新紀元社「スケールモデルファン Vol.11」

f:id:HueyAndDewey:20131009083231j:image

特集は「戦車模型“2個イチ”改造術」。「ニコイチ」という言葉は模型業界では様々なニュアンスで使われる単語なのですが今回は

特に趣味に理解のないご家族から

「いまある在庫を2個作ったら新しいプラモデルを1個買ってよい」

などと申し渡されている戦車モデラー諸氏への、福音のような内容です。これでもう怪しげな私立探偵から

「お前の積みを数えろ」

と強要されるいわれもありません。

f:id:HueyAndDewey:20131009083232j:image

戦車模型も近年はどんどんマニアックな製品展開が進んでいて、ひと昔前でしたら改造やフルスクラッチで注目を浴びたようなユニークな車両も既に複数メーカーからインジェクションキットがリリースされてるこのご時世。そんな時代にあって未だ立体化の機会のない車両、自分だけのモデルを生み出すための、ニコイチはひとつの方法論です。

f:id:HueyAndDewey:20131009083233j:image

2つのキットから1つの新しい作品を生み出すために、多くの記事では砲塔のすげ替えという手法を用いています。キットAの車体にキットBの砲塔を乗せる、割とハードルの低い、それでいて差異の判別しやすい手法ですね。例え簡単な技法であっても出来上がるのは(このご時世でもキット化に恵まれない)実物が一両しかない試作車両やそもそもカタチにすらなっていない計画車両など、戦車模型の冥府魔道へ一直線なところもなかなかにスリリング。

f:id:HueyAndDewey:20131009083234j:image

製作記事の本文内容としては砲塔リングの加工方法がいちばんのキモとなります。さまざまな凹凸のパターンに合わせた切り貼りやいったんリング部分を埋めて新規にセンター出しと開口など、地味ながらも精度を要求される手順は、普段キットのストレート組みだけで済ませている方にも、技術のレベルアップを量れるものかもしれません。

f:id:HueyAndDewey:20131009083235j:image

同一メーカーならばいざ知らず、キットの開発年代に数十年の開きがある異なるメーカーの製品を同じグレードの質感・ディティールで仕上げる作業は大きな達成感を得られるものでしょう。

f:id:HueyAndDewey:20131009083236j:image

そこにはメーカーが意図的にか無意識的にか見落としているバリエーションの穴、ミッシングリングを埋めていく楽しみも存在します。とはいえあんまり微妙過ぎるとニコイチしたことに誰にも気づいてもらえなさそうな諸刃の剣でもあり、なかなかに奥の深い落とし所をもつものです。

f:id:HueyAndDewey:20131009083237j:image

f:id:HueyAndDewey:20131009083238j:image

単純な砲塔すげかえだけではなく、自作パーツを用いての、いわゆるセミスクラッチに近いところまで深度はいろいろ、間口も様々にひろがるニコイチの世界は、既存のキットとは一味違った完成品をコンテストや展示会戦線に送り込みたい方にはうってつけの、それでなくても自身のコレクションにユニークな車両を並べたい方にも必読の内容と言えるでしょう。

f:id:HueyAndDewey:20131009083239j:image

作例記事に挙げられているもの以外にも、世界の戦車開発史は未だにキット化の陽の目を見ないマイナー車両がいくつもあります。特に中東方面や英国面などはすばらしい花園。美しい泥沼のような魔改造の世界が、貴方を待っています…

ところで今回の特集では二つのキットから車体と砲塔をそれぞれ持ちよるような記事が多く提示されていますけれど、二つのキットで余る方の砲塔と車体をどうするかについては特に触れられていません。

フムン。

…あたらしいキットをもうふたつ買ってくればいいんじゃないかな? こうして宇宙のエントロピーは増大していくのです。

次のニュースです。本日防衛省は陸上自衛隊の新型車両「機動戦闘車」試作車両を初公開しました。


D

(公式PR動画をアス比修正版に変更)

ニコイチしよう!

いや、もちろん96式装輪装甲車に10式の砲塔載せても機動戦闘車にはならんのですが、最初の3人ぐらいはダマくらかすことが出来そうで……

あれ、でも待てよ。砲塔をアオシマの1/48リモコンからもってくれば5人ぐらいダマせそうじゃないか!?

あわせて読みたい