大日本絵画「モデル・グラフィックス 2013年4月号 」
特集は「日本戦車道連盟オフィシャルガイドブック2」、1月号に引き続いての「ガールズ&パンツァー」特集次発装填の第2弾です。世間様では
「 な の は 完 売 」
並みにバンバン売れているそうで、ここしばらくの流れで言うと多分あーなったりこーなったりするんだろうなあ。いえ単なる個人的な推測なんでツマビラカには致しませんけれど。
ところで、模型雑誌であるところのモデグラの表紙をイラストが飾ってるのはこれが初めてのことじゃありませんが(バイファム特集の時とかね)描き下ろしかつノーテロップのピンナップまで付属って前代未聞じゃないかしら。おまけに人物も戦車も全部サブキャラですよこのイラスト(!)脇役スキーにはたまらないセンスで、専門のアニメ雑誌でもなかなかこうはいかない。
そんな冒険(?)が出来るのも、今回の特集は「ライバル校特集」とでも言うべき作例記事がメインになっているからです。前回が大洗女子チームメインだったのを受けて…と、言うよりはモデルカステンブランド専売「ガルパンデカール」の使用例という塩梅ですね。タミヤのマチルダ、タスカのファイアフライ、イタレリのP40にドラゴンのT-34/85と各学園のみならず模型メーカーも百花繚乱で、それぞれの製品特性に従った製作上の注意点などが見開きページを贅沢に使用して記載されています。スキャニングは避けましたけれど、特集扉ページの見開きがとんかつレストラン「クックファン」店長さんの写真だってのが如何にもモデグラだ(笑)
ワンフェス当日会場で黙々と製作されていた中村桜さんの三式中戦車も堂々完成、カラーリングはガイアノーツのワンオフスペシャル調合カラーでってなんかスゴイことになってます(当日は人だかりがすごくて近づけなかったんで、実は詳細を知らなかった)。タミヤのJS-2を始め基本は素組の作例なので、映像に出てきた戦車そのものを考証されてるディープな層には若干食い足りない面があるかもしれませんがラジコン化されたヘッツアーやディフォルメ秋山優花里などの見どころもいろいろです。しかしこの秋山殿、「ガルパン」ちゅーよか「わたおに」みたいなのはその…まあ趣味の問題ではあり。
モノクロページの内容が濃ゆいのは前回特集同様で、各戦車の内部設定画が数多く掲載されています。ルノーB1bisの内部構造がここまで詳しく描いてあるなんて、日本の出版刊行物では初めての快挙ではなかろうか。そしてポルシェティーガーインテリアの「内部はほぼ推定です」の断り書きにはさもありなん。スーパーバイザー鈴木孝昭氏のインタビューからは「アニメのメカ」を「プラモデルとして楽しむ」ことの様々な方向性を考えさせられます。今回掲載されているのもあくまで一例と考えていいのでしょうね。
タイミング的に今回もまたプラッツ発の公式キットは掲載も追加情報もなく、やはり「更にこの次」を求めたくなるのは自然なことでしょう。コンテスト発表号がどんな内容になるのかいまからちょっと楽しみですね。
概ね今回の内容には称賛を以て迎えたいところなのですが、唯一苦言を呈するならば、これだけガルパンデカールとタイアップした内容なのですから、カラーとは言わずせめてモノクロページでも、個々のデカールの用途を解説するページがあってもよかったのではないかと。特に今号は本誌+デカールのセット直販まで行われていたのですからね…
やらない事情もなんとなく見当が付くので、あまり声高には主張しませんが。
今回の作例でもっとも魂にヒットしたのはフジミのティレルP34、ファーストナショナルシティバンクカラーの1977年仕様です。ページをめくって目に飛び込んできたシャーシ―内部の作り込みに「これ1/12じゃなくて!?」と驚かされた、もちろん1/20スケールの徹底ディティールアップ。P34の1977年仕様は人類史に残るカッコイイ自動車で、現在のF1には無い力強さに溢れていますね!リザルトがパッとしなかったことはこの際置いといて。
ニューキットレビューではMGトールギス、HGUCジェスタキャオンが製作されています。OZ系モビルスーツ特有の構造を持つトールギス各部の表現や、設定と同様に以前製作されたジェスタに追加兵装を搭載して行く様が興味深いところです。
同じくバンダイ新作、ヤマト2199からコスモゼロ。古代進のα1と山本玲のα2をエアブラシによるグレー塗装/筆塗りによるシルバー仕上げの2種で競作。メカデザイン担当玉森順一郎氏のコメントも寄せられ見どころ多い記事内容に敢えてα2だけを載せてみたのはぼくが玲ちゃん好きだからです。別に嫁にしようとは思わんが。むしろ踏まれた(え
このほかスケール物のキットレビューではアカデミーの1/48F-4Bファントム、フジミの1/700最上、ピットロードとブロンコで1/350日中現用潜水艦、「ゆうしお」と「ユアン級」などが掲載されています。ゆうしお級は「現用」ではないのですが、どうにも上手い言葉が見つからないのです…
マシーネンのページでは松本州平先生によるSAFS三次曲面への手描きローゼンジパターンが洒落にならないほどスゴイ。第一次世界大戦の代表的なドイツ機迷彩塗装であるローゼンジパターンも、最近では良いデカールが増えてハードルを下げていてくれますが、ベテランならではの巧みな技には刮目するところ大であります。しかし州平先生ってば昔のHJ誌でイラストに描かれてたころとちっとも印象が変わってませんなー。
と、モデグラ今月号の内容はだいたいこんなところでありますが、もうひとつ大きな話題が。
滝沢聖峰「ばら物語」、堂々の完結です。いやあ長かった、歴代のMG掲載マンガの中でもいちばんの大河連載じゃないかしら。ルカ中尉がいまわの際に思い出す「ここが天国だ」の見開きページは実に感動的なクライマックス。しかしページの右下の方にしか目が行かないのは、自分が俗物過ぎるからであろうな…