれていたのは……

f:id:HueyAndDewey:20140713194032j:image

ダイキャスト製のシャーシーでした。同一の成型品を完成品/組み立てキットの二つのフォームで販売するものとしてはよく見られるものですね。ダイキャストシャーシーを苦手にする方もおられますが、本製品のパーツは裏面のディティールも繊細でなかなかの逸品。

(などと言いつつパーツ裏面撮影忘れてんだからバカだよなあ俺。詳細は後ほど……)

f:id:HueyAndDewey:20140713194353j:image

キャタピラは材質といい成型色といいDS(ドラゴンスチレン)とまったく同じ素材です。モデルコレクトとドラゴンモデルの関係は存じませんが、ドラゴンの1/72と同様のクオリティでの現用ロシアンアイテムと捉えて良いのかな?ドラゴンの1/72も初期のヤークトパンターなんかはダイキャストシャーシー使ってましたし、そもそもドラゴンって設立当初は1/35スケール初の製品化となったスカッドミサイルなどのソ連系アイテムで名を売ったメーカーですしで、何かつながりありそうには見えます。

f:id:HueyAndDewey:20140713194828j:image

デカールは豊富で旧ソ連陸軍、親衛徽章などの他に今は亡き東ドイツのマークなどが含まれます。そしてこちらも共用シートのようで取説にガイドが記されてるのは一種類だけとちと寂しい。不要パーツも含めて、使わずとも手元に残しておけば後々何かに使えそうなクオリティはあります。

f:id:HueyAndDewey:20140713195210j:image

小さいながらもパーツの形状、ディティールはシャープの一言です。このスケールのソ連戦車も決して初ではないのですが、他社先行品は決して組み立てやすいものではなかったので……

f:id:HueyAndDewey:20140713195454j:image

精度を保ちつつ適度に一体化が進んだ設計は一瞥しただけでも安心の置けるものです。以前にどこのメーカーだったか、ちょいと箱持っただけでジャラジャラとまるでERA(爆発反応装甲)が全部バラバラに成型されてるような音がして恐ろしくて開封すら出来なかった物があったものんでな……(遠い目)

ちなみにこの画像のリアクティブアーマー部分は不要パーツで今回使いません。あくまで製品グレード紹介のための撮影で決して勘違いして撮影しちゃったわけではないぞ、ついだようっかりわざとやっちまったんだよッ!

f:id:HueyAndDewey:20140713200023j:image

主砲砲身は一体成型でも砲口はスライド金型で開口されています。細かなところまで行き届いた設計で、新興メーカーとはいえ他社で経験積んで来たのだろうなあ。中国メーカー間での人事移動や相互関係とか、ディープなものがありそうですがはて。そして、

組み立ての前にとても大事なことがあります。

取説指示通りに進めてよいのですが、しかしその前に砲塔と車体のマッチングは確認しておいたほうが良いです。C2パーツとB1パーツで干渉せずスムーズに回転するか確かめておきましょう。愚かな自分はこれをやらなかったのであとで

恐ろしい目に遭いました。

なんとかリカバリー出来てよかった。シベリアで木を数えるどころかあやうくノヴァヤゼムリャに骨を埋めるところだった。

f:id:HueyAndDewey:20140713201659j:image

まあそんなこともありつつ組んで行きます。T-72B主力戦車は円形の砲塔正面に複合装甲を備えたモデル。その特徴的な形状がうまく形になっているので三次曲面のパーティングラインは綺麗に処理しておきましょう。なおこの砲塔形状、当時の西側ではグラマラスな歌手に例えてドリー・パートン砲塔と呼ばれていた……なんて聞いたら即座にぐぐるのが世の慣わしですけれど、結果は保証しないよ?

冷戦時代ならいざ知らず、現代日本を生きる共産趣味者としてはグラマラスなモノの例えとしてуесакасумире砲塔と呼ぶのはどうだろうか。怒られるかなやっぱり。

f:id:HueyAndDewey:20140713202458j:image

キューポラ部分はNSVT重機関銃の機銃架も綺麗に抜けています。アクチュエーター部分とかいろいろと省略もされてますけれど。

f:id:HueyAndDewey:20140713202950j:image

サーチライトやマーカーランプ等小さなパーツもありますが、ここはロシア戦車のアイデンティティなので丁寧に組み立てましょう。またB/B1のタイプ違いは砲手サイトのパーツを変えて表現されますがT-72B1というのはT-72Bからレーザー誘導型対戦車ミサイル発射機能を排除した廉価版モデルなので、どちらを選ぶかはよ~く考えましょう(笑)

f:id:HueyAndDewey:20140713203344j:image

車体部分の組み立ては取説指示と順番を変えて、まずB1パーツとG10パーツを接着し、そこから細かい補機類の取り付けに進んだほうがベターでしょう。

f:id:HueyAndDewey:20140713203541j:image

側面の排気口近辺が若干合いがよろしくありませんが、サイドスカートのゴム素材テクスチャも自然な造形がされています。

f:id:HueyAndDewey:20140713203702j:image

下部転輪の形状は2種から選択(パーツそのものは不要も含めて3種類あります)、一般的と思われるかたちを選びました。

f:id:HueyAndDewey:20140713203819j:image

ダイキャストシャーシーへの取り付けはもちろん瞬着を使用しましょう。そういえばこのキット、エッチングは使っていないのですね。それで十分遜色の無いモールドということでもあり。

f:id:HueyAndDewey:20140713204011j:image

パーツ状態では撮り忘れたシャーシー裏面をここで。

f:id:HueyAndDewey:20140713204418j:image

ドーザープレートのアクチュエーターや操縦手脱出ハッチもしっかりモールドされています。あとキャタピラで隠れてしまう起動輪も、凝った形状を再現しているのだな。

f:id:HueyAndDewey:20140713204557j:image

ベルトキャタ巻いて車体下部の組みあがりです。キャタピラのどっちが前だか後ろだかは心眼で決めた。

f:id:HueyAndDewey:20140713204908j:image

そしてシャーシー上下合わせにひとつのスキマもなく完成である。おおおソ連の戦車はかっちょええなあ。湾岸戦争じゃあイワシの缶詰みたいにボコボコ開封されてたけどな……

f:id:HueyAndDewey:20140713205052j:image

「イラク軍が使用していたのは輸出仕様のモンキーモデルでソ連本国バージョンはもっとすごいぞ」というのが一応のエクスキューズでそれは確かにその通りなのですが、それが果たしてM1A1エイブラムスに拮抗できるほどの域ですごかったのかは……

汝の神を試すこと無かれ、オブイェークト。(胸にTの字を切る)

f:id:HueyAndDewey:20140713205328j:image

小さな砲塔に長い砲身、全体を低姿勢にまとめたスタイルはロシア戦車の特徴で、世代的にいえばリアクティブアーマーを積載してシルエットが一変するちょうど直前のものとなりますね。その昔タミヤがMMでT-72出した頃にいろいろとバリエーションを期待して、今に至るもなにひとつ叶っていない状況ではモデルコレクトの積極的な製品展開に期待したいところです。イキナリTOS-1出しちゃうところですよ?

f:id:HueyAndDewey:20140713205659j:image

同社完成品のライナップには「シリア内戦2013年」なんてえのもあって、ある種の遠慮の無さもまたエネルギーというものでしょうか。いろんな意味でワルモノっぽいのもまた、ロシア戦車の魅力であります……

あわせて読みたい