大日本絵画「スケール アヴィエーション Vol. 090 w/ファインモールド 零戦22型」

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スケビ3月号付録、ファインモールド製1/72零式艦上戦闘機二二型のレビューです。

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一連の零戦マガジンキットについての開発経緯についてはあまり詳しくはないのですが、当初からバリエーション展開は考えられていたようで各型共通のコックピットや脚柱部分にA、Bパーツが割り振られています。

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C、Dパーツもエンジンや尾翼周りの小さなランナー。心臓部となるエンジンの、栄一二型から二一型への更新は零戦の発達史上で大きな出来事になるのですけど、外見的には大差がないのでここも共通枠となります。

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クリアーパーツもE枠共用。こうしてみるとあらためて「零戦の基本設計は対米開戦前に全て完了していて、戦時中はマイナーチェンジが続いただけ」ってことが感覚的に解る気もする。第二次世界大戦を通じて運用された戦闘機は他国にも例がありますが、スピットファイアやBf109と比べてあまり変化が無い機体ではあり。

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主翼パーツはアルファベットがずいぶん飛んでJ、Kパーツ。二一型と同様翼単折りたたみ機構を持つ翼ですが、パーツ自体は二一型と共用なのか二二型で新規に起こした物なのか、すいませんちょっと判らんのです。モデルグラフィックス2007年11/12月号をお持ちの方はくらべてみてね。

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エンジンカウルとプロペラはL、Mパーツ。この辺りから五二型共用パーツが含まれてくるはずです。

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機体主要部分Nパーツ。見れば判るので書き忘れてましたが機体成形色は灰緑色となっています。

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デカールはラバウルに展開していた第251航空隊の西澤上飛曹搭乗機を始めとする4機のマーキングが付属。うち1機は岩国航空隊の灰緑色カラーとなっています。識別帯の黄色は入っているんだこの場合は。

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翼端折りたたみ機構を持つ長いままの主翼と栄二一型用にスマートなエンジンカウリングを備えているのが三二型の特徴です。ファインモールドによるマガジンキット開発以降、例えばタミヤからも新規の1/72零戦がリリースされていますが、果たしてあっちは二二型まで展開するかな?マイナーな存在とはいえ「最も優美なる零戦」をこうして手に入れられるのは僥倖…って、そんなフレーズって一体誰が言ってるんでショ?(笑)

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外観のプロポーションやパネルラインの美しさは初見ではひどく驚かされたものですが、それに慣れちゃってる自分がちょっと怖い。1/72スケール大戦機プラモデルの「普通」をひとつ底上げしたことがマガジンキットの最大の意義だったのかもしれません。

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今回はスケビ本誌の「製作上のヒント」を参考にコックピットの軽め穴を開口させてみました。出来あがっちゃうとあまり見えるものではないですけれど、まー自己満足かなこれわ…

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コックピットフロアも初見ではえらく驚いて尻込みするほどだったのに、2回目となると平然と組んでます。で、五二型組んだ時に苦労した割には全然見えなかった計器盤デカールはスルーするー。慣れってこういうことですね。

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内部側面の小パーツもヒントに従い機体パーツは切り出さず、ランナーを持ち手に使って接着していきます。なるほどこれは便利でこのまま塗装まで持ち込むわけですね、一般のエアモデラーの方は。

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栄二一型エンジンだけでも塗ってドライブラシでディティール見せようかな、とか思ってたんですよこの時は。

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機体も組んでコックピットも無事収まり、クルシー無線帰投装置のループアンテナは地上配備機ならいらないのねん♪とここは流して組んでおいたエンジンに排気管とカウリングを合わせて機体にはめてみたらこれがはまらないすよ。ナンデ…ナンデズレルノ?アイエエエエ!!と、ネオサイタマでニンジャに出会ったサラリマンのようにビックリしたのはエンジン組んだ時にC3のパーツを上下逆に接着してた為である。なんたるフトドキ!

いやほんと、マヌケな話でさっきのエンジンの画像は参考にしちゃダメですぜ。なにがマヌケって五二型組んだ時には「C3パーツの上下に注意」って自分でちゃんと書いてあったんだなこれが。もはやハイクを詠んでセプクするしか!

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幸いなんとか辻褄は合わせましたけれど、当初予定していたカウリング外してエンジン見える仕様には出来なくなってしまった……

思うに今回の格言は

「慣れると死ぬ」

であろうか。アババババーッ!(そろそろ忍殺から離れろ)

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主翼関連至って普通、ではあります。翼端は折りたたんだ状態とコンパチになってますが、もし仮にここを角型成形すれば、既に絶版状態の三二型を作れるのかと言えばそう簡単でもないようで(ラダーとかね)、不可能ではないでしょうけれども。

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天蓋は思いつきで可動タイプを開放状態にしてみました。

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開けとくならば計器盤デカールは貼っておくべきだったと思っても後のフェスティバルである。なんだか今回泥縄だないろいろと。

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脚柱などを組みつけて完成です。なおデカールにある第582航空隊進藤三郎少佐搭乗の20mm二号機銃装備機体を製作する際には(本誌にも説明されていますが)別売のファインモールド製真鍮挽き物銃身を使うのが良いでしょう。ピトー管入りは限定品ですけれど、機銃だけなら四本入りというのも有ります。

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良くも悪くも太平洋戦争の代名詞的な存在である零戦、本来の用途はあくまで航空母艦搭載の艦上戦闘機であったはずの機体が地上配備の遠距離侵攻戦闘や防空任務にまで重用されていたのは、後継機である「烈風」や局地戦闘機の「雷電」や「紫電」が難航していたからからであって、度重なる改良と発展は設計者の望んだことではないのだろうなーと、九試単戦キット化の報を見ながら思うところであります。

戦況が泥縄の方がバリエーションが増えてありがたいのはドイツ軍も同様で、これは模型ファンやメーカーの「原罪」といって良いかもしれませんぞうむうむ。

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「飛行機は上面形を見ろ」との教えを忠実に守って上面写真を掲載する。たしか銀河出版の対談本で学んだのだけれど、その本の肝心のタイトルを失念しているのは何が「教えを忠実に守る」だとセルフでツッコミであります。

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飛行機書籍で側面図が多用されているのはあくまでそれがページ数を稼げるからであって、機体特性や塗装パターンを見るにしてもほんとは側面形だけで済ませない方がよいのです。

それはともかくとして、ここで零戦の上面・側面を掲載して固定天蓋のパーツを未使用のままとっておくのは、あるいは後日に流用可能かも知れないからである。何が?

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