八重洲出版「RCで楽しむ ガールズ & パンツァー」
RCマガジン別冊、「ガールズ&パンツァー」の世界をラジコンで楽しむためのガイドブックです。
ひとくちに「ラジコン戦車」と言ってもその世界は広くて深いものがありますが、初心者にも目を配った入り込みやすい内容となっています。手軽に始めるという観点では完成品RC戦車の中からガルパン登場車両をセレクトして紹介。
近年のRC戦車は比較的低価格なものでも各種ギミックを取り揃えて遊びがいのあるものですが、強度重視の観点から外観のディティールに見劣りする面があるのは否めません。そこで自作の校章マークで「ガルパン化」するとともに車体各部にちょっとしたディティールアップ、スミ入れやウェザリングを施せば、個々の戦車の存在感は増大します(あまり汚しを入れない方が却ってそれらしかったプラモとは対照的ですね)
やはりトイラジでは物足りないという向きにはタミヤの1/35RCタンクが紹介されています。ディティールはミリタリーミニチュアのプラモデルシリーズそのままに入手も容易で、現在ラインナップされているのはバトルシステムを搭載したプレイバリューの高いものです。ガールズ&パンツァー公式の製品ではないので本編に登場した車両とは若干形式が異なるなるのですが……
そこはそれ、プラモデルでありますから改造すればよいのです。タミヤのRC IV号J型とプラッツのあんこうチームH型仕様のキットをニコイチで全国大会決勝戦仕様の車体をRCで再現する製作記事の担当を任されたのは、バレー部佐々木あけび役としてまた各種イベント会場で「戦車プラモ作っているひと」としてもおなじみの声優、中村桜さんです。
ガルパン登場戦車の製作記事として、また「はじめてのRC戦車」を作る人にむけての格好の入門記事となるものです。RC戦車の界隈も超絶技巧な方々目白押しなもので、このように製作ステップごとの丁寧な解説は初心者には得がたいものですね。
もう少しレベルを上げていくと市販のプラモデルにメカボックスを流用、あるいは自作でのRC化が成された作例も紹介されています。タミヤの古いD型などはRC化と相性良さそうにも感じますが、ガルパンとは直接関係がないけれど1/16スケールのドラゴンワゴンをフルスクラッチ(!)した作例がスゴいな。もちろんRCのタミヤの1/14トレーラーをベースにしたものでギミック&サウンドにまで凝ったものです。本来こういう動かしてナンボの魅力を伝えるには、やはり動画コンテンツが必要かも知れません……
RC戦車の最大の楽しみと言えばバトルゲーム、特にガルパン関連では車両のみならず大洗の町並みを再現する楽しみも有ります。こちらも資料には事欠かず、プレイステーションvitaのゲーム版を待つまでも無く肴屋にマチルダを突っ込ませたり出来るわけです。本書では市街地再現のほかいくつかのバトルスタイルの提唱、静岡ホビーショーに際して実際に行われたゲームの模様をはじめオフ会、イベントレポートなどもいくつか掲載されていまして、やはりラジコン戦車でもっとも大事なことは戦車のギミックよりもモデルの出来よりも、何にもまして一緒に遊んでくれる友達だということを再認識させてくれるのです。
フィールド製作のためのロケハンガイドとしても使える大洗市街地マップやコミックフラッパー連載のマンガ版を執筆されている才谷屋龍一先生による陸上自衛隊土浦駐屯地武器学校レポートなど、いわゆる聖地巡礼の手引きとしても使える内容、また走行コースに持ち運ぶことが全体なラジコンならではのキャリングケースアイデア集は、大洗に戦車プラモデル持ち込んでの撮影を計画している方々にも参考となるものです。自作の木製キャビンに収納されたチャーチルはいかにも英国面で格好良いなあ。
来年予定されているOVAや映画の情報も公開がはじまりフィギュア関連も品揃えが増えてきたガールズ&パンツァー、こと車両に関しては一時期ほどの熱狂が落ち着いてきたな…というのが実感ではありますが、モデルグラフィックス誌での第二回模型戦車道選手権も開催が決まりましたし、来年を見据えてまたなにかガルパン関連やりたいなーと、そんな気持ちを持ちつつも、
本年に関しては今回が最後の更新となります、今年も一年ご愛顧いただき有難うございました。読者皆様よいお年をm(_ _)m