古是三春 一戸崇雄「戦後の日本戦車」カマド刊

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副題に「61式、74式、90式からTK-Xへ開発経緯とメカニズムまで」とある通り、陸上自衛隊で開発・配備された国産戦車をその車種ごとに個別に解説した一冊。図版写真が多数用いられていますが、とりわけ興味深いのは巻頭カラーで掲載された61式と74式の車体内部写真で、従来イラストで発表されてきたことはあるものの、実物に即した内容は本書が初と思われます*1

個々の車種ごとに極めて実証的な記述がなされ、とりわけ61式と74式については豊富に記述されています。61式戦車の車体後部に航続距離延伸用のドラム缶を搭載している写真は初めて見ましたし、74式戦車が90年代に入ってから105ミリ砲弾の性能向上を図っていたことなども初耳です*2。擬装した61式に同じく擬装した普通科隊員がタンク・デサントしてる写真などもあり、模型でディオラマやインテリア再現を考えている向きには必要にして不可欠な一冊でしょう。

むかしから自衛隊の戦車は単なる印象論から根拠無く誹謗中傷されすぎたきらいがあり、本書のような実証的な立場の書物は極めて重要だと思います。公表されているスペックからどうやって全貌を推定していくかって事も含めて

いや教科書だろこれ。

なにしろ今でも単なる印象論から根拠無く誹謗中傷するヤツがフツーに本書いてたりするもので。具体的な名前を挙げたくはないので、誰とは言いませんが、そういえばケロロ軍曹に吉岡平(よしおかだいら)とゆー名字のキャラがいていや全然、全然関係ないですから!

しかし同じ人が同じ物を対象に同じような観点で書いた本だからといって、一部の頁が別書籍の記事をまったく同じなのは正直どーなんだろーなーと、そこは腑に落ちない。「パーツ流用」とすれば模型的ではあるのかも知れないがw

考えてみると期間としては戦前戦中より戦後の方が長いんですよね、戦車開発の歴史は。

*1:正確には撮影された74式戦車は試作車体のST-B-5ですが、既に量産型と同様の車輌です

*2:この辺り個人的にそれほど陸自車輌に詳しくないので、価値判断が怪しいことを申し添えておきます

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