MAX Factory「1/72 コンバットアーマー ダグラム」

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COMBAT ARMORS MAX第一弾にしてMAXファクトリー初のインジェクションキット、「太陽の牙ダグラム」よりデロイア解放軍コンバットアーマーダグラムです。いやまったく、このご時勢にダグラムの新作キットが組めるとは、長生きもするものですな。


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イベント限定などのレジンキットではいくつか立体化もあったと思いますが、一般流通品としては海洋堂の初期リボルテック以来かと思います。ほぼ同時期かつ同一メーカーからプラモデルが発売されていたものとしてボトムズと対比的に語られることも多い作品ですが、長年様々なアレンジやそれを通じての公約数が形成されてきたAT各機に比べると、コンバットアーマーに広がる余地は大きなものかな。


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スナップフィットにほぼ劇中通りの成形色・分割からなる、現代の水準によるプラスチックモデル。旧キットは再販されるたびに直ぐに品切れになっていましたから、このキットから始まる新しいシリーズが安定して展開されることを望みます。

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「太陽の牙ダグラム」は1981年に放送された日本サンライズ(当時)製作のロボットアニメで、ガンダムに始まる折からのプラモデルブームを受けて大きくヒットし、サンライズアニメでも例のない6クール全75話に渡って放送されました。通しで見ると30時間以上の大長編でなかなか手を出し難い作品ですが、劇場版「ドキュメント 太陽の牙ダグラム」ならば80分で済みますし話も大体わかるので、今から接するならばそっちのほうがいいかも知れません。

あ、禁固30年の刑を喰らったザルツェフ少佐は去年出所してるぢゃないか!お勤めご苦労様です!!

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キャノピー枠は一部塗装されています。コトブキヤの製品にちょっと似た印象を受けます。

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パーツ構成から受けるのは手堅い印象なのですが、ポリキャップの枠はちょっと変わっていてPC1×2、PC2×1の三枚が封入されています。組み終えてみるといくつか余剰が出て、おそらくシリーズ次回のソルティックなどは1+1枚で収まる設計なんだろうなーと、なんとなく推察。

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水転写デカール付属。タカラの旧キットもデカールは潤沢に使用していたように記憶しています。今のキャラクターモデル事情とはちょっと違って、ユーザーに背伸びを促していたようにも思います。なにしろ元のテレビ番組が「人権運動から始まる植民地の独立闘争がやがて形骸化され精神的指導者を失い現実の前には理想も希望も中途半端に挫折するけどひとはまだ前向きに進む」みたいなお話を平日夕方にやってましたから、背伸びどころの話じゃないよなこれ(笑)

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ダグラムの頭部は戦闘ヘリコプターを模したような形状をしています。キットには合計三個のキャノピーパーツが付属しますが、うち可動式パーツのみフレーム塗装が施されています。

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パネルラインなどのモールドは極端なアレンジを加えることなく、設定画のラインをそのままトレースしたようなディティールを有しています。対して全体のプロポーションにはかなり現代的なアレンジが加算されていて、そこは意見の分かれるところかもしれません。以前MAXファクトリーがボトムズのソフビキットを出していたときはプロポーションは変えずにディティール追加でアレンジしていたものですが、あれとは正反対なスタイルですか(取説にはデザイン画も掲載されています)

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パイロットフィギュアで入っているクリン君の出来が非常に宜しいものです。スナップフィットとはいえ一部は接着推奨、このフィギュアパーツがまさにそれなのですが、強引にスナップでやるよりパーツ形状優先でイイ感じに座ってくれます。

しかしなんですな、デロイア人民解放戦線といいボトムズのビーラーゲリラといい、当時の関係者はベトコン大好きなんだなあって今更言うことでもないのでしょうが、「ゲリラ」って言葉にかろうじてロマンが残っていた最後の時代なのかも知れません……

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コックピットの窮屈さではATにひけをとらないダグラム、計器盤はデカール貼ってみたけど全然見えませんねううむ。

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キャノピータイプは可動式を選んでみました。頭頂部のハッチは開閉選択式(この箇所も可動式用のパーツはフレーム塗装されています)、センサーターレットは固定ですが両サイドのスモークディスチャージャーはポリキャップで可動。ここを動かす意味は何かといえば、おそらくは9連装ミサイルポッドを装着したいわゆる「ヤクトダグラム」への換装を考えてるんだろうなー

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やはり初のインジェクション、初のスナップフィットということでいくつか勘合のキツイ箇所もみられます。胴体部分A1・A2にポリキャップを挟む工程ではPC2Cパーツのベロを若干切り詰める必要がありました。頭部の受けとなるA18パーツが戦車の砲塔バスケットみたいな形状をしてるのが面白くて、戦車の砲塔を乗せてみたくなる。あいにく手元に合うのが無かったけれど、タイガーとかパンサーとか使えばってそれはザ・アニメージだからやめとけ。デモチョットヤリタイ

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腕部の基本構成はこのようになります。いわゆる「大河原曲げ」が出来るのは本キットの大きなセールスポイントの一つ。個々の構成要素を見てみると決して複雑なことは成さずに簡単な構造で、むしろアイデアの領域で工夫している様子が伺えます。肘関節を上腕に設け、上腕自体も回転軸を有する。文字にするとこれだけなんだけど、実に画期的だ。

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肩アーマーの取り付けボルトは可動軸ですが、下腕アーマーのそれはダミーです。下腕部アーマーが直接腕部に固定されているのは昔のキットもそうなんだけど、デザインに流されてボルト位置に関節を設けなかったことが一番のアイデアなのだろうと、私見ながらに。

