Xact Scale Models のタイガー装甲車
イグザクト、と読むのが発音としては正しいのですがXactと書いた方がずっと格好良いXact Scale Modelsのタイガー装甲車、発売前に代理店様からご提供いただいたサンプルを使用しています。
今回製作しているのはテストショットにつき正規の製品とは一部異なる箇所があること、まだ正式な製品名・価格等も決定していないことなどいくつか注意点があることをあらかじめご了承ください。
同一車種は既にMENGモデルの製品がリリースされています。同一車種とはいえXactの製品はMENGのそれとはまったく異なる設計で、両メーカーの製品開発・設計思想の違いを如実に反映するものでしょう。参考までに以前組んだMENG版タイガーのレビューがこちらになります。
一体化を進めていたMENGに比べてXactのタイガーは細々とした分割が多く一層実物に寄せたプラモデルだといえましょうか。小さなパーツが多い分ランナーの枠も小柄で切り出し作業は比較的容易(大きなランナーから小さなパーツを切り出すのはそれなりに手間で、紛失事故の元でもあります)に済ませられました。
分割が進めばパーツ総数も多く、この辺はお値段に跳ね返っちゃうかな……と、いささか危惧もしたり。
その分じっくり腰をすえて取り組むのに適した製品内容といえましょう。
H/Iランナーはそれぞれ2枚入り。
クリアーパーツはKランナーが2枚入っています。
タイヤは彫りの深いモールドのものがよっつでアレ?
……スペアタイアの分が無かった(´・ω・`)
正規の製品ではもちろん5つ入っているでしょう。また今回のサンプルには同梱されていませんでしたが、取説の製作工程を見るとエッチングが付属するのは間違いないようです。わからないのはデカールで、さてMENG版で話題になった室内の迷彩模様はどうするんでしょうねXact版ではね。
Xact版タイガーの最大の特徴はエンジンを再現しているところでしょうか、MENG組んだときにいささか寂しい思いをしたのも確かなので、これは喜ばれる方も多いかと。
車体側面の収納部分も扉の開閉・内部までを再現。また前後の乗降ドア以外に側面ウインドウも開閉選択式となります。
組み立て易さよりは再現性に重きを置いた、ある意味実直な設計だといえるでしょうか。それだけ組み立てには手間も掛かりますが……。また輸送中のダメージでいくつかパーツが破損していました。サンプル版ではプラの品質が正規版とは異なるのでしょうが、正規版でも小さなパーツの扱いに注意を払う必要はあるでしょう。
パーツの合いは良好です。手間ががかるのはひとえにパーツ数が多いのと、いまひとつ取説の編集が宜しくないかと。取説についても今回はまだプリントアウトをクリアファイルにまとめた仮のものだったので正規版では改善されているかも知れませんが、いまひとつパーツ取り付けの位置関係や角度等に悩むところもありました。
ラダーフレームやミッションケースの組み立ては地道な作業の積み重ね、お好みの作業BGMでも流して進めて行きましょう。
アンダープレートなどはここから更にエッチングが加わるようです。素材の品質については同社のT-80Uが参考になるでしょうか、これもXact初のアイテムだったのでここから向上させてくるかな?
