海洋堂「特撮リボルテック:ガイガン」

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バンダイゴジラアクトの発表で平成ゴジラシリーズに再びスポットがあたるなか本日は1972年製作東宝映画「地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン」よりサイボーグ怪獣ガイガンのレビューであります。まだルパン三世の服が青かった頃の時代で、テラ昭和な怪獣。

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通り名はいろいろ変遷してるそうなんですが、「サイボーグ怪獣」がいちばんしっくり来る気がします。たぶん、はじめて目にした怪獣図鑑で既にそのフォーマットが出来あがっていたんじゃないかな。

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プロポーションはスマートに造型されています。ゴジラ怪獣でデザインに具体的なモチーフが存在しないというのはかなり珍しい存在で、この時代は東宝の怪獣って生物無生物を問わず大抵なんらかのモノがデザインの規範になってたものです。例えばヘドロがモチーフとかですね。(ガバラはカエルだと聞いた覚えがある)

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なにしろ第二次怪獣ブーム真っ只中の時期でしたから「トゲトゲでヒレヒレなら全部怪獣」という意識が、本当に頭のてっぺんからつま先までビシビシ溢れだしてます。テレビも含めてこの時代の怪獣って稀に下品な色合いに堕した物がある中で、メタリックグリーンで仕上げてるのは流石だなと思う。ファナルウォーズ版のガイガンがちとアレだったのは主にカラーリングの問題なんだろうなー

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口は大きく開閉、左右の牙(クワガタムシの大アゴ風?)もリボジョイントで展開。

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赤い単眼部分も非常に美しい仕上がりで「サイボーグ怪獣」に相応しい面構えです。ふと映画「ターミネーター」でシュワルツェネッガーが掛けてたガーゴイル(だっけ?)のグラサンを思い出す凶悪さで「サングラスを掛けてるヤツは全員不良」って時代の産物なんだと思う三丁目の夕日。

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主力武器の回転ジェットカッターは回転しません。そうだよな、製品解説には書いてないけど「回転ジェットカッター」って呼んでたよな。ここんところが可動するガイガンのトイって見たこと無いです。大体映画本編で動いてたかしら。そもそも何が「ジェット」だったのかしら。嗚呼、忘却とは忘れ去ること也。

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三枚の羽は尻尾とともに軟質樹脂で成型されてます。「羽が三枚」というのも非生物的な記号で、「一つ目」「カギ爪」とともにガイガンを通常の生物らしからぬ「宇宙怪獣」にしている重要な要素。メシを食って排泄するというような、生物としてのライフサイクルを感じない無機質さ、ですかね。

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飛行姿勢を取ることも可能。実際劇中で飛行する際には羽を後方にたたんで高速で疾駆するようなスタイルだったらしいのですけど。

「ゴジラ対ガイガン」、そのむかしテレビで放映されたのを確かに見た記憶はあるんですけど「宇宙空間をマッハ400で飛行しています!」って防衛軍の台詞があって子供心に「真空中でマッハはねーよ」と嫌なツッコミした印象しか残って無い。俺の昭和はやさぐれていますw

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付属品は工業地帯のストラクチャーで一部を破壊された状態にも出来ます。映画本編ではハンター星雲M星人が作った「ゴジラタワー」という装置が登場してましたけど、アレ付けられるより汎用性の高いオマケで、なにかと遊べるんじゃないかな。

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銀一色の塗装が如何にも高度経済成長期の臨海工業地帯のようで、70年代はウルトラシリーズでもこういうのをボッコンボッコン破壊してたもんです…。

やがて80年代を経て平成にいたるとゴジラ映画ではバブル建築をドカスカぶっ壊していったけれども、さて東京スカイツリーはだれが最初にへし折るんでショ?

それが「怪獣」である必然も今は無いと思いますけど。

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ひと通り全部並べてみますといささか物足りなさも無くは無いんですけど、その荒涼さも含めていまひとつ貧乏臭いのが第二次怪獣ブームと言ったところか。

如何に強力なライバル怪獣とはいえ所詮はゴキブリの手下なのさ…

でも海洋堂特撮リボルテック、東宝特撮シリーズアイテムで初めて同一作品に登場した怪獣を並べられます。

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それは紹介の機会を逸してしたアンギラスさんです!わーぱちぱち。「怪獣総進撃」に登場した二代目アンギラスはその後ゴジラのよき相棒としてスクリーンに登場しました。

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地味だけどな。

光線技も無ければ空も飛ばないアンギラスが、さてどういう活躍をしていたのかまったく思い出せない!「VSガイガン」にはメーサー車も登場している(特リボではイベント限定品で発売)けど、そっちもまったく記憶に無い!!

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まーこの時代のゴジラ映画というのは要するにプロレス、しかも怪獣同士がどつき合うだけじゃなくて、ブックが出来てて誰が勝つか最初から決まってるという意味でのプロレスつまりヤオみてーなもんなので、アンギラスさんの役どころは新外人にボコられるベテラン咬ませイヌのポジションで間違いないハズである。怪獣ランドで飼育されてるヤツはダメだな!

考えてみるとガイガンさんはタッグパートナーに恵まれませんでしたな。初来日の折は全盛期を過ぎたキングギドラさんで周囲の扱いが微妙に落ち着かない。さりとて二度目のときには「深海から来たカブトムシ」という胡散臭いにも程があるメガロくんと組んでてこれもねー。

一度でいいからニューフェイスのメカゴジラと組んで存分に暴れまわるガイガンさんを見たかったものですハイ。


D

そうそう、この映画ゴジラがしゃべるんだよな。ここだけ見ると唐突だけれど、人間の主人公が「売れないマンガ家」だからこその演出…だったよーな。

そしてカッター動いてますよ!動いてますよカッター!なんつー地味なワザだよ!!

年寄りはよく「昔は良かった」なんて言いますけれど、大抵の場合それは単なる美化作用だと思われます。昭和万歳。

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…ところでハイレグカットは昭和のレースクイーンみたいで怪獣相手にハァハァ

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