ハセガワのタイミングとアイテム選択が超絶すぎる件について⁉︎

▲本日のキット、ハセガワの「GSX-R 750」。今日はね、長いよ。
みなさんがんばって読んでね(笑)

最近ものすごく「アイテム選択」が素晴らしいのではないかと思うのがハセガワです。ハセガワといえば「飛行機」なのは間違いないのですが、選択がうまいと感じるのはむしろそれ以外。例えばクラッシャージョウのシリーズでは今そのタイトルを選ぶのは最高でしょってタイミングだと思うし、カーモデルでも(ワタクシ的にはスターレット、シビックRSは謎ですが)待望の再販を挟みつつニッサンC91とか、スカイラインGTSとか絶妙のバランスで新規に足していっている。コンバインとか、チャレンジ精神なんていうのもあったりするのがまたいいよね。ちょっと違う話かもしれないけど卵ガールズの展開とかね。とにかく新製品がどれも「うまいなぁ〜」というのがワタクシが最近のハセガワさんに思うこと。うまいところをつくでいうと、市販車バイクシリーズもまさにという感じです。なんでこんな話をするのかといえば、今回紹介するのは「スズキ GSX-R750」なんですが、このバイク、あえて反感を買う覚悟でいえば「お金ないけど、それなりのスペックは欲しい場合にちょうどいい中古バイク」だった時期があった気がします。友達が最新鋭ホンダのCBR900RRファイアーブレードなんだけどそんなお金ないんで、みたいなね(もちろん好きで大事にしている方もいっぱいいたけど)。カタナとか名車と言われるバイクと最新スーパーパフォーマンスバイクのはざま、エアポケットにズッポシ位置していた頃があったと思うんです。その頃はあまり人気はなかった。GSX-R 750だって最新鋭にどんどん変わっていくしね、見劣りしますよ。世はパフォーマンス優先時代だったし。

でも紆余曲折あって(あったのか?)時間が経つにつれ、GSX-R 750初期型も綺麗にレストアされたり、そうしたバイクがそれこそ結構いい値段で取引されるようになってきた。スペックというよりも歴史的な名車としてちゃんと評価されているんだと思うんです。ハセガワのキットはまさにそんな感覚がある今だからこそ、「最高にうまいタイミングだなぁ」と思うのです。
と言うわけで、本日はハセガワのGSX-R 750を紹介するフリして、ワタクシが思うGSX-R語りをお届けしたいと思います。



▲オートバイなのでさすがにパーツは多いですけど、最近のハセガワさんが作るバイクは、部位ごとにちゃんとパーツを再現していて、実車を組み立てるかのような感覚にもなれるのが好き。しかしよくできてるなぁ〜、プラモのパーツどうこういう必要はないね。最高の仕上がりでしょ!
▲袋を開けてパーツを出す際に気が付いたんですが、ちゃんと車体パーツとクリアーパーツの袋が分けられてる。もちろんクリアーパーツに傷がつかないようにという配慮ですが、さらに軟質素材のタイヤ(コレもまた長期間プラスチックとくっつけておくと、溶かしたり溶けたりする恐れもある)も別袋になっているのは感心しました
▲フロントカウルは実車同様一体です。ライトが収まる丸い穴の上にあるピコっとした切り欠きはライトの光軸を調整する時に工具を入れるところなんですね。当たり前かもしれないけど、ちゃんと“リアル”してますね! 脇にあるウインカーが貫通する穴にはゴムのリングがハマってるんですがモールドありますね
▲フロントカウルを含めてカウルは実車と同じ分割で再現されています
▲何が偉いってハセガワのバイクシリーズはタンクの裏側がちゃんと再現されているんですよね。これ当たり前じゃないんですよバイク模型では。どうせ見えないでしょって感じで
▲裏側といえばシートの裏もちゃんとしてるのにはびっくりですな。先のGT380とかは横開きだからわかるけど、これ外しちゃうタイプだからねぇ。ツーリング先でお巡りさんに捕まって車検書出してるところとか、トラブって車載工具出してるところの情景作るのにはいいね(そうか?)。情景ということなら今話題のタミヤのオートバイライダーがぴったりじゃないかな? バイクもカフェレーサーっぽく改造したらドンピシャでしょうなぁ
▲さすがは飛行機模型で定評があるハセガワのクリアーパーツ。歪みもないし透明度も高い。これ以上ないってぐらいの仕上がりです。メッキもいいね!ランナーとパーツの接合部分、ゲートはジャンプゲートではないけど政策では差し支えなさそうですな
▲ワタクシはいまだにこのバイクのエンジンが世界一美しいと思っております。もちろん性能を求めたら今時のミッションを上げてシリンダーをバンクさせた液冷がいいんでしょうけど、このエンジンのレイアウト、バランス、放熱フィンの美しさと言ったら…。キットはオーソドックスなパーツ分割ですね
▲ヘッドカバーも美しいねぇ〜
▲エンジン両脇のカバー類は別パーツになっています。右上はバッテリーホルダーとバッテリーです
▲ラジェータというかオイルクーラーはフィンも細かくモールドされていて
▲オイルラインは別パーツ。精密感が高まります

