双葉社「戦え! 全日本 アニメロボ大全集 2000年代篇」
西暦2000年から2009年にかけてのいわゆるゼロ年代に放映されたロボットアニメ作品の登場機体をまとめた本です。B6の小さな判型で、ちょっと旧ケイブンシャの大百科を思わせる作り。
多くのロボを番組放映年ごとに並べたデータベース的な一冊ですが、あくまでアニメのロボットを解説した内容であり、スタッフやキャストを含めた番組そのもののデータではないことに注意。またガンダムやマクロスなどの一部有力コンテンツを除いて、おおむね主役機体についてのみ記述されています。
「戦え!」というタイトル冠にも意味はあるようでロボ娘の類は戦闘美少女系のみが記載されています。例えばこの時期に放送されたアニメでも例えば「To Heart2」のシルファは載っていませんし例の青いネコ型ロボットもいないってやですねーこー重箱の隅をつつくようなひとって。きっとロボ板常駐ですわよヒソヒソ
そのあたりを踏まえておけば、この10年間におけるロボットアニメの変遷を概括出来る内容です。シリーズ既刊2冊(『70~80年代篇』『90年代篇』)を併読すればより大きな流れも見えてくるでしょう。双葉社でアニメロボといえばグレメカですが、どっちかというとB-Clubっぽいノリですねなんとなく。
この時期の特徴と言えばロボットデザイン・作画共に3DCGが積極的に導入されたことが挙げられるでしょうか。当初はあくまで手描き作画の補助的な位置づけで、動きや演出にも見るべきところは決して多くはなかったのですがこの10年で技術・技法は進捗著しいものです。
模型・玩具業界的な話をすれば3DCGのデザイン像は立体化の作業に際してダイレクトに反映させることも出来るので、画面内の映像と製品の間の乖離がどんどん狭まって行った時期でもあります。「格好良いもの」を手に入れるためのハードルは本当に低くなりました。
とはいえ、製品化のセの字もないままひっそり消えて行った作品が多いのもまた事実。栄華盛衰諸行無常で電撃ホビーマガジンに一度だけ載ったスサノヲ試作品のことはもう忘れてあげろ…
そんな酸いも甘いも噛み分けて振り返るこの十年。ロボットアニメに山あり谷あり、やれ豊作だのいや不作の年だのと思いは人の数ほど様々にありましょう。個々の作品タイトル、登場機体を眺めるたびに思いは猛り胸は痛む。あなたのハートには、何が残りましたか?
むろんひとは全知全能ではありませんのでナニコレハジメテミル…機体もきっとあるでしょう。「銀色のオリンシス」って尻しか覚えてなかったよオシリンシスじゃなかったのかよ……。例えマイナーな作品であっても「ロボットアニメ」の枠組みで捉える事が出来得るならば、このように後世にデータを伝えることも比較的容易です。枠には乗るべきなのです。外れたらアウトなんです。
キスダムはセーフ。
「キスダム」って2007年の作品だったんですねえ、気持ち的には「ブルージェンダー」と同じようなポジションに属しているのだけれど、あれは90年代のアニメなんだよな。
権利上の問題からか同時期に放送されたすべてのロボットアニメ作品が網羅されている訳ではないのですが、それでもこの群雄割拠の10年間にあってゼロ年代最高傑作ロボットアニメが「ゼーガペイン」であることは間違いなく、異論は認められません。今年もリセット祭りは大いに盛り上がったものであります。なにしろ放映後7年経ってもJRの電車中吊り広告に画像が載ってたぐらいだいやパチスロの広告なんだけど。