文林堂「零式艦上戦闘機 」

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世界の傑作機スペシャルエディション第六弾は太平洋戦争の日本機の代名詞とも言える零戦を扱っています。

「世界の傑作機」通常シリーズではNo.55、56が零戦本ですが現在は二冊も絶版品切れ。本書は両者を合本したような内容と言えましょうか。

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実際に数えた事こそありませんが、零式艦上戦闘機は凡そ日本の航空機の中でも最も関連書籍が多い存在でありましょう。機体の解説や戦歴など様々な観点からの「零戦本」が飛び交う中、本書内容の際立った特徴といえば試作機である十二試艦戦から最終生産型の六二/六三型まですべての形式を網羅した莫大なフォトの数々でしょう。掲載したのは富士山をバックに飛翔する一一型(零式一号艦戦一型)と終戦後にブーゲンビル島で接収される二二型。

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有名なものから珍しいものまで様々な写真が掲載されています。零戦と言えば濃緑色のイメージが強いかと思いますが(映画「パールハーバー」とか)、初期の塗装色の時代の方が明るい雰囲気で見ていて落ち着きます。光線の具合や退色の程度によって様々な色合いで記録されているカラーだと言うことがこの2枚比べてもわかるかな?どうも古いままな人なので「明灰白色」のほうが落ち着くんだ、これが。

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勇壮な活躍ばかりではなく、撃破され廃棄された機体の写真も多く、それら連合軍による撮影の方が日本側の記録よりも明らかに質のよいフィルムが用いられているのは皮肉な事かも知れません。

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英国面に堕ちた(笑)機体や全ての塗装を剥がされて機体表面がむき出しになったものなど、連合軍の調査機体には見慣れた零戦のイメージとは随分違ってある種のショックを受けるような物も。このあたり直接的なモデリング資料という訳ではないのですが模型栄えしそうなアイデアの源泉にはなりそう。

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巻頭のカラーグラビアは現存する飛行可能な状態にレストアされた機体が主ですが、戦時中にカラーで撮影された鹵獲機体も掲載されています。近年ではロシア航空産業によるリバース・エンジニアリングも行われていて、世界中の航空ファンを楽しませてくれているのです。ああ、平和っていいなあ。

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写真にくらべると解説記事のボリュームは少なめですが「栄発動機論考」や「世界の最先端をいった零戦の技術開発」は読み応えのある内容です。

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二式水戦がキスカ島で荒波にもまれる姿などは是非SWEETの新製品で見てみたいものですね。

そしてずぶ濡れNASAちゃんとゆーのも、ちょっと見てみたい…

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