ハンドパーツは両腕とも握り手と平手が付属、そして主力兵装リニアガンが直接マウントされるのでいわゆる「銃の持ち手」が無い代わりに左腕用に「リニアカノンの砲身握り手」があります。腕でガチャコンと砲身握り降ろすのはいかにもプリミティブですが、ダグラムの力強さをアピールする演出。

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こうして見ると頭部は無機的ですが胴体や腕には有機的な(人体的な)ラインを有するのが改めて見て取れます。ガンダムとボトムズの中間に存在する形状……ですね。特に胸部のボリュームがここまで大きなものになるとは意外でした。高雄型巡洋艦みたいだ(えっ)

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脚部の構造は大腿部も膝関節も比較的オーソドックスなロボットプラモのそれですけれど、足首部分は足の甲と「スリッパ」を独立させていてよく動きます。

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非常に高い接地性を持っていて、この時代の大河原メカを立体化する際に重要なのは「重量感」を備えることだと、そのためには機体を地面にしっかり立たせることが大事なのだと、ツボを押さえた設計です。重量感と重量を履き違えると必要もないオモリを入れてくるので注意だー。

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下半身、股関節部分がスカートではなくパンツ形状であった最後のロボかもしれません。男性的なのにスカート履いてる「リアルロボ」はみな男の娘か。そんなことはないか。グラマラスな胸のラインとおパンツ的な腰まわりの形状から「コンバットアーマー少女」ってどうよとか思ったけれど脚が四本とか六本とか二本だけど手が生えてないとかヤバイのしか浮かんでこないので即座に却下でござる。

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ターボザックとリニアキャノン。ダグラムの主砲はレールガンやプラズマ砲に準ずる電磁誘導砲なのですが、これをしてリニア○○と呼ぶのは言ってみれば誤解、誤用の類です。世の中大抵の銃器は線形(リニア)加速されるものだしなと、それもいささか牽強付会ではあるのかな。ターボザックはこの時期大流行だった外付大型ランドセルですが、特にここからバーニア吹かすものでなく、あくまで機体出力を増加させ安定した運転を持続させるためのオプションなのが独特で面白いところ。

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全体的なプロポーションはスマートにアレンジされたものです。いかにもイマドキなスタイルですが、それでも昔のラインから外れすぎることもなくオリジナルを尊重する姿勢は十分伺えます。頭部だけはもう少し大き目な方が自然だろうとは思いますけどどうでしょうか。次のソルティックは頭部のバランスを大きく取ったデザインで対照的ではあります。

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今回外装のデカールは使用しませんでしたが、それを使えば全身各所のポイントを押さえて緊張感(?)を付加してくれると思われます。成形色でほぼ塗り分けられているのでそれを活かした(MAX渡辺氏も推奨する)コピックや水性色鉛筆を使用したウェザリングがよく似合うでしょう。ダグラムについて詳しくないという方でも、むしろそういう方々にこそ、何の前提や思い入れが無くとも十分楽しめるプラモデルかと思われます。

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ガンダムやボトムズと違って文字的な設定、記述資料が少ないのは却って自由なモデリングを可能にするものかもしれません。放送当時「デュアルマガジン」誌に掲載された記事やイラストが「公式」の扱いではありますが、あれらにしても編集担当のオリジナル設定みたいな面も多々ありますから、ね(いや面白い記事多かったんでどこかでまとめたら面白いんですけどね。コンバットアーマー開発史とかラコック補佐官インタビューとか)

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初期の話数ではターボザック未装着でした。ソルティックとからませて情景作るならばそのあたりを考慮しても面白いかもしれません。いろいろと記憶をたどると、とにかくダグラムって頑丈だったなー。クリンの腕前とか機体性能よりも装甲強度が圧倒的なアドバンテージだった気がする(笑)デザートガンナーとか24部隊とかどんな強敵も翌週には倒されるとかもナー。

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「太陽の牙ダグラム」はコンバットアーマーを始めとする番組内の各種兵器に当初から形式番号が設定されている「リアル」ロボットアニメのはしりのような存在ですが、ワンオフ機のダグラムには特に形式も番号も振られていません。本編におけるダグラムのスーパーロボットそこのけの活躍は、そのあたりにも由来しているのかな?「リアル」というキーワードが地味と同義語のように解釈されたり主人公の立場がストーリーの根幹から外れていたりで放送当時「ロボットがいなくても話が成立する」と批判されたのは確かにその通りなんだけど、世の中大抵のロボットアニメは別にロボットでなくても話は成立するので、むしろ批判した側こそ無理解を非難されるべきじゃあるまいかと、それはプラモと関係ない話ですけどね。

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個人的にはタカラのクラッシャージョウシリーズ「オストール」を並べて「サンダー断層の決戦」ごっこをさせたいものである。VF-1Sバトロイドはウェーブのキットがあるし、あとはグラージとVF-1Aアーマードバルキリーがあれば良しってそれはもうダグラムとも関係が無い。

「バトルテック」のこの辺の話を知ってるひとも、そろそろ少ないんだろうなぁ……

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前回レビューしたウェーブのラビタコと並べてみます。ほぼ同じ時期、同じような出自のメカを、いま同じように新作キットとして手にいられることの歓びたるや上手く言葉になりません。その同じような存在が、プラモデルとしてはまったく別個の製品として設計されてるところ両方組み立てればわかる面白さでもあり。

しかし鼻水たらしてボンボン読んでたガキに「21世紀にはダグラムとボトムズの新作プラモが発売されるぞ」って言っても信じてくれないだろうなー「パーフェクトガンダムがテレビに出てくる」とか言ってもね(笑)

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