けんたろうのプラスチックモデルラボラトリー「クリアーパーツ磨きを研究する」

飛行機模型の難所のひとつといえば、キャノピーのパーティングライン。断面がオメガ形状になるタイプのキャノピーだと、このカタチを再現する都合上どうしても真ん中にパーティングラインが走ってしまうものです。これをキレイに除去して、透明度の高いキャノピーを実現しよう、というのが今回のテーマです。



▲まずはキャノピーのパーティングラインを確認しましょう。代表的なF-15のキャノピーがこちらですが、見事に真ん中にパーティングラインが走っています。ジェット戦闘機はとくにこうしたオメガ型のキャノピーが多く、確認できるだけでもF-16やF-14でもほとんどのキットにパーティングラインがあります


▲実機にはもちろんパーティングラインはないですね……。この形状を再現するためにどうしてもパーティングラインは出るし、我々もそれをきれいに除去するすべを覚えるわけです


▲かつてはこれをキレイにするために、コンパウンドを使うのが一般的でした。しかしコンパウンドは若干扱いが難しく、苦手な私はうっすらと段差のあるキャノピーを作っては光にかざして絶望する日々を送っていたのです。ところが時代を経てヤスリの製品がとても増え、そのなかにキャノピーのパーティングライン処理にちょうどよいアイテムがあるのです。
それが神ヤス!磨(MIGAKI)です


▲神ヤス!磨はスポンジヤスリのように柔らかい部分と表面につけられた磨き面の組み合わせで構成されています。番手は4000、6000、8000、10000と普段遣いの番手からかけ離れた高い番手です。裏側のスポンジは白色に番手の文字が入っています。この神ヤスと、いくつかの紙やすり(おおよそ2000番まで)を用いて、実際にキャノピーを磨いてみましょう


▲まずはパーティングラインをきっちり除去します。ここは600番ぐらいの紙やすりではじめます。狭い範囲で、ラインを消すことのみを意識します。続けて800番で600番をかけた部分を覆うようにヤスリがけをします。大きな番手のキズを残さないように、ここからは少しずつかける領土をひろげていきます






▲1000番から1500番、2000番と紙やすりの番手を上げます。余裕があれば3000番のスポンジやすりを挟んで、かなりキャノピーが磨かれた状態にします


▲ここから神ヤス!磨の出番です。4000番からかけていきます。6000番まではまだまだ透明度がないのですが……






▲8000番、10000番とかけていくとあら不思議。かなり透明度が戻ってきます。10000番をかけたら、最後にティッシュで表面を擦ってみましょう。すると、ほとんど透明度が戻っていることがわかります


▲こちらも余裕があれば、仕上げ用のポリマーを表面にすりつけてあげると、より透明度を高くキレイにすることができます


▲クリアーパーツの透明度向上や、もっとテクニカルなところだと研ぎ出しにもじつは使えるのが神ヤス!磨シリーズです


かくしてキャノピーのパーティングラインは工具によって征服されました。これでどんなキャノピーが来ても怖くない。コンパウンドが苦手だった私も、なんとなく磨くのが楽しくなり、磨かれたキャノピーばかりを作っていた時期があります。完成したか……? さて、なんのことやら……。ではまた来週!




今回紹介したキットはこちら!

けんたろう/模型総合誌、月刊ホビージャパンや月刊モデルグラフィックスで絶賛活躍中。模型の腕前も確かながら「作品を残す作家タイプ」というよりも「模型を作る楽しさを探求し、発信するタイプ」のプロモデラー。


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