MENGワールドウォートゥーンズシリーズ ドイツ戦車ティーガーⅠ&キングティーガー(ポルシェ砲塔)Vol.3

最後の工程、塗装に入ります。まず最初に塗装がしやすいように、車体と砲塔をそれぞれ缶スプレーのような持ち手となるものに両面テープで固定しましょう。基本塗装前の下地処理として、プライマーとサーフェイサーを吹きます。プライマーは履帯に、サーフェイサーは全体に吹きます。サーフェイサーだけでも良いのですが、塗装はがれの予防に軟質素材の履帯にはプライマーを吹くことにしています。この作業ではPP(ポリプロピレン)やウレタンなどの塗装が乗りにくい素材向けの下塗りスプレーを使用しています。使用する際はその商品の説明書きをよく読んでから作業を行ってください。次にサーフェイサーを吹きます。合わせ目の処理ぐあいや、パーティングラインの消し忘れがないかなどを確認しましょう。今回はクレオスのMr.オキサイドレッドサーフェイサー1000を選びました。車体の基本塗装はタミヤカラーのアクリル塗料をエアブラシで塗布しています。アクリル塗料はニオイが少ないなどの利点がある反面、ラッカー塗料より溶解力が低いので、タミヤアクリル用のペイントリターダーを使うことでエアブラシの詰まりや色ムラを防ぐことができるのでオススメです。ティーガーⅠはデザートイエローを基調にフラットイエローとフラットホワイトを混ぜ、黄色に近いオレンジの強いデザートカラーに仕上げました。キングティーガーはジャーマングレイを基調にフラットブルーとフラットホワイトを混ぜ、青海の強いグレイに仕上げました。基本塗装の上にカラーモジュレーション技法を施し、デフォルメモデルの立体感をさらに強調させています。カラーモジュレーションには調色した基本色にフラットホワイトを多く混ぜた色で塗装しました。この技法は光の当たる箇所に明るい色をグラデーションになるように乗せ、CGのような効果を得る技法として主にAFVモデラーの間で用いられている塗装法の1つです。筆で履帯や転輪、ワイヤーなどの積載物を塗り、デカールを貼ります。デカールはツヤ消し面に貼ると後で白っぽくなってしまうことがあるので、あらかじめツヤありクリアーを塗っておきます。こうすることでデカールがより密着し、はがれを予防することもできます。よく乾燥させたら次に行うウェザリング作業からデカールと塗膜を守るため、ラッカー塗料のクリアーを全体に吹きます。クレオスのMr.ウェザリングカラーのグランドブラウンでウォッシングし、足回り、マフラーなどにウェザリングを行いました。ティーガーⅠの足回りには同じくMr.ウェザリングカラーのサンディウォッシュを、キングティーガーにはグレイッシュブラウンを筆で塗り、余分な塗料を綿棒でぬぐい取ります。浮いたサビの感じや塗装ハゲを表現するため、チッピングを施しました。小さくカットしたスポンジに塗料を少しだけ付け、車体のカドやこすれそうな部分にチョンチョンと軽くつつくようにスポンジを動かしていきます。スポンジは逆作用のピンセットでつまむと手が疲れにくく、作業しやすくて良いでしょう。マフラーには画像のようにタミヤウェザリングマスターを小皿にとり、それをアクリル溶剤で溶いて塗りつけます。ここでは2種類のサビ色とスス色を使用しました。ワイヤーや予備履帯にも同じように塗り、ランダムにピグメントが乗るようにぐあいを見ながらぬぐい取ります。今回はタミヤウェザリングマスターを使いましたが、各社からウェザリング用のピグメントが販売されているので、気に入ったものを使うと良いでしょう。履帯を銀ブラシして、地面とこすれて地金が出たような表現をします。銀色を平筆などでサッサッとなでるようにドライブラシをすればOK。最後に所々、タミヤのスミ入れ塗料ブラウンをピンウォッシュして完成です。

スナップフィットでピタッと合わさり、何のストレスもなく組み上がり、塗装もウェザリングも問題なし。このシリーズはまだいくつか種類があるので好きな戦車をチョイスして楽しむも良し、集めて並べるも良し、と、作りやすさが相まって、より制作意欲をかきたてられます。模型初心者もベテランモデラーもきっと満足できる、そんなふうに思えるキットでした。

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今回ご紹介のキットは

WWT ドイツ重戦車ティーガーI

WWT ドイツ重戦車 キングタイガー(ポルシェ砲塔)

AFVが好きで、主に1/35サイズを作っています。ガンプラなどのキャラクターモデルも少々たしなみます。年に数回、展示会やコンテストに参加しています。同じくレビューを書いているTomoya Komatsuは夫です。静岡ホビーショーなどの展示会では夫婦で「ヨフカシモデラーズ」として参加しています。よろしくお願いします!

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