プラッツ「1/72 ロッキード T-33 シューティングスター 」

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プラッツ製ジェット練習機のインジェクションキットです。ホビーショーでプラッツブースを訪れたことがある方ならご存じでしょうが多彩なラインナップを誇る同社の製品・輸入品の中でも「αCMa」のブランドで展開する航空機のシリーズ。

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実機はP-80シューティングスター戦闘機から派生したバリエーションなのですが、日本の模型市場を考えたらこの練習機型T-33の方がずっと有名でしょう。航空自衛隊では2000年を最後に既に全機退役済みですが、むかしはよく飛んでるのを見かけたものです。いまではT-4が後継機で、よく見かけます。

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初めて製品アナウンスに接した時には今更なんでこんな機体を?と疑問も抱いたものですが、例え古い機体でも今の技術で作れば十分魅力溢れるプラモデルとなるものですね。実際に箱開けてみて再認識しました。

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ジェット戦闘機が元とはいえ黎明期の機体なので、サイズ的にはちょっと大きめの大戦レシプロ機ぐらい。

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計器盤はパーツに彫刻表現されています(デカールもあります)

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デカールはボックスアートになっている第8航空団築城基地開設50周年のスペシャル・マーキング機をはじめとして4パターンの機番、部隊章やコーションマークもたっぷり入ってるのはいいんですけど、機番「91-5406」のひとつが別紙になってるのはワザとなのか版下ミスなのか…

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パネルラインなどは全て綺麗な凹モールド。T-33に限らずこの世代のジェット機は既存の製品大抵古めかしいものですから、今の時代にこのグレードで入手できるのは考えてみれば貴重なことです。

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機体後半部分には桁材がモールドされています。完成すると見えなくなっちゃう箇所ですけれど、こういう拘りは好きです。コックピット後方の防火壁にも注意。

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パーツのフィッテイングにもなんらストレスはありません。

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機首には3gのオモリを入れるよう指示があります。ご覧のようにスペースには十分余裕があります。

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主に3つのパートに分かれて構成される主要部分。実際シンプルな飛行機模型なんであんまり書くことがない(苦笑)

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桁材モールドはこんな感じです。当然機体と尾部を接着すれば見えない箇所ですが、防火壁も再現されている所を見るにあらかじめエンジンなどをディティールアップパーツで出せるような余裕をもたせているのではないか…と推測。

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特徴的な翼端燃料タンクには給油口のディテールもぬかりなく。この部分実機ではオレンジに塗られていて、よく目立ちました。練習機という性格から比較的ゆっくり空を飛んで行くんで、野球やってる最中にぼけーっと眺めて怒られたりしたものですよ…

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そしてシンプルに完成。なんだか優しい外観のカワイイ飛行機です。こーゆーものこそアイマス機が似合うと思うんだけどなー(前にも言ったな)

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原型となったP-80アメリカ初の実用ジェット戦闘機として同時代のミーティアやMe262よりも優れた性能を誇りましたが、いざ実戦となった朝鮮半島上空ではMiG-15に到底敵わなかったのは有名なお話。戦闘機としてはあんまり良い所のない存在でしたが、練習機型T-33は世界三十カ国以上で使用されたベストセラー機となりました。

ところでP-80好きの人はブライアン・ケラハーの「メッサーシュミットを撃て」っていう航空アクション小説を読もう!とっくに絶版だよ…

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航空自衛隊でも1954年の設立以来、長年に渡って使用されました。ジェットパイロットを育成する高等練習機として大きな役割を果たし、この機体で育った大勢のパイロット達が航空自衛隊のみならず民間航空の分野にも多く輩出されています。

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耐用年数も過ぎたことから航空自衛隊のT-33は1980年代以降にはほとんどの機が退役し、残されたわずかな機体も練習機の任を解かれて業務機として雑役的な任務を果たしていましたが、完全な退役を間近に控えた1999年、入間基地所属のT-33に墜落事故が起きました。この事故の際、パイロットは最後まで冷静に機を操縦し住宅密集地を避け河川敷に墜落、殉職されています。

「古い機体を騙し騙し使う」行為には当然危険も伴うんだけどそのことちゃんと判ってるのかなーと、最近のオスプレイを巡るいくつかの報道や論議を見てふとこの事故のことを思い出したりする訳で。

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