レベル「1/8 フランケンシュタイン」

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レベル製、吸血鬼ドラキュラ、狼男と並んで世界三大モンスターと言えば必ず挙がる超メジャーどころな怪物フランケンシュタインの、ちょっと懐かしい雰囲気のプラモデルです。


日本では「ゲゲゲの鬼太郎」や「怪物くん」で3匹つるんで出てくるんで有名ですが、本来この3つって縁もゆかりもなんにも無い存在です。それがなぜ一心同体少女隊なトリオ志向になっているかと言うと…

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答えはパッケージに描かれています。米国ユニバーサルスタジオによる恐怖映画の3大スターのひとりがこのフランケンシュタインなのです。演じるはこの役で一躍スターダムにのし上がったボリス・カーロフ。(ところで、なんでスターダムって常に「のしあがる」ものなんでショ?「スターダムをのんびり登る」とか言わないよなー)

ちなみにユニバーサルスタジオ1931年製作映画「フランケンシュタイン」の予告はこちら。


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2分に満たない短いトレーラーですが、ひとが「フランケンシュタイン」と聞いて思い浮かべる要素は大抵詰まってますね。その後もベラ・ルゴシやクリストファー・リーなど幾人もの役者がこのフランケンシュタインを演じましたが(最近ではチェ・ホンマンですか)やっぱり一番有名なのはボリス・カーロフによるものです。

「ロバート・デ・ニーロは?」

「なんのことだか全然わからない」

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パーツ数は全部で25点。この手の洋物プラモは最近復刻ものが盛んですが、このキットが復刻アイテムなのか新規なのかはちょっと判らない…一応ボックスには2009年で著作権表記されてます。

そんで洋物プラモにありがちなことですが、結構な数のパーツがビニール袋の中でランナーからもげてました。まーあんまり混同するようなものはないしこのキットに限ればまるで バ ラ バ ラ の 死 体 を集めているようで、そこはかとなく楽しい、フヒヒ。

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フェイス部分はよく出来ていると思います。 レベルのこのシリーズじゃ一番じゃないでしょうか。なぜかドラキュラだけ異常に出来が悪いのは…例によって肖像権がらみのなんとかなんだろうな…

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墓場を模したベースが付属します。ベースって大事なんでこれから先に紹介w いや最近の特リb、げふんげふんあーいやなんでもありませぬ。

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墓石には「FRANKENSTEIN」の墓碑銘が刻まれています。説明書には短い文章で「夜の闇にまぎれて墓場で人間を襲う、巨大で恐れを知らないモンスター」云々と説明が書かれてますが、具体的な映画のストーリーや映画スタッフ・キャストなど資料的な記述は一切ありませんねえ。

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台座に載せて完成です。フランケンシュタインがデカイのだか墓石が小さいのだかよくわからないバランスだ。

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「絶対これ立たないだろー」なんて思いながら組み立てていたので、何の策も講じずに自立するバランスを保っているのにはビックリ。基本設計が確かなんだろうな…

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肥大化した額と派手な傷跡、首を真一文字に貫く電極など、極端な凹凸によってフリークスさを強調されたフランケンシュタインの頭部は、ライティングひとつで陰影が激しく変化するもので、モノクロ映画時代ならではの傑作デザイン。

とはいえさすがにパーツの合いはあんまりよろしくないものなので、組み立てには暫時パテなど必要となります。塗装まで仕上げようと思ったら合わせ目と一緒に埋まったモールドの再生作業がそれなりに手間でしょうか。今回は埋めてサフがけしただけですけど…

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「背中の合わせ目消えてませんね」

「ちがいます、それは洋服の縫い目です」

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「頭の部分もー」

「ちがいます、それは人体の縫合痕です」

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「手にひどいヒケが残ってる」

「ちがいます、それは聖痕(スティグマ)です」

…だんだん怒られそうな気がしてきました( ・ω・)

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いろいろとクラシカルなプラモデルですけれど、その雰囲気も含めて楽しめればいいのかなあと思います。20世紀初頭の恐怖映画の独特の空気をお部屋の片隅に招く、このフランケンシュタイン…

などと綺麗にまとめて終わらせたいのは重ね重ね承知してはおりますが、しかしこのことは指摘せずにはいられない、捨て置けない。

賢明な読者諸兄に於いては既にお気づきかと思いますが、このプラモデルが「フランケンシュタイン」を名乗るのは間違っているぞ!フランケンシュタインとゆーのはあくまでこれを「作った人」の名前であって、このモンスターには特に名前もついてないのである!!まったくアメリカ人はなんでもニンテンドーだなぁとか思いつつ、我々はこのモンスターを「フランケンシュタインの怪物」もしくは「名無し人造人間さん」とでも呼ぶべきなのです。ねらーか。

まあ…全部映画の宣伝とイメージングが悪いんだろうな…「ゲゲゲの鬼太郎」や「怪物くん」でいちいち「フランケンシュタインの怪物」とか呼んでられないしな…

しかしながらこと「フランケンシュタイン」に関しては、わたくしメアリー・シェリー女史による原作小説の厨房的ファンなものでそこんとこ譲れんのですよずずいずい。

「誰に頼ることもなく、誰ともつながりを持っていない。『わが去りゆく道を阻むものは何もなく』、世を去ったとて悲しむものはひとりもいない。風采はおぞましく、体は馬鹿でかい。これはどういうことなのだ?自分は誰だ?何者なのだ?どこから来たのだ?自分の運命は何なのだ?」

「人はみな胸に抱く妻を見つけ、けだものにもみな連れがいる。だのにおれにはひとりでいよと?おれにも情愛の心はあった。そのお返しに嫌われ蔑まれたのだ。いいか、憎むなら憎め、だが用心するがいい!」

「どんな悪事も、どんな不幸も、自分のそれとは比較にならぬ。おのが罪の恐るべき目録に目を通すとき、これがあの、かつて美と荘厳な善との崇高で超越的な夢想に心満たされていた同じ自分なのかと、疑うほどだ。だがまさにしかり、堕天使は性悪な悪魔になるではないか。だが彼、神と人類との敵にさえ、わびしさをわけあう仲間はあったんだ。自分はひとりだ」

「おれは自分をここまで運んできた氷塊に乗って船を離れ、地球の最北の果てへ行く。弔いの薪を積みあげ、このみじめなからだを燃やして灰にしてやろう。その残骸が詮索好きの不浄のやからに光をあたえ、自分のようなものがまた創られることのないように。おれは死ぬ。」

引用台詞はすべてメアリー・シェリー「フランケンシュタイン もしくは現代のプロメテウス」(創元推理文庫】より、怪物の独白。孤独な魂が流離う、寂しいお話なのですよ…

秋の夜長に、おすすめの一冊です。

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しかし突然こんなヤツが「『若きウェルテルの悩み』を読んだので友だちになってくれまいか」などと迫ってこられてもフツーは「おことわりします」よねー^^v

※最後の画像だけ夜光塗料とブラックライトで撮影してます。

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