モデルファクトリーヒロ「ジョーホンダレーシングピクトリアル#03 マクラーレンMP4/4 1988」

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シリーズ好評発売中、ジョー・ホンダレーシングピクトリアル第三弾はいよいよ「あの」マクラーレンMP4/4ホンダが登場です!

ターボF1最後の年となる1988年、ホンダエンジンのジャパン・パワーと二人の天才アラン・プロストとアイルトン・セナのドライビングによって見事に前人未到の16戦中15勝、ポールポジション獲得回数15回という空前の記録をF1史上に残した名車MP4/4。本書は現代の神話とでもいうべきこのマシンの軌跡を追った一冊です。

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ここから始まる数年間が最もF1に入れ込んでた時期なので、個人的にも嬉しい内容。空力付加物も少なく直線構成の多い同車は立体化にも向いたカタチで、当時からキットが愛されてきましたね。低く構えられたノーズ、フラットなタイヤなど、改めてみれば大幅に現代のF1とは異なっているその姿は、現代のF1ファンの皆様には却って新鮮なスタイルに映るかも知れません。

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「セナプロ対決」に代表されるように、ドライバー同士の人間関係が今よりも濃いものとして扱われていたのも時代性かも知れません。“プロフエッサー”アラン・プロストの落ち着いたドライビングと未だ若き“音速の貴公子”アイルトン・セナの攻撃的な走りは対照的で…とかいったらフジテレビ色が強過ぎるかな。でもまあ、見ている立場としては80年代末~90年代初頭のF1GPってそういうものでした。

ホントはロベルト・モレノとかフォンドメタルチームとかそーゆーのが好きなんすけど、それはこっちに置いといてww

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特にセナ人気の高さと言ったらすごかったですよ。アイルトン・セナとマクラーレンのマシンにホンダエンジン、この三つは三種の神器のように崇め奉られたものですが、しかしこの時期のマクラーレンが日本で大人気だった理由の一つは頼みもしないのに日本のナショナル・カラーだったマルボロのカラーリングのおかげだったことを忘れてはいけない。配色のバランス、巧みな分割線、どこからみても様になるマシンなのです。

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しかしマクラーレンに限らずこの時代のF1マシンは美しいですね。外形のトレンドや大手スポンサーによる統一されたカラーリングとか、そうと感じる理由はいろいろあるのですが、ともかくレイトンハウスの格好よさは理屈じゃないんです。日本社会がまさしくバブルへGO!!だったこの時代、紅白ツートーンのマシンが世界を制覇していく様は心強く映ったものです。翌年からのターボ禁止も16戦中15勝の結果を受けての「ズルい決定」じゃんか!と、学生だった当時の自分と身の回りの友人はナショナルちっくにフンガイしてたものでした。モータースポーツ全体を広く見れば、それは当然の帰結なのだと、いまとなってはわかりますけど。

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それでもこのマクラーレンMP4/4ホンダが最強だった事実は誰にも消せません。その心臓たるホンダRA168Eエンジンの姿も、本書は詳細に捉えています。贅沢に見開きを使った大判のフォトは模型製作資料としても逸品のもの。ターボチャンバーの質感や配管の取り回しには艶やかささえも感じられてうん、セクシーな機械なんだなこれは。

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本書には巻末特別付録としてツインリンクもてぎに展示保管されているMP4/4実車のディティールフォトが掲載されています(モデルファクトリーヒロ独自取材による)

現代のF1マシンにくらべてあまりにもシンプルな車両の実態からは、当時の「ハイテク」を駆使したこのマシンが、やはり人間の力と技で御せられるものなんだということに改めて気付かされます。

あのころの日本はがんばってました。

これからの日本もがんばっていこう。

そんなふうに感じるいま、この瞬間を忘れない。

末尾ながらこの度の東北地方太平洋沖地震の被害に遭われた方々に追悼を奉げ、お見舞いを申し上げます。信越・東海地方にまで震源域は広がりまだまだ予断を許さない状況です。幸いにして人的被害を免れた方でも、模型的被害を被った状況も多々あるかと存じます。

正直自分も、結構ヘコんだ。

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それでも、負けずに行きましょうよ!

被災に遭われた皆様の一日も早い復旧をお祈りいたします。

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