タイヤホイールは同一のようでI5とI4の異なるナンバーのパーツを使っています。しかしナンバーこそ異なれ形状自体はどうみても一緒。このように違うナンバーでも形状が同じパーツがいくつか散見されました。タイヤホイールに関しては前後ではなく左右で異なるホイールを装着する指示なんですけど、それもなんかヘンだよな。
パーツ表記に関しては明らかな誤植もあったのですが、上記したように取説そのものが仮の印刷物ですからそれは指摘せずに起きます。ただ組み立ての手順に関しては取説の通りに進めると組み難くなるところ、組めなくなるところがあったのはちゃんと修正されるのかなーうーむ。
エンジンはカミンズB205ターボディーゼルとのことで、ロシア国産の装甲車といっても西側の血が混じってますね。ロシアと欧米圏とが密接に関連している現代の世界情勢の一端を、こんなところに見ることが出来る!のかなあ。
エンジンの取り付けには問題が無かったんですけれど、エンジンを取り付けたあとで前後のドライブシャフトをラダーフレームを潜らせてミッションケースに伸ばすのは苦行。というかちと無理。これエンジンと一緒に調整しつつ取り付けるべきでしょう。後部はともかく前方は真っ直ぐ刺せなかったんで ち ょ っ と 適当に誤魔化す。おかげで裏側見せられなくなってしまったorz
2+4の座席を持つ内装はMENG版と同様のもの。バリエーションいろいろある車両ですから少しぐらいは製品内容を変えても、変えたほうがユーザーや市場に好意をもって受け入れられそうなものですが、なかなかそうもいかない事情もあるのだろうなあ。
しかし同一モデルとはいえXact版ではそれぞれのシートの座面と背もたれを別パーツ化していて起倒の調整が可能です。より一層精密な仕様ということです。
エンジンと排気管周りの密度感は非常によいものが感じられます。装軌車両より装輪車両、それも比較的市販車両に似通った外観を持つ車両であればこそ、エンジンルームを見たくなるものでしょう。
室内灯などはクリアーパーツ化されています。この部分に関してもMENGの処置と同様ですけれど、
天板部分が別パーツ化されているので作業も進めやすい。先にMENGのキットを見て、そこから進化させたような配慮も感じます。
ここで一件おわびを。キャビン前方両端のプレートは切り落としてひと回り小ぶりのものに付け替える指示が本当はありました。しかしここまで来るまで予想以上に手間取ったので申し訳ないですがそれは割愛すいませんm(_ _)m でもなんでまたそんな処理になってるんでしょうね?このボディパーツを使ってバリエーション展開する計画が何かあるのかしらん。
ボディは下端がすぼまっていることもあり、シャーシーへの取り付けはかなり 強 引 です。MENGのときはスポンとハマった記憶がありますがこちらはくぱぁというか
ひぎぃ
というくらいにえ、ちょっと大丈夫なのこれといささか不安になる程度にチカラワザで開いてハメる。なにか間違ってた気もするが、本当にこれでよかったのだろうか……
ドアや窓は閉じてしまいましたがサイドの収納部は扉を開けてみました。ちょっとしたアクセントです。スペアタイアのフレームは開閉選択式。テンション掛かってるんで未接着のまま可動出来なくもなさそう。
ボンネットはボディを取り付けた後で差し込むように指示されていますが、この手順では絶対無理です。ステイとなるI38パーツを一部削って強引に差し込みましたが、正しく取り付けるならば先にエンジンルームに被せてそれをボディで押さえるような順番が良いでしょう。なおフロントマスクとボンネット上の開口部はエッチングの、おそらくはメッシュ状のパーツを取り付けるようですね。
PK機関銃とAGS-17自動擲弾銃の装備もMENG版と同一。なんかこー、もうちょっとヒネリがですね、ないものかなあと。中国の模型ファンはどう思っているでしょうかねいまの現状。
最後はいささか駆け足になりましたが一応の完成です。XactとMENG、両者を組んでみた感想としては精密さではXact、組み立て易さではMENGに軍配を上げることができるでしょういやそれ組まんでもわかるとか言われるとミもフタも無いが。Xactの方が優れている箇所があり、MENGの処置の方が秀逸と感じる箇所があります。一長一短、しかし長くない方だって決して短いわけではないのですよ?
ところでこのキット、MENG版にあった大型ロッドアンテナは付属してません。MENG版の場合アンテナつけても室内の無線機が増設されていないのを不自然に感じたものですから、たぶんこれで正解なんでしょうね。
屋根を接着せずにいれば完成後も室内を見ることが可能です。インテリアのさらなるディティールアップやフィギュアの配置など、模型としての魅せ方、表現自由度の高さでは明確にXactが上か。ボンネットは本来普通に組んでも可動が楽しめるのですが、今回は前述の事情で取り外すスタイルで。