MENG「中東地域の民間人」
MENGモデルのフィギュアモデル「ヒューマンシリーズ」001の製品です。アジアの新興模型メーカーの中でも独特のラインナップで知られるMENGモデルらしく、フィギュア製品第一弾も実にユニークなものでした。
ボックス裏面が組み立て説明書となる、ごく一般的な製品パッケージ。塗装見本は特に掲載が無いのでボックスアートとカラーリング指示を参考に。とはいえ民間人のモデルですから、あんまり厳密にやる物でもありませんね。
パーツは1ランナーのみのシンプルなものです。同社の武装ピックアップトラック、いわゆる「テクニカル」との組み合わせが主体となるようなフィギュアですが、軍人ではないので銃器などの細かな装備品が付属せずとも問題なく成立するのは巧いアイテム選択です。
インジェクションではなかなか見かけない(といっても近年は随分増えたように思います)、彫りの浅い子供や女性の立体化。しばしばボトルネックとなる成人女性の表情が「そもそも見えない」のは意図的なんだろうか(笑)
衣服のモールドは立体感あふれる自然なものです。特にスカート部分のシワが好印象。
フィギュアモデルにスライド金型を使用するのも昨今それほど珍しいことでもないのですが、こういう使い方は初めて目にしたような気がします。面白いポイントです。
明確に記載されてはいないのですが四人家族の「父親」と見てよいでしょう。イスラム圏の男性は髭をたくわえることがならわしなので、モールドを活かした髭の塗り分けが見せどころ。フィールドジャケットのスタイルはAKでも持たせれば「民兵」的な使い方も出来そうですが、それはちょっと悲しい。
イラストからは妹のような印象を受けたのですがどうやらこちらは「姉」らしい。子供とはいえ頭髪はスカーフで隠されています。頭の上に荷物(袋)を乗せているのは運搬よりは防護的な意味合いからでしょうか。
こちら「弟」くんです。マスターボックスの彼よりは幸福そうに見える…のは周りの大人の問題か。各部パーツの合わせはどのフィギュアとも良好なのですが、この個体の脚部だけは不自然な位置に合わせ目が来ているのでここはしっかり埋めた方がよいでしょう。
「母親」は戒律に従った服装、おそらくは「チャドル」や「アバヤ」と呼ばれる種類の長衣を着用しています(Wikipedia「イスラム圏の女性の服装」項目を参照)。あまり詳しくはないのですが、ボックスアートや塗装指示ともにフラットブラックとなっているのでモデラー諸氏も従うべきでしょう。
現代のイラクやアフガニスタンの人々をモチーフにしたアイテムだと思われますが、広く一般的に中東地域の民間人として用いることが出来るでしょう。などと簡単に言ってしまうのはたぶん乱暴な話で、本当は時代や地域ごとに細かな違いがあるはずですよねとなんだか自分の不明に気づかされる思いだ……