伊太利堂「WWIIイタリア軍装写真集Vol.2 R.S.I.軍編」

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吉川和篤氏によるイタリア軍装写真集、シリーズ第二弾。1943年に分裂し枢軸諸国の一員として連合国と交戦を続けたR.S.I.(イタリア社会主義共和国)に属した兵士たちの写真を集成した内容です。

ところで表紙写真はM15/42戦車の砲塔上から演説するムッソリーニ総帥なのですが、第二次世界大戦主要参戦国のリーダーでこの距離感はちょっと珍しいかなと思います。ナチスドイツの記録映画「意志の勝利」で、レニ・リーフェンシュタール監督がヒトラーとの距離感を一種近づき難いものとして描いていたのとは対照的で、興味深いです。

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公式な記録写真と(おそらく)私的なポートレート、日常風景らしいスナップとさまざまな角度から捉えた兵士たちの記録を、それぞれの兵科ごとに纏めた編集です。丹念に収集された写真には適切なキャプションが配され、資料的価値の高い内容となっています。

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RSIはファシスト党主導によるイタリア王国軍の性格をそのまま受け継いでいるので伝統的な兵科も名称もそのまま引き継がれています。ベルサリエリの羽飾りは現代まで受け継がれている意匠ですが、第二次大戦当時連合側についた側の「イタリア王国軍」ではどうだったんだろう?被服は米式装備になったんだっけかなーと、その辺も気になったり。

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吉川氏のイタリア軍関係著作を読んでいつも感じるのは、イタリア軍って世界一兵士のポートレートを御洒落に撮影している軍隊じゃあるまいかってことです。皆さん伊達男ぶりが決まりすぎで、決して戦局を楽観視できないだろう時代にあっても、あまり悲壮感を感じないのです。

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敢えて視線をカメラから外して眼力の強さを印象付けるような写真も多く、こと軍事的・歴史的な観点だけではなく、制服愛好的・女性的な視点で読んでも面白いかも知れません。攻めの反対語が「守り」ではないひとたち向きかもです。

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中にはオサレでない記念写真もありますけれど、けれど……なんで、なんでこのひとたちガスマスクで記念写真撮ってるんだろう??

みたいな面白さもあります。

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ドイツで訓練を受ける海兵部隊や武装SSイタリア人部隊の写真も収録されていて、ドイツ軍研究の立場からでも新たな知見を得ることが出来るやも知れません。

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ここからは現在HLJでは取り扱いが無いVol.1の内容紹介。<イタリア陸軍/MVSN編>と題して陸軍と国防義勇軍(ファシスト党員による準軍事組織)の記録を扱っています。

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年代は開戦前の1933年から1945年までとVol.2よりも幅広いのですが、掲載されてるポートレートがイケメン揃いなのは変わりません。

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戦車部隊を始め陸軍の様々な兵科の写真が収録され、バラエティ豊かな内容です。

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モトグッチ・アルチェ軍用バイクにまたがるベルサリエリ部隊の皆さん。戦前~戦争初期のフォトだからか、楽しそうな表情を見せる写真が多いのは特徴的です。

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アルプスの山々を頂く山岳兵部隊は牧歌的で、

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騎兵部隊の礼装はロマン主義大爆発です。

Vol.1・2とも巻末には著者吉川氏によるイタリア取材時の記録・当地での印象が記されています。戦後徹底して非ナチス化・非軍国主義化を図ったドイツや日本とはいささか状況を異にする、現代イタリアにおけるファシスト党やムッソリーニ政権の立場というものを考えさせられます。

むずかしいこと抜きにして、「イタリア軍についてもっと愛を!」という本書編集テーマに沿うのが一番だろうとは思いますが(笑)

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