光人社「現代ミリタリー・ロジスティクス入門」

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好みの方向性にもよりますが、軍事趣味に片足突っこんでそのまま沼に沈んでいくと「兵站」に興味関心を抱くことも多いように思われます。この分野では長らく「補給戦」や「山、動く」という名著が知られていますが、本書は現代最先端の諸事情を現在もっとも進捗しているアメリカ軍の実態を主な範にとって紹介するもの。


兵站業務とは、単に最前線にモノを運ぶだけの業務ではない。もっと対象を広くとって、軍事作戦を遂行するために必要とされる調達・管理・輸送・情報管理などの仕組み・一切合切を指すのではないかと主張したい

第1章本文から。よく知られる通り軍隊とは巨大な官僚機構であり、巨大なシステムを円滑に動かす仕組みこそがロジスティクスの本質です。よくスポットライトがあたる戦闘部隊は精々が窓口か営業職種であって、それだけで機構が存続しているわけではありません。軍隊とはどのように動かされているものなのか、その実例を様々に挙げていく記述内容の幅は広く多岐に渡ったものです。ある程度は軍事一般への基礎知識がないと若干読み辛さを感じることがあるかも知れません。しかし本書に記された内容は、現代の国際社会で行使される軍事力とその諸問題に関心のある向きには新しい知見や深い理解を与えてくれるものでしょう。

文章メインの内容ですが、適時図版や写真が挿入されて内容理解への手助けとなります。軍公式の広報写真・資料多めながら希に「筆者撮影」ですごく面白いフォトがあるのはさすがkojii.netのひとだな…

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刊行は2012年(執筆時期は2011年)のものですが、現在の情勢として問題なく読めるでしょう。ただ本文中に民間へのアウトソーシングとして示される、アメリカ軍や自衛隊の兵員・器材の輸送任務をロシアの航空会社が請け負う事例はこの先変貌するのかも知れませんね。対露関係悪化すると自衛隊のPKOや災害派遣任務に影響するかも知れないのよ。

模型製作と直接関連するところは実はそんなに多くはないのですけれど、現用アイテム増えてる陸モノ関連においては20フィートや40フィートコンテナのプラモデルに需要があったりするかもだ。ラジコンやNゲージではともかく1/35はいまだ手付かずじゃないかなーこれ。

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本書は単純に軍事趣味者の興味を煽るだけではなく、実社会で日々激闘を繰り広げる日本の一般のビジネスマンにとっても重要な意味を持つものと言えるでしょう。「ロジスティクス」の意味と実際について通暁していれば、社内ミーティングで上司や同僚を多少のケムに巻いて、ご自身への直接あるいは間接的な被害を減らすことにもきっと繋がります。

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