▲ん?カバーして見えなくなっちゃうのに内部のクラッチがモールドされてますけど? これはTTーF1優勝記念限定車(完全に一人乗り用だったりカラーリングが違ったりの特別仕様)がクラッチが露出する「乾式クラッチ」だったんですよね。多分バリエーション展開できるようにモールドされているんだと思います

▲エキゾーストマフラーはサイレンサー部分のカバーが別パーツになっていて、塗り分けがしやすいのがいいですね。フロントパイプは一本ずつバラバラになっていますが、間違えて組み付けられないように配慮もされています

▲文句のつけようがないキットですが、個人的には車体フレームにある溶接跡が若干淡白かなぁと思ったり。スズキはアルミ溶接にはプライドがあると聞いたことがあります。どの市販車も溶接を含めてアルミ加工は芸術的でした。そこがスズキ車らしさの一つではあると思うんです。まぁ、重箱の隅をつつくような話なんですけどね

▲ハンドル周りもにてる(笑)レバーが細いですねぇ〜

▲ブレーキキャリパーは裏側も再現されていてブレーキディスクをちゃんと挟み込んでます。WGPマシンのキットからちゃんとそうでしたけど

▲プラスチック以外のパーツはこんな感じです。ケーブル類を再現するビニールチューブも付属します

▲タイヤは大人の事情なのかな?側面の社名や銘柄、サイズ表記なんかのモールドはありませんが、パターンは当時の市販車標準タイヤですね。表面の「一皮剥けないとツルツルしてて硬そう」な質感も超リアル!?

以前もちょこっと書きましたが、ワタクシ前々職は「街のオートバイ屋さん」でした。今となっては全くいらない整備士免許なんかも持ってたりするんですが、このバイクもよく整備しました。ず〜っとその頃に懐かしさを感じたことなんてなかったんですが、「模型」というフィルターを通して改めていじったりすると記憶が蘇ってくるもんですね。パーツを眺めては一人「そうそう」なんて盛り上がってしまいました。先にハセガワから出た「GT380」は整備したことないし、ワタクシのお兄さん(下手するとお父さん)の時代なので「ふ〜ん、よくきてるね」程度だったんですけどね。アイテムによってこんなに感情が動くんですなぁ。
それにGSX-R 750は日本のバイク史ではターニングポイントとなった一台なので、プラモデルになって当然といえば当然。当時ナナハンといえば車重は250キロとかあった時代に180キロという驚異の軽量マシンで、それだけではなくエンジンのパフォーマンスも素晴らしく、さすがにルマンとか全日本とか出るレースは全部勝ってた。軽量目的といえば油冷エンジンもその一つ(空冷でもあるけど)。水冷のほうが冷却性能はいいんですけど、エンジン自体は重くなるそうで「オイルをピストンの裏とかに吹き付けて、表面の熱を剥がす」とかわけのわからない説明を当時メーカーからされたことがあります(でオイルを冷やす)。
プラモの話に戻してもこのエンジンだけでワクワクできます。タミヤのカタナや3型カタナに載せると(足周りも使えるかな? ド定番ならアオシマの「GPZ900R TUKIGI」にGSX-R1100の倒立フロントホークとホイール(89以降?おそらく90か91)がついてるので流用するとよりオートマ◯ック風で完璧)実車それ系定版カスタム車両を作れるしね。
というわけで? まだまだ話したいことあるんですけどね、この5倍ぐらいになっちゃう(模型関係ないし)のでこの辺で。長文にお付き合いいただきましてありがとうございました!ではまた来週。皆さん良い週末を〜


今回紹介したキットはこちら!

元戦車模型専門誌「月刊アーマーモデリング」誌編集長にして、現在は月刊モデルグラフィックス誌などで活躍する模型誌モデラー。戦車模型への愛と知識もさることながら、陸海空スケールキットからキャラクターモデルに到るまで全てのジャンルに精通。約1000個のキットストックを持つ生粋の模型好き。

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