光人社「ドイツ歩兵携行兵器 戦場写真集」

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光人社のハンディ版戦場写真集シリーズ、同社NF文庫などでもドイツ軍関連の著書を精力的に発表している広田厚司氏によるものです。コンパクトでリーズナブルな価格ながら、戦場の一瞬を捉えた魅力的なショットが満載。

ところで帯には「最強ドイツ歩兵は、どんな装備で戦っていたのか?」とありますが、ドイツ歩兵ってそもそも最強でしたっけ?


えっ

その話題は軍事趣味ではかなり禁断なゾーンに足を踏み入れることになるので詳しくは触れますまい。ネット上でも実生活でも、もしも誰かに「最強の定義を述べよ」と詰め寄られた際には「新宿から大宮までのことです」と答えておけばたぶんダイジョーブだ。

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本書の内容は拳銃・小銃・機関銃などカテゴリーごとに章立てを変えて、それぞれのジャンルに属する兵器を扱っているフォトを掲載する、この類の銃火器本としては極めて常識的な編集構成となっています。それぞれのフォトごとに簡潔なキャプションが添加されまた個別の章でそれぞれのカテゴリーごとの兵器解説・背景事情を解説する本文が記述されています。

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収録されているフォトは未公開と思われる本書初見のものから著名な記録写真まで様々ですが、格好良く映っているのは大抵が宣伝中隊向けなどの演出・やらせのポーズ写真とみて間違いないところです。兵隊写真集にはよくありがちなことで、「戦場の実態」を知る前に読み手のほうで押さえておくべきポイントではあり。リアルに見えるものほど実はアンリアルで、それっぽくないものの方が却ってそれっぽい。なんだか禅問答のようですが、それもまた戦場写真集の持つ「おもしろさ」といえるでしょう。

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模型製作の資料、ビネットやディオラマのネタ本としては、実はやらせのポージング写真(と思われるもの)のほうが役に立ちそうです。銃器の自然な持ち方構え方、見栄えのある構図の取り方など、第二次大戦当時のドイツ軍宣伝中隊は後世のモデラーのために実に良い仕事をしてくれていてってそうじゃない(w; しかし現代までに至るドイツ軍人気の理由のひとつには、良質のフィルムで克明に記録された美しい写真の数々を上げることが出来そうです。

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ページをめくって内容を見ていくとあらためて感じ取れるのはドイツ軍の使用する兵器の種類の豊富さでしょう。これは歩兵携行兵器だけでなく戦車や自走砲等ドイツ軍全般にいえることですが、当時最先端の技術を投入して開発された新兵器と、占領地から徴収したり兵器庫の奥底から持ち出されたような旧式兵器との混雑具合が見ていて面白いものです。

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本書掲載写真が年代・地域を問わずに兵器カテゴリーごとの全般を対象としているので、その煩雑ぶりは実態以上に強く印象に残るものです。ドイツに限らず当時の参戦国の軍隊はどこも似たようなものだろうと思われますが、やはりドイツ軍の懐事情はそれに輪をかけて群を抜いたものでしょう。

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近年1/35スケールインジェクションキットや1/6スケールのドール製品などでも様々な銃器が立体化される機会が増えていますから、このような歩兵の写真集にも新しい需要は掘り起こせそう。むかしはタミヤのセットに含まれているか否かで知名度に差があったものですが、マイナーな銃器もどんどんキット化される昨今です。

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ですからMPE44サブマシンガンがプラモデル化されていちやく著名な存在となる日も近いでしょう!ドイツの兵器は世界一です!!

ないんだろうなあ、そんな未来(´・ω・`)

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本書に掲載されている写真でいちばん目に付いたのがこの一枚。フランス製Mle1931機関銃(MENGのルノーFTに入ってるやつです)で沿岸防備の任に就くコサック義勇兵の幸せそうな笑顔がこう、なんだかね。ところでこの人コサック義勇兵なのに戦車突撃徽章さげたり袖にもなにか戦車をかたどったパッチが縫い付けられているんだけれど、何者なんだ一体……

詳しい人は何でも知ってる業界ですから、なんでも知ってる人はいるんでしょうねきっと。

妙に「最貧」じみた画像をスキャンしたのはあくまでこちらの趣味の問題で、あまり小難しいこと考えずに普通に読んでいけば普通に「かっこいいドイツ軍」の写真集だと思って間違いは無いです。読書子は書籍に対して素直に向き合うべきです。

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かっこいいドイツ軍ですよ?

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